南海7000系電車
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南海7000系電車(なんかい7000けいでんしゃ)は、南海電気鉄道の通勤形電車。
本稿では7100系電車についても記載する。
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[編集] 概要
7000系は南海本線・空港線で、7100系は南海本線・空港線・加太線・多奈川線で使用される。
両系列ともに10000系と併結して、特急「サザン」の自由席車両として運行されることがある。
両系列ともに普通鋼製車体だが、海岸に近い所を走るため塩害による老朽化が懸念されている。登場当初は7000系全車と7100系1次車は非冷房車だったが、のちの更新で冷房装置を搭載した。7100系2次車は登場当初から冷房車である。
両系列とも抵抗制御だが、超多段式バーニア制御を採用し、スムーズで衝動の少ない乗り心地の良い加速を実現している。ただ、バーニア制御の特徴上、ノッチオフの際の衝動が大きくなるという欠点もある。
また、雨の日には空転することがある。
南海本線の女性専用車両は、朝のラッシュ時に8両編成で運行する急行・空港急行の難波側から4両目の車両である。8両編成は、難波側に7000系4連、そこに7000系、もしくは7100系を4連または2連2組を和歌山市側に連結するのと、9000系4連2組を連結する運用がある。
つまり、難波側から4両目にあたる車両は、必ず7000系か9000系になるため、この2系列が女性専用車の対象となる。
[編集] 7000系
南海本線唯一の片開きドア車。保有車両数90両を誇る、南海電鉄の主力車である。 京成電鉄にある一部を除くと、大手私鉄では京浜急行電鉄旧1000形と併せて、まとまった車両数が在籍する片開きドア通勤電車である。
1963年(昭和38年)より90両が製造され(メーカーは主に帝国車輛工業)、南海通勤車では最後の片開き車でもあり、現有の南海本線用車両としては、もっとも使用年数が長い。2006年現在4両編成17本68両、2両編成11本22両の計90両が在籍している。
1983年(昭和58年)から冷房化及び車体更新を実施し、集電装置も下枠交差式に変更されている。この時、4両固定編成では補助電源装置が電動発電機から静止形インバータ(SIV)に変更され、和歌山市方Mc(制御電動車)にのみ搭載した。この補助電源装置が故障した時のことを考慮し、営業運転時4両固定編成を単独で使用することが一部を除いて制限されていた。同様の理由により9000系4両固定編成も単独運用が制限されている。
本系列に至ってはその後、実際に車両故障を起こしたため営業運転での4両固定編成単独運用をとりやめ、2両固定編成か4両固定編成の本系列、もしくは7100系と併結して(1994年頃から8連運用を中心に7100糸との混結編成が組成されるようになった)、6連ないし8連で運用されるようになった。 特急、急行、区間急行、準急、普通車、そのほか、特急サザンの自由席車両として、4両固定編成の10000系と連結し、8両編成で走ることもあり、特急ラピートを除くすべての種の運用につくことが可能。 先述の通り、在籍数も90両と南海で2番目に多い数を誇り、南海本線で多彩な運用を見せる。
ちなみに、千代田工場への送り込み・返却回送時には4両固定編成単独での運転が見られることもある。その他、2両固定編成を2組つないだ4連による営業運転はまれに行われており、この4連が特急「サザン」の自由席車両に用いられることもある。 (ちなみに、午前8時頃に住之江車庫にて、10000系との併結のために4両固定編成単独で運転されている7000系が見られる。)
従来、基本的に普通列車は4連で運用されていたため、車体更新後は本系列は主に急行などの優等列車に使用されていたが、2005年11月に行われたダイヤ改正により6連の普通列車が増え、本系列による普通列車も見られるようになった。 このため、本系列の運用本数が増えた。
片開き扉は通勤形電車としては旧型の機構であり、大規模で頻繁な乗降のある車両には本来は不向きである。本系列においては、両開き車と同等の広さを確保しているため、扉の開閉が両開きに比べて不利だが、扉の開閉速度が速くなっており、開閉時間は両開きと大きな差はなくなった。 しかし、ドアエンジン装置の入手が困難になっているという問題がある。
また、使用年数がもっとも長いため、老朽化がもっとも進んでいるなどの欠点もあるが、登場から43年がたった現在も、いまだ1両も本系列の廃車は発生しておらず、全車が在籍しており、一翼を担い続けている。
[編集] 旧塗装リバイバル車両
1992年(平成4年)までに全車両が現行の塗装になったが、南海創業120周年記念キャンペーンの一環として2005年(平成17年)10月1日より2006年(平成18年)7月4日まで7037F(4両固定編成)・7027F(2両固定編成)の6両1編成が旧塗装である緑のツートンカラーの塗装に変更して運用された。翌5日に千代田工場にて現行塗装に戻され、以後は7027F・7037Fとも他の7000系車両と共通に使用されている。
この編成の運行予定は、登場当初より2005年12月31日まで南海電気鉄道の公式ホームページに掲載されていた。
[編集] 7100系
本系列は1973年の架線電圧1500Vへの昇圧において、1201形・2001形など戦前から戦後まもない時期に製作された600V専用の老朽化した電車を置き換えるべく、前述の7000系のマイナーチェンジ車として登場した。
本系列は7000系のドアを両開きに変更し、集電装置の位置や窓の形や台車等、細部の変更を行っており(ただ、窓に関しては、とくに4両固定編成のMc車だが、電車がすれ違う際に非常に大きな音を立てるため、乗客には不評である。)、1969年から1973年にかけて152両が製造(メーカーは近畿車輛と東急車輛製造)された。1次車(7101F~7118F)の36両は非冷房で登場したが、後に冷房化されたものの更新施工行われず2003年7月までに廃車になった。これらの台車は6100系の6300系化に活用されているほか、制御装置などの各種機器も後年製造・改造されたさまざまな系列に流用されている。
1970年以降に製造された2次車(7121F~7197F)は、新製時より冷房を搭載している。住ノ江車庫での事故で4両固定編成であった7161Fのうち2両が廃車になったが、2006年現在は4両固定編成18本、2両固定編成21本(7161Fの残存車含む)の114両が在籍しており、南海電鉄で最大の車両数を誇る。
7000系と同じく南海本線・空港線で、空港特急「ラピート」を除く全種別の運用に入るが、先述したように7000系は4連で運用することが少なくなったため、4連で普通列車に使用されることが多くなった。しかし2005年のダイヤ改正以後、本系列も6連を組成(4両固定編成の2両目と3両目の間に2両固定編成車を挟んだ編成が一般的。まれに4両+2両の編成もみられる。)して、急行や区間急行に使用される機会が多くなったが、先述のように本系列は女性専用車両の対象外となっているため特急「サザン」の自由席車に用いられる場合を除いて本系列が8連の難波方先頭に組成されることはない(ただし、特急サザンは女性専用車両の設定はない)。
2両固定編成車の一部はワンマン化改造され加太線・多奈川線で2200系とともに使用されるなど、多彩な運用を見せた。2005年のダイヤ改正以後、支線に入っていた2両ワンマン編成のうち一部編成が本線で運用されているが、必ず4両固定編成の中間に挿入されて6両編成となった状態で使用されている。しかし時折もとの2両固定編成単独の姿に戻って支線運用に復帰したりしており、一定していない。
7161Fの残存車2両は本系列の2両固定編成(7123F)を難波側に併結し4連で運用されてきたが、2005年のダイヤ改正以降は上記のワンマン編成を組み込んで6連となる場合もある。
1次車の一部は登場当初高野線に一時的に配属されていたことがある。
現用車両 |
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南海線:50000系・10000系・7000系・7100系・9000系・1000系 高野線(大運転):31000系・30000系・2000系・2300系 高野線(区間運転):11000系・6000系・6100系・6200系・6300系・8200系・1000系 支線・鋼索線:2200系・2230系・コ11・21形 |
過去の車両(昇圧後在籍) |
南海線:旧1000系・1521系・キハ5501・5551形 高野線:20000系・21000系・22000系・8000系 貴志川線:2270系・モハ1201形・クハ21201形 |
過去の車両(昇圧前在籍) |
南海線:電7系・モハ2001形(電9系)・簡易半鋼車・モハ1501形・モハ1551形・11001系・12001系・2051系・サハ4801形 高野線:モハ1251形・クハ1900形・サハ3801形 |
機関車 |
電気機関車:ED5105形・ED5121形・ED5151形・ED5161形・ED5201形 蒸気機関車:C10001形 |
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