プレイステーション3
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プレイステーション3 | |
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メーカー | ソニー・コンピュータエンタテインメント |
種別 | 据置型ゲーム機 |
発売日 | 2006年11月11日 2006年11月17日 2007年3月 |
CPU | Cell 3.2GHz, 1PPE+8SPE |
GPU | RSX Reality Synthesizer 550MHz |
対応メディア | BD-ROM, DVD-ROM, CD,SACD |
対応ストレージ | ハードディスクドライブ |
コントローラ通信方式 | Bluetooth(最大7台), USB |
外部接続 | USB x 4 |
オンラインサービス | PLAYSTATION Network |
上位互換のハードウェア | プレイステーション プレイステーション2 |
前世代ハードウェア | プレイステーション2 |
プレイステーション3(PLAYSTATION 3)略称:ピーエススリー(PS3)は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が日本では2006年11月11日に、北米では2006年11月17日に発売した次世代プレイステーション。今後、欧州で2007年3月の発売を予定している。プレイステーション・プレイステーション2と同様に、ユーザー間では「プレステ3」と略されることが多いが、CMや自社製品内での記載では一貫して「PS3(ピーエススリー)」と略している。
目次 |
[編集] 概要
プレイステーション2の後継機であり、CPUにCellを搭載するなどPS2の性能を凌駕する。記録メディアにはBlu-ray Disc(ブルーレイディスク・以下BD)を使用しており、DVDの約5倍(片面1層あたり)の大容量を誇る。BDの他にも、PS2同様にPS1、PS2のゲームソフト、映画などのDVD、音楽CDも使用可能。また、薄型PS2同様にイーサネット端子を搭載しておりネットワークにも対応している。20 GBもしくは60 GBのハードディスクドライブ(HDD)を標準搭載し、将来的には家庭用ゲーム機としてのみならずAVホームサーバーやパソコンのような使い方も可能になるとされている。
コントローラーは従来のPS2のものとほぼ同形状だが、L2・R2ボタンのストロークが深くなっている。また、新たに3軸加速度と3軸回転を検知する6軸検知システムが内蔵された。コントローラの名称である「SIXAXIS」はここから命名されている。振動機能は外された。
現時点では20 GBモデルと60 GBモデルの2種類が発売されているが、HDD容量以外にも無線LANやメモリースティック及びSD、コンパクトフラッシュ等のメモリカードリーダーを搭載の有無で差別化されている。
[編集] 詳細
- 家庭用のテレビで表示する映像でも最高峰のクオリティといえる1920x1080 pixelsのフルHD解像度でプログレッシブ出力が可能。
- 本体は(横置き時の)上面が曲面となっている近未来を感じさせるデザイン。Wii、Xbox 360、PS3の次世代機では一番大きなサイズになる。PS2と同様に縦置き、横置きに対応している。カラーバリエーションは現在のところクリアブラックのみ。ただし、60 GBモデルにはクロームメッキのラインとロゴが入る。光学ディスクドライブはスロットインを採用した。コントローラはBluetoothによるワイヤレス通信式となった。
- また家庭内での使用を中心に考え、薄型PS2並の静粛性を実現した。
- 自社の携帯ゲーム機「PSP」とも無線LANを介して通信が可能である。ただし、20 GBモデルには無線LANは搭載されず、USBケーブルにて通信を行う。
- メニュー画面の操作系には、PSX、PSPと同じクロスメディアバーを採用し、音楽・ビデオ再生機能、インターネットブラウザを標準装備。
- PS3の発売と同時に「PLAYSTATION Network」と呼ばれるネットワークサービスが展開されている。サービス内容はXbox 360で提供されている「Xbox Live」と同様、ダウンロードストアからのソフトで新しい車やコースを有料販売したり、PSPソフトをダウンロード販売(ゲームアーカイブス)して無線LANを通じてPSPに転送するといったことが出来るようになっている。
- ハイビジョン映像記録規格AVCHDの再生に対応。AVCHD対応ビデオカメラ、パソコンなどを除き、AVCHD規格ビデオが再生できる世界初の機器となる。
- 世界初となる、HDMI ver1.3端子を搭載。当初は60 GBモデルのみ搭載予定であったが、後に20 GBモデルにも搭載されることになった。
- 2 TFLOPS(システム全体の理論値)という、スーパーコンピュータ並の浮動小数点演算性能を持つ。
- メリルリンチ日本証券は60 GB版の製造コストを約85,000円と試算している。この試算が正しければ、単純に考えてSCEは1台売る度に25,000円以上の損失を計上していくことになる。製造環境が整っていないことによるものとされるが、同証券は製造コストが下がるにせよ、2010年3月程度までコスト高の状態が続くと予想している。
- PS2までは「PlayStation」のロゴが使用されているが、PS3ではロゴが一新され「PLAYSTATION 3」と大文字表記になった。これは久夛良木健社長によると、今までのPS・PS2はプレイステーションの完成形ではなく、PS3で完成したため、今までは「Play」と「Station」という2つの単語から構成されていた名前から、「PLAYSTATION」という1つの単語に変わったためであるという。プレスリリース内では「PS3(ピーエススリー)」の略称が使用されている。
- テレビCMには「PLAYBEYOND」のロゴも使用されている。
[編集] 沿革・事件
- 2001年3月9日 - ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)と、IBM、東芝ブロードバンド時代に向けた超並列プロセッサの共同研究および開発に合意
- 2002年4月2日 - IBM、ソニー、東芝と最先端半導体製造プロセス技術の共同開発で合意と発表
- 2004年9月21日 - SCEは次世代プレイステーションにBlu-ray Discドライブを採用することを発表
- 2004年12月7日 - SCEとNVIDIAは次世代ゲーム機のGPUを共同開発することを正式発表
- 2005年2月8日 - SCE、IBM、東芝の3社は共同開発中のマイクロプロセッサ「Cell(セル)」のアーキテクチャを初めて明らかにした。
- 2005年3月30日 - PS3が採用する 512MビットXDR DRAM を東芝とエルピーダメモリが発表
- 2005年5月17日 - 「プレイステーション3(PS3)」正式発表
- 2005年7月21日 - Havok社と戦略的ライセンス契約締結発表。物理エンジンをPLAYSTATION 3向けソフトウェア開発キットの一部に採用
- 2006年3月15日 - 「PS Business Briefing 2006 March」にて、当初2006年春発売としていたPS3の発売を2006年11月まで延期することが発表された。
- 2006年3月22日 - 「Game Developers Conference 2006」にて、正式にインターネットを利用したコンテンツ配信サービスE-Distribution Initiativeを行うと発表。
- 2006年5月9日 - 「E3 2006 SCE Press Conference」にて、発売日ならびに価格を発表。新コントローラも発表された。
- 2006年8月30日 - プレイステーション3公式Webサイトオープン。
- 2006年9月6日 - 欧州での発売を2007年3月に延期することを発表。年内出荷台数を400万台から200万台に下方修正(2007年3月までの見通しは600万台で変わらず)。
- 2006年9月22日 - 日本国内、内蔵HDD20GB版の価格を62790円(税込)から49980円(税込)に変更を発表。両モデルとも、HDMI Ver.1.3を標準搭載することを公表。
- 2006年11月11日 - 日本発売。内蔵HDD 20 GB版 販売価格49980円(税込)、内蔵HDD 60 GB版オープンプライス。出荷台数がわずか約8万台だったこともあり瞬く間に完売した。この中には海外からの来日者や、転売目的のために本体のみを購入した人もいた模様で議論を呼んだ。東京有楽町のビックカメラは午前4時の時点で既に1000人余りの人で囲まれておりその中の1人が発した発言が2ちゃんねるなどネット上で大きな話題となった。
- 2006年11月11日 - バージョン1.10 アップデート開始。
- 2006年11月17日 - 北米で発売。20 GB版499ドル、60 GB版599ドル。同日、販売店の前で2人組の強盗による発砲事件が発生、購入の為に並んでいた客数人が怪我をした。
- 2006年12月4日 - ノースカロライナ州ウィルミントンで大学生からPS3を強奪し逮捕状が出た18歳の同大学生が警官に自宅で射殺される事件が発生。死亡した大学生の手にはPS3のコントローラーが握られていたとされ、警官がそれを拳銃と間違えて発砲した可能性があるとされている。
- 2006年12月5日 - 茨城県の運送会社の荷物置き場から、保管中のPS3が180台(計約950万円相当)がパレットごと盗まれるという事件が発生。
- 2006年12月6日 -バージョン1.30 アップデート開始。
- 2007年3月 -欧州発売予定。
[編集] 仕様
2006年5月9日現在 SCE公式発表による製品版仕様および2006年9月22日SCE公式発表による製品版仕様改訂
注 クロック周波数・性能の数値は2006年のE3で発表されたもの。2006年のE3以降は公式には発表されていない。
- GPU
-
- RSX (Reality Synthesizer) NVIDIA設計。 GeForce 7800 GTXがベースである。
- 描画コアと512メガビットGDDR3 SDRAM4枚の構造。
- GPUクロック周波数: 550 MHz(現時点で公式資料からクロック数表記が消えている)
- ユニット数:24PS 8VS 8ROP
- 浮動小数点演算性能 : 1.8 TFLOPS
- Full HD (最大1080p) x 2 チャンネル
- Multi-way programmable parallel floating point shader pipelines
- メモリ
-
- Main RAM: 256 MB XDR DRAM @3.2 GHz
- VRAM: 256 MB GDDR3(128 bit) @700 MHz
システムバンド幅
-
- Main RAM: 25.6 GB/s
- VRAM: 22.4 GB/s
- FlexIO
- for RSX: 20 GB/s (write) + 15 GB/s (read)
- for South Bridge: 2.5 GB/s (write) + 2.5 GB/s (read)
- サウンド
-
- Dolby TrueHD(7.1ch{8ch}、Blu-rayディスク再生時)
- Dolby Digital(5.1ch、ゲームプレイ時、DVD、Blu-rayディスク再生時共に)
- DTS(5.1ch、DVD再生時)
- リニアPCM 最大7.1ch(8ch)
- AAC
- 他
- ディスクメディア
- 通信
-
- Ethernet (10BASE-T、100BASE-TX、1000BASE-T)×1
- Wi-Fi(ワイヤレスLAN) IEEE 802.11 b/g(60 GBモデルのみ標準装備、オプション追加可能)
- Bluetooth:Bluetooth 2.0 (EDR)
- Ethernet (10BASE-T、100BASE-TX、1000BASE-T)×1
- AV出力
- I/O
-
- USB(2.0):前面×4
- カードリーダー/ライター(60 GBモデルのみ標準装備、オプション追加可能)
- Memory Stick(MS) 標準/Duo、PRO×1
- SDメモリーカード 標準/mini×1
- CompactFlash (Type I、II)×1
※HDDはユーザによる市販品での交換が可能
- メディア再生機能
[編集] 同梱品
※HDMIケーブルは同梱されない
[編集] 詳細仕様
[編集] CPU
PS3の核となるメインプロセッサ(CPU)には、2000年からSCE/ソニー/IBM/東芝の4社により共同開発された「Cell(セル)」プロセッサを採用。Cellプロセッサは 1PPE+8SPE の構成のマルチコアプロセッサである。Cellは一度に10個の命令スレッドを処理できる。
「PowerPC Processor Element(PPE)」と呼ばれる64bit PowerPC プロセッサコア1つと「Synergistic Processing Element(SPE)」と呼ばれる別々の計算処理が可能な8つのサブコアをワンセットとしたものが Cell である。Cell は主にデジタルホームアプリケーション向けに設計されているが、幅広いプログラミングモデルで利用できる。Cell の各コアは仮想化技術を通じて複数の OS とプログラミングモデルをサポートし、複数の仮想マシン上で複数のOSを走らせることを可能にしている(そのためPS3では仮想マシンを管理するハイパーバイザーが最初に起動する事になっている)。尚、PS3では8つのSPEの内7つのみ使用され、1つはリダンダンシ(冗長)のため使用されない(SPEのうち1つが不良品であっても製品に使用できるため、チップ生産の歩留まり向上に繋がる)。
Cellは単体でも高い性能を発揮するCPUになると言われているが、最大の特徴は「Cellコンピューティング」と呼ばれるネットワークによる分散処理機能である。PS3を、中心にホームサーバ、テレビなど複数の「Cell」搭載機器を高速ネットワークで結ぶことにより実現する。考え方は「グリッド・コンピューティング」に似ているが、リアルタイム処理であることが最大の特徴である。Cell自身も「グリッド・コンピューティング」構造ともいえる。
また、PS3でのCellの動作クロック周波数は3.2 GHzであるが、Cell自体は4.5G Hz以上で動作可能であるとしている。
技術資料はCell Broadband Engineにて公開されている。
[編集] GPU
GPUには、GeForceシリーズ等のPC向けグラフィックス・プロセッサで有名な米国NVIDIA社と共同開発した「RSX Reality Synthesizer」を採用。
RSXは、NVIDIA社のPC用グラフィックチップ「GeForce7800 GTX」にPS3内部で採用されている「Flex IO」インターフェイスを搭載したチップである。搭載されている、バーテックスシェーダは8本、ピクセルシェーダは24本とスペック的には同一の物だが、VRAMとのインターフェイスは256 bitから128 bitへと削減されている。またシェーダ画像を最終的に出力するROPユニットの数も、16から8に削減されている。VRAMとのメモリインターフェイスは、一般的なGDDR3接続で、帯域幅は22.4 GB/sec。CPUのCellとは、Flex IO インターフェイスによって 35 GB/secの帯域幅で接続されている。
PS2では720×480 pixelsのSD解像度だったのに対し、PS3では1920×1080 pixelsの16:9 フルHD(High Definition)解像度表示を可能とし、プログレッシブ表示にも対応している。AV出力にはHDMIも採用され、アナログを介さない完全なデジタルtoデジタルの映像出力が可能である。
[編集] メモリ
メインメモリには米国Rambus社が開発した次世代メモリ「XDR DRAM」を採用した。東芝とエルピーダメモリがプレイステーション3向け512MビットXDR DRAMを発表(2005年5月17日時点)している。XDR DRAMは、32ビット帯域ながらDDR2 SDRAMのデュアルチャンネル転送の2倍のスピードに達するといわれている。
I/Oインタフェースは米国Rambus社のFlexIO技術を採用し、HD品質の高精細画像をリアルタイム処理する為に必要な転送速度を実現している。
CPUにはXDR DRAMメインメモリが直結され、GPUにはGDDR3ビデオメモリが直結されており、NUMA構成を取る。レイテンシペナルティがあるものの、CPUとGPUが相互に他方の専用メモリにアクセスすることも可能である。
[編集] サウンド
サウンドに関しては、CellのSPUが処理を担う。PS2では、「ドルビープロロジックII」を主としたインタラクティブサラウンドがゲームによっては対応していた。PS3自体は最大7.1ch(8ch)までのドルビーTrueHD、ゲームタイトルには「ドルビーデジタル」5.1chに対応する[1]。
[編集] ディスクメディア
PS3では、ソニー、松下電器産業などが提唱する次世代の光ディスク規格である「Blu-ray Disc(以下BD)」を採用した。BDは一層最大27 GBの容量を持ち、HDTVの録画媒体として既に各家電メーカーからレコーダーが発売されている。ゲームソフトの内容によってはDVD-ROMでも容量が足りると思われるが、著作権保護などを考慮し全てBD-ROMで供給されることになっている(ネットワーク配信を除く)。また、映画等の映像コンテンツ媒体として「BD-Video」ソフトが2006年11月から発売されている。なお、PS3ではBD-ROMの他にBD-RとBD-REの読み出しも可能(書き込み不可・2倍速)となっている。
[編集] コントローラ
Bluetoothによるワイヤレス通信接続が可能になったため、従来のようなケーブルやマルチタップ等の煩わしさから解放され、リモートによる電源投入も可能となった。また、USBケーブルによる有線接続と急速充電が可能。しかし本体の電源が入っていないと充電できない。 コントローラの新要素は、アナログスティックの精度向上(8ビットから10ビットへ)、R2/L2ボタンのトリガー化、3軸加速度と3軸回転(前後左右傾き・左右振り)を検出する6軸検出システムを搭載した「モーションセンサー」で、より直感的な操作が可能である(Wiiのセンサーバー(Wiiリモコン)との組み合わせのように空間的な絶対座標の指示を補佐するような機能はない)。従来あった振動機能は搭載されていないが、大幅な軽量化を実現している。
形状はPS用のDUALSHOCK・PS2用のDUALSHOCK 2とほぼ同じだが、振動機能にちなんだ従来の名称は廃止され、「SIXAXIS」というモーションセンサーの軸数にちなんだ新しい名称が採用されている(Six axis=6軸の意味。回文でもある)。
またSIXAXISの初回使用時は、USB経由でPS3本体に接続し、中央のPSボタンを押してペアリング(Bluetoothの相手となる機器の組み合わせを認識)させる手順が必要となる。一度ペアリングさせれば、次回以降この手順は必要ない。
なお、振動機能が搭載されない理由として、当初は開発担当者のインタビュー上で「モーションセンサーとの併用が技術的に難しいため」であるとされていたが[2]、後にSCEA(SCEのアメリカ法人)のCEOのインタビューで「技術的には可能だったが、価格が高くなるため戦略的な問題を理由に外した」と訂正されている[3]。これは、部品コストの問題だけでなく、イマージョン社と係争中の振動型コントローラの特許に関する裁判や15%と云われるライセンス費用も少なからず影響していると考えられる。
[編集] 通信
Ethernet端子として、最も普及している 100BASE-TX に加え、1000BASE-T(ギガビットEther)もサポートする。
さらに 60 GB モデルに搭載される無線LANには、最も普及している IEEE802.11 b/g を採用。特にPSPとの連動による「リモートプレイ」は、プレイステーション3の画面をMPEG-4/480pに変換・転送し、PSPでのネイティブな操作・視聴が可能となる"宅内ロケーションフリー"を実現。はじめてのPS3[4]によると、発売当初はPS3上の各種設定やウェブブラウズ、動画・画像などのコンテンツがPSPで楽しめ、今後はゲーム画面や出先からのアクセスにも対応するとの事(なお、著作権保護されたBD・DVD等については転送出来ない)。またデータのやりとりを行ったり、ポケットステーション のような使いかたをしたり、PSPをPS3のコントローラやセカンドモニタとして使用するなど、今後さまざまな応用が考えられている(ゲームとの連動については、有線USBでも対応の予定)。
また、無線LANは「AOSS」(バッファロー)、「らくらく無線スタート」(NEC)対応。
なお、20 GBモデルでの無線LAN用オプション機器等の発表はされておらず、現在のところ無線LAN利用は不可能である。
[編集] AV出力
AV出力端子にHDMIが搭載される(ケーブルは別売り)。HDMIはPCとディスプレイの接続標準規格であるDVIをAV家電向けに映像・音声転送を可能にしたもので、プレイステーションの歴史上初めて映像と音声の完全なデジタル転送を可能とした。採用される最新のHDMI Ver.1.3規格はプレイステーション3で初めて製品化される。またAVマルチを用いた出力でもD1(525i)~D5(1080p)までのアナログ出力が可能である。PS1・PS2と同じ仕様の端子であり既存のケーブルの流用が可能。GPUのRSXは現行のHDで最も高精細な1080p解像度をサポートしている。PS2の時のDVDの普及のように、PS3がデジタルテレビ及びBlu-ray Discを普及させる立役者になるよう、関係者に期待されている。 また、[1]にある様に、 AVマルチによるRGB出力が可能であることが解る。
[編集] I/O
ゲームデータの保存にはハードディスク、PSPと同様のMSの他、SDやCFなど様々なメディアにセーブデータを置ける様にしたいとしている。
またUSBポートにはUSBマスストレージ規格に対応した機器とPC向けに販売されているマウスやキーボードなどの汎用機器が接続できるとしている。20 GBモデルに搭載されないメモリーカードスロットは現在のところ純正品の周辺機器が発売される予定はないが、パソコン向けのUSB接続カードリーダー/ライターが使用可能であるとされる。
[編集] HDDスロット
PS3におけるハードディスクはPS2でのオプション装備のような形ではなく、60 GB/20 GBの取り外し可能なシリアルATA接続ハードディスクが標準で装備される。市販の2.5インチS-ATAのHDDに自由に交換が可能である[2]。但し、HDDの交換はメーカーの保証対象外となる可能性もある。
[編集] PS1、PS2との互換性
PS3ではPS2/PS1用のゲームソフトをプレイ可能である。PS1に対する互換性はソフトウェアによるエミュレーションによって実現されているが、PS2に対してはより高い互換性を確保するため、ソフトウェアによるエミュレーションではなく、PS2チップ「EE+GS」(Emotion Engine・Graphics Synthesizer)が本体に搭載される。ただし、チップが搭載されるのは初期型のみで、将来的には取り除かれ、ソフトウェアによるエミュレーションに移行する予定であるとされている。
データのセーブはHDD上に作成した仮想メモリーカードに行う。ただし、PS3にはPS2まで装備されていた「PlayStation用メモリーカードスロット」がないため、従来のPSやPS2でセーブしたデータを使用するには、オプション品の『メモリカードアダプター』(定価1,500円)をPS3本体に接続し、あらかじめ本体HDD内の仮想メモリーカードにデータを移行しておく必要がある。仮想メモリーカードデータを実物のメモリーカードに書き戻すことはできないが、SDカード等の外部メディアにバックアップすることは可能。また、モンスターハンターやドラゴンクエスト 少年ヤンガスと不思議のダンジョンなどの一部のPS2用ソフトでは、メモリーカードのセーブデータにコピー禁止属性が設定されているため仮想メモリーカードに取り込むことはできない。
なお、PS・PS2用のコントローラ接続端子はないため、コントローラは基本的にはPS3専用のものを使用する。
PS・PS2用のコントローラ、周辺機器はUSB接続端子にエレコムやサンワサプライから発売されているコントローラコンバーターを接続することでPS1、PS3のゲームをプレイする場合に限って使用することができる。 ( http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20061121/ggl.htm#ps3_6 )
USB機器に関しては基本的にそのまま対応する(一部例外あり・ソフトウェア互換情報参照)。
2006年11月11日現在、PS1用ゲームソフトで511タイトル、PS2用ゲームソフトで292タイトル、合計803タイトルに何らかの不具合が発生(国産全7841タイトル中・内動作検証中1631本。プレイに支障ないもの、サードパーティ製コントローラの対応、稀に発生する場合を含む)、[3]『ファイナルファンタジーXI』、『信長の野望Online』といったHDD必須のPS2タイトルには対応していない(これら2タイトルはシステムバージョン1.31で対応)。これらは順次PS3システムアップデートにより改善される予定である。
[編集] 消費電力
最大消費電力は380 Wであると公表されており[4]、通常の家電としては若干高めである。実際の計測レビューによると起動時で約150 W前後、サムネイルやプレビューを用いたXMB使用時で約160~170 W前後、Blu-ray起動時には180 W程度、ゲームには最大でも200 W程度となる。なお高効率の排熱により排気部のスペース確保には注意が必要である。[5][6]
[編集] 周辺機器
[編集] SCE純正品
- ワイヤレスコントローラ(SIXAXIS)
- 2006年11月11日発売。同じものが本体に1台同梱される。
- メモリーカードアダプター
- 2006年11月11日発売。USB接続でPS・PS2のメモリーカードのセーブデータをPS3のHDDに移行できる。しかし逆の転送(HDD→メモリーカード)はできず、ゲームからメモリーカードに直接アクセスすることもできない。
- BDリモートコントローラ
- 2006年12月7日発売。BD・DVDビデオ等の操作に便利なリモコン。Bluetooth接続。なお標準のコントローラでもBD・DVDビデオは操作できる。
- プレイステーション・プレイステーション2用のAV出力ケーブルも代用可能
[編集] サードパーティー製品
- GT Force RX(ロジクール製ステアリングコントローラ、2006年11月11日発売、9,980円)
- バーチャスティック ハイグレード(セガ、2007年2月15日発売、7,329円)
[編集] 国内同時発売のソフトウェア
- 機動戦士ガンダム Target in Sight(バンダイナムコゲームス、7,329円)
- GENJI -神威奏乱-(ゲームリパブリック/ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE、5,980円)
- 宮里三兄妹内蔵 SEGA GOLFCLUB(セガ、7,140円)
- リッジレーサー7(バンダイナムコゲームス、7,329円)
- RESISTANCE ~人類没落の日~(SCE、5,980円)
[編集] システムアップデート
PS3の機能を動かしているシステムソフトウェアはバージョンアップすることで、無料で様々な機能の追加やセキュリティの強化ができるようになっている。アップデートはブロードバンド接続環境があれば、「設定」カテゴリ内の「ネットワークアップデート」から行うことができる。なお、システムアップデートを行わない場合はPlaystation Networkに接続が不可能となる。
[編集] バージョン1.10 アップデート
2006年11月11日公開。
- 全般
- PLAYSTATION Networkのサービスを利用できるようになった。
- ヨーロッパ言語の画面キーボードで、シングルタップ方式の文字入力ができるようになった。
- 設定
- [ミュージック設定]に[音楽CD出力周波数]が追加された。
- [本体設定]に[ATRACを有効にする]が追加された。
- [周辺機器設定]の「キーボードのタイプ]で、選択できるキーボードの種類が増えた。
- [ディスプレイ設定]に「クロスカラー低減フィルター」が追加された。
- [ディスプレイ設定]の「スクリーンセーバー」に[5分後]が追加された。
- ビデオ
- ハードディスクや記録メディアに保存した動画ファイルを再生するときに、[画面モード]で[フル]を選べるようになった。
- ネットワーク
- [インターネットブラウザ]で音楽や動画ファイルをダウンロードして、ハードディスクに保存できるようになった。
- [PLAYSTATION Store]で下記のコンテンツをダウンロードできるようになった。
- PLAYSTATION 3規格ソフトウェア
- PSP (PlayStation Portable)で動作するPlayStation規格ソフトウェア(システムソフトウェア バージョン3.00以上のPSPが必要)
- [インターネットブラウザ]で繁体字中国語および簡体字中国語の表示に対応。
- [オンラインマニュアル]が追加された。
[編集] バージョン1.11 アップデート
2006年11月28日公開。
- ネットワーク
- [フレンド]に[アカウント管理]が追加された。
[編集] バージョン1.30アップデート
2006年12月6日公開。
- 設定
- [周辺機器設定]の[Bluetooth機器登録]で、BDリモートコントローラを登録できるようになった。
- [BD/DVD設定]に[BD/DVD映像出力フォーマット(HDMI)]が追加された。
- [本体設定]に[バックアップユーティリティー]が追加された。
- [本体設定]の[フォーマットユーティリティー]および[PS3の初期化]で、ハードディスクのフォーマット方法を選べるようにった。
- [ディスプレイ設定]の[映像出力設定]で出力解像度の選択方法が変更になった。
- その他
- 使用できるUSB周辺機器が追加された。
[編集] バージョン1.31アップデート
2006年12月13日公開。
- その他
- ハードディスクへのインストールが必要なPlayStation2規格ソフトウェアを遊べるようになった。ただし別途PS2 System DataをPLAYSTATION Storeからダウンロードし、インストールする必要がある。
[編集] サードパーティーシステムソフトウェア(PS3用OS)
SCEIが提供するPLAYSTATION 3システムソフトウェア以外にも、サードパーティーが提供するシステムソフトウェアをインストールして使用することが可能である(PS3のXMBでは「他のシステム」と呼ばれる)[5][6]。次のLinuxディストリビューションによるインストール、作動が確認されている。
- Yellow Dog Linux 5.0(Fedora Coreベース)
- アメリカTerra SoftとSCEIの共同開発、SCEI公認OS。
- Fedora Core 5
- Gentoo Linux[9][10]
[編集] 分散コンピューティングプロジェクト
- Cure@PS3
- タンパク質の折り畳みを予測(タンパク質構造予測)する分散コンピューティングプロジェクトであるFolding@Homeは、同プロジェクトにPS3を利用することを提案し[11]、ソニー・コンピュータエンタテインメント・アメリカ(SCEA)と共同でクライアントソフトCure@PLAYSTATION3を開発している[12]。数万台のPS3を利用しペタフロップススケールの処理能力が期待されている。
[編集] 関連項目
- プレイステーション3のゲームタイトル一覧
- Category:プレイステーション3用ソフト
- ソニー・コンピュータエンタテインメント
- プレイステーション
- プレイステーション2
- プレイステーション・ポータブル(PSP)
- ゲームアーカイブス
- Cell
- Blu-ray Disc
- Super Audio CD
- HDMI
- PSX
- 日本におけるゲーム機戦争
- ハイデフ
[編集] 出典
- ↑ 「PS3」がドルビーTrue HDを採用, ファイル・ウェブ, 2006年09月22日
- ↑ プレイステーション 3に搭載される未発表の機能も判明!――システム開発担当者に仕様の詳細を聞く, ITmedia, 2006年05月12日
- ↑ http://gameaholic.blog34.fc2.com/blog-entry-2494.html
- ↑ http://www.jp.playstation.com/ps3/hajimete/
- ↑ PLAYSTATION 3 システムソフトウェアユーザーズガイド 他のシステムのインストール
- ↑ Open Platform for PLAYSTATION 3
- ↑ PLAYSTATION3 Linux Information Site
- ↑ スラッシュドット ジャパン「PS3 Linux」 始動
- ↑ gentoo linux installation procedure(英語)
- ↑ PS3Linux
- ↑ Folding@Home on the PS3: the Cure@PS3 project, スタンフォード大学(英語)
- ↑ Cure@PLAYSTATION3, SCEA Research and Development(英語)
[編集] 外部リンク
- PLAYSTATION 3 オフィシャルサイト
- PLAYSTATION 3 コンセプトサイト
- ユーザーガイド
- PLAYSTATION 3 サポート情報(Q&A)
- 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)
家庭用ゲーム機(ソニー・コンピュータエンタテインメント) | |
据え置き型 : | プレイステーション(ソフト) - プレイステーション2(ソフト) - プレイステーション3(ソフト) |
携帯型 : | プレイステーション・ポータブル(ソフト) |
カテゴリ: プレイステーション | 2006年のコンピュータゲーム | ゲーム機