ブルーサンダー (映画)
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『ブルーサンダー』 (Blue Thunder) は、1982年に製作されたアメリカ映画および、その作中に登場するヘリコプター。同時期に製作されたテレビドラマ『超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ』とよく比較され、その陰に隠れた存在でもある。 映画版の監督は『サタデー・ナイト・フィーバー』などで知られるジョン・バダム。スカイアクションの名作として今でも一部で根強い人気がある。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] ストーリー
ロサンゼルスオリンピックに於けるテロ対策と警備強化のために、カリフォルニア州当局は秘密裏に攻撃ヘリコプター「ザ・スペシャル」ことブルーサンダーを開発し、ロサンゼルス市警に配備した。兵装は炸薬弾を装填した20mmガトリング砲(M61か?)を機首に備えており、パイロットが専用ヘルメットのシールドバイザーに浮かぶ照準線を通して見た方向に、自動的に銃口が向く視線追尾式。
そのパイロットであるベトナム帰りの警察航空隊員フランク・マーフィーは、テスト飛行中に通りかかった連邦地方庁舎上空で、庁舎の一室で行なわれていた、ブルーサンダーの悪用や反対派を暗殺する「ソア(Tactical Helicopter Offence Response―戦術ヘリ攻撃対応)計画」に関する州政府関係者の密議をたまたま録画してしまう。しかも、ベトナム時代の上官で、ブルーサンダーを持ち込み試験運用を依頼して来たコクラン・陸軍大佐が陰謀に一枚噛んでいた。気づかれて殺された部下・ライマングッド同様、命を狙われたマーフィーは、その証拠ビデオをテレビ局の報道キャスター、ヒューイットに渡すよう、別居中の妻ケイトに託し、一人ブルーサンダーに乗り込みロサンゼルス上空で権力との孤独な闘いを繰り広げることとなる。
橋の下でのヘリ同士の戦闘や、パトロールカーに追われるケイトの車の前に橋の下から現れるブルーサンダー、ラスト付近でのF-16との戦闘や、その際、赤外線追尾式ミサイル・サイドワインダーをレストランの煙突や高層ビルの反射光で回避するシーン、コクラン大佐の乗るヘリコプター(武装つきOH-6)との戦闘時のブルーサンダーの宙返りシーンが見所である。
また要所でベトナム戦争時のジェノサイドをめぐる大佐との対立が描かれており、ベトナム戦争の影響を引きずっている。
[編集] 機体としてのブルーサンダーの概要
テロ対策用途であるためか、調査・監視機能の方が充実しており、赤外線暗視装置や室内の人物をカーテン越しに撮影可能なサーモグラフカメラ、高感度マイクロフォン、サーチライトや拡声器が備えられ、飛行時のローター音を消す事もできる。機体は防弾仕様となっている。
武装は、機首下部に設置されたガトリング砲1門のみであるが、パイロットの視線に連動して砲塔が追尾するディレクターサイト方式となっている。
なお、チャフやフレアなどは搭載されていない。ノートパソコン・サイズの情報端末を搭載、政府機関のコンピューターとリンクしている。この場所を取る情報端末のためオペレーターの座席は斜め前向きに設置されている。このため、コックピットは広そうに見えるが2人乗りである。本作に出てくるSF的なガジェットはエアーウルフのような荒唐無稽なものではなく、1990年代に実現されているであろうレベルを意識しており、その殆どはすでに軍用ヘリなどで実用化されている。(但し、ローター音の消音だけはまだ無理なようである)
[編集] スタッフ
- 監督 ジョン・バダム
- 制作総指揮 フィル・フェルドマン、アンドリュー・フォールスゲン
- 制作 ゴードン・キャロル
- 脚本 ダン・オバノン、ドン・ジャコビー
- 撮影 ジョン・A・アロンゾ
- 美術 シドニー・Z・リトワック
- 編集 フランク・モリス、エドワード・M・アブロムズ
- 音楽 アーサー・B・ルービンスタイン
[編集] キャスト
- フランク・マーフィー ロイ・シャイダー
- ケイト・マーフィー キャンディ・クラーク
- コクラン大佐 マルコム・マクダウェル
- ジャック・ブラドック警部 ウォーレン・オーツ
- リチャード・ライマングッド巡査 ダニエル・スターン
- モンタナ ジョー・サントス
- ロサンゼルス市長 ジェイソン・バーナード
- アルフ・ヒューイット ジェームズ・マータフ
[編集] 日本語吹替
- 1989年10月2日(日)テレビ朝日「日曜洋画劇場」
[編集] 続編
テレビドラマ版も制作されている。
テレビ版では出演者名が若干変更され、ブルーサンダーもロス市警の中に間借りしている連邦法執行機関(APEXと称している)の出張所に所属、様々な事件を解決すべく出動する設定になっている。
映画版とストーリーの繋がりは無い。地上のサポート班がおり、ブルーサンダーと緊密に連絡をとって犯人を逮捕する。
敵は麻薬密売組織などの犯罪組織か単独の刑法犯が殆どである。警察なので犯人に武器を捨てるように警告をする。犯人がそれに応じない時は犯人を傷つけないよう威嚇射撃をする。たいていの犯人はこれで投降するが、たまにそれにも応じない者もいるが精密な射撃で武器を破壊され逮捕される。
映画同様アクションドラマなのにリアリティーを追求し、派手なアクションシーンは少ない。毎回見所はブルーサンダーが飛び回るシーンで、ヘリコプターマニアには堪らないであろうがアクション物としては物足りなさが残る。
[編集] キャスト(TV版)
- フランク・チェイニー…ジェームズ・ファレンティノ
- クリント・ワンダーラブ…ダナ・カービィ
- ブラドック警部…サンディ・マクペック
[編集] 関連項目
[編集] 豆知識
- 母体となった機体はエアロスパシアル(現・ユーロコプター)製SA341ガゼルである。
- 映画の撮影はロス上空で実際に警察立会いの下、約2ヶ月間毎週日曜日に撮影された。
- コクラン大佐は吹き替え版では「コクレーン」と発音する場合もある。
- ラストの劇中のテレビニュース内で、一連の顛末を伝えた後の次のニュースとして、東北新幹線らしき列車が「日本の弾丸列車」として取り上げられている。
- 劇中のF16は、ハセガワの市販プラモデルである。
- アメリカのプラモデル制作会社モノグラムから1/32のプラモデルが発売されていた。
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