ロサンゼルスオリンピック (1984年)
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参加国・地域数 | 140 |
参加人数 | 6797(男子:5230、女子:1567) |
競技種目数 | 21競技221種目 |
開会式 | 1984年7月28日 |
閉会式 | 1984年8月12日 |
開会宣言 | ロナルド・レーガン |
選手宣誓 | エドウィン・モーゼス |
審判宣誓 | Sharon Weber |
最終聖火ランナー | Rafer Johnson |
主競技場 | メモリアルコロシアム |
ロサンゼルスオリンピック(Games of the XXIII Olympiad、Los Angeles 1984 1984年7月28日 - 1984年8月12日)は、アメリカ合衆国のロサンゼルスで行われた夏季オリンピックである。
目次 |
[編集] 商業五輪
この大会は1セントも税金を使わずに行われた。それまでの大会は、スタジアムの建設や環境整備などで開催都市が多額の費用を負担し赤字続きで大きなダメージを残したこともあり、1984年大会の開催都市立候補はロスだけ、とオリンピック開催は不人気だった。税金を使わなければ、政治的介入を阻止できると、南カリフォルニアオリンピック委員会は考えたのだ。 開催するために必要な費用は、
- テレビ放映料…テレビ放映権は、それまでの常識を超える金額を最低価格として提示、アメリカ4大ネットワークのうちで一番高い金額を示したABCと約450億円で契約。放映権料を前払いとして、利息を稼ぐ徹底ぶりだった。
- スポンサー協賛金…それまで多くのスポンサー企業がマークを使用、多種多様な活動をしたが、スポンサー数があまりにも多すぎたので、メリットが半減していると判断し、スポンサーは1業種1社、合計で30社と数を減らして価値を高めた。ロス五輪のマークを自由に使える、というのが条件だった。コカ・コーラとペプシが激しいスポンサー争いを演じ、他業種もスポンサーに次々に名乗りを上げ、高額の協賛金が集まった。
- 入場料収入
- 記念グッズの売上
の4本柱を立てて賄った。
大会委員長は、ピーター・ユベロス。
この大会の成功が、その後の商業主義の発端となった。
ちなみに、1980年に行われたモスクワ五輪にアメリカ合衆国等が参加しなかったので、その報復としてソビエト連邦や東欧諸国は本大会をボイコットした(表向きの理由は1983年のアメリカ軍によるグレナダ侵攻に対する抗議)。
[編集] 聖火ランナー
ピーター・ユベロス大会委員長は一般市民の聖火ランナーからも、参加費用を徴収しようと計画。一緒にオリンピックを作る一員として、聖火ランナーに参加してくれる人なら、資金的な協力もしてくれる、というのがユベロスの考えだったのだが、聖火を運ぶのは、もともとギリシャ委員会の管轄で、ギリシャ委員会は「聖なる火を商品化するとはけしからん!」と待ったを掛けてきた。結局ユベロスが、ギリシャ委員会を説得して有料聖火ランナーは実施された。かくして最終的にはこの大会は、およそ400億円の黒字で終了・成功し、全額がアメリカの青少年の振興とスポーツのために寄付された。
[編集] 大会マスコット
[編集] ハイライト
旧ソ連・東欧圏の選手が出場しなかった結果、射撃の蒲池猛夫(日本)、体操女子個人総合のレットン(アメリカ)など、幾つかの競技で、それまでメダルに縁の無かった国に金メダルをもたらした。特にレットンの金メダル獲得はアメリカで体操のブームを呼び、多くの子供達が体操競技を始めた結果、現在の体操競技におけるアメリカ勢の躍進の原動力となった。
[編集] 実施競技
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[編集] 主なメダリスト
- 金メダル
- カール・ルイス(アメリカ、陸上競技男子100m)
- カール・ルイス(アメリカ、陸上競技男子200m)
- セバスチャン・コー(イギリス、陸上競技男子1500m)
- カルロス・ロペス(ポルトガル、陸上競技男子マラソン)
- エドウィン・モーゼス(アメリカ、陸上競技男子400mハードル)
- アメリカ(陸上競技男子4×100mリレー)
- カール・ルイス(アメリカ、陸上競技男子走り幅跳び)
- デイリー・トンプソン(イギリス、陸上競技男子十種競技)
- ジョーン・ベノイト(アメリカ、陸上競技女子マラソン)
- ウルリケ・マイフェルト(西ドイツ、陸上競技女子走り高跳び)
- ミヒャエル・グロス(西ドイツ、競泳男子200m自由形)
- ミヒャエル・グロス(西ドイツ、競泳男子100mバタフライ)
- アメリカ(競泳男子4×100mリレー)
- メアリー・マーハー(アメリカ、競泳女子100mバタフライ)
- メアリー・マーハー(アメリカ、競泳女子200mバタフライ)
- アメリカ(競泳女子4×100mメドレーリレー)
- グレゴリー・ローガニス(アメリカ、飛び込み男子3m飛板飛び込み)
- グレゴリー・ローガニス(アメリカ、飛び込み男子10m高飛び込み)
- イギリス(ボート男子かじつきフォア)
- メアリー・レットン(アメリカ、体操女子個人総合)
- アメリカ(バスケットボール男子)
- ライナー・クリンケ(西ドイツ、馬術馬場馬術個人)
- 西ドイツ(馬術馬場馬術団体)
- イタリア(フェンシング男子サーブル団体)
- 李寧(中国、体操男子床運動)
- 李寧(中国、体操男子あん馬)
- 李寧(中国、体操男子つり輪)
- 楼雲(中国、体操男子跳馬)
- 森末慎二(日本、体操男子鉄棒)
- 銀メダル
- セバスチャン・コー(イギリス、陸上競技男子800m)
- フローレンス・ジョイナー(アメリカ、陸上競技女子200m)
- ジャッキー・ジョイナー・カーシー(アメリカ、陸上競技女子七種競技)
- ミヒャエル・グロス(西ドイツ、競泳男子200mバタフライ)
- 西ドイツ(競泳男子4×200mリレー)
- マルコ・マルティン(イタリア、フェンシング男子サーブル個人)
[編集] 各国・地域のメダル獲得数
ロサンゼルスオリンピック 国・地域別メダル受賞数 (最終成績) |
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位 | 国・地域 | 金 | 銀 | 銅 | 計 | |
1 | アメリカ合衆国 | 83 | 61 | 30 | 174 | |
2 | ルーマニア | 20 | 16 | 17 | 53 | |
3 | 西ドイツ | 17 | 19 | 23 | 59 | |
4 | 中国 | 15 | 8 | 9 | 32 | |
5 | イタリア | 14 | 6 | 12 | 32 | |
6 | カナダ | 10 | 18 | 16 | 44 | |
7 | 日本 | 10 | 8 | 14 | 32 | |
8 | ニュージーランド | 8 | 1 | 2 | 11 | |
9 | ユーゴスラビア | 7 | 4 | 7 | 18 | |
10 | 韓国 | 6 | 6 | 7 | 19 | |
詳細はこちらを参照。 |
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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冬季オリンピック:1924, 1928, 1932, 1936, (1940)², (1944)², 1948, 1952, 1956, 1960, 1964, 1968, 1972, 1976, 1980, 1984, 1988, 1992, 1994, 1998, 2002, 2006, 2010, 2014, 2018 | |||||
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