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ターボチャージャー

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自動車用のターボチャージャー
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自動車用のターボチャージャー

ターボチャージャー (turbo charger) とは、内燃機関において、より高出力を得るために利用される過給器の一方式である。

排気管から放出されていたエネルギーを利用し、タービンエンジンの排気圧力で高速回転させ、その回転力で圧縮機を駆動することによって吸気管内を貫流する空気を圧縮し、エンジン内に送り込む。内燃機関本来の吸気量を超える混合気を爆発させることで、見かけの排気量を越える馬力を得る仕組みである。

過給器としての効率はいいのだが、タービンが回転する速度は、自動車用ガソリンエンジンの場合20万rpm(毎分20万回転)を超えるものさえあり、さらに高温な排ガスを直接受けて、あまりに高温のためタービン自体が赤く発光するほどで、冷却しないとすぐ焼き付きを起こしてしまう。そのタービンを冷却するのは主にエンジンオイルの役目だが、エンジンオイル自体も高温にさらされるため、自然吸気エンジンやスーパーチャージャー付きエンジンに比べて、オイル交換のサイクルを短くする必要がある。また、駐車する際も、車をとめてからすぐにエンジンを切ってしまうと、タービンが急冷され、壊れてしまうこともあるため、アイドリングしてからエンジンを切る必要がある。(最近ではタービンを水冷化し、アフターアイドルをしなくても良いとかかれている場合もあるが、高速走行後などは、アフターアイドルを行ったほうが良い。) →詳しくはエンジンオイルの項を参照

目次

[編集] 種類

[編集] メリット

  1. ターボチャージャーは高温高圧の排気ガスの、つまり本来なら排出されるはずの排ガスの運動エネルギーをタービンを介して利用しているため効率がよく、特に高回転域で効果が高くなる。このため小排気量エンジンでも大排気量エンジンと同等の出力を確保しやすくなり、「小型軽量のエンジンで大出力を得る」という相反する条件を満たし得る。
  2. 同じ過給器でも、エンジンの出力を直接に使うスーパーチャージャーと比較した場合でも、先述したように排出されるエネルギーを使用するため効率が良い。例えば自然吸気状態の出力を100%、過給器による追加出力を30%とした場合、スーパーチャージャーではコンプレッサーを稼動させるためにクランクからエネルギーが取り分けられるため、最終的な出力は130%を下回るが、ターボチャージャーにはそのエネルギーロスがない。(厳密に言うと、ターボチャージャー内の機械的な摩擦や排気抵抗の増大などのために少しだけ低くなる)
  3. 航空機の場合は、エンジン出力のロスが少なく過給が可能なため、気圧の低い相当な高々度に至っても性能を維持することが可能となる。
  4. 排気脈動の小さいロータリーエンジンとターボチャージャーの相性はよく、また回転運動の点でロータリーエンジンとオートマチックトランスミッションとの相性もよいので、ロータリー+ターボ+ATの組み合わせは最も理想的な組み合わせとなる。
  5. 排気ガスが一度ターボチャージャーのタービンに当たり、それから(マフラー等の)出口へ排気されるため自然吸気エンジンに比べると排気音が小さい。 ただし現在の自然吸気エンジンでも消音器等で十分消音されている事、ターボチャージャー搭載のエンジン自動車はマフラー交換によりそのメリットが生かされていない傾向がある。

[編集] デメリット

  1. 大量の混合気を送り込む結果エンジン温度が高くなりがちで、十分な冷却対策が必要である。エンジン温度の高温化はエンジン内部での異常燃焼(ノッキング)を誘発しやすくなるため、圧縮比や点火時期の設定を厳密に行う必要がある。
  2. 構造上スロットル(アクセル)操作に対するエンジン反応に遅れが生じる(「ターボラグ」という)。ターボラグは、エンジンの回転と、その排気によりタービンが回転するまでの時間差により発生するもので、スロットルの開度に若干遅れてエンジン出力が上昇するという形で現われる。このレスポンスを向上させる努力が各メーカで続けられている。
  3. 一般的なターボチャージャーエンジンの場合、圧縮比が低いため過給効果が出ない低回転域は馬力・トルクともにやや低い。これを嫌い、敢えてクランクシャフト動力のスーパーチャージャーを用いる自動車メーカーもある。
  4. ターボチャージャーにより排気ガスが抜けにくくなり、排気抵抗による出力低下が生じる。
  5. 自然吸気エンジンをベースにすることが多いが、その場合、高過給に耐えられるようにシリンダーブロック剛性を充分に保つことが必要となる。多くの場合はボアを縮小したり、アルミブロックではなくあえて鋳鉄ブロックを用いる。大型車のディーゼルエンジンではCVダクタイル鋳鉄も用いられる。

圧縮過程で吸気温度が高くなるという問題に対応するため、インタークーラーを併用して圧縮後の吸気を冷却し、効率向上を図っている例も多い。

[編集] 用途

自動車では、大出力を得やすいため、モータースポーツ用エンジンや、スポーツカー向けの高出力エンジンなどでよく用いられる。かつてF1でターボエンジンが全盛だった頃は、BMWが排気量1500ccの直列4気筒エンジンにターボチャージャーを組み合わせることによって、1,500ps以上の出力を発生したといわれている。はっきりとしないのは当時これだけの大馬力を正確に測れる測定機器がなかった為である。

またディーゼルエンジンは、過給を行ってもガソリンエンジンのような異常燃焼問題を伴わないことから、ターボチャージャーによる高効率な過給に適しており、自動車鉄道車両気動車ディーゼル機関車)・船舶等の高速ディーゼル機関はもとより、大型船舶用の超大型低速ディーゼル機関にまでターボチャージャーが広範に用いられている。

[編集] 歴史

発想自体は古くから存在したが、アメリカボーイング社が開発したB-17爆撃機1938年に搭載された、カーチス・ライト社製の星形空冷式1000ps級エンジン「ライト・サイクロンR-1820系」が史上初の実用例である。第二次世界大戦中には、アメリカの他にソ連ドイツ等でも軍用機エンジンに採用された。戦時中の日本でも開発は進められていたが、技術力と資材不足ゆえに実用化できなかった。しかしそれでも、三菱 局地戦闘機雷電を改造して僅かに製造された。

ディーゼルエンジンには、1950年代に導入され、従来のスーパーチャージャーに代わって効率向上に著しく寄与した。

市販のガソリン自動車用としては1962年にアメリカのゼネラルモーターズ(GM)が「オールズモビルF85」と「シボレー・コルベア」にオプションで搭載したのが最初である。ただし、耐久性・信頼性に難があったため、短期間で市場から消え、一般化するまでに至っていない。

ヨーロッパ車では1973年BMW2002Turboが市販車として初めて搭載されたものである。

[編集] 日本車のターボチャージャー

ディーゼルエンジンのターボチャージャーについては、当初、出力向上・燃費改善の手段として認可された。これは、加速中はターボによって大排気量車並みの出力が得られるが、巡航中は自然吸気車とかわらない、とする理論であった。

当初の1960年代には、大型のバス・トラックに採用された。特に1980年代以降、直噴式ディーゼルエンジンが普及してくるとターボとの組み合わせでより効率向上を指向するようになった。インタークーラーも普及し、現在、ディーゼルターボの使用はほとんど常識化している。

更に、最近は自動車排出ガス規制の強化もあり、従来自然吸気式ディーゼルエンジンが多く採用されていたバスや最大積載量4トン以下のトラックにおいても、ターボチャージャー付(殆どの場合インタークーラー付)ディーゼルエンジンが採用されている。

ガソリンエンジン乗用車へのターボチャージャー搭載は、この時期排気ガス対策に追われ出力向上手段に安直な排気量増大で対応したこともあり、1970年代の日本では採用されなかった。

1980年代初めに日産自動車が、「燃費改善の手段」と称して「燃費でもターボ」のコピーでセドリックを始めとする乗用車に搭載して発売した。しかし、以降は乗用車では主にスポーツカーセダンのスポーツモデルの出力向上策としての面が前面に出された。設計が古くなり出力に劣る自然吸気エンジンにターボチャージャーを付加することにより、エンジンの市場価値を延命させたのである。これにより、新エンジン開発費用の削減とエンジンの量産数アップの結果、エンジンのコストダウンに寄与した。しかしながら、設計が古い=重く大きく燃費が悪いエンジンをベースとしたので、「ターボ=燃費が悪い」というイメージが一般に定着した。

後にターボチャージャーを2基使用した「ツインターボ」も登場し、1985年トヨタ自動車マークIIクレスタチェイサーも含む)が初採用となった。

日本におけるガソリンターボ車の性格として、2000cc以下の「5ナンバー枠」内で2800~3000cc級並の、また550~660ccの軽自動車枠で1000cc並の性能を得る、「節税手段の一種」として用いられる面があった。軽自動車では現在でもその傾向が強い。

ターボが認可された本来の意味でのターボ車としては、ワンボックスカーや、ミニバンでワンボックスカーの変遷に位置する車両に伝統的に採用されている。しかし、これらはディーゼルエンジンを採用しており、ガソリンエンジンの採用例はバネット ラルゴ コーチ CG22型の後期で1800ccのエンジンが採用された。売りは走行性能であったが、燃費でも2000ccの自然吸気ガソリンエンジンより優秀であった。

現在、世界的にガソリンエンジンへのターボの採用は取りやめられていく傾向にある。さまざまな事情はあるが、一番の原因は年々厳しくなる排ガス規制への対応が難しくなっているためである。エンジンからの排出ガスの持つ熱エネルギーがターボチャージャーの駆動に当てられるため、タービンを通過した排気ガスは温度が低下し、排気ガス浄化装置である三元触媒の浄化作用が得にくくなる。また、高い過給圧をかけ、高い出力を引き出すため、エンジン強度が求められるほか、 ノッキングの抑制のためにエンジン本体の圧縮比を落としたり同目的で理論空燃比を大幅に超えるガソリンを吸入させるガソリン冷却が行なわれるため、過給がかからない領域では出力に見合う燃費を得にくい。ターボでは補機類が増えることでコストが増すため、大排気量の自然吸気エンジンを搭載したほうが車両コストの削減になるというのも理由であろう。

しかし、日本ではこれらの技術的問題を比較的簡単に解決できてしまう為、ラリー用自動車のベースや、コンパクトカーのスポーツ・モデルを中心に、未だに設定率が高い。税制の改定でターボはかえって重量面で不利になったことなどから、かつてのブームの時のように猫も杓子もターボターボという状況はなくなったものの(本来、排気量が確保できる高級車で使用するべきものではない)全体の比率からすると日本は今でも「ターボ車王国」であると言われる。特に、軽自動車では出力確保の為に多用されている。 また、マツダ・アテンザアクセラMPVCX-7に搭載されているガソリン直噴ターボエンジンは、低燃費化や平成22年規制に適合し次世代のターボエンジンとして期待されている。これは、ガソリン直噴エンジンとターボチャージャーの相性の良さに由来するものである。

[編集] 主要メーカー

[編集] 関連項目

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