スーパーロボット大戦MX
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スーパーロボット大戦MX | |
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ジャンル | シミュレーションRPG |
対応機種 | プレイステーション2 プレイステーション・ポータブル |
開発元 | トーセ |
発売元 | バンプレスト |
人数 | 1人 |
メディア | DVD-ROM(PS2) UMD(PSP) |
発売日 | 2004年5月27日(PS2) 2005年12月29日(PSP) |
価格 | 7,980円(PS2) 5,040円(PSP) |
対象年齢 | CERO:全年齢 |
売上本数 | 約52万本(PS2版) |
『スーパーロボット大戦MX』(すーぱーろぼっとたいせんえむえっくす)は、バンプレストのシミュレーションRPG。スーパーロボット大戦シリーズの一つ。2004年5月27日、プレイステーション2向けに発売。2005年12月29日に、『スーパーロボット大戦MX ポータブル』として、プレイステーション・ポータブル向けに移植された。全55話。
目次 |
[編集] 概要
本作は先行する『第2次スーパーロボット大戦α』とは異なり、『スーパーロボット大戦IMPACT』の流れをくんだ作品となっている。難易度もαシリーズに比べ抑えられており、どちらかというと中級者~初心者向けの作品に仕上がっている。
PSP向けに移植された際は、若干のシナリオ変更が行われたが、基本的には同じである。携帯機史上最高のクオリティと謳われたが、元々PS2向け作品でありPSPもスペックを売りにしたハードであったため、ある意味当然と言える。
当初は『IMPACT』の続編になる企画もあったらしく、システム面では『IMPACT』に非常によく似ている。音楽も『IMPACT』と同じ曲が多く使用されている。
主人公は固定されており、メインパイロットのヒューゴ・メディオ(男性)と、サブパイロットのアクア・ケントルム(女性)の2名が主人公となる。主人公機も2体限定で、リアル系のサーベラスとスーパー系のガルムレイドから選ぶことになる。
余談だが、1年前に発売された『第2次α』ではネオ・ジオンとの戦いがあったためか(もしくは『D』でネオ・ジオンが自軍だったためか)、本作では発売前に雑誌で「時々裏切るサングラスの人は裏切りません」という断りがあった。
ユニットのグラフィックは殆ど流用が無い(グラフィックのポーズ自体は『IMPACT』とよく似ているが)のだが、ブルーガーと恐竜戦艦グダは既存のものを使いまわしている。
余談だが本作では通常、遠距離攻撃が得意とされる事が多い宇宙世紀ガンダムシリーズの機体が「格闘で敵を殴るνガンダム」「炸裂ボルトで敵を蹴り飛ばすフルアーマー百式改」「序盤の最強武器がロング・ビームサーベルで、中盤ウェイブライダー突撃が使えるようになるΖガンダム」「最強武器がビームサーベルである隠しユニットのディジェSE-R」など、妙に格闘に力を入れられている節がある。
[編集] PSP版の追加要素・変更点
PSP版では、基本システムに変更は無い物の、中盤の主人公機乗り換えエピソードを中心に、シナリオの変更が行われ、アクアがドラグーンに乗って単独出撃するというエピソードが追加されている。
さらに、お気に入り作品選択可能上限の拡大やシステム面のブラッシュアップも為された。
因みに、PSP版ではUMDの容量の制約上の為か、マップ上に表示されるユニットは、PS2版ではPS2実機の機能を使った3DCGで在ったのに対し、PSP版では画像(2.5D)で在り、マップ上のユニットの演出もPS2版ではPS2実機の機能を使ったCGアニメで在ったのに対し、PSP版ではムービーに置き換わっている。
[編集] 参戦作品
- 機動戦士Ζガンダム
- 機動戦士ガンダムΖΖ
- 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
- 機動武闘伝Gガンダム
- 機甲戦記ドラグナー
- 機動戦艦ナデシコ
- 機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-
- ゲッターロボ
- ゲッターロボG
- マジンガーZ
- グレートマジンガー
- UFOロボ グレンダイザー
- グレートマジンガー対ゲッターロボ
- グレートマジンガー対ゲッターロボG 空中大激突
- グレンダイザー・ゲッターロボG・グレートマジンガー決戦!大海獣
- 闘将ダイモス
- GEAR戦士電童
- マシンロボ クロノスの大逆襲
- 勇者ライディーン
- ラーゼフォン
- 冥王計画ゼオライマー
- 新世紀エヴァンゲリオン
- バンプレストオリジナル
初登場作品は『ラーゼフォン』『冥王計画ゼオライマー』の2作品。『GEAR戦士電童』『機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-』『機甲戦記ドラグナー』は、据え置き型ゲーム機初登場となった。また、『新世紀エヴァンゲリオン』『ラーゼフォン』は、PSP版移植時に同時に携帯ゲーム機への初登場をも果たすこととなる。
スパロボではガンダムシリーズのストーリーがストーリーに大きく関与するのが通例であるが、本作では『逆襲のシャア』を除いて登場するガンダムシリーズのキャラクターは全て原作終了後の設定となっており(フォウ、エマ、東方不敗などは命を落としているが、クワトロ、プル、プルツーが生きているというif要素がある)、『逆襲のシャア』はキャラと機体のみの参戦なので(Gガンダム以外は)ストーリーには直接関わらない「いるだけ参戦」という異例の事態になっている(この事で一部ガンダムファンの怒りを買ってはいるが、一概に失敗だったとは言えない。詳しくは後述)。また、『機動戦艦ナデシコ』は劇場版がメインなので、テレビ版からは敵ユニットのみの参戦である。さらに『ゲッターロボ』はミチルの機体としてゲッターQのみの参戦となっている。
[編集] システム
本作のシステムは、前述の通りほぼ『IMPACT』を引き継ぐが、それ以降に出た作品の要素(パイロット養成・援護の詳細設定)も取り入れられた。
それまで原則変化しなかったメッセージウィンドゥが一部の戦闘において半透明化するようになり、画面をフルに使った演出が可能になったことでアニメーションの迫力が強化された。
- お気に入り
- ゲーム開始時にお気に入り作品を1作品(PSP版では3作品)選び、その作品は経験値や獲得資金、改造段階などが優遇される。経験値や獲得資金の補正率は一律のためユニット数の多い作品を選んだほうが有利となる。このため『J』ではユニット数に応じて補正率が変わるように改善されている。
- 支援攻撃
- 支援攻撃は、周囲のユニットに支援を行わせ、さらに自機の攻撃力を上げる。『第2次α』の小隊攻撃によく似たシステムだが、小隊攻撃同様戦闘が長くなる割には攻撃力が低く、敵の気力を悪戯に上げてしまうため終盤はあまり役に立たない。どちらかというと演出を楽しむシステムである。
- ダブルアタック
- 特定の射撃武器で隣接した敵を攻撃する際、2体まとめて攻撃できる。戦闘時には画面が上下2分割され同時に攻撃が命中するアニメーションとなる。『D』のコンボの射撃版といったシステムで、このシステムのために射撃系ユニットが若干有利となっている。
- PSP版の変更点
- PSP版では新しく「お気に入り」作品が先行して発売された『J』と同じ3作品まで設定でき、指定されている作品が一目でわかるようになったほか、PSPの解像度に合わせた画面サイズの変更、BGMの自由な選択が可能になっている。
[編集] スタッフ
- プロデューサー
- 寺田貴信
- じっぱひとからげ
- 菊池博
- ディレクター
- 早浚真澄
- オリジナルメカニカルデザイン
- 青木健太
- 斎藤和衛
- オリジナルキャラクターデザイン
- 河野さち子
- シリーズ構成・脚本
- 千住京太郎
[編集] 音楽
本作のBGMはIMPACTでの不評を踏まえてか非常に作りこまれており、特に原作もののBGMの再現度に優れ、その評価は高い。ステージマップやシナリオパートのBGMはIMPACTと同じ曲が多いが、これらも発音タイミングや音の長さ、残響具合と言った細かい点に手が加えられクオリティが向上している。但し原作作品のBGM選曲にオープニングテーマが選曲されている作品が少なく、逆に今まであまり馴染みのなかったエンディングテーマや劇中曲が選曲されている作品が多い(特に70年代の作品に多い)せいか、不満の声も少なくない。
[編集] 問題点
主に挙げられる本作の問題は
- お気に入りに指定した作品が分からなくなる(PSP版で改善)。また、ネェル・アーガマはパイロットのブライトが『逆襲のシャア』からの参戦、サブパイロットのトーレスとサエグサは『Ζガンダム』からの参戦となっている(ちなみにネェル・アーガマ自体は『ΖΖガンダム』からの参戦)のでお気に入りにした場合パイロットの成長が噛み合わなくなる(PSP版では『逆襲のシャア』『Ζガンダム』の両方をお気に入りにする事で解決)。本作は珍しくラー・カイラムが登場しないが、これもお気に入りシステムのためとも考えられる。
- 『冥王計画ゼオライマー』の八卦ロボを初めとした主要な敵が大半イベント戦闘で倒されてしまうこと。
- ゼオライマーやドラグナーなどの一部ユニットがバランスを欠いた常識外れの性能であること。
- シナリオ分岐が少ない上に隠しユニットの数が圧倒的に少なく僅か4体しかない(そのうち2体は限定イベントでも使用可能のため実質は2体)ため隠しユニットを集める楽しみも少なく、やりこみ要素が非常に薄い(PSP版においても新規ユニットの追加は無し)。
- 参戦作品が多岐にわたっているにもかかわらず本作では『第2次α』での小隊システムを継承していないため、出撃ユニットが枠数の関係上ほぼ主力レギュラーに絞られてしまい、大量の「2軍落ち」が発生すること。特にサポート系パイロット及びユニットにとっては小隊システムのメリットを再認識する一つのきっかけともなった。
- クリア後に引き継がれるPP(パイロットポイント)が「全参戦パイロットに分配される」仕様へと変更されている点。平等な措置のようにも思えるが、1~2周クリアした程度では分配されたPPが少な過ぎてパイロット能力強化も満足に出来ないため、『第2次α』での引き継ぎシステムに馴れていたプレイヤーには甚だしく不評だった。
- PS2版ではシリーズでも群を抜く難易度の低さが挙げられるが、難易度が低いことはあらかじめ開発者インタビュー等で示唆(クリアを前提に作られている、初心者でもエンディングまでいける様になど)されており、本作は攻略することよりも、見て楽しむスパロボであるという意見もある。
- (例:全体的に敵の耐久力が低い、ダブルアタック・支援攻撃といった新システムを敵が使ってこない、運動性の高いユニットに回避能力を育てたパイロットを乗せると殆どの敵の攻撃を避けてしまう等)
- 一部登場作品が「いるだけ参戦」であること(これに関しては以前の作品でも一部の参戦作品はそうであるため、一概に非難はできない。恐らく今回該当してしまったのが主にファンの多いガンダムシリーズの作品なのでそういう声が一層強いと思われる)。
というものである。
難易度についてはプレイヤーの技量に依存するが、特定の敵が常にイベント戦闘で倒されるというのはコアなファンにとってはゲームのおもしろさを損なう問題であった。イベント戦闘でも経験値と資金が入手できるのも低難易度化につながっている。
問題点とは異なるが、『第3次α』にてMXの世界はED後結局アポカリュプシスによって崩壊した事が示唆されている(しかし、MXの世界では調律はライディーンによって阻止されているので、滅びたのはMXの並行世界であると言う説もある)。
[編集] PSP版特有の問題点
PSP版特有にして最大の問題点は、ロード時間の長さである。PSPのゲーム特有の問題であると言えるが、このゲームではそれが顕著に表れている。読み込み中はフリーズしたかと誤解したプレイヤーも多い。
また、家庭用機からの移植作品であるため、システムは携帯機向けに最適化されておらず、どこでもセーブやボタンの左側集中操作といった機能は未実装である。キーレスポンスも非常に悪く、批判の対象となった。
全体的に敵の耐久力がPS2版の1.5倍に上がっており、ゼオライマー参戦などによる低難易度化に歯止めをかけたものの、最終ボスであるAI1のHPは40万から60万と大幅に増えた他、それらとは対照的に味方ユニットに対する救済措置が殆どとられなかったため、PS2版なら一撃で倒せる雑魚敵がもう一撃当てないと倒せない、ナデシコやエヴァンゲリオンの一部の敵などバリア系の特殊能力を持つ敵が倒しづらくなる、運動性に命中率が影響しているため近年の作品に比べて敵の攻撃を避けにくいなど爽快さを欠くゲームバランスになってしまっているために、かえって賛否両論となっている。なお、60万というHPは、『第3次α』のケイサル・エフェスと並ぶ歴代最高のHPである。
[編集] 主題歌
オープニングテーマ『VICTORY』
- 作詞:影山ヒロノブ
- 作・編曲:河野陽吾
- 歌:JAM Project
エンディングテーマ『約束の地』
- 作詞:奥井雅美
- 作・編曲:河野陽吾
- 歌:JAM Project
[編集] CM
架空のロシア人体操選手「スヴァロボ・ドヴァイスキー」(「スパロボ大好き」のもじり)が、鞍馬でMXの字を象った技を披露する。解説に寺田貴信プロデューサー、観客に一般公募で集められたスパロボユーザーが出演した。また、『MXP』のCMではドヴァイスキーが演技中にPSPを持ちながらゲームをプレイする。