機動戦艦ナデシコ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『機動戦艦ナデシコ』(きどうせんかん-)はSF・ラブコメアニメ。
目次 |
[編集] 概要
1996年10月1日から1997年3月25日までテレビ東京系で放送された。
1998年8月1日には続編にあたる劇場用アニメ『機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-』が公開された。また、劇場版に合わせて1998年8月にはテレビ東京系深夜枠で内容を何話か飛ばした『夏休み特別企画 機動戦艦ナデシコ傑作選』が3夜に亘って放送された。
作品名の由来は『機動戦士ガンダム』と『宇宙戦艦ヤマト』の合成と言われており、また、主役艦であるナデシコのブリッジ乗組員殆どが女性である事や、『恋愛』や『和平』、『古代文明の遺産を巡る戦い』を題材にした物語から、内容的には名作SFアニメ『超時空要塞マクロス』のオマージュ的作品なのではないかとも言われている。漫画版では『遊撃宇宙戦艦ナデシコ』という作品名になっている。
本作は宇宙及び宇宙戦艦を主要な舞台としてリアルロボットが活躍するSFアニメでありながら、ラブコメディー要素も取り入れている非常に欲張った作品である。一見するとラブコメディー要素が強く取っ付き易い作品なのだが、実は骨太なSF要素が強く、伏線も何重にも張り巡らされているため読み解くのは意外に難解である。
また、この作品は細部への偏執的とも言える拘りが特徴で、その最たるものは、劇中劇として度々登場する熱血巨大ロボットアニメ『ゲキ・ガンガー3』である。専門のチームまで用意して1970年代の巨大ロボットアニメの味を忠実に再現した事で話題になった。
『新世紀エヴァンゲリオン』の翌年に放送されたこと、『エヴァンゲリオン』の製作に関わったキングレコード(スターチャイルド)の大月俊倫が関わっていたこともあってかナデシコ内での登場人物の位置付けが非常に『エヴァンゲリオン』と似通っており、名作となった『超時空要塞マクロス』にも物語や題材が非常に似ている部分を感じさせている。製作者が『エヴァンゲリオン』や『マクロス』からかなりの影響を受けていたとされる(主な例として綾波レイと星野ルリ)。またコンピュータ関連の描写もかなりのレベルで影響を受けているが、大きな相違点としてナデシコのモニタ内のほぼ全ての文が日本語で書かれており、これは『トップをねらえ!』の影響を受けているとされる。
物語自体は、激化する戦争の結末や古代火星文明の謎等、結局描かないまま終了。戦争の結末は、その後に公開された劇場版やゲームで補完されてゆく事になるが、謎は謎のままで残った部分も多い。その謎の部分を解明するための続編を望む声も多かったが、結局『宇宙のステルヴィア』の続編共々制作不可能という事態に追い込まれてしまい、結果的に背景のうやむやさが固定化されてしまった。
固有名称に古事記や日本書紀などの古典のあまり有名ではない名称から引用されている例が数多くある。アニメやSFに珍しく日本語を強く意識した作品。
文化庁メディア芸術祭10周年を記念して行われた「日本のメディア芸術100選」のアニメ部門で47位にノミネートされた。
[編集] スタッフ
- 企画:朝賀定夫(TV TOKYO)・大野実(読売広告社)・下地志直(XEBEC)
- 監督:佐藤竜雄
- 助監督:桜井弘明(途中から参加)
- ストーリーエディター:會川昇
- キャラクター原案:麻宮騎亜 STUDIO TRON(角川書店『月刊少年エース』連載)
- キャラクターデザイン:後藤圭二
- メインメカニックデザイン:明貴美加
- メカニックデザイン:企画デザイン工房 戦船 高倉武士、沙倉拓実、中原れい、森本靖泰
- SF設定 :堺三保
- 制作担当:千野孝敏
- 文芸担当:丸川直子
- ベースプランニング:山口宏、會川昇、佐藤竜雄、大月俊倫
- 美術監督:小山俊久
- 色彩設定:上谷秀夫
- 撮影監督:杉山幸男、松沢宏明
- 編集:正木直幸
- 音楽:服部隆之
- 音響監督:田中英行(音響制作:オーディオタナカ)
- 番組宣伝:神宮綾⇒岡仁(テレビ東京)
- プロデューサー:小林教子⇒中澤直也(テレビ東京)、池田慎一(広告読売社)、佐藤徹(XEBEC)
- 製作:テレビ東京、読売広告社、XEBEC
[編集] 主題歌
テレビ版オープニング・劇場版主題歌は2005年にangelaがカバーしている。
[編集] あらすじ
木星蜥蜴(もくせいとかげ)と呼ばれる謎の兵器群は、圧倒的な戦闘力で火星、月の裏側を次々に制圧。今や、地球各地にもチューリップと呼ばれる母艦を多数降下させるに至っていた。そんな時、民間企業ネルガル重工は実験戦艦 ND-001 ナデシコの艤装を終了していた。
ナデシコは技術的優位に立つ木星蜥蜴に唯一対抗出来る兵器、ディストーションフィールドとグラビティブラストを装備していた。そして、各地から任命された乗組員達は「能力が一流なら性格は問わない」ということで一癖も二癖もある人物ばかりが揃えられた。
火星生まれの青年テンカワ・アキトは、偶然再会した幼なじみミスマル・ユリカを追って出港直前のナデシコに乗り込む。 コックとしてナデシコのクルーに採用されるが、偶然が重なり艦載の機動兵器「エステバリス」のパイロットとして戦うことになっていく。
[編集] 登場人物
- 機動戦艦ナデシコ登場人物一覧を参照。
[編集] ナデシコ及びナデシコ級戦艦
- ナデシコ級一番艦「ナデシコ」 NERGAL ND-001 NADESICO
- 民間企業であるネルガル重工が計画した、火星奪還作戦「スキャパレリプロジェクト」のために建造した戦艦の一番艦。ネルガル重工が火星で発見した相転移エンジンを搭載している。相転移エンジンはインフレーション理論で説明される真空の相転移を利用し、真空の空間をエネルギー準位の高い状態から低い状態へ相転移させる事でエネルギーを取り出す。シリーズ後半で装備されたYユニットには、この理論を応用した相転移砲が搭載されている。この兵器は目標空間を強制的に相転移させることで内包する物質を消滅させるものである。月周辺に集結した木連艦隊は相転移砲の一撃で大損害を受けている。また同艦はAIである「オモイカネ (思兼)」によって管理が自動化されていて、通常の航行は艦橋の数人で対応できる。武装は、重力波を敵に叩きつけるグラビティブラスト(主砲)とミサイル多数、レーザー砲が2門、艦載機のエステバリス。艦底部には強襲揚陸艦「ひなぎく」を搭載
- 全長298m、全高106.8m、全幅148m、収容人員214名
- 相転移エンジン2基、核パルスエンジン4基搭載(Yユニット装備前)。
- 同二番艦「コスモス」 NERGAL ND-002 COSMOS
- 強大な火力と、補給と補修機能を持つドックを備えた大型艦。艦首に、多連装のグラビティブラストを装備している。
- 同三番艦「カキツバタ」 NERGAL ND-003 KAKITSUBATA
- ナデシコのフィールドブレードを単胴(むしろ縦型)にしたような艦形を持つ。グラビティブラストの他にフィールドブレードとほぼ一体化した大型のレールカノンを持ち、火力、機動性共に優秀。しかし、物量に押されてしまい古代火星文明の極冠遺跡上の会戦にて撃破される。
- 同四番艦「シャクヤク」
- ネルガル重工月工場で建造中だったが、木連の攻撃によって大破。装備予定だったYユニットは、ユリカの強引な決定でそのままナデシコに移設され「Yナデシコ」となったが、武器管理コンピューター「サルタヒコ」の調整(というか掌握)に手間取り、実戦に投入されるのは遅れた。
[編集] エステバリス
エステバリスを参照。
[編集] その他の戦艦・及びメカニック
連合
- 駆逐艦
- クロッカス
- カラーは紺と濃い赤。装備は中型グラビティブラスト、船体側面の三連装対空砲2個、ミサイルランチャー6個。トビウメを護衛していたが、チューリップに吸い込まれ、火星に出現。乗組員はボソンジャンプに耐えられず全員死亡していた。フクベ提督が搭乗、囮となって爆沈。
-
- パンジー
- トビウメを護衛していたが、チューリップに吸い込まれ行方不明、監督者不明。
- 巡洋艦
- ゆうがお級戦艦
- ゆうがお
- リアトリス級にかわる新造艦。カラーは青とオレンジに近い赤。装備は大型ミサイルランチャー、三連大型バリアユニット、三連装砲塔2門ジェネレーター。地球連合軍がネルガル重工からの技術協力を得て新造した大型戦艦。この戦艦以前はリアトリス級がメイン
-
- ひめじょおん(ヒメジョオン)
- ナデシコを包囲するために使われた。
-
- はるじょおん(ハルジョオン)
- ナデシコを包囲するために使われた。
- ガイオウ級戦艦
- トビウメ
- 連合宇宙軍第3艦隊旗艦。クロッカス、パンジーが護衛していた。ミスマル・コウイチロウ提督が搭乗
-
- リアトリス
- 連合宇宙軍の主力戦艦。三連装主砲4門を装備。第一次火星会戦の旗艦で、フクベ提督が指揮を執っていた。チューリップに体当たりして爆散。
-
- グラジオラス
- 機動兵器
- デルフィニウム
- 連合宇宙軍の有人機動兵器。ロケットブースターが装備されて宇宙ステーションさくらより発進し敵と戦う。IFS採用のためナノマシン処理が必要。
- 地球の第3防衛ラインの守備をする。エステバリス以前のロボット兵器で運動性に劣るがミサイルを数多く装備しているため攻撃力は高い。
- エステバリスが無人兵器(バッタ、ジョロ等)を主な敵とする戦闘機型だとすれば、爆撃機に近いものだと思われる。
木連
-
- チューリップ
- 小型チューリップ
- 無人兵器
- バッタ
- 木連無人兵器。小型ミサイル、大型ミサイルを装備。空中戦、地上戦可能。一番ポピュラーな木星兵器。
-
- 新型バッタ
- 木連無人兵器。小型ミサイル、大型ミサイルを装備。バッタにディストーションフィールド発生器を装備した改良型。
-
- コバッタ
- 小型のバッタ。作業用。
-
- ジョロ
- 木蓮無人機動兵器。地上戦担当の機体。バッタに吊り下げられることによって飛行可能になる。
-
- ハンショウ
- 木連無人機動兵器。バッタを運搬できる空戦用の機体。バッタと同様な木星兵器。
-
- オケラ
- ゲンゴロウ
- 木連無人機動兵器。北極海周辺に配置された。ばら撒きミサイルを装備。
-
- カナブン
- ヤドカリ
- 木連無人特殊兵器。ハッキングを行う。
-
- ナナフシ
- 木連無人巨大レールガン。マイクロブラックホールで砲撃を行う。空中戦、地上戦可能。
-
- 多砲塔戦車
- 無人艦
- カトンボ(駆逐艦)
- ヤンマ (戦艦)
- 木連の戦艦のクラスを指す言葉。
- 有人艦
- ゆめみづき
- 木連優人部隊戦艦。白鳥九十九が艦長をしている。優人とは有人ボソンジャンプに耐えられる優れた素質を持つ者という意味。
-
- かんなづき
- 木連優人部隊戦艦。秋山源八郎の指揮するであり、ボゾン砲の実験艦。爆弾をボソンジャンプさせ直接送り込む装置。ナデシコは四苦八苦した。
-
- かぐらづき
- 木連艦隊旗艦。草壁中将搭乗、縦長の柱状で、突起が4つ斜め横に出たような形。大きさはナデシコの10倍はある。
- 市民艦れいげつ
- 木連の市民が居住する都市艦。ナデシコの1000倍では済まされないほどの巨大さ
- ジンシリーズ
- テツジン
- 木連の有人人型兵器。ゲキガンガーを模して作られている。ゲキガンパンチを模してロケットパンチを装備。主なパイロットは白鳥九十九
- ジンシリーズ共通の特徴として「短距離ボソンジャンプが可能」「相転移エンジンを搭載していることによる大型化」「機動力が低いためディストーションフィールドを破られると無防備」等が上げられる。
-
- マジン
- 木連の有人人型兵器。ウミガンガーを模して作られている。主なパイロットは月臣元一朗
-
- デンジン
- 木連の有人人型兵器。リクガンガーを模して作られている。所有は秋山源八郎だが、副官高杉三郎太が主に使用している。上位機種としてダイデンジンも計画されたが、建造前に終戦を迎えたため計画倒れに終わっている。
-
- ダイテツジン
- テツジンの上位機種
-
- ダイマジン
- マジンの上位機種
[編集] 放送リスト
- 『男らしく』でいこう!
- 『緑の地球』は任せとけ
- 早すぎる『さよなら』!
- 水色宇宙に『ときめき』
- ルリちゃん『航海日誌』
- 『運命の選択』みたいな
- いつかお前が『歌う詩』
- 温めの『冷たい方程式』
- 奇跡の作戦『キスか?』
- 『女らしく』がアブナイ
- 気がつけば『お約束』?
- あの『忘れえぬ日々』
- 『真実』は一つじゃない
- 『熱血アニメ』でいこう
- 遠い星からきた『彼氏』
- 『僕達の戦争』が始まる
- それは『遅すぎた再会』
- 水の音は『私』の音
- 明日の『艦長』は君だ!
- 深く静かに『戦闘』せよ
- いつか走った『草原』
- 『来訪者』を守り抜け?
- 『故郷』と呼べる場所
- どこにでもある『正義』
- 『私らしく』自分らしく
- 『いつか逢う貴女のために』
[編集] 外部リンク
テレビ東京系 火曜18:30枠 | ||
---|---|---|
前番組 | 機動戦艦ナデシコ | 次番組 |
モジャ公 (月曜19:00枠へ移動) |
ポケットモンスター | |
キッズステーション 水曜24:00 すたちゃまにあ前半枠 |
||
ぺとぺとさん | 機動戦艦ナデシコ (本作よりすたちゃまにあ枠) |
宇宙のステルヴィア |