ビームサーベル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ビームサーベル (Beam Saber) は、アニメ「ガンダムシリーズ」に登場する、架空の兵器。モビルスーツの武装の一つで、いわゆる光の剣である。
目次 |
[編集] 概要
ガンダムシリーズに登場するビームサーベルは、一般に形状は円筒形で、モビルスーツが片手に持てる程度のサイズである。使用する際には、一方の端より10数mほどの円錐状フィールドを発振し刀身を形成することで、大きな破壊力を持つ接近戦用兵器になる。簡単に言えば、『スター・ウォーズ』のライトセーバーをモビルスーツのスケールにまで拡大したようなものである。
実のところ『機動戦士ガンダム』の放映当時は、日本では『スター・ウォーズ』第1作(エピソード4)公開後の「スター・ウォーズ」ブームがまだ続いていた。前年に放映された『無敵鋼人ダイターン3』でもライトセイバーを真似たと思われる小道具がいくつか登場しており、ビームサーベルがライトセイバーの外見を真似たものであることは事実である。(後年、「スターウォーズ」エピソード1で登場した、ダースモールが使う「ダブルライトセーバー」は逆に「ガンダム」のゲルググが使うビームナギナタを真似たのではないかと思われる)実際に、ガンダムの企画段階では後にガンダムと名が付くモビルスーツは銃で決着をつける設定となっており、企画段階の名ではそのものズバリ「ガンボーイ」というのもあった位である。但しこれはガンダムに限ったことではなく、当時のマンガや、後年の東映「宇宙刑事」三部作をはじめとする「メタルヒーローシリーズ」にも「レーザーブレード」などが登場した。その中で、「ビームサーベル」という呼称は、ガンダムシリーズの人気と共に定着・一般化したといえるだろう。
[編集] 各世界観におけるビームサーベル
[編集] 宇宙世紀におけるビームサーベル
『機動戦士ガンダム』をはじめとする宇宙世紀を世界観とする作品に登場するビームサーベルは、エネルギーCAPによって縮退寸前の高エネルギー状態で保持されたミノフスキー粒子(一説にはメガ粒子)をIフィールドによって収束し、ビーム状の刀身を形成させるものである。
ビームサーベルは一年戦争時、ガンダムに初めて白兵戦用の武器として装備され、その後地球連邦軍側ではガンダムの他にもジムが、ジオン公国軍側ではギャンやゲルググが装備してからはモビルスーツの標準武装となり、以降のほとんどの機体にはビームサーベルが装備されている。
また早くから兼用兵器としても発達、ガンダム試作1号機 "ゼフィランサス"のビームライフルは近接防御用の”ジュッテ”を銃身下部に発生でき、Ζガンダムのビームライフル、ハイパー・メガランチャーは砲口からサーベルの刃を発生させることができる。逆にガンダム試作1号機 "ゼフィランサス"やΖΖガンダム、キュベレイなどのビームサーベルは機体にホールドしている状態ではビーム・ガンとしても機能する(Ζガンダムもウェイブライダー形態時にはビームサーベルがビーム・ガンとなる)。
第二次ネオ・ジオン抗争時になるとリミッター機能が追加され、刃は斬撃時のみ発生するように改良された。またνガンダムやサザビーといったカスタム機には刃の形状の異なる2種類のビームサーベルが装備されている。
ビームサーベルは、プラズマ化していることとIフィールドの持つ斥力により、他のビームサーベルやヒート兵器などと刃を切り結ぶと干渉し反発する。さらに、ビーム兵器を無効化するIフィールドに対しても有効である。またパイロットの腕に大きく依存するが、相手のビームライフルなどのビームによる攻撃を撃ち落とす(もしくは干渉によってはじき飛ばす)こともできるようだ。
[編集] バリエーション
また、ビームサーベルは単なる剣状の武器として使われるだけではなく、発生するビームの刃の形状の違いによっていくつかのバリエーションが存在する。
長い柄の先端部のみにビームを発する事でエネルギー消費を少なくしたビームジャベリンや、柄の両側から2本の刃を発生できるビームナギナタ等が代表的なバリエーションであるが、ギラ・ドーガに装備されたビームサーベルのようにサーベル、アックス、ピックと複数の形状のビームの刃を一つの装備で発生できるようにしたものもあり、汎用性の高さが伺える。
宇宙世紀0120年ごろになるとビームシールドが登場するが、これもビームサーベル形成技術を応用したものである。後にはクロスボーン・ガンダムのビームザンバーやマザー・バンガードのビームマスト、ゴトラタンのビームトンファーのように、さらに大型で自由な形状のものが登場している。
[編集] ビームジャベリン
ガンダムが装備する兵器。
[編集] ビームナギナタ
[編集] ビームアックス
ギラ・ドーガが装備する兵器。
[編集] ビームザンバー
クロスボーンガンダムX1・X2が装備する兵器。
[編集] ムラマサブラスター
クロスボーン・ガンダムX3が装備する兵器。
[編集] ビームスナッパー
コンティオが装備する兵器。
[編集] ビームメイス
ゲンガオゾが装備する兵器。
[編集] ビームトンファー
ゴトラタンが装備する兵器。
[編集] 未来世紀におけるビームサーベル
『機動武闘伝Gガンダム』をはじめとする未来世紀を世界観とする作品に登場するビームサーベルは、いわゆるビームガンなどに使用されている通常のビーム技術ではなく、ガンダムファイト開催中に地球を覆っているビームロープや、モビルトレースシステムのコクピット内で使用されているビームなどと同じ、「擬似ビーム技術」が使用されている。本来の擬似ビームは熱量をもたないため、ビームサーベルではわざと熱量を付加して攻撃用途に使用できるよう調整されている。
[編集] アフターコロニーにおけるビームサーベル
『新機動戦記ガンダムW』をはじめとするアフターコロニーを世界観とする作品のガンダム用ビーム兵器は、複合的なビーム層を構成して減衰率を低減している為海中で使用しても減衰しない。ビームが斬っているのではなく、ビームの周りの空間が目標を破壊しているという設定である。強力な磁界と高熱のフィールドに加え、意図的に電離領域を生成し制御しているため、例えば海中のような環境の中でも高熱のビームや荷電粒子は水分子などと直接海面を接してエネルギーを減免されることなく対象物に到達しそれを溶断する事ができる。
ただし上記のガンダム装備のビーム兵器はかなり例外的(最先端技術的)な存在であり、この世界の大多数であるOZ製のモビルスーツのビーム兵器は(トールギスを含め)水中で使用することができず、ガンダムが水中でビーム兵器を使用する光景を見てOZの水中用モビルスーツのパイロットが驚愕する場面がある。
[編集] アフターウォーにおけるビームサーベル
[編集] 正暦におけるビームサーベル
[編集] コズミック・イラにおけるビームサーベル
『機動戦士ガンダムSEED』をはじめとするコズミック・イラを世界観とする作品に登場するビームサーベルは、電場によって刀剣状にビームを固定している。これは物体表面に電場を形成しミラージュコロイドを定着させる技術を応用したもので、コズミック・イラ作品ではビームサーベル以外にも電場形成を応用した兵器が登場する。初期の設定では、宇宙世紀のビームサーベルとは異なりサーベル同士の鍔迫り合いは不可能であり、TV放映版で鍔迫り合いを起こしたシーンが作画ミスとしてDVD版で描き直されたこともあった。
尚『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』においては、このタイプのビームサーベルの強化型、そしてセカンドシリーズのMSの「ヴァジュラ」などの様にこの原理とは違った原理からなるビームサーベルが登場している。また本作では、ビームライフルなどの射撃を防いだ盾や装甲が、ビームサーベルで破壊される描写が多く見られたが、これは破壊力の強弱の問題ではない。運用上、ビームサーベルの「刃」の方が、射撃武器のビームよりも、同一箇所に長い時間「当たり続ける」ことによる差である。
[編集] 備考
[編集] 設定の変遷
『機動戦士ガンダム』のビームサーベルは、当初は番組中で原理が全く説明されていなかったため、主にファンの間で動作メカニズムが考案・検討されていった。その結果として、「Iフィールドを刀剣状に形成した空間にミノフスキー粒子あるいはメガ粒子を充満させたもの」との解釈が有力であるが、その「Iフィールド」の部分を「磁力によって~」と解釈も元は存在した。
ガンダムの原作者である富野由悠季が書いた小説版『機動戦士ガンダムF91』やアニメ『∀ガンダム』などには「ビームサーベルは重金属の粒子を発振させて高温度にしたものである」という旨の記述があるが、それだけでは「干渉」(例えばビームサーベル同士の鍔迫り合い)が不可能であるため、それ以外にも別のメカニズムが関連していると解釈されている。
[編集] 他の用法
- 丸まったポスターをリュックサックの上部に突き刺している状態をビームサーベルと呼んでいる。これは秋葉原などを闊歩するオタクたちがよく行う行為で、それがガンダムのように見える事から半ば自虐的に呼称している。
[編集] 関連項目
- ガンダムシリーズ関連用語一覧
- ガンダムシリーズの登場機動兵器一覧
- ガンダムシリーズの登場艦船及びその他の兵器一覧
- ミノフスキー物理学
- ビームライフル (ガンダムシリーズ)
- ビームシールド
- 架空の兵器
- ライトセイバー
- 宇宙世紀の兵器技術