スーパーロボット大戦D
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スーパーロボット大戦D | |
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ジャンル | シミュレーションRPG |
対応機種 | ゲームボーイアドバンス |
開発元 | エーアイ |
発売元 | バンプレスト |
人数 | 1人 |
メディア | ROMカセット |
発売日 | 2003年8月8日 |
価格 | 5,800円 |
対象年齢 | CERO:全年齢 |
売上本数 | 約20万本 |
『スーパーロボット大戦D』(すーぱーろぼっとたいせんでぃー)は、バンプレストのシミュレーションRPG。スーパーロボット大戦シリーズの1つで、ゲームボーイアドバンスでは第3弾となる(『OG』を含めた場合、第4弾)。2003年8月8日発売。全38話(ルートの選択次第でこれより少なくなる事もある。プロローグと分岐を含めて全54ステージ)。
『D』は『Destiny』の頭文字である。
目次 |
[編集] 概要
本作の最大の特徴はストーリーである。本作ではまずプロローグでネオ・ジオンのアクシズ落としの最中に地球が消滅してしまい、宇宙(ネオ・ジオン、OZ宇宙軍、ザンスカール帝国)、地上(リガ・ミリティア、OZ地上軍、べスパ)の各勢力全てが事態の把握ができずに混乱する。その結果ネオ・ジオンのシャア・アズナブル、OZのトレーズ・クシュリナーダやレディ・アン、マクロス7艦隊のマクシミリアン・ジーナス、リガ・ミリティアの神隼人(本作ではリガ・ミリティアのジン・ジャハナムの1人という設定)らは事態の収拾を図るために宇宙と地上の異なる場所でそれぞれ同盟を結び、共同でその原因に立ち向かう事になる。そのため、シャアやトレーズ、ミリアルドのような原作において主人公の敵対勢力の指導者となっていた人物らが味方となっている(主人公も選択によっては初期部隊がネオ・ジオンとなる)。他にも、隠しキャラとして原作において敵対関係にあった多数のキャラ達が仲間になる。
一部のキャラクターの顔グラフィックは『A』『R』から流用している。カットインを持っているパイロットも多数となった。また、本作の時点では死亡しているララァ、フォウ、プル、プルツーはアムロ、シャア、カミーユ、ジュドーが特定の機体で特定の武器を使用すると対応するキャラが戦闘アニメに登場する。
[編集] 参戦作品
- メガゾーン23
- THEビッグオー
- 機動戦士Ζガンダム
- 機動戦士ガンダムΖΖ
- 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
- 機動戦士Vガンダム
- 新機動戦記ガンダムW
- マジンガーZ
- グレートマジンガー
- UFOロボ グレンダイザー
- 真(チェンジ!!)ゲッターロボ 世界最後の日
- 未来ロボダルタニアス
- 六神合体ゴッドマーズ
- マクロス7
- バンプレストオリジナル
初参戦作品は『真(チェンジ!!)ゲッターロボ 世界最後の日』、『マクロス7』、『未来ロボダルタニアス』、『メガゾーン23』、『THEビッグオー』。
携帯機初参戦作品は否OVA版『新機動戦記ガンダムW』及び『六神合体ゴッドマーズ』である(正確には『スーパーロボット大戦リンクバトラー』で参戦しているが)。TV版『ガンダムW』は、『α』以来約3年ぶりの登場となる。
[編集] システム
本作のシステムは前作『R』のものを基本的に踏襲する。どこでもセーブや『OG』で導入されたボタン操作の左集中など、携帯機に特化したシステムを持つ。
本作では新たに「ツメスパロボ」というミニゲームが搭載された(詳細は後述)他、強化パーツの売却や主人公機の武器名変更(漢字は使えない)、特殊効果武器の追加が行われた。さらに会話の巻き戻しや会話デモ自体のスキップ機能を実装した。『OG』以来の「出撃準備」も健在である。さらに、GBA版の作品にはこれまで実装されていなかった「フル改造ボーナス」が実装され、最大まで強化したユニットにボーナスとしてさらなる強化を付加することが可能になった。
- コンボ
- 一直線に並んだ敵をまとめて攻撃する事が出来る武器。MAP兵器の小型版とでもいうべきもので、援護防御のために陣形を組んだ相手をまとめて攻撃できるため、気軽に使える割に重要度は高い。
- ボーナスポイント
- ボーナスポイント(BP)はαシリーズ等のPPとは違い1レベルアップにつき1ポイント与えられるもので、格闘、射撃、防御、技量、回避、命中に振り分けることでパイロット能力を強化することができる。能力の合計ではなく投入した合計側に上限があり、各能力ごとに最大255ポイントまで振り分け可能である(強化はその場で行うか、インターミッションでまとめて行うか選ぶことも出来る)。これにより気に入ったキャラをとことん使い込むことができるようになった。しかし、一部のキャラにこれを行うと後々大変な事になる(#評価参照)。
- スキルパーツ
- パイロットに装備する強化パーツ。パイロット能力を底上げするもの(射撃能力+10、精神力+20など)とパイロット技能を付加するもの(カウンター、ヒット&アウェイなど)とがあり、ユニット同様パイロットごとに最大装備スロット数の差異がある。
- 歌
- 『マクロス7』が参戦作品に加わったことで、新たに導入されたシステム。味方に使用すると能力アップの効果を、「プロトデビルン」技能を持つ敵には貫通ダメージを与える。歌の攻撃力や能力上昇効果はレベルによって上昇し、歌の使用には「歌EN」というエネルギーを、ダメージ計算には「歌魂」という能力を反映する。歌による能力上昇は各能力ごとに+255までとなっている(前述のBPによる強化上限値と同値であるが、効果は重複しない)。
- ツメスパロボ
- 本作で新しく加わった要素。スーパーロボット大戦のルールで詰め将棋感覚のゲームを行う。MAP毎に決まったクリア条件があり、これを満たせば商品がもらえる。ゲームが進むにつれてMAPが追加されていく。
- なお、ツメスパロボでは命中率は「ひらめき」を使わない限り100%で、切り払いや分身・クリティカルなどは発生しない。バリアは発生する。普通やらないようなプレイをしないとクリアできないMAPも見受けられた。『J』でもツメスパロボがある。
- 周回引き継ぎ
- 『R』同様、最終話終了時点で所持している資金とユニットの改造段階、フル改造ボーナスが記憶される。なお、改造上限は一回クリアするごとに上昇、最大20段階まで増加する。また、2周目以降奇数周で1段階ずつ敵の改造段階も上がっていく。
[編集] オリジナルキャラクター
詳しくはバンプレストオリジナルのキャラクター一覧の項を参照。
[編集] 主人公
- ジョシュア・ラドクリフ(愛称ジョッシュ)
- 男主人公。年齢18歳だが、状況がそうさせたのか、年齢に反して落ち着いた性格の持ち主(「老成している」「苦労人」とも評される)。#余談の項でも語られるような面倒見が良さが特に有名。「分の悪い賭けをするつもりはない」という台詞でキョウスケ・ナンブと対比するファンも多い。
- クリアーナ・リムスカヤ(愛称リム)
- 女主人公。年齢17歳。二重人格者でそれぞれ「クリス」「リアナ」と呼ばれ、本人達もお互いを認識し合っている。寺田貴信プロデューサーは発売前に「今までにいなかった主人公」として彼女を推していたが、残念ながらそのシナリオの評価はジョッシュと比較して低い。
[編集] 仲間
- クリフォード・ガイギャクス(愛称クリフ)
- ジョッシュ、リムの兄貴分的存在の科学者。2人が乗り込む機体は彼が開発した。
- グラキエース(愛称ラキ)
- ジョッシュが主人公の時のみ仲間になるメリオルエッセ。敵の時と味方の時とでは顔グラが異なる。その性格やエピソードからリムを差し置いて「このゲームの真のヒロイン」と評するファンも多い。エンディングで彼女が迎えたある結末はファンの間でも評価が真っ二つに割れている。なお、敵の時の公式イラストは存在するのだが、味方版のものは公開されておらず(元々存在しない可能性もある。事実、彼女を主役としたアンソロジーを描いたある漫画家は自身のHPの掲示板で「味方版の資料は送られず、明らかに不自然ではない範囲で自由に描いていいと言われた」と語っていた)、さらにカットインもない。設定が似ている事から元ネタは『装甲騎兵ボトムズ』のフィアナではないかと言われている。
- ウェントス
- リムが主人公の時のみ仲間になるメリオルエッセ。ジョッシュが主人公の時は全く登場しない(実はある場面で重要な役割を果たしているが)。グラキエースとは対照的にプレイヤーからの評価は低い(特に顔グラを叩くファンが多い)。
[編集] スタッフ
- プロデューサー
- 菊池博
- 寺田貴信
- じっぱひとからげ
- ディレクター
- 赤羽仁
- シナリオ
- 鏡俊也
- オリジナルキャラクターデザイン
- 鈴木幸江
- オリジナルロボットデザイン
- 大輪充
- 藤井大誠
[編集] 評価
携帯機ではステージ数が最も少なく、その影響で改造資金を稼ぎにくくなっている(とは言え、前後編マップが多いので実は最も長いルートでは52ステージ攻略する事になる)。このことはゲーム全体の難易度に影響しており、終盤の敵は強力だが味方はそれに見合った改造が施されていないという事態に陥る事が多い。ルートによってステージ数が上下する事もあるため、ツメスパロボの全ステージを出せない事もある。更に敵の命中率が非常に高く設定されている反面、味方の命中率や回避率は低く抑えられており、敵に避けられて反撃で命中されてしまうという事態が起こりやすくなっている(特に序盤)。しかし、中盤以降は熱気バサラの歌で能力値を上げられるようになるので、これを上手く利用できれば簡単にゲームを進められるようになる。特に最終面はこちらから近付かなければ敵が動いてこないので延々歌でステータスを上げるという事が可能になってしまい、ゲームバランスが崩壊してしまっている。この反省点からか、『第3次α』では特定の歌でパイロットのステータスを上げられるのはそのステージで1度までという制限が設けられた。
また、敵味方共通のデータを持つ隠しキャラクターは、その能力値に対する養成値が敵状態でも反映されるため、周回プレイでは場合によっては攻略自体が行き詰まるといった自体も起こりえる。必中なしでは攻撃がまったく当たらないという事態にもなってしまうので(特に序盤から敵として現れるクロノクル)、『J』ではこの問題が起こらないよう、敵味方両方で現れるキャラクターでも必ず別のデータを与えられるようになった。
3週目からの周回プレイでは徐々に敵ユニットも改造されていくため、段々周回プレイの爽快感が失われていくという欠点もある。特に、『メガゾーン23』のB・Dを最初のプレイでイベントを発生させて味方にした後に、機体をフル改造すると、後に周回プレイで再び同じイベントをプレイしても、味方にするのがほとんど無理な状態になってしまう。そのため、『J』の周回プレイでは敵の改造段階を選べるようになった。
しかし、そういったゲームバランス、ひいてはストーリーや世界観を含めたハードさこそが本作の魅力であると考えるファンも多く、そういった意味では評価の分かれる作品であるとも言える。
[編集] CM
今作のCMのナレーションは2バージョンあり、1つが今作で初参戦した『マクロス7』の熱気バサラ(神奈延年)とミレーヌ・ジーナス(櫻井智)の初参戦を喜ぶ会話、もう1つが『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のシャア・アズナブル(池田秀一)が冒頭部の地球消滅を間近に見て驚くもの(ちなみに『マクロス7』verでも最後にミレーヌが「地球が消えちゃう!?」と発言する)。
[編集] 余談
本作では、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の登場人物の一人、ギュネイ・ガスの扱いが非常に良く、オリジナル男主人公のジョシュア・ラドクリフと友人となり(最初の分岐で宇宙ルートを選択すると、宇宙空間に機体ごと放り出された主人公を救助したのはギュネイということになっていて、それが縁である)、度々会話デモに登場する。一緒に食事に行っていたり、個人的な談話をしたりと、本作の版権キャラの中でも非常に優遇されている。版権キャラクターと直接友人となる主人公自体は第○次シリーズのマサキ・アンドーやαシリーズのクスハ・ミズハなどいないわけではなかったが、いずれも対象は主人公である事が多く、また、その相手が原作では見せ場がそれほど多いとは言えない(しかも敵役である)ギュネイとあって、一部で話題を呼んだ。ちなみに、ジョッシュは他にも剣鉄也とも友人関係となっており(最初の分岐で地上ルートを選択すると、戦いに関する考え方の相違による鉄也との対立と、和解が描かれる)、ギュネイと鉄也の会話自体は殆どないものの、この3人で一緒にいる場面も多い事からトリオとして見ているプレイヤーも多い。なお、女主人公のクリアーナ・リムスカヤは対称的にクェス・パラヤと友人関係となっている。