カバチタレ!
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『カバチタレ!』は青木雄二監修、田島隆原作、東風孝広作画により、1999年5月から週刊モーニングで連載された漫画作品、及び同作を原作としたテレビドラマ。
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[編集] 概要
昨今の法律職ブームの大きな火付け役となったとも言われ、ヒット以降、行政書士や司法書士、社会保険労務士の受験者が激増したという意見もある。娯楽的要素のみならず、実用書としての人気も非常に高い。ただし、原作でも触れられている通り、劇中では、状況設定が微妙であったり、ストーリー上の展開に特化された法律解釈であるなどの理由により、現実ではそのまま使うことが難しい法律解釈や行動がままある。
本作品については、大きく誤解されている点がある。弁護士法との関係で、主人公たちはいわゆる非弁行為を行っており、行政書士がやれないことまでやっているとの指摘である。この点について、本作品は弁護士法72条の解釈について、実務、学説において通説とされる事件説必要説の立場で描かれているようである。しかし、日弁連が支持する事件性不要説(少数説)の立場からは、当該漫画で描かれている行政書士の業務内容には「非弁行為が含まれている」という指摘がなされる。 弁護士法72条の解釈について「事件性必要説」に立てば本作品中の行為もかなりの部分が合法行為となるが、事件性不要説に立つのであれば非弁行為となると思われる。
なお、本作品の非弁性を判断するには、上記解釈とは別途、報酬性の有無を検討することが必要である。本作品では、事件解決を仕事といいながらも書類作成代は請求しつつ、示談交渉については無報酬という設定のようである。この場合は、原則として弁護士以外の者が紛争になっている法律事務を扱っても問題はない。本作品で紛争性のある法律事務を代理しているからというだけで、非弁行為を行っていると決めつけるのは早計だろう。
[編集] 漫画
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弱者を法律で救う熱血行政書士事務所職員の物語である。
資格を持たない行政書士補助者だった主人公の田村が試験に合格して資格を取った時点で一度連載を終了し、2005年7月から『特上カバチ -カバチタレ! 2-』とタイトルを変えて再連載中(2006年4月現在)。
“カバチ”は広島弁で屁理屈の事で、これを“垂れる”事から「屁理屈屋」の意。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 登場人物
[編集] レギュラー
- 田村勝弘(たむら・かつひろ)
- 主人公。ごく普通に暮らす青年だったが、免許更新で仕事を休もうとした時、上司にその事を連絡するよう依頼したが、上司が連絡をし忘れた為、無断欠勤をしたと言う理由で会社を突然クビになってしまう。その上、当月の給料すら貰えず、ヤケ酒をあおっていたところ、たまたま飲みに来た大野と偶然出会う。大野のアドバイスで内容証明を出したところ、当月の給料+解雇予告手当が送られてきたことがきっかけで、大野事務所に入所する。『特上カバチ』より行政書士となる。登場人物の中では珍しく、広島弁で話さない現代人。
- 人情派で正義感が強い熱血漢。そのため『特上カバチ』以降からあくまで「ビジネス」と割り切る住吉とよく対立する。常に弱者を救うことを目指しているが、採算を度外視したり無茶な行動をすることもあり、周囲から「甘い」と批判されることも。行政書士としてはまだ未熟故に、対処の失敗をしてしまうことがある。受難に遭ったり自分の主張を言う時などに自分のスーツの裾を握る癖がある。子どものころ女子と喧嘩して尻を噛まれた経験があり、女性は苦手。それ故に女性の被害(セクハラ)に関する事案で誤った対処をしてしまう。行政書士資格を取って以降は大野からある程度独立して業務を行っている(ただし給料は10万円+自分の得た報酬の7割)。スーツは青色で、『特上カバチ』第一話以降ではチェック柄。持っている車のナンバーは「893(ヤクザ)」。車種はベンツの190E。『極悪がんぼ』の主人公・神崎守と顔合わせすることがある。
- 大野事務所入所までのいきさつからモデルは原作者の田島隆だと思われる。
- 栄田千春(さかえだ・ちはる)
- 大野事務所の補助者。田村の教育係である人物。人はいいが大雑把な男。飲酒運転の検問の中で酒を飲んだり、大野のキープボトルを勝手についだ後にうどんダシを入れておくなど無茶な行動を取る。子供時代は貧乏生活を送り、辛い家庭で育った経験があり、依頼者の立場を考える余り時として田村以上に直情怪行となることがある。女性に対しても男性と同じ様に付き合うため、「いい友達」以上の関係にならない。子供の頃、好きな女の子の背中に青虫を入れ叩いて潰した経験がある。本人曰く気をひきたかったそうだが、もちろん引かれ拒否された(そのため重森から「栄田が結婚できないのは青虫のたたりだ」と言われた)。相手や依頼人の邪魔となる人物にプレッシャーをかけるため芝居を打つことが多いが調子に乗ってかなりオーバーになる。カラオケと中華料理、健康ランドが好き。『特上カバチ』以降の最近では、住吉が苦手。また、金田が独立開業した上に田村が資格を取ったため、田村の主任業務があるときは雑用を一人で行うなど、さんざんな目に遭っている(田村に「どうして資格なんか取ったんだ」と怒っていたぐらいである)。だが当の本人は資格を取るつもりはないらしい(理由は「小店をもって苦労するようなことはしたくない」からとのこと)。スーツはピンク色。愛車は、トヨタGX81マークⅡ(単行本1巻で登場)。
- 大野勇(おおの・いさむ)
- 大野事務所の所長。トラックドライバーからのしあがってきた苦労人。第一話ではただのスケベオヤジ風に描かれていたが、第二話からは強いカリスマ性を見せるようになった。行政書士と経営コンサルタントを兼業している。普段は常に飄々としているが、事件に乗り出すと策略を練り、さまざまな駆け引きで依頼者を勝利に導く知将。栄田や重森からは「ダイ(先生)」、検備沢からは「イサムちゃん」と呼ばれている。栄田たちにとっては失敗することよりも大野の怒りを買うことの方が怖い様子。『特上カバチ』以降では特に田村に厳しく、田村がセクハラ(猥談)被害に関する事案の対処に失敗した事を知った時は相当怒り、どうにか対処した後「お前は法律家失格だよ」「依頼人が頼れない法律家に存在価値はないで」と冷徹に叱りつけた。スーツは赤色のチェック柄。『極悪がんぼ』の金子千秋とは知り合いだが、裏業者のプロとして敵対している。
- 事務所の通称は「ダイコン(大野コンサルタントの略)」である。ちなみに、彼の事務所があるビルの中には「海事代理士 行政書士 田島事務所」がある。
- 金田銀四郎(かねだ・ぎんしろう)
- 大野事務所の元補助者。もみじ行政書士事務所に応援で加入し、現在はもみじ行政書士事務所所長。行政書士と社会保険労務士の資格を持つ(大野事務所にいたころは会費の問題などから登録していなかった)。通称「金ちゃん」。法令の厳格な適用を目指しており、不正には非常に厳しい。時にそれが全体のバランスを欠き、事態の解決の障害となることも。普段は糸目で温厚そうな表情だが、怒ると鋭い眼孔が露わになる。真面目そうな外見とは裏腹に、かなりの遊び人であるらしく、自称「流川の貴公子」と名乗っており、合コンのセッティングもした。彼女がいる模様。田村以外のほぼ全員が広島弁を話す中で、数少ない「広島弁を使わない人物」である。スーツは黄色。マツダのカペラに乗っているが、田村に貸した時は、トヨタのスプリンタートレノだった。
- 重森寛治(しげもり・かんじ)
- 大野事務所の補助者で、事務所では一番の古株。通称「重さん」。放任主義の大野に変わって口うるさく部下を管理する上司。よく栄田に嫌な仕事を押しつける。当初は田村を初め部下がしばしば業務命令を無視し、頭を悩ませていたが、徐々に融和し良き理解者となった。対処は常に冷徹であり、第一に採算を重視する。依頼者や被害者に著しく不利益を被らせるような処理を行なったり、物事の解決が不十分なまま早々に事態の幕引きを図ることも多々ある。だが金田などから、過去の様々な失敗や経験に基づいて依頼者も相手も必要以上の損害を被らないための措置だと明かされており、本人も後ろめたく思っているのか泥酔すると愚痴が出る。部下の独断専行による失敗を「自分の命令でやったこと」と自ら全て被って庇う等、部下思いな一面を出すことがある。スーツは緑色で、本人の好みかアンモナイト柄。ネクタイにも三葉虫がデザインされている。鋭い目つきに分厚い唇であり、まるでヤクザのような顔立ちである。事務所内の補助者では、唯一のバイク通勤者であり、唯一の妻帯者でもある。
- 検備沢太郎(けびさわ・たろう)
- 弁護士。大野事務所は何かと世話になっている。共同戦線を張る時もある。大野の旧友。『極悪がんぼ』にも数回登場するが、事件屋は嫌い。連載当初は大野事務所のメンバーに苦手意識を持たれている人物だった(重森や金田は仕事があるふりをして逃げていた)が、現在では苦手としている様子はあまり感じられない。むしろ、わだかまりが無くなった模様。
- 住吉美寿々(すみよし・みすず)
- 『特上カバチ』より登場の女性有資格者。バツイチ。東京の大学を卒業後銀行員、司法書士業務補助者を経て行政書士となり、自身の故郷(広島)で就職先を探す間行政書士業務で生計を立てていた。そこで依頼があったことを機に田村と借金をめぐり争う。当初は田村を新人と見て高をくくっていたが、大野の協力もあって田村の和解案をのんだ。その事がきっかけで大野の実力に惚れ込み大野事務所に入所する。割と美人(初対面の栄田曰く「クロワッサンと紅茶で優雅に一日を始めてそう」)なのだが気が強く、「ダボハゼ」とも揶揄されるほど豪腕の持ち主で、水増し請求していた会社から寄付金名目で金を搾り取るといった恐喝まがいのこともしたりする。それ故に田村や栄田に苦手意識を持たれている。普段は広島弁を使わないが、故郷に住む友人や家族と話すときは使う。車に関する事案は苦手で、「車なんて乗れりゃ十分」と考えている。スーツの色は紫。スバルR2を乗車。
[編集] 脇役
- 股倉玉夫(またぐら・たまお)
- 田村の初めての依頼者。テレクラや出会い系サイトに出入りする助平男。これが原因でトラブルになり、救いを求めて来た。現在は伯父の会社で真面目に働いている。以前の悪行の報いか、時たま災難に遭うことも。
- ちなみに彼女のアパートを追い出された際、当面の資金を工面するためサラ金を回っていたところ『帝國金融』の前を通りかかり、そこで「ここから借りると とてつもなく不幸になる気がする」と口走った。
- 鷲塚三太(わしづか・さんた)
- 『特上カバチ』第0話に登場。田村が補助者として最後に対峙した相手。えらそうなことを言って相手をねじ伏せる悪徳弁護士。
[編集] テレビドラマ
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テレビドラマ |
- 2001年1月11日から3月22日の毎週木曜22:00~22:54に、フジテレビジョン系列で放送された。ただし、初回と最終回はそれぞれ15分拡大で22:00~23:09。全11回、平均視聴率19.3%。主人公の田村勝弘や栄田千春が女性に置き換えられるなど、登場人物に変更が加えられているほか、原作と比較すると法律ものとしての色が薄まり、より人間ドラマを強調した構成になっている。
- 2001年5月25日にビデオ化(全4巻)、2001年8月24日にDVD化(全6巻)された。なおDVDは、テレビ放送時にカットされた部分も収録している『完全版』である。
- 当初はスペシャルや続篇を予定する構成になっていたのだが、未だに実現していない。理由は出演者のスケジュールが合わないのもある。
- 「あなたって何者??」「君達レズ??」「姉ちゃん!!」など、名言も数多い。
[編集] 主な登場人物
- 田村 希美(28)…常盤貴子
- 栄田 千春(28)…深津絵里
- 大野 勇(42)…陣内孝則
- 田村 優太(16)…山下智久
- 宮城 京子(25)…篠原涼子
- 長谷川 幸男(30)…岡田浩暉
- 金田 銀四郎(23)…岡田義徳
- 重森 寛治(42)…田窪一世
- 福田 サキ(21)…猪俣ユキ
- 加藤マキ…伊藤さおり
- 小原春菜…香里奈
- 生田加寿子…小林聡美
[編集] その他のキャスト
- 茸本健司…保阪尚希(第1話)
- 亀有敬三…板尾創路(第1話)
- 大沢一子…山田優(第2話)
- 一子の両親…大沢学:津村鷹志、大沢ヨネ子:もたいまさこ第2話)
- 横山正輝…國村隼(第3話)
- 横山光司…内田朝陽(第3話)
- 鎌田昌代…草村礼子(第3話)
- 上里康太郎…加勢大周(第3話~第4話)
- 松崎勝子…黒田福美(第4話)
- 松崎奈々子…遠藤ゆう(第4話)
- 恒子…水川あさみ(第4話)
- 薫…横須賀まりこ(第4話)
- 中丸孝之…小林すすむ(第5話)
- クリーニング店長…六平直政(第5話)
- 優太の元カノ…嘉門洋子(第5話)
- 伊藤ナツミ…樹里(第6話)
- 福原卓巳…豊原功補(第6話~第7話)
- いずみ…菅原禄弥(第6話~第7話)
- 自称アユミの夫、田口…伊藤正之(第6話)
- 自称アユミの夫の先輩、石田…金田明夫(第6話)
- 1人目の美人の客…国本真子(第7話)
- 2人目の太った客…町野あかり(第7話)
- 内田陽平…鶴見辰吾(第8話~第9話)
- 内田冴子…中島ひろ子(第8話~第9話)
- 内田大輔…松崎駿司(第8話~第9話)
- 内田美帆…佐久間李奈(第8話~第9話)
- 失礼な占い師…野際陽子(第9話)
- 梨本誠一…金子賢(第10話~第11話)
- 増田祐子…高木りな(第10話~第11話)
- 増田悠二…林泰文(第10話~第11話)
- 希美の高校時代の同級生の夫。
- 梨本吾郎…鹿内孝(第10話~第11話)
- 町田和哉…妻夫木聡
- さわやかなライダー…藤岡弘(第5話、第11話)
- 知的な浮浪者…大杉漣(第1話、第11話)
[編集] スタッフ
[編集] 主題歌
- キタキマユ『ドゥー・ユー・リメンバー・ミー』
[編集] サブタイトル・放送日・視聴率
- 「恋する女、温泉に売られる」(2001年1月11日)21.4%(69分)
- 「暴走!包丁持ったオバサン」 (2001年1月18日)18.3%
- 「あっ!と驚くいい男とカレーうどん」(2001年1月25日)19.9%
- 「恋人は子持ちで痴漢なの?」(2001年2月1日)17.6%
- 「免停と交通違反キップで警察と対決!」(2001年2月8日)18.7%
- 「浮気妻慰謝料サギと家賃値上げを撃退」(2001年2月15日)19.3%
- 「甘い罠商社マンが出張ホストで転落!」(2001年2月22日)18.4%
- 「暴力夫に気づかれないで離婚する方法」(2001年3月1日)19.7%
- 「嫌がる夫と緊急離婚!届出は24時間OK」(2001年3月8日)20.7%
- 「ブリーフの白い色は恋人の色」(2001年3月15日)19.9%
- 「セクハラ男に置き去られ結婚式で恥をかく」(2001年3月22日)18.3%(69分)
[編集] 外部リンク
- 「特上カバチ!! - カバチタレ!2-」の部屋(モーニング公式ページ)
- 「カバチタレ!」公式ページ(Yahoo! Japan モーニング創刊25周年記念特集)
- フジテレビフレームメニュー内「サイト内検索」で「カバチタレ!」を検索
[編集] 関連項目
※両作品とも世界観を共通としている。
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