ヤクザ
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ヤクザとは、正業に就かず、暴力・非合法を基本とする社会に身を置く人々のこと(しかしごく一部ではあるが、過去に組員の大多数が正業にも就いている極道組織があったことも事実である)。素行の悪い者。道楽者。ならず者。現在では特に暴力団員のことを指す。独特の文化と倫理観を持つが、これに「筋」を感じる者は少数派と言える。
「暴力団員」という呼ばれ方を嫌い、特に自称では「極道」、「侠客」とも言う。 隠語(ほぼ警察隠語)に「ヤーさん」、「ヤー公」、「ヤのつく人」、「ヤっちゃん」、「ヤのつく自由業」、「マルB」・「マルG」(BやGは……の内部分類コード)、「その筋」、「893」、「カラフルさん」などがある。また、ヤクザを示す動作としては、頬の辺りに指を斜めに滑らせて、傷を表現するものがある。
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[編集] 歴史
日本の「ヤクザ」は元々「博徒」と「的屋(香具師)」の二つの起源を持つといわれる。博徒の起源は平安時代、“任侠の徒”侠客の起源は室町時代とされ、「渡世人」とも呼ばれた。的屋は「香具師」とも称する。江戸時代、賭博は重犯罪として厳しく取り締まられていたが、江戸中期以降には常習的に賭博を行う博徒の集団が現れ、現代に至っている。江戸のヤクザと京都・大坂など上方のヤクザは区別される。一方、的屋は いわゆる「非人身分」とされていた。江戸時代には寺社の境内などで賭博を催し収入を得ていた。都市部だけでなく地方にも存在する。今日に至るまで「社会の枠組の外」の人々である。
[編集] 語源
「ヤクザ」という言葉の語源ははっきりしていないが、賭博用語が語源であるとする説が通説となっている。花札を使った三枚(またはおいちょかぶ)という博奕では、3枚札を引いて合計値の一の位の大小を競う。8・9の目が出れば17となり、一般的な常識人にとっては“7”の場合「もう一枚めくる」事はしないのだが、投機的で射幸心が強く、且つ非常識な輩は そこで「更に一枚を引く」。果たして結果、“3”を引いてしまい、最悪最低の得点である“0(8+9+3=0)”となってしまう。この様な行動パターンや人生設計が「極道モノ(ヤクザ)」の生き様そのものであり象徴的なのである。 8・9・3を続けて読んだ「ヤクザ」が「役にたたないもの」を意味するようになり、博徒集団のことを指すようになったとする。
他に、歌舞伎役者の派手な格好を真似た無法者(傾(かぶ)き者)のことを「役者のような」と言っていたことから「ヤクシャ」が訛って「ヤクザ」になったという説、「役戯れ」(やく ざれ)から来たという説、「やくさむ者」からという説、更には昔、喧嘩などの仲裁を行う者を「役座」と呼んだことに由来するという説(飯干晃一)もある。また、儒教でも数字の8・9・3は悪数(縁起の悪い数字)としていることから、そこから由来するのではないかとの説もある。
他説では博徒集団の貸元、若頭、舎弟頭の三役(サンヤク)の隠語とも言われる。
[編集] 組織
- 詳細は暴力団#組織を参照。
[編集] 「組」の名称
1884年の「大刈込み」(賭博犯処分規則により賭博犯すなわち博徒は裁判なしで10年の懲役という弾圧下に置かれる)への対策として博徒の多くは土木建築請負の看板を上げ「組」を名乗るようになった(鶴見騒擾事件より)。これ以前は屋号(例えば清水次郎長は「ヤマチョウ」、会津小鉄の一門は「大瓢箪」)を用いた。一家を名称とするのは、明確ではないが明治・大正期に多く使われている。的屋の影響と推察されるが明確ではないし内務省の掛かりがつけた可能性もある。ちなみに明治の『東海遊侠伝』では次郎長を漢語で「大哥」と呼んでいるが中国でも目上の人や親分には「哥」を附ける。日本語のイメージでは親分ではなく「兄貴」あたりであろう。
[編集] 関連項目
[編集] 登場する作品
- 「男はつらいよ」 - テレビドラマ・映画シリーズ。主人公の寅次郎は的屋。主題歌では、妹に対して自分がフーテンであることを「ヤクザな兄貴」と詫びている(暴力団員ではない)
- 「ヤングパラダイス」 - ラジオ番組。ヤクザに遭遇してしまった体験をリスナーが投稿する「あなたも体験 恐怖のヤッちゃん」が人気コーナーの一つだった
- 「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」 - テレビドラマ。主人公がヤクザの若頭、学園ドラマ
- 「セーラー服と機関銃」 - 女子高生がヤクザの組長になって機関銃を乱射する
- 「ごくせん」 - 学園漫画・テレビドラマ。主人公はヤクザの孫娘でありながら教師を務めている
- 「龍が如く」 - 正統派ヤクザを主人公としたアクションゲーム
- 「本気!」 - 極道漫画のパイオニア的存在