アルセーヌ・ルパン
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アルセーヌ・ルパン(フランス語 Arsène Lupin)。
20世紀初頭に小説家モーリス・ルブランが発表した推理小説・冒険小説「アルセーヌ・ルパンシリーズ」の主人公。怪盗紳士。「怪盗」の代名詞であり、現在でも根強い人気を誇る。
紳士にして強盗、詐欺師、冒険家。変装の名人でいくつもの変名を持つ。貴族の城館や資本家の邸宅などを襲い宝石や美術品、貴重な家具などを盗んでいく一方、善良な者を助ける義賊的な性格もあわせ持つ。虐げられた婦人や子供にとっては頼もしい保護者となる。
目次 |
[編集] ルパンとリュパン
日本では原題、主人公の名前、本の内容を日本的に翻訳(場合によってはプロットのみを換骨奪胎して翻案)することがあるためだれがいつ初訳したのかは特定することは困難である。 フランス語をあえてカタカナ表記する場合、現在の慣習では「Lupin」は「リュパン」とされることが多いと思われるが、それほど外来音になじみのなかった時期に日本に紹介されたこともあって、命名者は不明(一説には上田敏。保篠龍緒説もある)ながら昔から「アルセーヌ・ルパン」として紹介され、親しまれてきた。現在でも、東京創元社他一部を除いて表記としては「アルセーヌ・ルパン」が主流となっている。
[編集] ルパン
訳者、保篠龍緒が以下の通り翻訳した。保篠龍緒はこの後も何度もルパン全集を手がけ、日本のルパン翻訳史において長い間スタンダードの地位を保つ事になる。保篠の邦題があまりに見事だったため、現在の各社から出ているルパンシリーズの邦題も保篠訳に倣う事が多い。
- 大正7年、金剛社 アルセーヌ・ルパン叢書 「怪紳士」「怪人対巨人」「奇巌城」「813」他全9巻
- 大正10年、博文館 探偵傑作叢書 「虎の牙」「水晶の栓」
- 昭和4年、平凡社 ルパン全集・怪奇探偵 「三十棺桶島」「バルネ探偵局」「ルパンの告白」「八点鐘」他全12巻(別巻2巻)
昭和30年代になり、南洋一郎が児童向けに翻案。また、南は本名の池田宜政名義でもルパン全集を翻訳している。
- 昭和33年、ポプラ社 怪盗ルパン全集 「奇巌城」「怪盗紳士」「古塔の地下牢」「黄金三角」他全15巻(後に30巻にまで改訂。現在は20巻に縮小・南洋一郎名義)
- 昭和43年、ポプラ社 アルセーヌ・ルパン全集 「怪盗紳士」「恐怖の島」「緑の目の令嬢」他全20巻(池田宜政名義)
また、訳者・詩人の堀口大学が新潮社より以下の通り翻訳。2006年現在においても最も手に入りやすいルパン全集となっている。
- 昭和34年、新潮文庫 ルパン傑作集 「813」「続813」「奇岩城」「ルパン対ホームズ」「バーネット探偵社」他全10巻
昭和56年-昭和58年、偕成社から、原文に忠実な完訳でシリーズ全作品を網羅した全集(『アルセーヌ=ルパン全集』全25巻)が刊行。2006年現在最も完全な全集として、版を重ねている。
[編集] リュパン
訳者、佐佐木茂索が以下のとおり翻訳した。
- 大正13年、随筆社のルブラン全集「強盗紳士アルセエヌ・リユパン」「リユパンの勝利」
- 昭和4年、改造社『アルセエヌ・リュパン』
また昭和34年-昭和35年、石川湧・井上勇らによる東京創元社『アルセーヌ・リュパン全集』全12巻が現在の創元推理文庫版(「怪盗紳士リュパン」「リュパン対ホームズ」「リュパンの告白」「リュパンの冒険」他全16冊)の元となった。
[編集] 作品
前期の作品では神出鬼没の「怪盗紳士アルセーヌ・ルパン」ものの話がメインだが、中盤は「ドン・ルイス・ペレンナ」の愛国冒険もの、後期は「探偵ジム・バーネット」などの探偵もの、ルパンの本名に近い「ラウール」の名を用いた恋愛冒険ものになるなど、バリエーションが豊かである。前期の作品と後期の作品ではそれぞれ趣きも違うため、ルパンと言うキャラクターがあまりにも当たってしまったルブランの書く男性主人公は、編集者や世論の圧力によってみな「ルパン」ということにさせられてしまったという見方もできる。
2005年現在、ルパン・シリーズの総発行部数は全世界で5000万部を超える。 また、2005年はルパンが初めて雑誌(ジュ・セ・トゥ)に掲載されて100周年にあたり、日本でもTVドラマのDVD-BOXの発売や劇場用映画「ルパン(Arsene Lupin)」の公開などが実現された。 ハヤカワ・ミステリ文庫で平岡敦氏による新訳が刊行中で、シリーズ全ての作品を網羅した完全なる全集となるのが期待されている。
[編集] ミステリとしてのアルセーヌ・ルパン
ルパン譚は主に冒険小説として見られ、ともすれば荒唐無稽とすら取られるため、ミステリファンからは高く評価されない事も多い。が、よく注意してみるとミステリとしても相当に完成度が高い事がわかる。作中で使われているトリックは後のミステリ小説でも何度も形を変えて使われ続けている。
特に短編には推理小説として本格的なものも多く、「八点鐘」収録の「水びん」のトリックや「テレーズとジェルメーヌ」の密室トリック、「雪の上の足跡」の足跡トリックなどは、ミステリ・アンソロジーにも何度も収録されるなど評価も高い。第1話の「ルパン逮捕される」からして、叙述トリックやクローズド・サークルものの元祖の一つとも言えるのである。また、「奇巌城」や「太陽のたわむれ」などのように、暗号を扱った作品も多い。
[編集] ルパンと変装
変装はルパンの代名詞の一つであるが、原作のルパンの変装は、アニメなどで表現される顔全体にマスクをかぶるような現実離れしたものではない。その多くはメーキャップや服装を変える程度で、せいぜい「パラフィンの皮下注射で皮膚を膨らませる」「ピロガロール(薬品)やクサノオウの汁などを肌に塗って湿疹や腫瘍を作り出す」「科学的な薬品で鬚や髪の毛を伸ばし、声を変える」「ダイエットをする」「アトピリン(瞳孔を開く効果がある)を眼にたらす」くらい(以上、「ルパンの脱獄」より)。それよりもルパンが重視するのは、しぐさや歩き方、表情や話し方などを変える「俳優としてのスキル」である。江戸川乱歩の怪人二十面相が小柄な人間や女性などにまでたやすく化けてしまうのと比べると、充分に現実的な地に足のついたものであると言えるだろう。
またルパンの服装のイメージとして、「シルクハットと夜会服にモノクル (片眼鏡)というものがある。が、意外にも原作の本文中にはそういう描写はまったくない。このイメージは、ラフィット社からルパンの単行本が初めて出た時に、表紙などのイラストがこのスタイルで描かれたことが原因で広まったらしい。このあたりの事情は、シャーロック・ホームズにおける「インバネス・コートに鹿撃ち帽」のイメージ流布のケースと同様である。
[編集] 冒険・歴史・伝奇ロマンとしてのアルセーヌ・ルパン
上記のミステリとしての評価とは逆に、冒険・伝奇ロマンとしてのルパンを積極的に評価する立場もある。特に、ルパン・シリーズを通読すると、ルブランの歴史趣味を多分に感じる事ができる。「女王の首飾り」では有名な首飾り事件が密接に絡み、「奇岩城」では鉄仮面、マリー・アントワネットやフランス革命ばかりかカエサルやシャルルマーニュにまで言及されている。「カリオストロ伯爵夫人」ジョセフィーヌ・バルサモは、詐欺師であり怪人物として知られるカリオストロ伯爵ジュセッペ・バルサモの娘として設定され、その作中では、シャルル7世の愛妾であったアニェス・ソレルの故事にも触れられている。
その他上記の類の例は、短編から「813」などの長編まで、枚挙に暇がない。また「三十棺桶島」では、ブルターニュ地方を舞台にしたケルトの土俗、ドルメン、ドルイド僧などの伝奇ロマンとしての雰囲気作りがおどろおどろしく、ルパン作品の翻案も手がけた横溝正史の「獄門島」、「八つ墓村」などへの影響が感じられる。
ルブランはポーやドイル、ルルーと同じくミステリ作家の元祖であるのと同時に、もしくはそれ以上に、「三銃士」「鉄仮面」「モンテ・クリスト伯」などを著わしたアレクサンドル・デュマの系譜の作家(ロマン・フュトン作家)の末裔であるとも見れるのである。
[編集] 同時代史としてのアルセーヌ・ルパン
過去の歴史的事件だけでなく、ルパン譚は、当時起こった歴史的事件とも大きく関わっている。「アンベール夫人の金庫」は当時実際に起こった詐欺事件、「水晶の栓」では当時フランス政界で起こったパナマ運河疑獄事件がモチーフになっているし、また、「813」「オルヌカン城の謎」「金三角」「三十棺桶島」「虎の牙」の一連の流れでは、当時の世界史上の一大事件であった第一次世界大戦が大きな舞台となっている(この時期獲得したアフリカにおけるフランスの植民地の一つモーリタニアは、ルパンが征服しフランスに譲渡したことになっている)。
当時最先端の科学技術も現れるや否やすぐさま作品に登場する。第1話「ルパン逮捕される」で重要な役割を担った無線電信は当時実用化から間もなかった紛れもない最新技術だし、辻馬車を愛好するホームズに比べルパンは自動車やオートバイを愛用し(これはホームズとの若干の世代差も大きく影響している)、果ては潜水艦(「ハートの7」「奇岩城」「三十棺桶島」)や飛行機まで(「虎の牙」)積極的に利用する。いずれも登場作品の数年前に開発、もしくは実用化が成ったものである。また、キュリー夫妻のラジウム・放射能研究の成果(1903年ノーベル物理学賞受賞)も、作品に取り入れられている(三十棺桶島)。
[編集] アルセーヌ・ルパンシリーズ一覧
邦題は、現在本邦唯一のシリーズ完全全集である偕成社版のタイトルに拠った。
- 1905年-1907年 : 怪盗紳士ルパン(Arsène Lupin, gentleman-cambrioleur:第一短編集)
- ルパン逮捕される(L'Arrestation D'Arsene Lupin)
- 獄中のアルセーヌ・ルパン(Arsene Lupin en Prison)
- ルパンの脱獄(L'Evasion D'Arsene Lupin)
- ふしぎな旅行者(Le Mysterieux Voyageur)
- 女王の首飾り(Le Collier de la Reine)
- ハートの7(Comment J'Ai Connu Aresene Lupin:Le Sept de Coeur)
- アンベール夫人の金庫(Le Coffrefort de Madam Imbert)
- 黒真珠(La Perle Noire)
- おそかりしシャーロック・ホームズ(Herlock Sholmes Arrive Trop Tard)
- 1906年-1908年 : ルパン対ホームズ(Arsène Lupin contre Herlock Sholmès:2本の中篇)
- 金髪の美女(La Dame Blonde)
- ユダヤのランプ(La Lamp Juive)
- 1909年 : ルパンの冒険(Arsène Lupin / Une aventure d'Arsène Lupin:戯曲の小説化)
- 1909年 : 奇岩城(L'aiguille creuse(空洞の針):長編)
- 1910年 : 813(813:長編:1917年に「La double vie d'Arsène Lupin:ルパンの二重生活」と「Les trois crimes d'Arsène Lupin:ルパンの三つの犯罪」に分冊化。偕成社版は「813」「続813」)
- 1912年 : 水晶の栓(Le bouchon de cristal:長編)
- 1911年-1913年 : ルパンの告白(Les confidences d'Arsène Lupin:第二短編集)
- 太陽のたわむれ(Les jeux du soleil)
- 結婚指輪(L'anneau nuptial)
- 影の合図(Le signe de l'ombre)
- 地獄の罠(Le piege infernal)
- 赤い絹のスカーフ(L'echarpe de soie rouge)
- うろつく死神(La mort qui rode)
- 白鳥の首のエディス(Edeth au cou de cygne)
- 麦わらのストロー(Le fetu de paille)
- ルパンの結婚(Le mariage d'Arsene Lupin)
- 1915年 : オルヌカン城の謎(L'éclat d'obus(砲弾の破片):長編)
- 1917年 : 金三角(Le triangle d'or:長編)
- 1919年 : 三十棺桶島(L'île aux trente cercueils:長編)
- 1920年 : アルセーヌ・ルパンの帰還(Le retour d'Arsène Lupin:戯曲。単行本未収録)
- 1920年 : 虎の牙(Les dents du tigre:長編)
- 1923年 : 八点鐘(Les huit coups de l'horloge(時計の八時の鐘):連作短編集)
- 塔のてっぺんで(Au Sommet de la Tour)
- 水びん(La carafe d'eau)
- テレーズとジェルメーヌ(Therese et Germaine)
- 秘密をあばく映画(Le film revelateur)
- ジャン・ルイ事件(Le cas de Jean-Louis)
- 斧をもつ貴婦人(La Dame a la hache)
- 雪の上の足あと(Des pas sur la neige)
- メルキュール骨董店(Au dieu Mercure)
- 1924年 : カリオストロ伯爵夫人(La comtesse de Cagliostro:長編)
- 1927年 : 緑の目の令嬢(La demoiselle aux yeux verts:長編)
- 1927年 : 山羊皮服の男(L'homme a la peau de bique:短編)
- 1927年-1928年 : バーネット探偵社(L'agence Barnett et Cie:連作短編集)
- 水は流れる(Les gouttes qui tombent)
- ジョージ王のラブレター(La lettre d'amour du roi George)
- バカラの勝負(La partie de baccara)
- 金歯の男(L'homme aux dents d'or)
- 十二枚の株券(Les douze Africaines de Bechoux)
- 壊れた橋(The bridge that broke:英訳版のみに存在)
- 偶然が奇跡をもたらす(Le hasard fait des miracles)
- 白い手袋…白いゲートル(Gants blancs...guetres blanches...)
- ベシュ、ジム・バーネットを逮捕す(Bechoux arrete Jim Barnett)
- 1928年 : 謎の家(La demeure mystérieuse:長編)
- 1930年 : バール・イ・ヴァ荘(La barre-y-va:長編)
- 1930年 : エメラルドの指輪(Les cabochon d'emeraude:短編)
- 1932年 : 二つの微笑をもつ女(La femme aux deux sourires:長編)
- 1934年 : 特捜班ビクトール(Victor, de la brigade mondaine:長編)
- 1935年 : カリオストロの復讐(La Cagliostro se venge:長編)
- 1936年 : ペギー、新アルセーヌ・ルパンと出会う(Peggy rencontre de nouveau Arsène Lupin:ラジオドラマ、未邦訳)
- 1939年 : ルパン最後の事件(Les milliards d'Arsène Lupin(アルセーヌ・ルパンの数十億):長編)
[編集] 主な登場人物
- アルセーヌ・ルパン … 怪盗紳士
- ジュスタン・ガニマール … ルパンを追う警部
- “わたし” … ルパンの伝記作家
- エルロック・ショルメス … イギリスの探偵。住いはパーカー街219(邦訳ではシャーロック・ホームズに改変されている)
- ソニア・クリスチノフ … ロシア少女
- ビクトワール … 善良な初老の女
- フォルムリー … 予審判事
- デュドゥイ … 国家警察部部長
- ルノルマン … デュドゥイ氏の後任の国家警察部部長
- ウェベール … 国家警察部副部長
- ドン・ルイス・ペレンナ … スペイン貴族にしてフランス外人部隊の英雄
- パトリス・ベルバル … 大尉
- デマリヨン … 警視総監
- バラングレー … 首相
- テオドール・べシュ … 刑事
(複数巻に登場する人物のみ記述)
[編集] 年譜
※以下の情報には、軽いネタバレを含みます。
- 1874年、誕生。幼名ラウール。父、テオフラスト・ルパン。体育教師にして詐欺師。母、アンリエット・ダンドレジー。父親はラウールが幼い頃米国で獄死する。アンリエットは幼いラウールをつれて少女時代の学友・ドルー・スビーズ伯爵夫人の元に身を寄せる。
- 1880年、6歳。最初の事件。(女王の首飾り)
- 1893年、初めてアルセーヌ・ルパンを名乗る。(アンベール夫人の金庫) この頃、娘生まれる。
- 1894年、20歳。修道院の財宝を巡る最初の大冒険。最初の結婚。(カリオストロ伯爵夫人)
- 1894年-1899年、この頃、「奇岩城」を発見する。
- 1899年、25歳。息子ジャン誕生。最初の妻と死別。息子ジャン、誘拐される。(カリオストロ伯爵夫人) アメリカ行きの豪華客船の船上にて、ガニマール警部に逮捕される。最初の逮捕。(ルパン逮捕される)
- 1900年、最初の脱獄。(ルパンの脱獄) エルロック・ショルメとの初対決。(遅かりしシャーロック・ホームズ)
- 1900年-1901年、エルロック・ショルメとの二度目の対決。二度目の逮捕。逃亡。(金髪の美女)
- 1903年、エルロック・ショルメとの三度目の対決。(ユダヤのランプ)
- 1905年、宝冠事件。三度目の逮捕。逃亡。(ルパンの冒険)
- 1906年-1907年、部下の独走から、フランス政界の疑獄事件に巻き込まれる。(水晶の栓)
- 1907年、二度目の結婚。(ルパンの結婚)
- 1908年、三度目の結婚。エルロック・ショルメとの最後の直接対決。(奇岩城) 古代ローマの遺跡発見。(緑の目の令嬢)
- 1909年、この頃、パリにて探偵社開業。べシュ刑事との奇妙な連携で次々と事件を解決する。(バーネット探偵社)
- 1910年、「謎の家」事件。べシュ刑事との対決。(謎の家) オルタンス・ダニエル嬢と八つの冒険を行う。(八点鐘)
- 1911年、べシュ刑事の依頼でバール・イ・ヴァ荘を訪れる。(バール・イ・ヴァ荘)
- 1912年、38歳。四度目の逮捕。投獄。二度目の脱獄。イタリアにてドイツ皇帝と握手をする。直後、ティベリウスの断崖から身を投げ、自殺。が、死にきれず、ドン・ルイス・ペレンナとしてモロッコに現れ、外人部隊に入隊(813)
- 1912年-1919年この頃、モーリタニア帝国を征服し、スルタン(皇帝)に即位する。
- 1915年、第一次世界大戦。フランスの金塊の国外流出を食い止める。(金三角)
- 1917年、ブルターニュ地方の島にて、「人を生かしも殺しもする神の石」を発見する。(三十棺桶島)
- 1919年、五度目の逮捕。モーリタニア帝国スルタン退位。主権をフランスに譲渡。四度目の結婚。(虎の牙)
- 1922年、国防債権事件。(特捜班ビクトール)
- 1923年、50歳近く。息子・ジャンと思われる青年と邂逅する。(カリオストロの復讐)
[編集] ルパンとホームズと著作権
[編集] 原作者
『怪盗紳士ルパン』の中の短篇「遅かりしシャーロック・ホームズ」では、かの名探偵シャーロック・ホームズと対決させたが、コナン・ドイルの厳重な抗議にあったため、ルブランは「遅かりしシャーロック・ホームズ」を含め次の『ルパン対ホームズ』(邦題)以下一連の作品ではホームズの名前をアナグラムにした「Herlock Sholmès(フランス語の発音エルロック・ショルメ)」という別人にした。またワトスンはウィルソンという別人にした。
[編集] 日本語訳
日本では過去著作権、翻訳権に対する認識が低かったためドイル、ルブランなどの著作権者に無断で以下の翻訳行為がなされた(ただし、現在はドイル、ルブラン共に著作権保護期間は過ぎている)。
- 古くから日本の翻訳では、訳者が著作権者に無断でエルロック・ショルメ(フランス語の発音を無視しエルロック・ショルメスと翻訳)をホームズの名に替えてきた。ただしウィルソンはそのままでワトスンにはしない。現在でもこれは慣習となっていて、日本で出版されているルパンシリーズの「ショルメ」はほとんど「ホームズ」に改変されている。
- 江戸川乱歩や西村京太郎が自作の中で、明智小五郎とルパンを対決させ、冒険小説で有名な南洋一郎(池田宣政)も、自分の作品に登場させたり、少年少女向け編訳版全集に模作を紛れ込ませたりしている。
- ひょっこりひょうたん島でも、アルセーヌ・ルパンの孫の孫として「アルセーヌ・クッペパン」というキャラクターが登場した事がある。(時代的には「ルパン三世」以前であり、もちろんルパン三世の孫という設定にはなっていない)
- ドイル、ルブランの著作権保護期間が過ぎたため日本の探偵作家「芦辺拓」が真説ルパン対ホームズといった作品を発表していたり、新ルパンシリーズとして覆面作家がルパンを描いている。
[編集] 参考文献
- ジャン=クロード・ラミ 『アルセーヌ・リュパン―怪盗紳士の肖像』 大友徳明訳 ISBN 4488015107
- 和田英次郎 『怪盗ルパンの時代―ベル・エポックを謳歌した伊達男』 ISBN 4152033975
- 松村喜雄 『怪盗対名探偵―フランス・ミステリーの歴史』 ISBN 479495963X ISBN 4575658510
- 浜田知明 「解説」 『アルセーヌ・ルパン(世界の名探偵コレクション10)』 ISBN 4087485579
- 浜田知明 「解説」 『怪盗ルパン 奇巌城』 ISBN 4087520323
- 榊原晃三 「解説」 『アルセーヌ・ルパン全集 ルパン最後の事件』 ISBN 4038152502
[編集] 関連事項
[編集] 外部リンク
- ルパン荘(フランスのルブラン記念館の公式サイト。仏文&英文)
- Arsène Lupin(フランスのミステリを紹介した英文サイト内のルパンのページ。映像化リストの充実ぶりは、おそらくオンライン髄一)
- L'AIGUILLE D'OR
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