東映アニメーション
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東映アニメーション株式会社(英語表記:TOEI ANIMATION CO., LTD.) は、アニメーション制作を主体とした、映像製作・販売を主な事業内容とする日本の企業である。
種類 | 株式会社 |
市場情報 | |
本社所在地 | 178-8567 東京都練馬区東大泉二丁目10番5号 |
設立 | 1948年(昭和23年)1月23日 |
業種 | 情報・通信業 |
事業内容 | アニメーションの企画・制作、版権事業 |
代表者 | 泊懋(代表取締役会長) 高橋浩(代表取締役社長) |
資本金 | 28億6,700万円(2006月3月31日現在) |
決算期 | 3月31日 |
主要株主 | 東映株式会社(32.00%) 株式会社テレビ朝日(14.29%) 株式会社フジテレビジョン(7.14%) |
主要子会社 | 株式会社タバック 東映アニメーション音楽出版株式会社 |
外部リンク | www.toei-anim.co.jp |
特記事項: 日本動画協会正会員 練馬アニメーション協議会会員 |
目次 |
[編集] 概要・沿革
東映アニメーションの原点は日本初のカラー長編アニメーション映画『白蛇伝』の制作に始まる。
1950年代、当時の東映社長、大川博は日本においても大きな興行収益を上げていたディズニー映画のような、劇場用長編アニメーション作品の制作を日本で独自に行うことを構想しており、もとは香港からの持ち込みであった『白蛇伝』の制作をスタートさせた。当時、日本国内のアニメーション制作会社はごく少なく、長編制作の経験もほとんどなかった中で、東映は日動映画株式会社(1948年に日本動画株式会社として設立。1952年商号変更)を社員ごと買収し、東映動画株式会社(以下、東映、東映動画)が発足した。日動映画は大正時代後期より教育用映画を中心としてアニメーション制作を行っていた日本画家でアニメーターの山本善次郎(早苗)が設立した日本最初期のアニメーション制作会社で、東映は日動を買収することで、動画制作のノウハウを得ようとしていたのである。しかし、日動映画の買収だけでは大作の制作は難しく、新たにアニメーターとしての人材を幅広く採用して旧日動映画スタッフ指導の下、手慣らしとして『こねこのらくがき』など短編作品を制作した。採用された東映動画第一期生の中には大塚康生、楠部大吉郎らがいた。1957年、東京都練馬区の東映大泉撮影所内にスタジオが完成して東映動画はこの新スタジオに移転。ここに長編アニメーション制作の体制が整い、翌1958年、『白蛇伝』は無事公開された。その後、『わんぱく王子の大蛇退治』、宮崎駿などの『白蛇伝』に影響を受けたスタッフらも制作に参加した『太陽の王子 ホルスの大冒険』、『長靴をはいた猫』などの長編作品を発表し、1960年代における東映長編時代が築かれていった。
しかし、1970年代に入るとこのころ人気・制作本数ともに拡大し始めたテレビシリーズの制作におされ、長編作品の制作は縮小されていくようになる。放送局や広告代理店、出版社などにとっては大手制作会社というイメージが、安心して仕事を任せられるという印象を与えたこともあり、東映には週刊少年漫画誌原作のテレビアニメ制作の依頼が多く舞い込むようになった。制作の中心はテレビシリーズへと移り劇場作品は漫画原作の「東映まんがまつり」が中心となって東映長編時代は終焉を迎える。制作本数の増加で1973年からは韓国への制作委託を開始。海外発注の強化とともに、自社のスタジオ周辺に下請けプロダクションを増やして制作の下請け・外注化を進めた。結果として自社で抱えていたクリエーターの多くがこれらの合理化で他のプロダクションなどへと移るなどして東映を去った。
1976年から『マジンガーZ』(1972年制作)を始めとした自社制作作品の海外への売り込みを積極的に行う。特に『UFOロボ グレンダイザー』(1975年制作)、『キャンディ・キャンディ』(1976年制作)は世界各国で放送され、日本のアニメーション輸出に弾みをつけた。
1992年、フィリピンに、地元企業との合弁でEEI-TOEI ANIMATION CORPORATION(現:TOEI ANIMATION PHILS., INC. 略称:TAP)を設立。これによりコスト的には日本国内とほぼ変わらなくなった韓国に代わりフィリピンへの制作委託体制が確立した。さらに2000年、作画をペンタブレットによるデジタル作画へ移行。作画から撮影までの制作工程をデジタル化するとともに、フィリピンおよび日本国内の制作プロダクションを光ファイバー通信で結ぶ「東映アニメ製作ネットワークシステム」(略称:PRO2NET、プロツーネット)の運用を開始した。このシステムの導入により、従来自動車や航空便などで行われていた、素材の輸送にかかる時間を大幅に短縮。生産性を大幅に向上させることに成功し、テレビシリーズ・劇場作品をあわせ、業界最多クラスの制作本数を維持している。
1998年、東映動画株式会社から東映アニメーション株式会社に商号を変更した。1998年の商号変更までは一時期を除き「東映」名義でクレジット表示した。(東映はあくまでも制作協力としての表記であり、実際は東映動画制作となっている)
人材育成のため、1995年に東映アニメーション研究所を開設。ディレクター・アニメーター・美術デザイナー・CGクリエーターの研究生を募集を開始。2003年には、大泉スタジオ内(東京都練馬区東大泉)に東映アニメーションギャラリーを開館した。
東映アニメーションでは、実写映画の制作スタイルをを踏襲し、劇場作品を「長編」、テレビシリーズを劇場作品の短編と捉えて「短編」と呼ぶ。短編作品では各話の担当演出が事実上の監督であるとの考えからシリーズ全体での監督職の表記はなく、シリーズ全体の統括職を他社の監督よりも権限の弱い「シリーズディレクター」と称する。コンテ、音響演出に関しても基本的に各話の演出が担当する。他社に比べ担当演出の負担は重くなるが、そのための役職として演出助手が演出を補佐する。演出助手が制作進行(東映では「製作進行」と表記)を兼任する場合は「演助進行」と呼ばれる。演助進行の担当は作画までで、仕上、美術の各工程にはそれぞれに進行担当者が置かれる。プロデューサーに転向した演出家もおり、作品によってはプロデューサーが演出に携わるケースもある。
[編集] 大株主
2006年3月31日現在
- 東映株式会社(32.00%)
- 株式会社テレビ朝日(14.29%)
- 株式会社フジテレビジョン(7.14%)
- 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(3.87%)
- 東日本電信電話株式会社(3.71%)
- シービーエヌワイ オッペンハイマーファンド インク(2.86%)
- 東映ラボ・テック株式会社(2.50%)
- 東映ビデオ株式会社(2.50%)
- 株式会社バンダイナムコホールディングス(2.00%)
- クレディット スイス チューリッヒ(1.95%)
[編集] 主なスタッフ
[編集] プロデューサー
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[編集] 演出
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[編集] 過去の所属者
[編集] 主な作品リスト
[編集] テレビシリーズ(五十音順)
[編集] あ行
- 蒼き伝説シュート! (1993年)
- 悪魔くん (1989年)
- あさりちゃん (1982年)
- 明日のナージャ (2003年)
- アパッチ野球軍 (1971年)
- 怪 ~ayakashi~ (2006年)
- アローエンブレム グランプリの鷹 (1977年)
- 一休さん (1975年)
- 宇宙海賊キャプテンハーロック (1978年)
- エア・ギア (創立50周年記念作品 、2006年)
- エアマスター (2003年)
- SF西遊記スタージンガー (1978年)
- 狼少年ケン (1963年)
- おジャ魔女どれみシリーズ
- おジャ魔女どれみ (1999年)
- おジャ魔女どれみ♯(しゃーぷっ) (2000年)
- も~っと!おジャ魔女どれみ (2001年)
- おジャ魔女どれみドッカ~ン! (2002年)
- おジャ魔女どれみ ナ・イ・ショ (2004年)
[編集] か行
- ガイキング LEGEND OF DAIKU-MARYU (2005年)
- Kanon (2002年)
- 仮面の忍者赤影 (1987年)
- 神風怪盗ジャンヌ (1999年)
- 神様家族 (創立50周年記念作品 、2006年)
- かりあげクン (1989年)
- がんばれ元気 (1980年)
- 勝負師伝説 哲也 (2000年)
- 機甲艦隊ダイラガーXV (1982年)
- キックの鬼 (1970年)
- キャプテン・フューチャー (1978年)
- キャンディ・キャンディ (1976年)
- キューティーハニーシリーズ
- キューティーハニー (1973年)
- キューティーハニーF (1997年)
- 銀色のオリンシス (2006年)
- 銀河鉄道999 (1978年)
- きんぎょ注意報! (1991年)
- 金田一少年の事件簿 (1997年)
- キン肉マンシリーズ
- キン肉マン (1983年)
- キン肉マン・キン肉星王位争奪編 (1991年)
- キン肉マンII世 (2002年)
- Gu-Guガンモ (1984年)
- 空想科学世界ガリバーボーイ (1995年)
- ゲゲゲの鬼太郎 (第1作:1968年、第2作:1971年、第3作:1985年、第4作:1996年)
- ゲッターロボシリーズ
- ゲッターロボ (1974年)
- ゲッターロボG (1975年)
- ゲッターロボ號 (1981年)
- 原始少年リュウ (1971年)
- 剛Q超児イッキマン (1986年)
- GS(ゴーストスイパー)美神 (1993年)
- 光速電神アルベガス (1983年)
- 鋼鉄ジーグ (1975年)
- ご近所物語 (1995年)
- 金色のガッシュベル!! (2003年)
- こっちむいて!みい子 (アニメ週刊DX!みいファぷー内で放送、1998年)
[編集] さ行
- サイボーグ009 (第1期、1966年)
- 魁!!男塾
- 佐武と市捕物控 (スタジオ・ゼロ・虫プロダクションと共同制作。1968年)
- さるとびエッちゃん
- ジェッターマルス
- 地獄先生ぬ~べ~
- 少年徳川家康
- ストップ!! ひばりくん!
- スラムダンク
- 聖闘士星矢
- ゼノサーガ Xenosaga THE ANIMATION (2005年)
[編集] た行
- タイガーマスクシリーズ
- タイガーマスク
- タイガーマスク二世
- 大空魔竜ガイキング
- 超人戦隊バラタック
- 釣りバカ日誌
- デジモンシリーズ
- デジモンアドベンチャー
- デジモンアドベンチャー02
- デジモンテイマーズ
- デジモンフロンティア
- DIGITAL MONSTER X-evolution
- デジモンセイバーズ (創立50周年記念作品 、2006年)
- デビルマン
- 出ましたっ!パワパフガールズZ (創立50周年記念作品 、2006年)
- 動物のカメちゃん
- Dr.スランプシリーズ
- Dr.スランプアラレちゃん
- ドクタースランプ(ドラゴンボールGTの後番組、ワンピースの前番組。1997~1999年)
- DRAGON QUEST -ダイの大冒険-
- ドラゴンボールシリーズ
- トランスフォーマーシリーズ
- ドロロンえん魔くん
- とんがり帽子のメモル
[編集] な行
[編集] は行
- パタリロ!(後に「ぼくパタリロ!」に改題)
- ハニ太郎です(スーパーJチャンネル枠内にて放送)
- 花より男子
- バビル2世(第1作)
- 美少女戦士セーラームーンシリーズ
- ビックリマンシリーズ
- ピポパポパトルくん
- ひみつのアッコちゃん
- 貧乏姉妹物語 (創立50周年記念作品 、2006年)
- ふしぎ魔法ファンファンファーマシィー(アニメ週刊DX!みいファぷー内で放送)
- ふたりはプリキュアシリーズ
- ふたりはプリキュア
- ふたりはプリキュア Max Heart
- ふたりはプリキュア Splash Star (創立50周年記念作品 、2006年)
- ヘリタコぷーちゃん(アニメ週刊DX!みいファぷー内で放送)
- 北斗の拳(2006年の映画は、トムス・エンタテインメントが制作)
- ボボボーボ・ボーボボ
- 冒険王ビィト
[編集] ま行
- マグネロボ ガ・キーン
- まじかる☆タルるートくん
- マシュランボー
- マジンガーシリーズ
- マシンハヤブサ
- 魔法使いサリー
- まもって守護月天!
- ミクロイドS
- メイプルタウン物語
- もーれつア太郎
- ママレード・ボーイ
[編集] や行
[編集] ら行
[編集] わ行
[編集] 劇場作品(五十音順)
- アリババと40匹の盗賊 (1971年)
- 安寿と厨子王丸 (1961年)
- 宇宙円盤大戦争 (1975年)
- 劇場版AIR (2005年)
- オーディーン 光子帆船スターライト (1985年)
- 海底3万マイル (1970年)
- ガリバーの宇宙旅行 (1965年)
- サイボーグ009 (1966年)
- サイボーグ009 怪獣戦争 (1967年)
- サイボーグ009 超銀河伝説 (1980年)
- 三国志(第1部)英雄たちの夜明け (1992年)
- 三国志(第2部)長江焼ゆ! (1993年)
- 三国志(第3部)遙かなる大地 (1994年)
- FUTURE WAR 198X年 (1982年)
- 空飛ぶゆうれい船 (1969年)
- 太陽の王子 ホルスの大冒険 (1968年)
- 龍の子太郎 (1979年)
- どうぶつ宝島 (1971年)
- ドラゴンボール 最強への道 (1996年)
- 長靴三銃士 (1972年)
- 長靴をはいたネコ (1969年)
- 長靴をはいたネコ 80日間世界一周 (1976年)
- 白蛇伝 (1958年)
- 蓮如物語 (1998年)
- わんぱく王子の大蛇退治 (1963年)
- わんわん忠臣蔵 (1963年)
- CLANNAD(2007年)
[編集] 実写映画参加作品
- デビルマン - アニメ、CG担当
- キューティーハニー - アニメ、CG担当
- 男たちの大和/YAMATO - CG担当
- 最終兵器彼女 - VFX担当
[編集] ゲーム内ムービーパート
- バルトロン(1986年)
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- これがアニメビジネスだ/多田信/廣済堂出版(2002年)
[編集] 外部リンク
- 東映アニメーションによる人材育成機関
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