Privacy Policy Cookie Policy Terms and Conditions OVERMANキングゲイナー - Wikipedia

OVERMANキングゲイナー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

OVERMANキングゲイナー』(おーばーまんキングゲイナー)は、2002年9月7日から2003年3月22日までWOWOW(有料枠)で放送されたロボットアニメサンライズ製作。全26話。通称『キンゲ』。

目次

[編集] 作品概要

富野由悠季による、『∀ガンダム』以来2年半ぶりのTVアニメシリーズであり、『ブレンパワード』、『∀』と合わせ、「富野新三部作」「富野復活三部作」などとも呼ばれる。

本作の最大の特徴は、「明るく楽しい」作品だということである。かつて「皆殺しの富野」とまで言われた、次々と脇役を初め主要登場人物までも殺す陰惨な作風、或いはしばしば指摘されていた物語の難解さは影を潜め、以前に自らが手がけた『戦闘メカ ザブングル』を彷彿とさせるギャグやスラップスティックを挟んだコメディタッチの仕上がりになっており、同氏監督作品としては例外的に死人も全話を通してわずか数人しか出ない。それも直接的な描写は極めて少なく、主人公らとぶつかり合う敵役(かたきやく)であってすら人間として魅力的に描かれ、物語は敵を打ち倒すという方向ではなく、和解と協力・または妥協と共存という方向で発展して行く。富野曰く「ぬいぐるみロボットアニメ」との事である。

戦争」ではなく、「エクソダス(聖地ヤーパンへの回帰の意、詳細は後述)」をテーマにしていることも、物語の立ち位置が希望に満ちたものであることを象徴している。また、人が大量に死ぬ展開を書こうとした若い脚本家を、「もう悲惨な話はいいよ」と諭したエピソードからも、富野の心変わりが伺える。ここからは、『機動戦士ガンダム』の大ヒット以降、望まないのにガンダムの続編ばかりを作らされ続けて精神的に病んだ状態にあった富野が『ブレン』『∀』を通して再び作品製作への情熱を取り戻す過程が読み取れる。本作以降、富野は『機動戦士Ζガンダム』の映画化、『機動戦士Vガンダム』のDVD化、『リーンの翼』の映像化など、忌み嫌ってきた自らの過去作を本格的に見つめ直す作業に入っており、まさに『キングゲイナー』は富野が過去の自分自身と決別し、新たに生まれ変わるきっかけになった作品といえる。

また、『キングゲイナー』の「明るく楽しい」作風を象徴するものとして、オープニングの映像と同テーマソングがある。近年のロボットアニメを含むアニメーション作品では、オープニング・エンディング曲を単体のカバー曲として販売し易いよう、当り障りの少ないジャパン・ポップソング風にまとめたりするのが主流であるが、同作品では、現代風に洗練されてこそいるが1970-80年代ロボットアニメでは王道ともいえる「主要ロボットの名前を連呼する」といったスタイルの、いきなりイントロ部分から流れるテンポの良い主題歌の歌詞・メロディに合わせ、登場人物がミュージカル風にポーズを取ったり、作中に登場するオーバーマン(巨大ロボット)が列を成して「激しくゴーゴーダンス(モンキーダンス)を踊る」という映像で視聴者の度肝を抜き、インターネットコミュニティでも大きな話題を呼び、これのパロディFlashまで作られるほどであった。

富野作品としては珍しく作画陣が異常なまでに豪華な点も特徴で、滅茶苦茶な動き方をするドミネーターや、最終話における作画監督三人、原画40人超(それも高名なアニメーターが多数参加)、動画にスタジオジブリも参加というお祭り騒ぎなどは語り草となっている。

[編集] あらすじ


注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。


地球環境の悪化した遙かな・または案外そう遠くない未来、かつての温暖な地域は環境保全のためにのみ利用され、普通の人々は環境の取り分け厳しい辺境の地に、巨大な屋根を持つ都市「ドームポリス」を建設し、そこに暮らしている。

物語は、シベリアにあるドームポリス『ウルグスク』に住むゲームチャンプで17歳の少年、ゲイナー・サンガがある日の高校の授業中に、突然に教室に押し入ってきたシベリア鉄道警備隊のアデット・キスラーに逮捕・連行されてしまう所から始まる。容疑はドームポリスから脱出する『エクソダス(後述)』だった。

同じ頃、ウルグスクにウッブスから来たと言う流浪人らしき男が紛れ込んだ。彼の名はゲイン・ビジョウ…エクソダスの請負人である。そして彼もまたウッブスが2年前に無くなったドームポリスである事をシベリア鉄道警備隊に見破られて逮捕された。留置所の牢獄でゲイナーとゲインは出会い、牢獄から連れ立って逃走。ウルグスクの統治(といっても地方自治政権として、中央政府に支配されている)を行っているメダイユ公爵の屋敷に忍び込み、公が美術品として収蔵していた出所不明のレアなオーバーマン一機を盗み、メダイユ公の末娘である幼いアナ・メダイユ姫を誘拐する。

一方、町内会規模でエクソダスを計画する五賢人(5人からなる知識的指導者集団)と、その計画に賛同したウルグスク・ピープルらによる大規模エクソダスが、ゲインの細部計画に乗って進行中で、冬至に偽装して開始される。地域を統括するシベリア鉄道は、この従来にない大規模エクソダスや逃走したゲインとゲイナーを武力で阻止すべくドゴッゾなる歩行兵器で攻撃、派手な攻防戦すら冬至の祭とエクソダス騒ぎの中で有耶無耶となり、こうして彼等のヤーパンへのエクソダスは始まる。

[編集] 登場人物

ゲイナー・サンガ 声優野島裕史
ウルグスク・ドームポリスに生活する線の細いゲームチャンプ。両親(サンガ教授と呼ばれており、知識人であったようだ)を何者か(エクソダスの首謀者や先導者達の計画らしい)に殺され、その反動で家にひきこもり、人気ゲーム「オーバーマンバトル」で200連勝して“キング”という対戦チャンプの称号を獲得する。ちなみにゲームで負けそうな時のおまじないは、「僕は動物だ」。劇中で現実とゲームでのダブルフィールドで初代キングの称号も獲得。真面目で融通が利かず、やや内向的だが、エクソダスという大きな環境の変化を通じて様々な人々と時にぶつかり合い・時に励まされて人間的に大きく成長していく。本作の主人公の一人。
エクソダス請負人・ゲインを「強い男」として尊敬するも、彼の軽薄な言動、行動には眉をしかめる事もあり、複雑な感情を抱いている。サラ・コダマに対しては淡い恋愛感情を抱いていたが、エクソダス中にとある事情から大々的な告白を行った。コンピュータゲームで鍛えたとは言え、オーバーマン操縦には卓越した才能をもち、最高のオーバースキナーである。オーバーマン・キングゲイナーを手足のように操る、ガウリ隊所属の17歳。高校生である。
搭乗機体はキングゲイナー・ガチコ・ドーベック・オーバーデビル。オーバーデビルのオーバースキルでオーバーマン化し、自身がブラックメールのコートを着て戦った事もある。
ゲイン・ビジョウ (声優:かわのをとや
本編でのもう一人の主人公。エクソダスを成功させるための物資調達から敵対者の撃退・移動ルートの確保など、各種調整を生業とするエクソダス請負人として様々な活躍を見せ、その狙撃の腕は「黒いサザンクロス」の異名を持ち恐れられている。背を向けて逃げる相手は撃たないというルールを信条としている。元々はドームポリス・ウッブスのフェリーベ侯爵家の出(本名はシャルレ・フェリーベという雅やかな名前)だったようだが、ウッブスのエクソダスの失敗の後に家系のお取り潰しを権力機構であるロンドンIMAに受けた事からアウトロー化、かつての教育係だったママドゥを嘆かせている。ウッブスのエクソダスは恋人だったガエラとの死別、ピープル同士の殺し合い等、辛い過去があったようだ。ウッブス時代は親友のエリアル ニールセン(声優:高橋広司を相棒にしていた。エリアルはヤーパンのエクソダスを阻止し、ゲインと二人でウッブスのエクソダスを再開しようとするもリオンネッターのサイコアタックの影響か、はたまたウッブスのエクソダスが終わった事を悟った為か自殺している。
冗談めかせた言動や女性に甘い事から軽薄な印象を周囲に持たれるが、その基本部分では紳士的で義理堅く、また能力的にも優れている事から、多くの人に信頼されている。狙撃だけでなく、ナイフや格闘技も達人級の腕前のようだが、劇中、若白髪を発見されるなど三十路への入り口も迎えているようだ。シルエットマシン・ガチコを愛機としていたが、ガチコが破壊された後にオーバーマン・エンペランザ(二代目)に乗り換えた。28歳
搭乗機体はガチコ・キングゲイナー・エンペランザ。
サラ・コダマ (声優:小林愛
ウルグスク自警団のはっきりした性格の少女隊員。面倒見の良いしっかり屋だが、しばしばその「しっかりしなければ」という自負から、自分自身を追い詰める時も見られる。ゲイナーやベローとは同じ高校のクラスメイト同士で、孤児であったためピッキングなど色々と物騒な特技がある模様である。ゲイナーの事は「危うげで目が離せない少々面倒な性格のクラスメイト」程度にみなしていたが、エクソダスを通じて接する内に尊敬の入り混じった好意を持つようになる。ウルグスク自警団の正式採用シルエットマシン・パンサーに乗る。アデット・キスラーとは何かに付けて張り合うが、実は結構気が合う様子もうかがえる。苦手なものはカエル。雪国に緑色のカエルがいるかどうかは謎。17歳
搭乗機体はパンサー・キングゲイナー・ブリュンヒルデ・オーバーデビル・ジンバ。
ヒューズ・ガウリ (声優:草野徹)
ウルグスク自警団・ガウリ隊の隊長で、パンサーを駆る。設定年齢はゲインと同じ28歳。忍者マニア(?)で「ヤーパン忍法」と称して様々な怪しい技(主に体術)を見せるが、技の実用性と本人の実力は高い(実戦で初めて使った忍法で敵を倒したこともある)。ガウリ隊隊員のサラは隊長であるガウリを完璧な大人として尊敬しているが、ガウリ当人は心に大きな不安を抱えており、その心の隙を付かれて敵に操られたりしてしまう。格闘戦・接近戦が得意で暗殺者としても活動していたが、その時に負った心の傷が影を落としているようだ。物語終盤で「強い男にしか興味が無い」と豪語するアデットに熱烈に惚れられた。エクソダスを邪魔するものは何人たりとも斬ると言っており、実際エクソダス反対派であったゲイナーの両親を暗殺している。
搭乗機体はパンサー・ガチコ。
ベロー・コリッシュ (声優:大竹周作)
ウルグスク自警団・ガウリ隊隊員で普段はヤーパンの天井の先頭をとる、シルエットマンモス・バッハクロンの運転を担当し、戦闘ではシルエットマシン・パンサーにも乗る。長身で派手なリーゼントが特徴で、ゲイナーと同じ高校に通っているが浪人(もしくは留年)しており、実年齢は20歳である。同じ隊に所属する同年代のサラに好意を寄せている。ややお調子者でムードメーカー的な存在ではあるが、そのフットワークの軽さと友人に対する義理堅さで、心に深い傷を負っていたゲイナーといち早く「男の友情」を築き上げている。裏設定では五賢人の医師、ペルハァ・ペイ(声優:原川浩明)の所で働いている看護婦、エリザベス(声優:林智子)とくっついたらしい。
キャラクター的には富野総監督が手がけた作品、『重戦機エルガイム』に登場した主人公の友人でお調子者ながら友情に厚い、同じくロングリーゼントで長身のミラウー・キャオのセルフオマージュと言えよう。
搭乗機体はパンサー。
ママドゥ・アザフ (声優:西凛太朗
ドームポリス・ウッブス出身。かつてのフェリーベ公爵家お抱えの教育係で、現在はゲイナーやサラやベローらが通う高校の歴史教師をしている。エクソダスを支える一人。大柄な体格に似合わぬ激情家で、かつての教え子であるゲインの「落ちぶれた」姿を嘆いている。エクソダス中を通じて、アナ姫教育係の「リュボフ女史」と熱烈な関係になる。
ガウリ隊内では主にメカニックと新兵器開発を手掛け、作業用シルエットマシンで非戦闘活動もする。シルエットマンモス・バッハクロン内にベローと共に居ることも多い。
コナ・マダヤ (声優:本多真弓) / ナン (声優:入江純) / トゥン (声優:大林洋平)
常に先導役としてエクソダス先頭を行き、ガウリ隊パンサーやキングゲイナー・ガチコなどを整備するシルエットマンモス・バッハクロン(元々は移動整備工場)に常駐するメカニックチーム三人組。怒りっぽく、童顔で背が小さい事からゲイナー達より年下にしか見えないコナ(設定では27歳。タレントの山田花子がキャラクターのモチーフで、名前も「は」を補えばアナグラムになる)をチーフとして、のんびり・おっとりした大柄な女性のナン、器用で神経質な小男のトゥンがいる。かなり優秀なチームで、オーバーマン整備に関しても常に最良の状態を維持し続ける縁の下の力持ちである。ちなみに性格も背格好も正反対なナンとトゥンは付き合っている。
アナ・メダイユ (声優:鬼頭典子
ウルグスク・ドームポリスを統治していたメダイユ公爵家当主の末娘。エクソダスには積極的に関係し、「エクソダスをするための人質」の立場にあるが、その行動はほとんど制限されていない「名ばかりの囚われ人」である。普段はまだ幼い活発なおてんば姫として様々な事件に巻き込まれるが、その地位に相応しい礼節を重んじる教育を受けており、高貴な家名に恥じぬ聡明な判断を見せ、アスハムの非道に対し、その行いを諌めたりもしている。リンク・リンナ・リンスという三匹のペット(後述)を常に従えている。ゲインやゲイナー、その他ヤーパンエクソダスに関係する人々に対しては、友人として接する。
なおウルグスク公爵家は横暴な中央政府やシベリア鉄道に支配されているとは言え、比較的リベラルな施政もあって「芸術を愛好する温厚な名君」としてドームポリス市民に慕われている。故にアナ姫の待遇も公爵家の姫として相応しい…というより、むしろヤーパン・エクソダスのマスコット的な扱いとなっている。その政治的地位は幼いながらも、ヤーパン・エクソダスの指導者層である五賢人とほぼ対等(どちらも他を支配しようと言う意図は無いが)である。
リンク / リンナ / リンス
アナ姫の飼っているペットで「リンクス」(英語でヤマネコの意。ただし作中世界ではイタチリスを合わせたような動物として描かれている)という種類の雑食性と思われる動物。常に三匹一緒に行動している上に忙しく動き回るため、個体の区別はアナ姫を含む一部の者にしか付かない様子。尾と背中の模様の有無がそれぞれ違い、尾が白くて背が黒く、いつも半目で目付きが悪いのがリンク、尾も背も黒いのがリンナ、残りの背が白くて尾が黒いのがリンスとされているが、シーンによって若干違ったりする。性格もそれぞれ違うようである。驚いて興奮すると粗相をしてしまう事もあるが、かなり賢く言葉をある程度理解している風にも見える。寒さに強く泳ぎも上手いようで、凄まじい力を発揮する事も。
リュボフ・スメッタナ (声優:二村愛
メダイユ公爵家に雇われたアナ姫の教育係。普段は理性的でおっとりしているが、少女趣味的なところもあり、かなり惚れっぽい性格で、ゲインを巡ってチーフメカニックエンジニアのコナ・マダヤとボクシングで殴り合うという激しさも垣間見せた。どうやら知的で優しいマッチョ系が好みのようで、後に親子ほどに歳の離れたママドゥと交際するようになる。ちなみに「スメッタナ」という名前はアフレコまでは「スッメタナ」とされており、漫画版ではこちらが使われている。
ヤッサバ・ジン (声優:江川央生
古風な武人としての誇りを持つシベリア鉄道警備隊・ヤッサバ隊の隊長。剛勇の士だが幼い頃に親が自分を残してエクソダスしたのが許せず、エクソダス阻止に執念を燃やす。ただ弱きを助け強きを挫くのに吝かではなく、後に孤児で養父に虐待を受けていた辻占いの少女を助け、インド方面へエクソダスした。成功したかどうかは作中語られていないが、最終話で1シーンのみ登場し、少女とのエクソダス途上の光景が描かれた。
喜怒哀楽の表情が豊かで、物語序盤でしか活躍しないにも関わらず「豪快に笑う」「オーバーマン相手に生身で手に持った剣を突きつけ、猛烈に怒る」「戦いに負けていじける」「捕らえられ助けにきた仲間に弱音を吐く」「辻占い少女の純粋さに打たれて和む」「義憤に駆られて懲悪する」「コテンパンにやられて悔し涙を流す」「心朗らかにエクソダスする」と、作中にて最も激しい情動の変化を見せている。
この彼の激しさから、本来ではシベリア鉄道警備隊員として最後までストーリーに関わる予定だったが、あまりにもキャラが強烈過ぎて、元より線の細い主人公の存在感がかすむなど、ストーリー進行に支障が出てしまうという危惧から、富野監督の決断により途中降板のような形で退場させられてしまった。この事について、後に監督は声優の江川に謝罪したという。
戦闘スタイルは彼のイメージと裏腹に、罠を仕掛ける等の姑息でいて知的な手段も使う。
搭乗機体はラッシュロッド・ブラックメール。
アデット・キスラー (声優:林真里花
破天荒な性格の女シベリア鉄道警備隊隊員でドゴッゾに乗っていたが、ヤーパン・エクソダス阻止に失敗し、敬愛する(?)ヤッサバが行方をくらませた後に紆余曲折を経てエクソダスに参加、高校教師の職(と生徒達用の給食のパン)にありつく。シベリア鉄警隊にいた頃は知的な口調を使ったりもしていたが、何故か高校教師になった途端にその口調を使わなくなった所を見ると、エクソダス後が地で、シベリア鉄警隊ではヤッサバの前だけ猫を被っていたと思われる。エクソダス参加後はゲイナーのオーバーマン操縦センスに惚れ込み、個別指導と称して彼の家に転がり込む。
かなり荒っぽい性格だが、その実に於いて人情に厚く、シベ鉄警備隊に居たのも「不器用で女らしい仕事ができないが、それでも家族のために働きたかった」という話も。またヤーパン・エクソダスにガンガラン・ドームポリスの市民が流入した後、社会的立場が悪く、行き場の無いガンガラン・ピープルと乱闘(この時の彼女は、とても楽しそうである)した挙句に焚き付けて奮い立たせ、ガンガラン自警団(通称「アデット隊」)を創設。シベリア鉄道から「退職金の代わり」と称して大量のシルエットマシン・ドーベックを奪取して同自警団に配備し、以後赤く塗った(3倍速いかどうかは不明)ドーベックを駆って自ら隊の陣頭指揮を執った。
男勝りな性格から、かつての部下であるケジナンとエンゲは「姐さん(あねさん)」と呼び、同僚のジャボリは「お姉さま(おねえさま)」と呼んでいた所を見ると、怖い性格ながらも面倒見は良かったようだ。 「姐(ねえ)さん」という名称がとても似合う人物。一方家事全般が苦手であることを気にする女性らしい一面もある。デスネッタの不安ウェーブの影響すら少なかった彼女だが、ナメクジだけは苦手らしい。
搭乗機体はドゴッゾ・キングゲイナー・ドーベック。
ケジナン・タッド (声優:北沢洋 / エンゲ・ガム (声優:小山剛志 / ジャボリ・マリエーラ (声優:田村真紀
シベリア鉄道警備隊3人組。上にへつらい目下に厳しい・野心は大きく度胸は小さいガニ股男のケジナン(実家は農家とされる)と、いつでも楽でありたいが、少々悲観的な性格のために微妙に幸せになれないエンゲ(彼の眼帯はどうやら「だて眼帯」のようである)は常につるんで行動する事が多く、エンゲは性格的にトップに憧れていない為、主にケジナンの腰巾着をしている。二人ともロンドンから来た人間は好きでは無いようだ。稀に少女のように振舞うジャボリは玉の輿を狙うが個性的過ぎる同僚に振り回され、アスハム狙いだったもののザッキに気に入られてしまう薄幸の良識家。また警備隊員だが人を撃った事は一度も無いため、銃を扱うのは苦手。物語終盤でケジナンは「自称・シベリア鉄道副総裁」になった。(あくまでも自称である)
ケジナンの搭乗機体はドゴッゾ・ブラックメール・アンダーゴレーム・アントリオン・メックスブルート・ドーベック。エンゲの搭乗機体はドゴッゾ・アンダーゴレーム・アントリオン・ドーベック。ジャボリの搭乗機体はドゴッゾ・アンダーゴレーム・ドーベック。
アスハム・ブーン (声優:子安武人
ロンドンIMA(作中世界の中央政府?)特務隊、アスハムブーン特殊部隊隊長でセント・レーガンの若きエリート。ゲインには少なからぬ因縁があり、「妹のために」執拗に付け狙っている。ロンドンからエクソダスを止めるという名目で出張するも、エクソダス請負人・ゲインの逮捕に頓挫した後、私的な野心を秘めてシベリア鉄道警備隊の要職につく。地位を得るためなら信義も曲げ、チャンスと見るや雇い主に反旗を翻すなど、ともすれば極めて自分本位な男…だが、翻せばシスターコンプレックスというイタい側面があるとも言える。ジャボリはどうやら彼に気があるらしいが、彼の方はジャボリを「うまく扱えば便利な手駒」位にしか思っていない様子だ。シンシアに対しては一度ならず二度までも敗北し、さらに同じゴレームを使って完敗したからか、敬意を表して本人がいない場所でもシンシア殿と呼んでいる。だが、結局はジャボリ同様に自分の目的の為に使い捨てようとしていただけであった。
搭乗機体はパワーゴレーム・ゴレーム・ジンバ・ブリュンヒルデ・ドミネーター。
ザッキ・ブロンコ (声優:中村たかし)
セント・レーガン隊員の一員で、優秀なゴレーム乗り。アスハムの忠実な部下だが、同時に彼の任務に私情を挟む姿勢は軽蔑している。失敗したジャボリを「悪い子ではない」とかばうなど、やや気がある様子が伺えた。シンシアが駆るドミネーターのセント・レーガン襲撃によって、シベリアの氷の湖深くにアンダーゴレームごと沈んでしまったが、最終話で生きていたことが判明したことから察するに、ヤッサバに救助されていたとも考えられる。香水を好んでおり、長い髪を後ろで編んでいる事が特徴。
搭乗機体はゴレーム・アンダーゴレーム。
キッズ・ムント (声優:佐々木誠二
酷薄なシベリア鉄道総裁で別名「鉄道王」。己のためなら他者を踏み台にする事などなんとも思わず、また極めて享楽的な性格である。専用列車「チェルノボーグ」の専用の部屋の椅子にでんと構えてシベリア中を走り回り、敵からも部下からも恐れられている。様々な策謀を水面下で動かす政治的能力に長けていたが、人に無条件で優しくされたり親切にされる事には慣れていない「孤独な独裁者」である。カシマルはダイヤを守る事を生き甲斐にしていたが、キッズは最高速と定時刻をこよなく愛していた。
漫画版によると、セント・レーガンの諜報部を率いていた過去があったようだ。見た目に反して腕っぷしが強く、拳銃を持ったアスハムを軽くいなした。
シンシア・レーン (声優:水城レナ
本名はシンシア・ウェラ・レーン。オーバーマン乗りの少女で、キッズ・ムントの秘蔵っ子。趣味で遊ぶゲーム・オーバーマンバトルでは連続200回対戦チャンプの「クィーン」の称号を持つ。この称号は「キング」の女性版で、ゲイナーと同じ称号と思って良い。ただ、連続200回という事はその間ゲイナーとは戦ってない事を示し、ゲイナーがエクソダスの影響で、オーバーマンバトルにアクセス出来なかったり、やる暇が無かった事も示している。ゲーム内ではゲイナーに僅かに及ばないものの、卓越したオーバーセンス(オーバーマン操縦能力)を持つが、それは高いオーバーセンスを持つ家系の娘だからでもあるようだ。亡き母親が最高のオーバーマン乗りであることがシンシアの自慢でもあるが、母親の顔は写真でしか見たことがが無い。そのオーバーセンスで如何なる相手をもオーバーマン・ドミネーターの能力を駆使し、打ち倒す力を持つ。オーバーマンを使って相手を打ち倒す事と、コンピュータゲームで他プレーヤーを倒す事を同一視していたが、ゲーム仲間のゲイナーを実戦で徹底的に打ちのめしてしまい、ひどい怪我を負わせてしまったことからショックを受けた事が、物語後半で大きな役割を果たす。
棒付きキャンディやチョコレートなど、いつもお菓子を頬張っているが、いたってスリム・・・というより、かなり痩せっぽちで背も小さい(しかしそれがケジナンにはたまらなく魅力的なようである)。18歳。微乳。
マルチナ・レーン(声優:沢田敏子という、強力なオーバーセンスを持つ祖母がいる。マルチナはオーバーデビルに全身を凍らされてアガトの結晶内にいた。下半身がオーバーフリーズしている。
搭乗機体はドミネーター・ゴレーム・マッチョン・オーバーデビル・キングゲイナー。
カシマル・バーレ (声優:藤原啓治
シベリア鉄道の運行部長。鉄道のダイヤの維持の為には手段を選ばないことから「氷の運行部長」と呼ばれ、恐れられている。エクソダスをダイヤを乱すものと見なしており、旧ヤッサバ隊の隊長に赴任してその阻止のために策謀をめぐらし、大災害を引き起こしたりもしている。
男性だが女性的な物腰・言葉遣いをしていて、紫色の口紅を愛用しており、トレードマークのモヒカンもまた紫である。ヘルメットもモヒカンが出るようなものを使用しているあたり、そのこだわりは本物のようだ。また健全な男女交際が怖気がするほどに嫌いであるなど、見た目・行動・性格・嗜好のいずれにおいても、かなりアブノーマルである。設定年齢39歳。最期は(ゲインと)エンペランザの十字砲火により惨死。作品中で死が描かれた数少ない人物である。
搭乗機体はアントリオン・プラネッタ・デスネッタ・リオンネッター。

[編集] 用語

エクソダス
旧約聖書の一つ、出エジプト記が原案。この物語世界に於いては、かつて人が居住した温暖な地域への移動(脱出)と移住を意味するが、その行為は最悪の場合、死を以って償わされる重大犯罪である。
目的地となる温暖な地域は環境保全の目的により一般人の立ち入りが厳しく制限されている。しかし当初こそは脆弱な自然環境を保護するために必要だったこれらの措置も、物語の時代では充分に自然は回復していると考えられており、行政府側の一方的な理由(官僚主義的な利益集約システム維持のため)ためだけに存続している状況で、ドームポリスに生活するピープルたちのフラストレーションは増大の一途を辿っている。
過去に人口の集中していた住みよく環境の優れた土地は、環境保全のために農業畜産漁業などの食糧生産のためのみに利用させており、普通の人々は住むことは出来ない。その保全地域の大半は自然環境を維持するための緑化地域として手付かずの状態にされているようであるが、作中では人々の口に出るだけで、映像としてこの緑化地域が出ることは無い。
作中では軽めの印象があるが、それは比較的衣・食・住と恵まれた環境にあるゲイナーに焦点が当たっているからで、1日に配給のパンしか食べられない人や生活の為に電化製品を売って生計を立てている子供やエクソダスを諦めて途中でリタイヤした人、戦闘に参加していないのに負傷した人やエクソダスに参加する気が無かったのに気づいたら参加していた人等、エクソダスという行為自体は正義でも無ければ単純でも無い。
ドームポリス
人が生きるのに適さない苛酷な環境の土地に人々を住まわせるため建造された都市国家。都市ユニットと呼ばれる巨大建築物の集合体で、周囲の厳しい自然環境から住環境を守るために「巨大な屋根=ドーム」を持っている。世界各地の極限環境に複数点在している。かつての氷雪地域・永久凍土地帯・砂漠地帯に存在しており、この中で多くの人たちが社会を形成、生活している。
長い年月を経て巨大建築物(都市ユニット)には増築や改築で、様々な個人住宅等の住居設備が追加されており、ゲイナーの住む家も、都市ユニット壁面に貼り付くような形で建てられているため、エクソダスの際には窓が壊れて吹きっ晒しになってしまったようだ。
ピープル
ドームポリスに生活する市民をこう呼ぶ。アウトロー生活の長いゲインに言わせると「(飼い慣らされた)家畜みたい」な存在だそうだ。
オーバーマンバトル
世界中のゲーマーがプレイしているオンライン3Dロボ対戦アクションゲーム。家庭用とアーケード用があり、両者間で対戦する事も可能である。漫画版での表記は「OVERMAN ARENA」。ゲームシステムは両手の武器、自機の色等はある程度カスタイマイズ出来るようだ。ゲイナーがオーバースキルという現象について疎かった事から、ゲームの中のオーバーマンは両手に武器を持った自由に空を飛べるロボット程度の認識である。ゲイナー機は緑色のオーバーマンで、右手の近接武器で止めを刺すシーンが印象的である。シンシア機はピンク色の機体で、彼女もまた右腕に近接武器を装備している。
エクソダスを開始する日の午前6時、ゲイナーはシンシアとの対戦で勝利して連続200回対戦チャンプの男性用称号「キング」を手にしている。シンシアはドームポリス・カテズのゲームセンターで連続200回対戦チャンプの女性用称号「クイーン」を手にしている。シンシアほどの腕前のプレイヤーがクイーンを手に入れるのに時間がかかったのは、ゲイナーに挑戦して負ける事で連続勝利記録を何度もリセットしたからであろう。オンラインゲームなのでしっかりした回線が必要な為、ゲイナーはエクソダス中はドームポリスに立ち寄った時以外にゲームする機会が無かったのだ。
漫画版のオーバーマンアリーナの方は、ランキング10位以内のプレイヤーには賞金が出る仕組みになっており、ゲイナーはその賞金と大会優勝の賞金を生活費にしていた。噂ではゲームの開発はシベリア鉄道公社で、腕の良いプレイヤーを鉄道警備員が攫って行くと囁かれている。事実、ゲームチャンプであるという事はシベリア鉄道からマークされるという事であるようだ。
このゲームにはチャットシステムが存在しており、複数のプレイヤーとコミカルな絵で視覚的な感情表現をしながら会話を楽しむ事が出来る。ちなみにゲイナーのキャラクターは何故かマンボウである。
1対1の対戦以外にも、複数対一人や複数対複数。一人用のオフラインモードもあり、スコアアタックも楽しめるようだ。ゲイナーはブリュンヒルデ戦の後ブリュンヒルデの攻撃と似たようなステージで練習したりしていた。

[編集] 地名

ウルグスク
旧ヤーパン地域の住人が移住したが、物語の時代では文化面でや人種的に混在が進み、ほぼ無国籍化している。しかしヤーパン地域への帰還願望は根強く残されている。
ヤーパン
かつての日本地域を指しているとされる。劇中描かれるエクソダスの目的地。ウルグスクのピープルの間では、ヤーパンの伝統と称して、忍者(忍法)、エキデン(駅伝)、大衆食堂など(しばしば勘違いされた)日本の風物が流行っているようだ。
リマンメガロポリス
シベリア鉄道本社があり、物語終盤の対オーバーデビル戦で舞台となった。世界中の鉄道網に接続されており、北半球でも屈指の大都会である。
ポリチェフ
領主ピルウィッツ公がジンバというオーバーマンを所有しているドームポリス。交易が盛んであるが、裏ではシベリア鉄道から盗んだ品物を売っていたようだ。ヤーパンの天井に触発されたピープルがエクソダスを計画したが、アスハムの乗るジンバ一機にエクソダスは阻止された。
ガンガラン
シベリア地域でも交通の要所として、規模はやや小さいながらも栄えているドームポリス。南の広場に大きな日時計があり、そこはカップルの待ち合わせの場所だったり、クイズの3問目が置いてあったりするようだ。
ヤーパンエクソダス阻止を行おうとしたカシマルの作戦により、マグマ流出で大被害を被ったように見せかけられた。真実は火山の影響に見せかけてガンガランの電気・水道等の施設を破壊。それによりガンガラン市民は難民となり、被災地域のピープル達は成り行き的にヤーパンエクソダスに参加する。実質カシマルに破壊されたドームポリスだが、カシマルに言わせればエクソダスを始めてダイヤを乱したヤーパンの天井が悪いのだろう。
後にアデットの奮闘により、最新シルエットマシン・ドーベックを所有する独自の自警団組織、アデット隊を持つようになった。
ガンガランピープルがエクソダスに参加した後、マスコミはガンガランピープルの真実を報道せず、ガンガランの難民の半数が殺され、半数がヤーパンの人質になっていると嘘の報道をした。
ロンドン
大都会。世界の中心クラスの発言力と戦力があるようだ。
ウッブス
ゲイン、ママドゥ、エリアル、ガエラの出身地で、ウルグスクとは正反対の砂漠。4人全員が色黒である所を見るに、紫外線が強い事は間違いないだろう。エクソダスを決行するも多数のゴレームに阻まれて失敗、残ったピープルも身内で殺し合いを始めてしまった。領主のフェリーベ侯爵家はお取り潰しになっている。ドームポリス・ウッブスはゲインがウルグスクに来る2年前に無くなっているようだ。
ベールド
ゲインがガチコの左腕を買ったアンダーマーケットがある場所。

[編集] メカニック

シルエットマシン
作中世界の基本的な乗用装置の総称。架空のテクノロジーであるシルエットエンジンによって稼働する。動力(エンジン)と外装(シルエット)が一体化された機械装置として描かれる。その原型はドームポリス建造時代に遡り、現代の自動車と同じような感覚で使用されている。
人型をしていたり足の生えた乗物(「ホロ付き軽トラ」のような庶民の足レベルで社会に浸透している)が登場する一方で、球形バルーンタイヤを履いた自動車やスクーターも登場するが、これらもシルエットマシンの一種で、自動的にタイヤを変形させる事で、ぬかるんだ泥道を疾走したり階段を上るなど、かなりの悪路でも走破出来る能力を持つ。
これらシルエットマシンはドームポリスの市民生活に必要不可欠な要素となっており、凍結したツンドラ地帯などの苛酷な環境下で人間が生活するために利用されている。
市民生活には欠かせない物では在るが、その一方で凶悪な武器を搭載した兵器としてのシルエットマシンも存在する。外装がそのまま動力(動力源+駆動系)になっているため、例え胴体を真っ二つにされても、上半身だけで歩き回るという、何ともしぶとい機械である。
アニメでも漫画でも描写されてる事だが、シルエットエンジンは熱をもっており暖かいらしい。だが、流石にキングゲイナーがシベリアの凍土を水にしてしまうのはエンジンの熱としても桁外れの事象だったようだ。
オーバーマンはスーパーロボットとしてデザインされ、シルエットマシンはそれに対するリアルロボットとしてデザインされた。
シルエットマンモス
現実世界でのビル程の大きさのある巨大シルエットマシン。調査、土木工事、通信などの目的で建造された物で武装はもたない。劇中ではエクソダスのための都市ユニットの牽引に用いられた。
都市ユニット
ドーム都市を構成する構造体で、超高層ビル並みの建築物だが、ドームポリス天井を支えている。
ヤーパン・エクソダスで牽引中の物は、「ヤーパンの天井」とも呼ばれる。
このユニットも、かつては大工業地帯で建造され、長距離を運搬するために古い型の超大型シルエットエンジンで自重を支える能力を持っており、ヤーパン・エクソダスではこのシルエットエンジンを稼動させて地面との摩擦を軽減させ、その都市ユニットをシルエットマンモスで牽引するという方法を行っているが、広義ではこの都市ユニットもシルエットマシンの一種と言えるだろう。都市ユニットはその上部で太陽光発電を行う機能があるほか、天気の良い時には市民公園としても利用されているようだ。
オーバーマン
基本的な動力理論はシルエットマシンと同系統の発展技術を使っていたものの、その数倍の性能を持つ。外装と動力が一体化されたシルエットマシンとは違い、人工筋肉と呼ぶべきマッスルエンジンで駆動している。その基本構造は動物のそれに酷似しており、骨格と筋肉・神経系を持っており、またそれらを覆う皮膚や専用の「衣服(オーバーコート)」すら存在する。オーバーコートは増加装甲としてだけではなく、オプション装備としても利用される。燃料については謎だが、劇中ではリキュールと呼ばれる液体を補充しているようだ。リキュールが燃料なのかは不明だが、オーバーマンを動かす上で欠かすことの出来ないモノなのだろう。
またオーバーマンはその駆動に際し、フォトンマットと呼ばれる高エネルギーを放出(半ば質量を持ったエネルギー放射)しており、このフォトンマット放出を自在にコントロールする事で飛行・慣性制御と防御・攻撃を行う事も出来る。またこれはしばしばフライングリングと呼ばれる光輪を形成し、天使の輪や仏像の光背(後光)のようにも見える。
なおオーバーマン起動時にはシルエットエンジンを動作させるのと同系統のエネルギーを周囲に大量放出するため、シルエットエンジン側が動作できなくなってしまう「起動干渉」とよばれる現象が発生する。
オーバースキル
オーバーマンが持つ特殊能力。オーバーマンの機種によって多様な能力があるが、その一部はオーバーコートに依存しており、他のオーバーマンのコートを着ることによりそのオーバースキルを利用できる。単体でオーバースキルを発揮する物もあるが、オーバーコート使用でその能力を数倍にもできるようだ。ちなみに違法行為である。
サイコオーバーマン
心を読む、心理状態を変化させるなど精神に関するオーバースキルをもつオーバーマンの総称。
アーリーオーバーマン
古いオーバーマンには人間のそれとは異質な意思を持つ物があり、この意思がしばしば搭乗者との衝突を招く事もあるようだ。アーリーオーバーマンの場合は、単なる乗物としては不適切な程の自立性が在ると同時に、人間の感情に反応し易い。また現在のオーバーマンよりも遥かに扱い難い高性能の存在として扱われている。
オーバーデビル
アーリーオーバーマン同様に人間のそれとは全く異質な意思を有し、人間の欲望や葛藤に敏感に反応する性質を持つ。過剰性能から周囲に災厄を招き、制御・抑制不能な状態(暴走)する事も多く、その扱いは注意を要する。暴走したオーバーデビルはその高い基本性能もあって、災害しか巻き起こさない。
オーバーセンス
オーバーマンの操縦者のオーバーマンへの適性。シンシア・レーンのように特に高いオーバーセンスを持つ者はオーバーマンの潜在能力を引出し、他の者の操縦時とはまるで別の機体のような戦闘力を発揮させる。生まれ付いての才能に拠る所が大きく、シンシアのようなエリートや、ゲイナーのようなアマチュアといった、かなり偏った人に強く現れる性質のようで、またオーバーマンの機種によっても求められる適正が違うようだ。
ただ余りに適性があり過ぎると、ジンバに乗ったアスハムや、オーバーフリーズ習得後のキングゲイナーに乗ったゲイナーのように、オーバーマンの性能に心を奪われる危険性も伴う。
オーバーフリーズ
オーバーデビルの系統に見られる「何でも凍結してしまう力」。その威力は生命活動すら凍結させ、解凍後に復元させたり、「良心」や「愛情」といった無形の物だけを選択的に凍り付かせてしまえるという、一般の凍結とは異なる性質も見られる。

[編集] 組織

ロンドンIMA(- イマ)
IMAとはInternational Monitoring Agencyの略で、国際監視機構を意味する。ロンドンに本拠地があるためこのように呼ばれる。建前上はドームポリス間の争いをおさめるための組織だが、実際には大きな権力を持つ世界政府のような存在。
セントレーガン
ロンドンIMA傘下の戦闘組織。ゴレームシリーズのオーバーマンを主戦力とする。
シベリア鉄道公社
シベリア一帯の鉄道路線を運営・管理する巨大組織。ドームポリスへの食糧・資源の供給を握るとともにロンドンIMAとも深いつながりがある。そのためドームポリスの政治・経済に対して大きな影響力をもち、実質的にシベリアを支配しているとも言える。最近ではロンドンIMAとの関係は微妙になっているようだ。公社のトップは総裁と呼ばれ現在はキッズ・ムントが就いている。本社の所在地リマン・メガロポリスにはアガトの結晶と呼ばれる涙滴型の巨大構造物がある。
シベリア鉄道警備隊
シベリア鉄道公社傘下の武装組織。公社の権力を背景に乱暴な行いが多く、ゲインによると法的には警察権はないらしいが、実際には市民の逮捕・拘束なども当然のように行っていた。他に賄賂など私腹を肥やすための行為も横行しており、そのためピープルからは公社ともども「シベ鉄」と呼ばれて蔑まれている。
また、サイコオーバーマンを始め特殊なオーバースキルをもつオーバーマンを多数所有し、周囲への威圧に頻繁に利用している模様だ。

[編集] オーバーマンとシルエット・マシン

[編集] オーバーマン

キングゲイナー
ドームポリス・ウルグスク領主であるメダイユ侯爵家の屋敷にコレクションとして保管されていた超高性能オーバーマン。その特徴は髪の毛のような頭部パーツと、顔面にある3対の線であり、戦いの中で表情があるかのようにころころその形状を変える。敵からは「髪の毛のあるオーバーマン」「白銀色のオーバーマン」「ヤーパンのオーバーマン」等と呼ばれたが、リオンネッター戦からは敵側もキングゲイナーというコードネームを知るようになったようだ。その出自・能力共に謎が多いが極めて汎用性が高い、アーリーオーバーマンの特性を持つオーバーマンであり、オーバーデビルの眷属である可能性も持つ。起動者ゲイナー・サンガによって「キングゲイナー」のコードネームを与えられる。
「加速」のオーバースキルを持ち超高速戦闘が可能で、ゲイナーの操縦センスとその能力の向上とに相俟って戦果を重ね、数々の危機を切り抜ける。フライングリングを使った攻撃・防御も得意としている。武装は銃としてだけでなくチェーンソーのように刃を回転させて対象を切り裂く斬撃装備としても使用可能な「チェーンガン(雑誌や劇中でも【チェンガン・チェーンガン・チェインガン】と3種類ほど呼ばれ方があり、統一されていない。ここではアニメ版で一番よく呼ばれたチェーンガンを採用する)」と呼ばれる武器を持ち、他にも短剣として使用する「ピン」・ポシェットから取り出して投げ、前方に大量の爆弾をバラまく「散弾手投げ弾」・チェーンガンに装填して使う「オーバーフリーズバレット」等を装備する。防具としてコクピットを守るブラジャーという装甲を装備している。左胸に3つチェーンガン用の予備の弾があり、硬質な素材で出来ているようだ。他にも、ゲイナーの発言を聞くにブラジャーにはフォトンマットの出力を高める効果もあるようだ。
一度だけオーバーマンブラックメールのコートを着用し、姿を消すオーバースキルを身につけた事もあった。
高機動型であるため防御力は他オーバーマンと比較して高いとは言えないが、その基本性能の高さから来る柔軟性は特筆に価し、兵器としてだけではなく、およそ人間に可能な仕事(当然、「オーバーマンサイズで」だが)はこなせるようで、サラ・コダマはエクソダスが成功した暁には、キングゲイナーに「畑を耕させる」つもりのようだ。
それぞれの武装及び弾薬は左腿にあるポシェットという袋(一種の「四次元ポケット」のような機能がある)の中にスペアがあり、オーバーセンス完全覚醒後のオーバーデビルを相手にチェーンガン二刀流の他、真のキングゲイナーのオーバースキル「オーバーフリーズ」、更には全く逆の効果を持つ「オーバーヒート」を発揮した。オーバーデビルと同質の存在、もしくは対オーバーデビル用オーバーマンとして開発されたのかもしれない。
キングゲイナーは数種類の技を持っている。チェーンガンにフォトンマットの影響を与えるチェーンマット(ラッシュロッド戦や漫画版ゴレーム戦等で使用)・オーバーマルチキック(ゲームでもゲイナーが使っていた技らしい。相手の背後をとって蹴りを叩き込む。ラッシュロッド戦で使用)・真っ向唐竹割り(高速のオーバースキルで敵の周囲を残像を残しつつ高速移動。隙を突いて縦方向に斬りつける技)・ニンポウカラテ(変幻自在の体術、脚技。ゲイナーがキングゲイナーに教育した技である)・チェーンガン二刀流・背負い投げなどの体術、剣術も使う。また、フォトンマット最大出力による広範囲攻撃やフォトンマットを使ったフォトンバリヤー等、他のオーバーマンに比べても多彩なフォトンマット技も持つ。
オーバースキルは様々な形で発動している。操縦者が周囲の動きがゆっくりに思えて、その中で自分だけ素早く動けるオーバースキル・チェーンガンが長い緑色のレーザーブレードのようになってパワーアップするスキル(これはチェーンマットなのかもしれない)・肩のマッスルエンジンを奪われても腕を動かせたり、腕にはまったディスクハープンを破る程マッスルエンジンがパワーアップするオーバースキル・プラズマ干渉(これもフォトンマット技の一種かもしれない)・コールドガード(キングコールドという冷却技を防御用に使ったオーバースキル。マグマすら凍らせる事が出来るが、機体の消耗が激しいようだ)・オーバーフリーズ(キングコールドは、もしかしたらオーバーフリーズの事だったのかもしれない。発動前に周囲のシルエットエンジンからエネルギーを奪い取り、天候を操作してオーバーフリーズを使う等の芸当も見せる。)・オーバーヒートと、他のオーバーマンに比べてもやはり多彩である。また、ブラックメールのコートを装備してオーバーステルスを発動した事も例外的にだがある。同じような例外で、エンゲのアントリオンから奪ったドリルビットで「掘削」のオーバースキルを発動した事もある。
ラッシュロッド
シベリア鉄道警備隊隊長ヤッサバ・ジンの駆る、シベリア鉄道警備隊の看板オーバーマン。「ベロウズ」と呼称される鞴に似た形状の手持ち式超高熱火炎放射器を武器として使う。又両手の付け根に2連装ロケットランチャーを各2門・計4門装備する。キングゲイナーとの戦闘でガチコに頭部を破壊され、リミッターの解除によるオーバースキルの使用を余儀なくされた。
漫画版ではオーバーミラーという全く別のオーバースキルを使用する。
オーバースキルは「時間停止」で、対象物に対して手をかざして光るエネルギー体(劇中では「ストップビーム」と呼称)を投射する事で、その物体に付随する時間経過を止めることができる。その効果は絶大で、飛来する弾丸はなおの事、雪崩や嵐などの気象現象すら止められるが、頭部の信号機に似た部位を破壊されるとその能力は解除されてしまう。また、時間停止の解除も自由にできる。対キングゲイナー戦の2回目に於いて破壊されてしまい、オーバーコートは回収され、本体は分解されてキングゲイナーの補修部品へと変貌してしまった。
ラッシュロッド(ストップコート装着後)
ラッシュロッドにオプション装備の「ストップコート」を装着させたもの。ストップコートは時間停止のオーバースキルを強化するもので、マント状の部分の裏面からエネルギー体を放ち広範囲の時間を止められる。しかし、ストップエネルギーは無尽蔵なワケでは無く、1号ユニット全体の時間を停止するので精一杯だったようだ。
ブラックメール
ヤッサバが囚われた後のシべ鉄に配備された、頭頂部に突き出た目玉状の部位が特徴的なオーバーマン。「ブラックコート」と呼ばれるオーバーコートを装着する事で「透明化」のオーバースキルを発動する。ケジナンが受領した機体ではあるが、ヤッサバに金でつられた挙句強奪された。ヤッサバはこれを使ってヤーパン・エクソダス全体を危機に陥れたものの、ゲインの策略によりガウリ隊ほか市民有志らの集中砲火を浴びて大破。オーバーコートは改修・修復され、後にユニット起し作戦に於いてキングゲイナーが着用した。その際、ブラックメールの目玉状の部位をキングゲイナーが着用したが、これは飽くまでキングゲイナーにとって大きすぎる当オーバーコートのサイズを合わせるためのものであり、透明化は頭から背中そして腰のあたりまで覆った部分で行われる(つまりこれが「ブラックコート」)。
対オーバーデビル戦に於いて、オーバーデビルがオーバーコートを実体化させゲイナーに着用させた。
ジンバ
アスハム・ブーンがドームポリス「ポリチェフ」の領主ピルウィッツ公から事実上強奪したオーバーマンで、単機でポリチェフ住民のエクソダスを阻止した。「窃盗」のオーバースキルを持ち、大小構わず如何なるものも盗むことが可能である。盗むだけが能力ではなく、脚部に2本の対オーバーマン用のカッターを装備しており、それを用いた高速格闘能力も備えている。しかし、アスハムは盗むことに熱中してしまい、それをゲインに見透かされ腕を失って撤退した。
暴走したオーバーデビルとの戦いの際、別型の機体が出現。フリーズしたサラが搭乗し、アデット専用ドーベックと死闘を繰り広げたが技量の差とゴレームの乱入でアデットに戦局を傾けられ、オーバースキルを保っておくための「袋」を破壊され撃破されている。これは果たしてジンバその物だったのか、それとも実体化したオーバーデビルの持つイメージだったのかは不明である。
アンダーゴレーム
ロンドンIMAの特務部隊、セントレーガン所属の量産型オーバーマンで、ゴレーム(後述)の一般兵用の機体。仏像型オーバーマンとも呼ばれる。2体1組で敵を挟み込む事で(対角線上のみでなく、斜めでも良い)「衝撃」のオーバースキル・通称「マッハバンドシェイカー」や、2体で衝撃のオーバースキルを球体にして飛ばし、電撃をまとったアンダースティックで跳ね返して敵に当てる火焔弾攻撃、数体で協力することで可能になる「リモート・フィスト」を発動させる。他にも指をミサイルとして飛ばしたり、手を有線で伸ばしての格闘や左手に大型の3連マシンガン(腰に取り付け可能)を持つ。この武器には右手で持つ伸縮自在の棍棒、アンダースティックが装着されている。アンダースティックは伸ばしている時の耐久力は無いものの、チェーンガン程度のサイズの時なら電撃を流す事が出来、この時はチェーンガンと鍔迫り合いをする事やアンダーゴレームのオーバースキルで作り出した火炎弾を跳ね返す事も出来るので白兵戦用の武器としては申し分ない性能を誇る。また、この三連マシンガンは盾としても使っているようだが、数発のチェーンガンの弾で破壊される程度の耐久力しかないようだ。さらに右手には小銃を持つが、キングゲイナーのフォトンバリヤーに阻まれてダメージを与えられない程度の威力であるようだ。しかし、シルエットエンジン・カーゴを大破させる程度の威力は持っているようである。このように豊富な武装を持ち、特別なオーバーマンの操縦スキルを持たない一般兵でも扱い易い機体になっている。反面、機体性能に頼りがちとなる事から、優秀なパイロットが育ち難いようでもある。
ザッキ機は機体を赤くして氷に潜ったりもしたが、これはマッスルエンジンを無理矢理オーバーヒートさせてマッスルエンジンの熱で氷を溶かしながら潜ったものと思われる。
ゴレーム
セント・レーガンの伝統的なオーバーマン。「機体硬化」のオーバースキルを持ち、アンダーゴレームと同じ火炎弾攻撃も使用可能。パワーコートを装着する事でパワーゴレームとなる。
近接格闘性能に優れていて、中~遠距離の戦闘もこなす。ただ、あまりに防御力が高過ぎる事から搭乗者の慢心を招き易い問題も見られる。特徴は頭部にある赤い4つ眼で、ゴレームのカメラはそれだけである。キングゲイナーも頭部カメラを封じられた際に視界が0になった所を見るに、頭部に「だけ」カメラを設置するのがこの世界の基本のようだ。また、自動操縦機能も搭載している。
アンダーゴレームよりは汎用性に欠けるものの、機銃系統のオプション装備が豊富である。2丁ある片手用の小銃とディスクハープンというオレンジ色のチャクラム型武器が代表格で、ディスクハープンはオーバースキルではないのだろうか?と思うほど自由かつトリッキーな武器である。大量に小型のディスクを放つ・トゲを出して斬撃能力を高める・大型化する・相手の腕にはめて締め付ける等、操縦者のセンス次第で多くの戦法があるオプションのようだ。大型化した時のディスクハープンは白兵戦用武器としても使っていたが、オーバースキルで強化されたチェーンガンに真っ二つにされてしまった。キングゲイナーが真っ二つになった大型ディスクハープンをゴレームに向かって投げた所、ゴレームの腕が切断されたので実はかなりの性能を持つようだ。常時携帯している武装では無いが、この2つの他に両手持ちのライフルも使う。
アスハム・ブーンとザッキ・ブロンコが指揮するエクソダス阻止・ゲイン奪還の為に編成された特別任務部隊に配備された複数機があったが、その全てがシンシアの操るドミネーターにより撃破された。又、対オーバーデビル戦に於いてシベリア鉄道詰問の目的で動いていた別働隊が大量投入し戦闘を繰り広げたが、それらも1機を残してオーバーフリーズを受け大破している。
パワーゴレーム
ゴレームのパワーコート装着型。オーバースキルは「怪力」で、高層ビル程の都市ユニットを放り投げるという荒業を見せた。さらに異常に高い防御力のため、パンサー隊の集中攻撃を無視し続けたほどである。しかし初めてキングゲイナーに対峙した際、素体となっているゴレームの機動力・格闘戦能力に支障をきたすことが理由でパワーコートは脱ぎ捨てられた。作中の登場に関しては、この時が最初で最後である。
ブリュンヒルデ
「ミイヤの街」と呼ばれた太古の遺跡(巨石群)の中心部で長い間眠り続けていた竜に似た姿をしたオーバーマンで、「(伝説の)彷徨えるオーバーマン」の異名を持つ。最初のエクソダスを行ったとされる初代ミイヤと深い関係がある「アーリーオーバーマン」で、大中小と3対計6本の腕を持つがうち一本が失われている。「重力」のオーバースキルを持ち、腹部にブラックホール状のようなものを発生させて周囲のあらゆる物体を吸収する能力を有する。また頭部から「ブリュンビーム」という破壊力の強い光線を発射する。吸収したものを別の場所に移動、出現させるためのホワイトホールのようなものを発生させる事もできるらしい。
ちなみにゲインの駆るシルエットマシン・ガチコの左腕に取り付けられている太い腕はこのブリュンヒルデのもので、デスネッタの襲撃によりガチコが大破した際にも左腕は無傷で残り、後にゲインが乗り込む事になるオーバーマン・エンペランザにもこの腕はそのまま付けられた。
ブリュンヒルデは一度、自身の強力な力によって作中世界から姿を消したが、終盤に於いてオーバーデビルの暴走に呼応する形で再出現、オーバーデビルとの一騎打ちの末に、オーバーフリーズの直撃を受け完全に消滅した。
アントリオン
本来は地下鉄掘削用に用いられる、四肢のみにオーバースキルを持つ作業用のセミ・オーバーマン(シルエットマシンとオーバーマンの中間のような機体)。そもそも戦闘用で無い為、特筆すべき戦闘能力や銃火気等は持っていないようが、その「掘削」のオーバースキルを生かした自由自在の地中移動能力を誇る。掘った土は後部から排出されるようだ。又、地盤を緩めたり地場に干渉したりする事も可能。マグマの中でも活動可能な程の耐熱性能も有する。独自の武装としては四肢から発射されるドリルビットと4本の腕につけられた8本の爪がある。体当たりの速度は中々のものであった。また、ドリルビットは単体でもオーバースキルを発動出来るようで、キングゲイナーはエンゲ機から奪った2つのドリルビットでオーバースキルを発動。1つを投げて脱出用の横穴作りに使用し、もう1つは手に持って脱出地点までの縦穴を掘るのに使った。
数少ない戦闘への参加としてはドームポリス・ガンガランの地下で、カシマル・バーレの指揮の元、ケジナン、エンゲの3機でキングゲイナーと地下で交戦したことが挙げられる。
メックスブルート
ケジナンがシベリア鉄道より受領したオーバーマン。
搭乗者のイマジネーションを直接的に幻影として映し出すオーバースキルを持ち、ほぼ無制限に幻影を映し出すことが可能である。また、幻影のはずなのに攻撃されると消えるという不思議な特性を持つ事も特徴である。幻影は広範囲に複雑なものも出せるようだが、メックスブルートからある程度離れると消えてしまうようだ。アデット・キスラーをその幻影で追い詰めたものの、超高速戦闘を得意とするキングゲイナーとゲイナーとにより、無数に投影した幻影を、その発生速度を上回って高速で撃破させられ、幻影の過剰出力を行ってオーバースキルが機能停止した。最後は、本体を暴かれてキングゲイナーによって一瞬の内にバラバラにされ大破した。
武装は緑色の光線を発射する攻撃だけで、ドーベックの上部装甲に防がれる程度の威力であり、これらの武装が貧弱なのはオーバースキルの凄さと反比例しているとも考えられる。
プラネッタ
カシマル・バーレの受領したオーバーマン。
人の心の内を探り出し、周囲にその意思を放出させる特殊なオーバースキルを持つ。そのオーバースキルを広範囲に発動させ、広範囲の人々を混乱させることを得意とするが、攻撃力その物はそれほど高いとは言えず近~中距離攻撃用の電気兵器干渉用(ゲイナーは電磁干渉鞭と呼称)を装備するのみである。鞭一発一発の威力は大したこと無いようだが、数をくらってしまった事と攻撃を回避出来なかった事からキングゲイナーの脚部装甲の破壊、ダメージ蓄積による機能麻痺を引き起こせてはいる。攻撃の先読みを可能とするオーバースキルにより相手の攻撃が当たらない事から、ほぼ無敵とも言える能力を持っていた。使い方さえ間違えなければ、メックスブルートとプラネッタは無敵だったのかもしれない。
カシマルがヤーパン・エクソダスの集団にオーバースキルで攻撃をかけた際、そのオーバースキルを利用してキングゲイナーとガチコを執拗に追い詰めたが、ゲイナーに「どんな事を考えていても読取られてしまう」というオーバースキルのシステムを逆に利用され、カシマル本人の大嫌い(それこそ身悶えするほどに嫌いだった模様である)な「極めて人間臭い話」を聞かされることとなり、当人がこの「攻撃」をオーバースキルを停止して回避したため、その隙をゲインに奪われてプラネッタは大破・カシマルは辛くも脱出した。
後にオーバーデビル(ゲイナー)の暴走を止めるため、エンペランザがこのオーバースキルを逆転させ使用しようとしてオーバーコートを着用したが、プラネッタ専用コート故に電気兵器干渉用鞭は作動しなかった模様である。
また、プラネッタの操縦席は単独飛行が可能な脱出ポッドにもなっており、キングゲイナーに左手と右足を切り取られて中破した後は煙幕を巻きながら脱出した。
プラネッタ、デスネッタ、リオンネッターは、人間の精神・感覚に影響するオーバースキルを持つことから「サイコ・オーバーマン」と呼ばれることもある。
デスネッタ
カシマル・バーレのオーバーマン。プラネッタ大破後に受領したもので、精神的攻撃により人を不安にさせるという、なかなかえげつないオーバースキル、不安ウェーブを持つ。
通常は分離式自律稼動型の突撃自爆戦車と合体しており、素体はプラネッタと同じものを使用しているが、突撃戦車と切り離された状態では戦闘能力は皆無であり、それを補うためにミラーコートを装備してカモフラージュすることが可能となっている。精神攻撃を操作する装備はデスネッタが直接手に持ってリモートコントロールしており、これを通じて突撃自爆戦車の遠隔操作が可能となっている。突撃自爆戦車には大量の爆薬を積み込んでおり、周囲に甚大な被害を与えるようになっている。
ヤーパン・エクソダス阻止でこの機体を導入した際、ゲイナーに「(不安の)発信源に近付くほどに不安が増す」という特性を感付かれ、それが原因となり発見され、撃破こそされなかったもののリモコンを破壊され遠隔操作不能となってしまい撤退を余儀なくされた。戦果としては精神支配に囚われたガウリを利用することで、取り込んだガチコを結果的に突撃戦車の自爆という形で大破させている事が挙げられる。機体性能の低さから、その後は登場していない。
味方に不安ウェーブの効果が出ないように、ウェーブ遮断メットという不安ウェーブの効果を遮断するヘルメットがシベ鉄警備隊に配られていたが、ちょっとの衝撃で壊れてしまうようだ。
リオンネッター
カシマル・バーレの最後に搭乗したオーバーマンで、一本足のオーバーマンと呼ばれた。デスネッタ破壊後に受領された。
対象がもっとも苦手なものを投影し具現化させるオーバースキルで、キングゲイナーやアデットの駆るドーベック、サラの駆るパンサーなどを苦しめた。このオーバースキルはメックスブルート程自由かつ大量に幻を作れたりはしないが、実体があって戦力になる強力なオーバースキルである。一定以上の攻撃を受けると消滅するようだが、簡単に次の幻を出す事が出来るようだ。相手が苦手なモノ以外にも、リオンネッター自体の分身も作れる。
オーバースキルの優位性を過信したカシマルはゲインの最も汚されてはならない記憶(10年前のエクソダス失敗に関係するガレラという女性との死別)を投影してしまい、さらにカシマルに利用されたことを悔やんだ親友エリアルが自害したことによるゲインの怒りが爆発したことにより、ゲインが駆るオーバーマン・エンペランザ(この時は調整不足で自力飛行が出来なかった)との一騎打ちの末に「サザンクロスの印」とも呼ばれ怖れられる集中狙撃を受け、カシマル本人もろとも爆散した。
武装は手持ちの4連ミサイルランチャーのみだが、2本の足を必要としないほどの推力と両腕による近接戦はかなり強力。
ドミネーター
キッズ・ムントの隠し持つシベリア鉄道警備隊秘蔵の伝説のアーリー・オーバーマン。体の一部を武器や盾に変化させたり体積を増加させたり、硬度を高めたり、はたまたパイロットの顔かたちを機体に映し出すといった「変形」のオーバースキルを持つ。体積を増やす応用で弾として撃ち出す事も可能である。シンシアのオーバーセンスと相俟って、変幻自在で絶大かつ高機動な戦闘能力によりキングゲイナーを窮地に追い詰めた。後に、ゲイナーを重傷に追い込んだことから心を閉ざしたシンシアを追い落としたアスハム・ブーンが奪取・搭乗する。なおキッズ・ムントが2号機を隠し持っていたが、覚醒したオーバーデビルによって撃破された。オーバーフリーズに拮抗する能力も持つ、オーバーデビルの眷属の可能性を持つオーバーマンである。
自動操縦機能を搭載しているようで、シンシアが呼べば上空に待機させたドミネーターはシンシアのもとへやってくる。また、操縦桿も他の量産されているモノとは違い、上のランクのモノを使っている。衝撃吸収用のエアバッグ機能も搭載している。
ブラック・ドミ
シベリア鉄道警備隊がドミネーターの量産型として配備させたオーバーマンで鉄道警備隊本社親衛隊に配備されている。ドミネーターの特徴的な変形機構は腕のみに限定されており、2体1組で任意方向への直線電撃攻撃を起こすことが可能である。オーバースキルは「絡め手」であり、オーバーデビルを一時は完全に封じたものの、強力過ぎるオーバーフリーズには対抗しきれず完敗してしまう。最終的にはオーバーデビルを支配したアスハム・ブーンの指示の元、特攻部隊として使われた挙句にキングゲイナーによって、戦線離脱・アスハムの命令を無視した2機以外は完全に撃破されてしまった。
エンペランザ
ウッブスのエクソダスでゲインが乗っていたオーバーマンと同じ名前の、寄せ集めの部品から作られたオーバーマンで、名前はemperor(皇帝・帝王)からと思われる。キングとエンペラーという組み合わせは中々面白いモノがあるし、フェリーベ侯爵家の跡取りが使うオーバーマンに相応しい名前である。ガチコの大型ライフルとブリュンヒルデの左腕を装着しており、左腕を利用することで重力操作のオーバースキルを発動させることが可能である。ブラックホールラケットというオーバースキル技も披露した。暴走したオーバーデビルとの戦いではプラネッタのオーバーコートを装着し高機動戦闘を行ったが、最終的にはオーバーデビルに各部を切断・破壊され、小破して墜落した。なお初代エンぺランザの外観やその性能は、作中にて語られていない。
ちなみに、大型ライフルは右肘に折りたたまれて接続されている。左右非対称な為、やや右側に重心を持って行かれるようだ。ここは手製のオーバーマンならではの欠点と言えよう。
オーバーデビル
最悪かつ最強(最凶)のオーバーマン。ブリュンヒルデが封印しようとしたが、完全には封印できなかった。世界を凍らせるという野望があるようだ。氷の門、アイシングゲートを開くことが出来る。高いオーバーセンスを持つ者を取り込み、操ってしまう能力や光の反射率を変える能力もある。アガトの結晶の核として、細かくパーツ分割されてシベリア鉄道の手の中にあった。
ブリュンヒルデは女性器、オーバーデビルは男性器をモチーフにしたと考える見方もある。

[編集] シルエットマシン

以下では、戦闘用の人型のシルエットマシンを挙げる。

ガチコ
ゲインが乗るシルエットマシン。元は山岳用か建設用なのか、極めて機動力が高く、後部に装着されたジェット噴射で垂直に飛び上がる事も可能で、狙撃手でもある使用者の使い勝手が良い様、大型ライフルを装備して、最も理想的な狙撃ポイントにいち早く到達する能力がある。操縦席右側にライフル型の照準装置があり、それを使うことで大型ライフルによる超精密射撃が可能。操縦席はむき出しタイプだが、雪よけ・風よけ・防寒用の幌が後方にあり、展開出来るようになっている。また、足を折りたたみ両腕で体を支え、大型ライフルの前方のパーツを伸ばす事で固定砲台として使う事も出来る。この時は操縦席前面の透明なモニターで照準を合わせるようだ。
また特筆すべきはその左腕で、些かアンバランスな印象を受けるものの、その能力は「パワーハンド」と呼ばれる怪力で並みのオーバーマンをも圧倒する。この左腕は伝説のアーリーオーバーマンに関係するとされ、その持ち主と考えられるブリュンヒルデのオーバースキル「重力」に拮抗する力を秘めている事が物語中盤で明らかとなった。ちなみに、腕自体はゲインがベールドのアンダーマーケットで購入した物。それ以前の入手ルートは不明。
対デスネッタ戦でガウリが無断使用したことにより、デスネッタの自爆機構に巻き込まれ大破したが、左に装着された腕は無傷で残り、後に組み立てられたオーバーマン・(2代目)エンペランザに装着された。この時に腕を解析・正しく接続されたためか、腕が持つ特殊能力は怪力のほかに重力操作も加わることになる。
ドゴッゾ
シベリア鉄道警備隊が使用する強力な機関砲を2門搭載したシルエットマシン。ロケット噴射で飛行能力もあるが、その大型火器積載の割に、やる事が乱暴な「シベ鉄」の性格上、非武装な市民を追い回すために機動力を重視しているようで、軽量化のために装甲がやや薄いようだ。二人乗りで一人が足廻り、もう一人が腕と火器管制を行う。
その高機動能力から、対ヤーパン・エクソダス対策で多数導入されたものの、火力よりも防衛力を重視しているシルエットマシン・パンサーに苦戦を強いられた事から、機動力を犠牲にしての火力増強と耐久力を重視した改良型のドーベックが開発されている。
バンサー
ウルグスク・ドームポリス自警団が使用しているバランスの良いシルエットマシン。主な武器は上部ハッチの横にある機銃と手に持ったマシンガン風の機関砲、パンサーガンである。また防衛を主とする性格上、盾を装備するなど防御力向上に重点が置かれており、ロケット噴射でジャンプが可能。接近戦では盾で叩いたり突いたりして攻撃する。一人乗りで機動力も良い。対オーバーデビル戦から対オーバーマン兵器の「BB(マッスルエンジンに作用する電磁兵器。ママドゥ先生が開発)」を装備するようになり、ブラック・ドミを圧倒している。試作品はブリュンヒルデの街でゴレーム相手に一度使用しており、十分な効力を発揮した。
ドーベック
シベリア鉄道警備隊が所有する重装甲・大火力を目的とした1人乗りのシルエットマシン。ドゴッゾの戦闘能力の低さを補うため、改良型として投入された。装甲が厚い上部は変形機構を持ち、閉じた状態を通常状態のタートルモードと呼ぶ。これを展開することで200mmロケットアシスト砲発射形態へ変形する事が可能である。また、上部装甲右側にはパンサーと同様に13mm機関銃も装備している。ただ、パンサーと違い手動で機関銃を操作する必要が無く、操縦席内から機関銃の角度も調節して攻撃が出来る。その形状からトップヘビーで、ややバランスが悪い傾向があるが、ロケット噴射でジャンプ可能であり、両手があることから人に代わって建築等の簡単な作業をこなすことも可能である(コミック版では小規模ながらフォトンマット展開可能と語られている)。また、右手で200mmロケットアシスト砲のフォアグリップを持つ事で狙いを安定させる事も出来るようだ。両手は普段L字になっている為短く感じるが、200mmロケットアシスト砲を持つ時は延ばす為意外と長い。なので、近接戦闘時には手で相手を殴る事も出来る。また、匍匐前進をしてシルエットマシンとしてはもの凄く低い姿勢で前進する事が可能である。
対ヤーパン・エクソダス戦に投入するために開発・設計され秘密軍事基地に大量に配備されたものの、その基地の存在を知るアデット=キスラーによって内部に侵入され、ガンガラン・ピープルの自警団に大量に強奪されてしまった事から、後に編成されるドーベック部隊の規模が大幅に削減された。
アデットの強奪した機体はメックスブルートとの戦闘で小破して歩行不能になるが、ゲイナーの強奪した機体を赤く塗装してホバーブーストを改良したアデット隊長専用の高機動仕様となっている。この赤いドーベックはアデットの能力に見合った物で、オーバーデビル暴走中にサラ・コダマの駆るオーバーマン・ジンバと互角に渡り合っている。無線使用帯域やスクランブルコードはシベリア鉄道時のままであるため、シベリア鉄道警備隊内の作戦行動が筒抜けになるという実態も見られる。また、他の機体も敵のドーベックと味方のドーベックとを見分ける為に濃い色で塗装がされている。ちなみに、シベリア鉄道警備隊のドーベックの基本カラーは水色である。
マッチョン
シンシアの回想のみに登場したシルエットマシン。空を飛ぶ事が出来るが、フォトンマットでは無くジェット噴射。2本の足についたクローで攻撃する。
操縦席はオーバーマンのモノと同一で、おそらくオーバーマンの練習用のシルエットマシンであろう。セミオーバーマンであるアントリオンとも操縦席周りが似ている。

[編集] スタッフ

[編集] 主題歌

  • オープニング:「キングゲイナー・オーバー!」
    作詞:井荻麟 作曲:田中公平 歌:福山芳樹
  • エンディング:「Can you feel my soul」
    作詞:いのうえひでのり 作曲・編曲:岡崎司 歌:秘密楽団マボロシ

[編集] 放送リスト

  • 第1話 ゲインとゲイナー
  • 第2話 借りは、返す!
  • 第3話 炸裂! オーバースキル
  • 第4話 勝利の味はキスの味
  • 第5話 シベリアに光る目
  • 第6話 セント・レーガンの刺客
  • 第7話 鉄道王キッズ・ムント
  • 第8話 地獄のエキデン
  • 第9話 奮闘! アデット先生
  • 第10話 アスハムの執念
  • 第11話 涙は盗めない
  • 第12話 巨大列石の攻防
  • 第13話 ブリュンヒルデの涙
  • 第14話 変化! ドミネーター
  • 第15話 ダイヤとマグマの間
  • 第16話 奮戦、アデット隊
  • 第17話 ウソのない世界
  • 第18話 刃の脆さ
  • 第19話 リオンネッターの悪夢
  • 第20話 カテズで勝てず
  • 第21話 オーバーマンの闇
  • 第22話 アガトの結晶
  • 第23話 復活のオーバーデビル
  • 第24話 オーバーマックス
  • 第25話 氷の中で
  • 第26話 ゲインオーバー

[編集] コミカライズ

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漫画作品 - 漫画家

コミックフラッパーメディアファクトリー)連載。中村嘉宏・画。

  1. ISBN 4840104743
  2. ISBN 4840109192
  3. ISBN 4840109869
  4. ISBN 4840113262
  5. ISBN 4840113955

[編集] 外部リンク

他の言語
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