香港MTR
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MTR（Mass Transit Railway）は、香港（中華人民共和国・香港特別行政区）における地下鉄路線の略称である。運営は香港地鐵公司（MTR Corporation）が担当する。
1979年10月、觀塘線の觀塘駅（Kwun Tong）～石硤尾駅（Shek Kip Mei）間の開通を皮切りに現在では香港島北部、九龍地区、新界南部、ランタオ島の4地区で全7路線（全長91.0Km）の53駅を営業、一日の総乗降客数は250万人程であり世界有数規模の地下鉄のひとつとなっている。
目次 |
[編集] 路線
| 線色 | 路線名 | 区間 | 距離 | 開通年 |
|---|---|---|---|---|
| 觀塘線(Kwun Tong Line) | 調景嶺(Tiu Keng Leng) - 油麻地(Yau Ma Tei) | 15.6km | 1979年 | |
| 荃灣線(Tsuen Wan Line) | 荃灣(Tsuen Wan) - 中環(Central) | 20.2km | 1982年 | |
| 港島線(Island Line) | 柴灣(Chai Wan) - 上環(Sheung Wan) | 12.5km | 1985年 | |
| 東涌線(Tung Chung Line) | 香港(Hong Kong) - 東涌(Tung Chung) | 30.8km | 1998年 | |
| 将軍澳線(Tseung Kwan O Line) | 寶琳(Po Lam) - 北角(North Point) | 10.6km | 2002年 | |
| 機場快綫(Airport Express) | 香港(Hong Kong) - 博覧館(AsiaWorld-Expo) | 35.3km | 1998年 | |
| 迪士尼線(Disneyland Resort Line) | 欣澳(Sunny Bay) - 迪士尼(Disneyland Resort) | 3.5km | 2005年 |
[編集] 觀塘線
- 調景嶺(Tiu Keng Leng) - 油塘(Yau Tong) - 藍田(Lam Tin) - 觀塘(Kwun Tong) - 牛頭角(Ngau Tau Kok) - 九龍灣(Kowloon Bay) - 彩虹(Choi Hung) - 鑚石山(Diamond Hill) - 黄大仙(Wong Tai Sin) - 樂富(Lok Fu) - 九龍塘(Kowloon Tong) - 石硤尾(Shek Kip Mei) - 太子(Prince Edward) - 旺角(Mong Kok) - 油麻地(Yau Ma Tei)
九龍市街の北側を走る路線、香港で最初に完成した路線でもある。九龍側の都心である油麻地から香港の中でも古くから開発されてきたニュータウンの九龍灣や觀塘の地区を結ぶ。また現在では廃止された旧香港国際空港、通称啓徳空港(Kai Tak Airport)に最も近い駅を有する路線でもあった。路線の大部分が超高層アパートメントの立ち並ぶ住宅街を走るが、九龍灣から油塘までは海運倉庫や國際展貿中心(International Trade & Exhibition Centre)等の大規模施設も伺う事が出来る。九龍灣～藍田間は高架鉄道になっている。また九龍塘駅では沙田(Sha Tin)や上水(Sheung Shui)などの新界北部、そして深圳(羅湖口岸)を経て中国本土へ続く九廣東鉄(KCR East Rail、元九廣鉄道英段)への乗換駅となっている。
[編集] 荃灣線
- 荃灣(Tsuen Wan) - 大窩口(Tai Wo Hau) - 葵興(Kwai Hing)- 葵芳(Kwai Fong) - 茘景(Lai King) - 美孚(Mei Foo) - 茘枝角(Lai Chi Kok) - 長沙灣(Cheung Sha Wan) - 深水埗(深水ぽ、Sham Shui Po) - 太子(Prince Edward) - 旺角(Mong Kok) - 油麻地(Yau Ma Tei) - 佐敦(Jordan) - 尖沙咀(Tsim Sha Tsui) - 金鐘(Admiralty) - 中環(Central)
新界地区南部の荃灣(Tsuen Wan)から中環(Central)までを結ぶ。觀塘線同様ニュータウンを路線にひかえている。荃灣～大窩口間の一部、葵興～茘景間は高架鉄道になっている。また、九龍半島と香港島とを隔てる維多利亞湾(ヴィクトリア湾:Victoria Harbour)の中環～尖沙咀間に地下鉄による海底トンネルが香港で初めて貫通し、それまで両駅間の交通がフェリーのみであった頃と比べて利便性は飛躍的に発達。共に離れて展開していた市街地、九龍側の中心である旺角から尖沙咀にかけての地域と、香港側の中心である中環(Central)や金鐘(Admiralty)と言った中心地域がダイレクトに結ばれた。九龍地域では地区で最も繁華な南北に貫く彌敦道(Nathan Road)の直下に埋設されている為、乗降客も非常に多い。
[編集] 港島線
- 柴灣(Chai Wan) - 杏花邨(Heng Fa Chuen) - 筲箕灣(Shau Kei Wan) - 西灣河(Sai Wan Ho) - 太古(Tai Koo) - 鰂魚涌(Quarry Bay) - 北角(North point) - 炮台山(Fortress Hill) - 天后(Tin Hau) - 銅鑼灣(Causeway Bay) - 灣仔(Wan Chai) - 金鐘(Admiralty) - 中環(Central) - 上環(Sheung Wan)
香港島北部を東西に走る路線。香港の政治、経済の中心、そして世界屈指の金融の中心地である中環や金鐘、超高層建築の立ち並ぶ灣仔、香港一の繁華街である銅鑼灣と言った中枢部を貫く一方、路線の東側はニュータウン、西端の上環駅付近は老香港の雰囲気を漂わせる下町となっているなど、非常に多彩な街の顔を見せる路線である。路線は、旧来からある路面電車(堅尼地城:Kennedy Town～筲箕灣:Shau Kei Wan)のコースとほぼ重なっている。この路面電車は世界でも香港のみで走る2階建て車輌によるものだ。地下鉄の開通と同時に廃止されることも検討されていたものの、200mごとと小まめに停留所が設置されている為に近距離利用客はかなり多く、現在でも市民に親しまれ運行されている。大きな間隔は地鐵港島線で…、短い区間は路面電車で…、と言った移動の使い分けも出来る。 香港島北部では維多利亞湾(ヴィクトリア湾:Victoria Harbour)への埋め立てが断続的に進められており、その上にオフィス、ホテルや住宅と言った超高層建築が続々と建設されている。この為、現在の港島線より北側の海に面する灣仔の香港會議展覧中心(Hong Kong Convention & Exhibition Centre)付近から中環方面への新しい地下鉄新線を計画中である。
[編集] 将軍澳線
- 寶琳(Po Lam) - 坑口(Hang Hau) - 将軍澳(Tsueng Kwan O) - 調景嶺(Tiu Keng Leng) - 油塘(Yau Tong) - 鰂魚涌(Quarry Bay) - 北角(North point)
将軍澳線は2002年に開通した比較的新しい路線である。将軍澳駅などのある九龍東側では湾を埋め立てて続々とニュータウンを建設しており、超高層アパートメントが無数に立ち並んでいる。また旧来からある觀塘線は、半環状に香港島北部の北角駅から海底トンネルを通って九龍中心部の油麻地駅までを運行していたが、将軍澳線の開通によって觀塘線の路線の変更が行われた経緯がある。将軍澳郊外には地下鉄線車両基地が設置されている。
[編集] 東涌線・機場快綫
- 機場快綫
- 博覧館(AsiaWorld-Expo) - 機場(Airport) - 青衣(Tsing Yi) - 九龍(Kowloon) - 香港(Hong Kong)
- 東涌線
- 東涌(Tung Chung) - 欣澳(Sunny Bay) - 青衣(Tsing Yi) - 茘景(Lai King) - 南昌(Nam Cheung) - 奥運(Olympic) - 九龍(Kowloon) - 香港(Hong Kong)
機場快綫(Airport Express)は香港最大の旅客ターミナルである香港国際空港（香港國際機場:Hong Kong International Airport、赤鱲角機場:Chek Lap Kok Airport）から九龍市街を抜け、中心街である香港島北部の中環にある「香港駅」までを走る空港シャトル路線である。機場駅～香港駅間をピーク時に毎12分間隔の最速約24分間で結ぶ。また終着である香港駅上には、現在香港で最も高い地上415.8m（90階建）の超高層ビル（香港國際金融中心・第二期：Two International Finance Centre）と併設する複合施設の香港国際金融中心(IFC)が聳えており、対岸の九龍駅上にも地上490m（111階建）の超高層ビル（九龍站第七期：International Commerce Centre）を有する複合施設Union Squareが2007年竣工に向け目下建設中である。
機場快綫に並行する東涌線は、機場快綫では停車しない駅を補完する役割と、香港、九龍両市街からランタオ島や新界南部のニュータウン地区を結ぶ役割を持つ（新界南部からランタオ島へ渡る際には青馬大橋を通る事になるが、この橋梁は全長2200mあり道路と鉄道の併用である二層構造の吊り橋としては世界最長となる）。
九龍～青衣間、および小濠湾車両基地～東涌手前は複々線である。
東涌線と機場快綫は東涌駅の手前で分岐する。東涌線南昌駅では九廣西鐵（KCR West Rail:2003年12月開通）に接続、新界中央部の中心地である元朗(Yuen Long)地区へ向い、九廣鐵路(KCR)の運営するLRT（輕便鐵路）と接続できる。また、2005年には青衣駅と機場駅及び東涌駅との間に香港ディズニーランド（香港迪士尼楽園）の最寄となる新駅、欣澳（Sunny Bay：中文読みはYam O）駅が開業、ディズニーランド行きの新設される迪士尼線と接続された。なお5月時点で、MTR各駅にある自動券売機で欣澳駅へのチケットが既に購入可能であった。だが、欣澳駅自体は6月1日に開業したものの、迪士尼線が開通するまでは工事等の関係者しか利用できないことになっていた。
また、香港国際空港に隣接する形で現在建設中のコンベンション施設である亞洲國際博覧館(Asia World Expo)が2006年初頭に完成予定の為、アクセス用の路線として機場快綫が機場駅より延伸され、新たに博覧館(Asia World Expo)駅が2005年12月20日に開業した。
[編集] 迪士尼線
欣澳(Sunny Bay) - 迪士尼(Disneyland Resort)
2005年9月12日に開業した香港ディズニーランドへのアクセス路線として、欣澳駅～迪士尼駅間をおよそ3分間で結ぶ。起点の欣澳駅は2005年6月1日に開業していたが、迪士尼線の路線部はディズニーランドの開業と同時に供用された。ディズニーランドへ向かう路線らしく、迪士尼線の専用車両にはメインキャラクターのミッキーマウスのシルエットを模した窓枠がはめ込まれている。欣澳駅では、東涌線と接続する。空港からMTRでディズニーランドへ向かうには機場快綫の青衣駅から東涌線経由で欣澳駅へ向かうか、東涌線の東涌駅まで空港バスを利用し乗り換えて向かうかの方法しかない。市街からは東涌線で欣澳駅まで直接行けるが、空港からでは必ず何らかの乗換えが必要になる。
[編集] 施設
[編集] 車両
MTRで使用されている車両は4タイプ存在する。一般車両については英国、日本、韓国の各国で製造されている。1次車ではロンドン地下鉄と近いデザインの施しが随所に見られる。連結部は貫通しており扉は無く車両間の移動は自由である。また、連結部の扉が無い為、直線部への列車進入時には前後でとても長い空間が広がる。客席は全てロングシートであり、シートの素材はステンレスである。全ての路線でアルミ車（韓国製のK-Trainはステンレス車）が使用され、先頭車両の前面には地鐵公司のコーポレートカラーである赤色の帯とロゴマークが施されている。一部では広告ラッピング車両も存在する。なお、初期製造車については、後年更新改造されている。
一方、機場快綫はスペインとドイツ(但し実車はカナダのボンバルディアが作成)の共同製造で、全ての車両の座席がモケットのクロスシートとなっており、各背部分にはパーソナルテレビが設置され、フライト情報や空港の配置情報、市街のインフォメーションなどが映し出される。室内にはバゲッジスペースが設けられているほか、空港駅では機場快綫ホームと空港の出発階または到着階との完全バリアフリー化が図られるなど、空港へのシャトル路線として使い易いよう設計されている。なお、機場快綫の香港寄り先頭車は荷物専用車両で、香港・九龍のインタウンチェックイン（市中チェックインカウンター）で預けられた航空旅客の荷物が搭載され空港へ運ばれる。
MTR内の車両は全て冷房完備である。また、車内アナウンスは一般路線、機場快綫ともに広東語、北京語、英語で行われる(当初は、北京語でのアナウンスは無かった)。
[編集] 駅
地鐵公司では現在駅施設のバリアフリー化を進めており、駅要所出入り口のエレベータ設置、転落防止や坑道風対策のホームドアを全地下駅に設置する予定である。
MTR駅構内(ただし、改札外)には、ほとんどの駅にセブンイレブンなどの小さなコンビニエンスストアや美心西餅などのケーキ店、優の良品/AJI ICHIBAN、零食物語/OKASHI LANDなどの菓子類の売店があり、飲食物や雑貨類が販売されている。他に、利用者の多い駅には恒生銀行（Hang Seng Bank）などの銀行窓口が設置されれており、出入金や外貨両替などの窓口業務を行っている。
[編集] 主な違反罰則
主な違反規則としては、
- 地下鉄路線内での飲食の禁止 (実際には、この規則は必ずしも遵守されていない。車両内などでペットボトル飲料や菓子類を飲食する人もいる。)
- 地下鉄路線内での喫煙の禁止
- 地下鉄路線内へのゴミ投棄の禁止
- 地下鉄施設内への落書きの禁止
- 車内への危険物持込の禁止
- 切符折り曲げの禁止
…等がある。特に飲食で車内を汚損した場合や喫煙に関しては縛りが厳しいようである。違反した場合には罰金で最高5000香港ドルが課せられる場合がある。また日本では禁止事項ではないものの、近年携帯電話使用の自粛を大多数の交通施設で呼びかけている。しかし、現段階の香港では車内で一定の常識的なモラルを守る上で携帯電話を使用する分には全く問題は無い。交通機関側も使用を制限する呼び掛けは皆無であり、社会的にも携帯電話の使用を制限する風潮は全く無い。
[編集] オクトパス（八達通）
香港では公共交通機関の中では世界で最も早く、日本のソニー(SONY)の開発した非接触型ICカード規格FeliCa方式を採用したオクトパスカード（八達通:Octopus Card）と呼ばれる交通プリペイドカードを1997年に導入した。現在このプリペイドカードで香港の地下鉄、鉄道、バス、路面電車、LRT、スターフェリー、ケーブルカーなどタクシーを除く殆どの交通機関において使用が可能である。また市中のコンビニエンスストア、ファーストフード店、コーヒーショップ、レストラン、自動販売機、証明写真撮影機、公衆電話などの様々な施設で電子マネーとして使用出来る。詳細はオクトパスを参照。
日本のSuicaやICOCA、シンガポールのEz-linkなどと同じ規格だが双方共に互換性は無い。
[編集] 旧駅名
荃灣線に、開業当時から名前が変わった駅がいくつかある。以下に、その変遷を記す。
[編集] 荃灣線
※左側が変更前、矢印を挟んで右側が変更後の駅名。中国語名・英語名のうちどちらか一方のみが変わったものについて、変わらなかった駅名は右側では記載を省略した。
- 麗景（Lai King）→茘景
- 茘灣（Lai Wan）→美孚（Mei Foo）
- 旺角（Argyle）→Mong Kok
- 油麻地（Waterloo）→Yau Ma Tei
- 中環（Chater）→Central
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 公式サイト(英文 / 繁体中文)
- KCR Corporation (九廣鐵路公司)
- Octopus Cards Limited (八達通卡有限公司)
- Hong Kong International Airport (香港國際空港)
