香港ドル
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香港ドル(ホンコンドル・Hong Kong Dollar(英語)・港元・港幣(中国語))は、中華人民共和国香港特別行政区の通貨。ISO 4217でのコードはHKD。1香港ドル=15.30円。(2006年10月25日現在)
補助通貨単位はセント(Cent・略符号は¢)で、1ドル=100セントである。ただし、現在では日常の取引は10セント単位で行われる。
日常の表記では、金額の前に$記号を付して「$3(3ドル)」、「$3.50(3ドル50セント)」、「$3:50(3ドル50セント)」などの様に表記される。他国の通貨と特に区別する必要があるときは「HK$3:50」の様に表記される。銀行や両替商の店頭などを除き、ISOで規定されている「HKD」の表記は通常ではあまり使われない。
現地での漢字表記は、ドルが「圓」、セントは10セントを「毫」と表記する。ただし、ドルは「元」とも表記される。また、かつて10セント以下の単位で取引が行われていたときは、1セントを「仙」と表記した。
香港ドルは香港の法定通貨であるが、中国(主に深圳、珠海、広東省の一部など)においてもしばしば通用する。さらにマカオでは、当地の法定通貨であるマカオ・パタカの流通量を超え、香港ドルによる通貨代替が著しい。
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[編集] 紙幣
香港金融管理局の監督の下、香港上海銀行、スタンダードチャータード銀行、中国銀行 (香港)の3行により発行されている。(かつては有利銀行も100ドル紙幣を発行していた。)発行元の銀行によって図柄はまったく異なるが、額面により印刷色が統一されていている。それぞれの額面貨幣価値はもちろん同じであり、使用および流通において使い分ける必要はない。
最近10ドル紙幣は銀行券ではなく政府紙幣に変わった他、20、50ドル紙幣の印刷色も変わった。
現在発行されている紙幣は、10ドル(紫)、20ドル(青)、50ドル(緑)、100ドル(赤)、500ドル(茶)、1,000ドル(黄)の6種類であるが、英領当時の5ドル紙幣(茶)も法的には有効である。
なお、スタンダード・チャータード銀行発行の紙幣は、低額紙幣の色の変更に伴い図案も変更され、従来の鯉の10ドルの図案が20ドルに、20ドルの亀の図案が50ドルに採用されているので要注意である。
1983年以降、USドルに対するペッグ制 (1US$対7.8HK$) を施行しており、発券銀行が香港ドルを発券する際には相応の額のUSドルを預託する必要がある。
また、ペッグ制ではあるが、2005年5月より1US$=7.75~7.85HK$の間の変動を認めた。
[編集] 硬貨
硬貨は、10セント、20セント、50セント、1ドル、2ドル、5ドル、10ドルの7種類が流通している。この他、現在は鋳造が行われていない5セント硬貨も法的には有効である。
香港の中国への返還に伴い、それに先立つ1993年から硬貨表面の図柄が、それまで流通していたエリザベス2世の肖像から香港のシンボルである紫荊花(バウヒニア)に変更され、裏面(額面表記面)も、従来漢数字と英文のみによる表記だった額面が、大きなアラビア数字でも記されるようになった。現在は、図柄変更後に発行が開始された10ドル硬貨を除いて両方の図柄の硬貨が混在して流通している。
ちなみに、エリザベス2世の図柄には2種類あり、古いものは頭上がティアラ、新しいものは王冠になっているのが特徴である。
- ティアラ(Girls of Great Britain and Ireland Tiara [1])をかぶった女王。アーノルド・マチン(Arnold Machin)作。このティアラは結婚祝いに祖母であるメアリー王妃(ジョージ5世の妃)に貰ったもの。