日本国憲法第13条
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日本国憲法 第13条は、日本国憲法第3章にあり、個人の尊重(尊厳)、幸福追求権及び公共の福祉について規定している。
目次 |
[編集] 条文
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
[編集] 英文
Article 13. All of the people shall be respected as individuals. Their right to life, liberty, and the pursuit of happiness shall, to the extent that it does not interfere with the public welfare, be the supreme consideration in legislation and in other governmental affairs.
[編集] 中国語
所有國民均作為個人而受尊重。對於生命、自由及追求幸福之國民權利,除違反公共福祉之限度外,在立法及其他國政上必須予以最大之尊重。
[編集] 解説
本条は、基本的人権の内容につき規定する第3章に位置し、いわゆる人権カタログにおける包括的条文としての役割を果たしており、日本国憲法が「基本的人権の尊重」を理念とすることの根拠条文の一つとなる。
第14条以下の各規定に具体的な根拠を求めにくい権利ではあるが、憲法上の保護が認められるべき権利については、本条を根拠として憲法上保護された権利であると認められることがある(プライバシーの権利、肖像権、環境権など)。これらの権利は、比較的その権利性が重視されるようになったのが最近であることから、「新しい権利」と呼ばれるものが多い。
日本国憲法が施行以来改正されていないことから、新しい権利に関して、憲法の条項を新設して明示にて人権カタログに追加する余地はなく、そのため、特定の権利について憲法上その権利を保護すべきと考える場合には、それを憲法の条項中、どの条文を基礎とするものと位置づけるべきかが議論となり、包括的な内容を有する本条が根拠条文としてよく利用されてきたと言える。
第2文に規定されるうち、「幸福追求に対する国民の権利」の部分については、幸福追求権と呼ばれ、本条の中では比較的具体的に規定されたものとして捉えられている。
なお、大日本帝国憲法には、本条に相当する人権(臣民の権利)に関する包括的な規定は存在しない。
[編集] 関連訴訟・判例
- ハンセン病国家賠償請求訴訟 - 2005年5月11日 熊本地裁 原告勝訴 - 国側 控訴断念
- 前科照会事件-判決:昭和56年04月14日判例集:第35巻3号629頁
- 判示事項:政令指定都市の区長が弁護士法23条の2に基づく照会に応じて前科及び犯罪経歴を報告したことが過失による公権力の違法な行使にあたるとされた。
- 裁判要旨:区長が、漫然と前科及び犯罪経歴のすべてを報告することは、原判示の事実関係のもとにおいては、過失による違法な公権力の行使にあたる。
- 京都府学連事件 最高裁判決:昭和44年12月24日
[編集] 関連条文
[編集] 他の国々の場合
- ドイツ連邦共和国基本法第1条および2条
- 大韓民国憲法第10条
[編集] 参考文献
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[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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