佐久間氏
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佐久間(さくま)家は、家村を祖とする日本の氏族の一つである。
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[編集] 概要
佐久間家は、三浦義明の三男である義春の四男、家村が安房国狭隈郷(現千葉県鋸南町下佐久間~上佐久間)で称したのが始まりと言われる。その養子である朝盛(和田義盛の子常盛の子)が初めは鎌倉幕府に仕えていたが、和田義盛の乱に敗れ、越後国奥山荘(現新潟県胎内市)に逃れた。後に尾張国愛知郡御器所(「ごきそ」現名古屋市昭和区御器所)に移り住み、子の与六郎家盛以下、子孫が定住した。
佐久間の由来は地名から。平氏系で武家。家紋は丸の内に三引両。
盛通は十世(あるいは十三代)与六郎と伝えられている。 その子孫は御器所、山崎城ほか四家(久六盛重・盛次系、河内守系、奥山氏系、信晴・信盛系)に分かれる。
戦国時代、佐久間盛重(大学)・佐久間信盛は重臣として織田信長に仕えたが、盛重は桶狭間の戦いで戦死、信盛は石山合戦の際の不手際により1580年に追放された。
佐久間盛次の系統は、盛次の子で柴田勝家の与力として北陸で戦った金沢城主盛政がよく知られているが、盛政は賤ケ岳の戦いの敗戦により捕らえられ刑死する。その弟の安政が信濃飯山藩三万石の藩祖、勝之が信濃長沼藩一万八千石の藩祖にそれぞれなった。 しかし信濃飯山藩は三代将軍徳川家光の時代に無嗣断絶、信濃長沼藩は五代将軍徳川綱吉の時代に不敬断絶となった。 後に赦されて勝種の子盛遠が200俵高で幕臣となった。
信盛の子孫は、信盛の子信栄(正勝)が赦されて帰参し、その後江戸時代を通じて旗本として存続した。
幕末の1868年1月の鳥羽伏見の戦いにおいて洋式の幕府歩兵部隊の連隊長として窪田鎮章と共に戦死した佐久間信久は佐久間信盛の子孫という。
その他に、一族の子孫として佐久間象山もいる。
[編集] 主な人物
[編集] 戦国時代、安土桃山時代
- 佐久間(大学允)盛重(?-1560年) 桶狭間の戦いの前哨戦で丸根砦を守備し討死。
- 佐久間信盛(1527年-1581年) 信長の重臣。石山本願寺の攻略を担当。後に追放。
- 佐久間信栄(1556年-1632年) 信盛の嫡子。旗本佐久間家の祖となった。
- 佐久間盛政(1554年-1583年) 「鬼玄蕃」の異名で知られる猛将。賤ヶ岳の戦いで中川清秀を討ち取る。
- 佐久間安政(1555年-1627年) 後に信濃飯山藩3万石の藩祖となった。
- 佐久間勝之(1568年-1634年) 後に信濃長沼藩1万8千石の藩祖となった。
[編集] 江戸時代
- 佐久間信就(1646年-1725年) 信盛の子孫で旗本。堺奉行や長崎奉行などを歴任。
- 佐久間安長(1611年-1632年) 信濃飯山藩2代目藩主。
- 佐久間安次(1630年-1638年) 信濃飯山藩3代目藩主。(断絶)
- 佐久間勝友(1616年-1642年) 信濃長沼藩2代目藩主。
- 佐久間勝豊(1635年-1685年) 信濃長沼藩3代目藩主。
- 佐久間勝親(1669年-1691年) 信濃長沼藩4代目藩主。(断絶)
- 佐久間盛遠(1662年-1720年) 長沼藩佐久間家の分家で旗本になった佐久間家の祖。
[編集] 系図
凡例: … 先祖・子孫関係を示す。 ┃ 実親子関係を示す。 ┏┓ 兄弟関係を示す。 ∥ 養親子関係を示す。 ┗┛ 夫婦関係を示す。 太字 別系図への接続を示す。
[編集] 盛重・盛次系
桓武天皇…平良文…三浦義明 ┣━━━━┓ 杉本義宗 多々良義春 ┃ ┃ 和田義盛 佐久間家村 ┃ ∥ 常盛 朝盛 ┃ ┃ 朝盛 家盛(与六郎) ┏━━━━━━━━━━┛ 為盛 ┃ 朝村 ┃ 常朝 ┃ 為明 ┃ 宗朝 ┃ 朝明 ┃ 朝継 ┃ 安盛 ┃ 盛通 ┣━━━━━━┳━━┳━━┓ 盛重(久六) 盛明 盛経 信晴 ┃ ┏━━━━━┓ 盛次 女 柴田勝家 ┗━━┳━━┛ ∥ ┏━━╋━━┳━━┓ 勝政 盛政 安政 勝政 勝之 ┣━━┓ ┣━━┳━━━━━┓ 勝宗 安長 勝年 勝友 勝種 ┃ ┃ ┣━━┓ ┣━━┳━━┳━━┓ 安次 勝盛 勝豊 勝興 勝尚 盛遠 中豫 勝元 ┏━━∥ ∥ 勝道 勝親 盛遠 ┃ 勝忠 ∥━━┳━━┓ 盛庸 勝利 重高 ∥ 勝利 ┃ 勝愛
[編集] 盛明・政実系
盛明 ┃ 政実 ┃ 実勝
[編集] 盛経系(奥山氏)
盛経 ┃ 盛重(大学允) ┃ 盛昭(奥山佐渡守) ┃ 重成 ┃ 重次
[編集] 信晴系
信晴 ┣━━━━━┳━━┓ 信盛 信辰 明嶽 ┣━━┓ ┣━━┓ 信栄 信実 信好 信重 ∥━━┳━━┓ ∥ ∥ ∥ 信実 信勝 信重 ┣━━┓ 信由 盛郎 ┏━━╋━━┳━━┳━━┓ 盛置 信就 盛久 盛重 盛従 ┣━━━━━━━━┓ ┃ ∥ 信詮 信仍 ∥━━┳━━┓ ┣━━┳━━┓ 信秋 為忠 信喜 信秋 信之 直庸 ∥ ┣━━┓ 信喜 信直 信寿 ∥ ┃ 信邦 信利 ┃ 信義
[編集] 信重系
信重 ┣━━━━━━━━━━━━━━━━━┳━━┓ 信俊 信常 信則 ┣━━┓ ∥ ┣━━┓ 信継 信房 盛久 信編 信貞 ┏━━╋━━┳━━┳━━┳━━┓ ∥ ┣━━┳━━┓ 信精 続 房元 信仍 信包 信秋 盛重 信登 信厚 信忠 ┃ ┃ ∥ ┃ 豊信 盛親 信貞 信正 ┃ ┣━━┓ ∥ ∥━━┓ ┃ ┃ ┃ ∥ ∥ ∥ 信尹 盛進 信好 信厚 成庸 信賢 ∥━━┓ ┃ ∥ ∥ ∥ ∥ ┃ ∥ ∥ 信幸 信崇 恭隆 信忠 信近 ∥━━┓ 盛雄 信義 ∥ 信義
[編集] 参考文献
- 楠戸義昭『戦国 佐久間一族』(新人物往来社、2004年) ISBN 4404031556