仮面ライダー THE FIRST
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『仮面ライダー THE FIRST』(かめんライダー ザ ファースト)は仮面ライダーが登場する劇場用特撮ヒーロー映画である。2005年11月5日公開。
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[編集] 概要
テレビシリーズ第1作『仮面ライダー』とは同じ名称の仮面ライダー1号こと本郷猛と仮面ライダー2号こと一文字隼人が主人公として活躍する映画作品。ではあるが、従来のテレビシリーズの続編や番外編ではなく、石森章太郎(石ノ森章太郎)が、1作目放送当時に執筆した原作漫画をベースとして製作されている。
例えば、二人の仮面ライダーを含むショッカーの怪人は改造人間であり、自らの身体機能によって超人的な威力を発揮する。仮面ライダーは素顔の上に仮面を自分の意思で装着して「変身」する(石森漫画と同じ設定)。一文字は本郷を襲う刺客として放たれた(これも石森漫画と同じ設定)。が、また一方では、オープニング、死神博士(を思わせる人物・過去のテレビシリーズの映像を加工して用い、丸山詠二がアテレコしている)の登場等、昭和のテレビシリーズを意識した場面や設定も多く、昭和テレビ作品のリメイク的要素も含まれている。
仮面ライダーをはじめとしたキャラクターデザインや設定などは、オリジナルをベースに現代風アレンジが加えられている。監督はテレビシリーズ第1作で助監督として携わった長石多可男が担当。恋愛ドラマ的要素もあり、単なる子供向けのヒーローものではなく、大人をも意識したつくりとなっている。
本作は、劇場にて単独公開された初の仮面ライダー映画であるが、東映系列の主要映画館では配給されず、公開初日に上映した劇場は20館のみである。これは、元々はVシネマ(オリジナルビデオ)として企画・制作されていたものが、急遽劇場公開に変更されたため、十分な劇場を確保できなかったことによる。
2006年4月30日放送の『仮面ライダーカブト』には、本作で本郷猛を演じた黄川田将也が同じく本郷役でゲスト出演した。但し役名はクレジットされず、ワンシーンのみの登場となっている。
なお、昭和での仮面ライダー一号と二号は「技の一号」「力の二号」と呼ばれているが、平成では戦闘スタイルが正反対になっているため「力の一号」「技の二号」となっている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あらすじ
本郷猛は、化学者として将来を嘱望される青年だった。しかし、彼の人生は、ある日突如として現れた謎の男たちによって、大きく狂うこととなる。本郷を拉致した集団の名は、ショッカー。社会の裏に暗躍する、謎の秘密組織である。ショッカーによって改造手術と洗脳を施された本郷は、バッタの能力を持った悪の尖兵――改造人間“ホッパー”として、破壊活動を繰り返す。
しかし、それは長くは続かなかった。ふとしたことから洗脳が解け、自我を取り戻した本郷は、自分の強大な力と、犯した悪事に対して、深い自責の念を抱く。婚約者を殺した犯人と本郷を誤解し、激しい憎悪を抱く緑川あすか。本郷に出来る事は、正体を明かさないまま、“仮面の男”としてあすかを守ることだけだった。
あすかの前に一人の男が現れる。男の名は、一文字隼人。あすかに言い寄る彼の正体は、“裏切り者”ホッパーを抹殺するためにショッカーが放った、第2のホッパーであった。一文字は、本郷に向かって言い放つ。「貴様を殺し、あすかを俺のものにする」と。
愛する女のために、そして、「命」という美しいものを守るために……。二人の“仮面ライダー”の戦いが今、始まる。
[編集] 登場人物・キャスト
- 本郷猛(黄川田将也)
- 城南大学大学院で、水の結晶の研究を行っている青年。研究を取材に来た雑誌記者・緑川あすかにほのかな想いを寄せる。類まれな頭脳を持つ故にショッカーによって改造手術を施され、身体にバッタの遺伝子を組み込まれた改造人間・ホッパーとなるが、あることをきっかけに洗脳が解け、ショッカーを離脱。自らの力に悩みつつも、“美しいもの”を守るために戦うことを決意する。パンチ主体の重厚で真っ直ぐな戦闘スタイルが特徴的な、“力の1号”。
- なおショッカーの改造人間は、定期的に体の血液を交換しなければ死に至る拒絶反応(劇中では「リジェクション」という名で統一されている)が起きるが、本郷だけはリジェクションが起こらない成功例・“完全なる改造人間”と推測されている。
- 以前より懇意にしていたバイクショップのオーナー・立花藤兵衛から、カスタムバイク「サイクロン1号」を与えられる。
- 本郷が戦闘時に装着するスーツは黒が基調でマフラーが赤、マスクは上半分がダークブルー、マスク顎部分(クラッシャー)や胸のコンバーターラング、グローブとブーツがブルーグリーンというカラーリング。ベルトは白。一文字のスーツとの形状的な差異としては肩のプロテクターが生地の外側に付いている事、スーツの上下が分かれたセパレートになっている事が挙げられる。背面のメッシュ部分の形状も、よく見ると1号と2号で異なっている。
- 身長:187cm
- 体重:84kg
- パンチ力:3t
- キック力:10t
- ジャンプ力:一跳び15.30m
- 走力:100mを5.0秒で走る
- 一文字隼人(高野八誠)
- 本郷を抹殺するためにショッカーの放った刺客。ホッパーへと改造される前の経歴は不明だが、緑川あすかの婚約者、矢野克彦に瓜二つな風貌をしている(呼称は‘2’号だが、劇中設定では本郷=1号より若干早く改造されたことになっている。この点やリジェクション反応で余命が少ないという設定は小説『仮面ライダー-誕生1971-』のハヤトの設定に似ている)。本郷抹殺のためあすかに近づくが、彼女に惹かれる様になり、彼女をショッカーの刺客から護ったために裏切り者の烙印を押される。キザで軽薄、強引な性格だが、内に秘めた想いは誰よりも熱い男。1号とほぼ同等の戦闘能力を持つが、1号とは対照的に、キック主体の華麗で変幻自在な戦闘スタイルが特徴的な“技の2号”。
- 愛用のバイクは「サイクロン2号」。入手経路は劇中の描写では不明だが、サイクロン1号と同じく、立花レーシングのエンブレムがマーキングされている。
- 一文字の装着するスーツは、本郷のものと比べて肩のプロテクターが生地の内側に付けられ、スーツがツナギ状(本郷の様にベルトの下からスーツ上半分=ジャケットの裾が出ていない)、肩から腕と脚側面に緑のラインが入っているというディテールの違いがある。カラーリングも黒が基調でマフラーが赤なのは同じだが、コンバーターラング、グローブ、ブーツの配色はダークグリーン。ベルトは赤で、背中やグローブの手の甲にショッカーのマークが入っている。マスク上半分はメタリックグリーンで、鼻にあたる部分から後頭部にかけては白く塗り分けられている。顎部分はシルバー。
- 身長:182cm
- 体重:91kg
- パンチ力:3.5t
- キック力:10t
- ジャンプ力:一跳び15.00m
- 走力:100mを5.2秒で走る
※なお劇中では仮面ライダー、並びに1号、2号という呼称は一度も用いられていない。
- 緑川あすか(小嶺麗奈)
- 本郷とは、彼の研究していた「水の結晶」取材で知り合った、週刊ABBAの女性記者。同僚の矢野克彦とは婚約者の間柄で、結婚を間近に控えていた。世間を騒がす“怪人”の取材中に克彦をショッカーに殺され、それを本郷の仕業だと思い込み、彼に憎しみを抱く。
- 怪人について探っていたことなどから度々ショッカーに襲われ、後には改造実験体としてショッカーに連れ去られてしまう。
- 矢野克彦(高野八誠)
- 週刊ABBAの記者で、緑川あすかの婚約者。性格は温厚で人当たりもよく、瓜二つの風貌の一文字とは正反対。“怪人”の取材中にスパイダーによって殺される。
- 三田村晴彦(ウエンツ瑛士)
- 長期入院している少年。自分の見舞いに誰1人として見舞いに来ないことから自暴自棄になり、自殺を図るまでに追い込まれていたが、美代子との出会いによって生きる意味を見出し、彼女とともに過ごすことを決意する。しかし……。
- 原田美代子(小林涼子)
- 晴彦の前に突然現れた、天真爛漫な少女。ボランティアと称して晴彦を外の世界に連れ出し、彼に生きる希望を与えるが、実は彼女の身体は晴彦以上の重い病に冒されていた。彼女が助かる道は、たった一つ。それは……。
[編集] ショッカー
"Sacred Hegemony Of Cycle Kindred Evolutional Realm"、称して"SHOCKER"(直訳は“同種の血統による全体の、神聖なる支配権”)。全世界を裏から支配しようとする秘密結社。改造人間を製造する技術を有し、邪魔な者全てを容赦なく抹殺する。
- ショッカー幹部(佐田真由美、辺土名一茶、天本英世)
- ショッカーの最上位に立つと思われる男女。チャイナドレスを着た、IT企業のトップに立つ妖艶な美女、ストリート系のファッションに身を包んだ今風の若者、そして、まるで“死神”のような風貌の老紳士の3名で、巨大なモニターから改造人間たちに指示を出す。
ショッカー改造人間
- スパイダー(板尾創路)
- 蜘蛛の能力を持った改造人間。壁や木を自在に這い回り、全身から放つ糸で相手を拘束する。変身前はタクシーの運転手として一般社会に溶け込んでおり、自分のタクシーには異常な愛情を注ぐ。主な任務はショッカーに敵対する者の暗殺。
- バット(津田寛治)
- 蝙蝠の能力を持った改造人間。空を自由に飛び、小型のメカコウモリを操って偵察も行う。変身前はハイテンションかつエキセントリックな言動の黒マントの男。主な任務は改造人間候補者の拉致で、本郷も彼によって拉致された。
- コブラ
- コブラの能力を持った改造人間。裏切り者の抹殺が主な任務で、圧倒的な腕力と、スネークとのコンビネーションを武器にライダーを苦しめる。後頭部の触手は取り外しが可能で、主にスネークが鞭として使用する。
- スネーク
- 蛇の能力を持った女性の改造人間。柔軟な身体を生かした変幻自在の足技でライダーと戦う。コブラと組んで戦うことが多く、蛇拳を得意とする。
- ショッカー戦斗員
- 怪人たちの下に位置し、集団で動く簡易型の改造人間。常人の3倍の力を持つ。黒尽くめのスーツにガスマスクをつけている。通常の部隊の他に、モトクロスマシンに乗るオートバイ部隊、白いスーツの科学班が存在。機能が停止すると泡となって消える。「イーッ」としか喋らない。
[編集] 武器、オートバイ
本作の仮面ライダーは、基本的に自らの肉体のみを武器として戦闘する。乗用するオートバイは本郷行きつけのバイクショップによるスペシャルカスタムマシンで、ベース車はホンダのスーパースポーツホンダ・CBR1000RR(本郷が搭乗)及び同社のビッグネイキッドホンダ・CB1300ボルドール(一文字が搭乗)である。
[編集] スタント・スーツアクター
[編集] スタッフ
- 原作:石ノ森章太郎
- スーパーバイサー:小野寺章(石森プロ)
- 脚本:井上敏樹
- 音楽/安川午朗
- 製作:石井徹(東映ビデオ)、中曽根千治(東映)、古玉國彦(東映チャンネル)、福中脩(東映エージエンシー)
- 企画:日達長夫(東映ビデオ)、吉田順(東映)、金子建(東映チャンネル)、松田英史(東映エージエンシー)
- エグゼクティブプロデューサー:鈴木武幸(東映)
- プロデューサー:加藤和夫(東映ビデオ)、矢田晃一(東映エージエンシー)、白倉伸一郎(東映)、武部直美(東映)
- 撮影:田中一成
- 照明:三重野聖一郎
- 美術:和田洋
- 録音:室薗剛
- 編集:須永弘志
- 助監督:谷口正行
- キャラクターリファインデザイン:出渕裕
- VFXスーパーバイザー:小林真吾(スタジオガラパゴス)
- アクション監督/横山誠(AAC STUNTS)
- 製作協力:東映東京撮影所
- 製作:『仮面ライダー THE FIRST』製作委員会(東映ビデオ・東映・東映チャンネル・東映エージエンシー)
- 配給:東映
- 監督:長石多可男
[編集] 主題歌
- 主題歌:「Bright! our Future」
- 作詞:ISSA
- 作曲:ISSA & YUKINARI
- 編曲:YUKINARI & 棚橋UNA信二
- 歌:DA PUMP
[編集] 漫画版
- 特撮エースに江川達也作で連載。下書き同然の作画、映画版とあまりにも違いすぎる構成などで、原作のファンからは大きな反発を受けた。熱烈な仮面ライダーファンとして知られ、仮面ライダーBLACK・仮面ライダーZOのコミカライズも手がけた事がある漫画家の島本和彦は、自身が出演するラジオ番組でこの漫画を「描きたくねぇなら描くなって感じですよ」と厳しく批判した。
- なお、この作品の単行本は当初、2006年4月に発売の予定であったが、同年10月に延期を経た後、現在は未定となった。