仮面ライダーJ
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仮面ライダーJ(かめんライダージェイ)は東映スーパーヒーローフェアの一作として、1994年4月16日に公開された劇場映画のタイトル。および、それに登場するヒーローの名。
石ノ森章太郎が関わった仮面ライダー最後の作品。
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[編集] 概要
この作品に登場する仮面ライダーJは、歴代仮面ライダーで唯一自力で40mの巨人になる事ができる。(1993年に制作された『ウルトラマンVS仮面ライダー』では仮面ライダー1号が「奇跡」によって巨大化している。この作品が仮面ライダーJ巨大化の原点と言われている。)
仮面ライダーJが巨大化する事については、「ウルトラマン等と異なり、人間大で戦うことこそ仮面ライダーの醍醐味であり、巨大化してしまってはウルトラマン等との差別化がなくなってしまう」などと、公開当時ファンの間で賛否両論を巻き起こした。
名前の「J」は、「ジャンボ(Jumbo)」の頭文字であるというのが一般的な解釈だが、原作者の石ノ森章太郎はこれに加えて「ジャッジ(Judge)」の意味もあると語っている。また、後に上原正三が著した小説版(ISBN 4094401024)においては「ユピテル(Jupiter)」の頭文字だとされている。作中における「ユピテル」とは仮面ライダーJおよび地空人のパワーの源である「精霊の力(ユピテル・パワー)」の名称であり、映画の劇中では「Jパワー」と略されている。ちなみに「ユピテル」とはそもそも天空(雷)を司るローマ神話における万能主神でありギリシャ神話のゼウスと同一視される事から「万能(神)の力を持つライダー」を意図して設定されている事が窺える。
作風としては、当時ブームであったエコロジーを反映している事が特徴で、主人公は後述の通り「環境破壊を調査するカメラマン」、彼が変身するJは「大自然のエネルギーで戦う戦士 = 大自然の使者」、その使命は人類のみならず「大自然の全生物を守ること」、そして敵の目的はいわゆる世界征服ではなく「地球上の全生物を死滅させる」とされている。また、ヒロインの少女・加那が公害で死んだ動物の墓を作るシーンや、山林が開発作業で切り崩されるシーンなども、この演出に一役買っている。
ただし、本作のコンセプトは単にブームに迎合しただけのものではない。「生命を踏みにじる巨大組織」「大自然から力を授かったヒーロー」という図式はそのままショッカーと仮面ライダー1号にもあてはまる。『仮面ライダー』がもともと内包していたテーマが再び時代に求められた結果、『J』が生まれたとも言えるだろう。
後に、『仮面ライダー』から『仮面ライダーBLACK RX』までと同じ時間軸の物語であるという設定が仮面ライダーZOと競演した作品、『仮面ライダーワールド』によって(児童誌等によって)付与されたが、元来はこれらの諸作はもとより、同じ劇場版オリジナルの『仮面ライダーZO』、ビデオオリジナルの『真・仮面ライダー 序章』とも独立した時間軸を有する作品である。
本作は、企画当初ではZOがパワーアップした姿を描くことが予定されていたが、諸事情により別作品として製作された。その経緯から、Jやバイクの外観は、前作の『ZO』と酷似している。これを逆手に取り、HERO SAGAにおいてZOとJを結び付ける物語が描かれ、ZOを助けた巨木やミュータントバッタの正体がJを作った地空人であり、彼らはZOを元にしてJを作ったという設定が創られた。
[編集] ストーリー
世界中を異常気象が襲う最中、かつて恐竜を絶滅させた集団・フォッグが再び地球に来襲。無数の怪人を孵化させ、地球の全生命を滅ぼそうとする。一方、環境破壊を独自に調査し、その現状を多くの人々に訴えようとするカメラマン・瀬川耕司はバイクで野営しながら取材活動を続けていた。フォッグ・マザーは耕司が出会った心優しき少女・加那を生贄として選び、連れ去るよう幹部たちに命令する。それを阻止しようとする耕司だったが、返り討ちにあい谷底へ落とされてしまった。地空人と呼ばれる人々に窮地を救われた耕司は改造手術(劇中では蘇生手術と呼ばれる)を受け、仮面ライダーJに変身。フォッグに立ち向かう。
[編集] 登場人物
- 瀬川耕司(せがわ こうじ) / 仮面ライダーJ
- 26歳のフリーカメラマン。環境破壊の現状を世間に伝えるため、オートバイで野営しつつ取材の旅を続けている。ある夜の野営中に、加那を誘拐したフォッグの攻撃により絶命するが、地空人により蘇生・改造手術を受け、Jパワー(精霊の力)の戦士・仮面ライダーJとして蘇り、フォグから地球を守る使命を受けた。変身ベルト・Jスピリットにより変身する。指をJの字型に構えるJサインには、Jパワーを高める効果があり、変身時や必殺技の発動時などにたびたび使用する。必殺技は「Jキック」(発声はライダーキック)。2号ライダーやストロンガー同様、パワフルな戦いを身上とする戦士。
- 身長:194cm 体重:84kg ジャンプ力:一跳び150m
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- ジャンボライダー
- フォッグ・マザーとの決戦においてJがジャンボフォーメーションによって巨大化した形態。大地に宿る全ての精霊たちがJに力を注ぐことで初めて可能となった、奇跡の能力である。身長は約40mと推定されるが、正確には不明。重量12000tのフォッグ・マザーを吹き飛ばす打撃力、雲の上まで達する跳躍力など、全ての面で驚異的なパワーアップを遂げている。必殺技は「ジャンボライダーキック」。
- ジェイクロッサー
- J専用のスーパーバイク。瀬川耕司の愛車である市販バイクがJパワーを受けてこの形態に変形する。千度の高温にも耐えるボディを持ち、天候や路面状況を問わずに常に最高性能を保つことができる。最高速度1330km/h、ジャンプ力90m。動力はJパワー。空中からの体当たり技「ジェイストライク」などでJと共に戦う。
- 木村加那(きむら かな)
- 耕司がとある湖の汚染の調査に立ち入った際、知り合った少女。9歳。心優しい性格で、公害で死んだ動物たちの墓を作り続けている。耕司を慕い、野営中の彼にコーヒーを差し入れに来たが、そこをフォッグに大孵化の生け贄として誘拐されてしまう。
- 地空人(ちくうじん)
- 地中の奥深くで大地の精霊のエネルギーを糧として生きる者たち。強大な力を持つにも関らず、地上の光に弱い上、下半身が木の根のように大地に根付いているため、フォッグと戦う者として、大自然と心を通わせることのできる人間を捜し求めていた。耕司の大自然を愛する心を認め、彼にを蘇生・改造手術を施し、フォッグ打倒の使命と仮面ライダーJの名を与えた。
- ベリー
- 地空人の下僕である、言葉を話すミュータントバッタ。地中から出られない彼らに代わって地上を飛び回り、耕司に助言を与える。
[編集] フォッグ
女帝にして母艦でもあるフォッグ・マザーと、彼女が生み出した怪人から成る集団。7000万年の昔、地球の恐竜を滅ぼしたのも彼らである。 設定では「フォッグ」だが、劇中では「フォグ」と発音されている。
- 機械獣母艦フォッグ・マザー
- フォッグの母艦にして、フォッグの怪人たちを生み出す機械生物。体内には無数の怪人の卵が安置してあり、千年に一度の大孵化を行うための生贄を求めて地球に降り立った。マザーの本体は深奥に存在している。
- 全高:70m 体重:12000t
- ガライ/コブラ男
- マザーに「王子」と呼ばれる怪人たちのリーダー。コブラ男に変身。高い戦闘力を持ち、人間を催眠状態にして操る能力も持つ。光の剣を武器とし、拳から巨大な三つ又の爪を発射する。
また手の平から巨大な三又の爪を発射する。
- 身長:207cm 体重:125kg ジャンプ力:120m
- ズー/ハチ女
- ガライに仕える女戦士。ハチ女に変身。戦闘力はあまり高くないが、飛行能力を活かした奇襲戦法を得意とする。手の平から鋭い針を発射する。
- 身長:189cm 体重:79kg 最高飛行速度:時速870km 最高高度:5000m
- アギト/トカゲ男
- ガライに仕える戦士。トカゲ男に変身。怪力と突進力を兼ね備えた猛者。伸縮自在な尻尾や鋭い牙を使った攻撃を得意とする。
- 体長:350~490cm(尻尾が伸縮する) 体重:105kg
[編集] 出演
- 瀬川耕司:望月祐多
- 木村加那:野村佑香
- ガライ:神威杏次
- アギト:栗原敏
- ズー:万里洋子
- 仮面ライダーJ:岡元次郎
- コブラ男・ガライ:日下秀昭
- ハチ女・ズー:関誉枝恵
- トカゲ男・アギト:鶴山知之
- フォッグマザーの声:佳山真梨穂
- ベリーの声:愛河里花子
- ナレーション:飯塚昭三
[編集] スタッフ
- 原作:石ノ森章太郎
- 製作:山科誠、渡邊亮徳
- 企画:村上克司、吉川進
- プロデューサー:久保聡、堀長文、角田朝雄
- 脚本:上原正三
- 監督:雨宮慶太
- 助監督:神園浩司
- 特撮監督:矢島信男、佛田洋
- アクション監督:金田治
- キャラクターデザイン:雨宮慶太
- 美術:高橋昭彦
- 編集:菅野順吉
- スクリプター:太田克己
- 撮影:松村文雄
- 照明:才木勝
- 音楽:川村栄二
[編集] 主題歌・挿入歌
- 主題歌:『心つなぐ愛』
- 挿入歌:『Just One Love』
- 作詞:大津あきら 作曲:川村栄二 歌:BYUE