Privacy Policy Cookie Policy Terms and Conditions 中央高速バス - Wikipedia

中央高速バス

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Disambiguationこの項目では京王バスグループを中心とした新宿から中央道方面の高速バスについて説明しています。名鉄バスを中心とした名古屋から中央自動車道方面の高速バスについては中央道高速バスをご覧ください。
中央高速バスの後部サボ
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中央高速バスの後部サボ

中央高速バス(ちゅうおうこうそくばす)は、京王電鉄バスグループ(旧:京王帝都電鉄バス)とその共同運行会社が運行している、中央自動車道を経由し、新宿高速バスターミナルに発着する高速バスの総称。

本項では以下、単に「京王」とした場合は、京王帝都電鉄(現:京王電鉄)のバス部門及び京王電鉄バスグループを指すものとする。また、伊那線と飯田線は、免許上は一体になっていることから、「伊那・飯田線」とまとめて呼称される事が多いため、本項でも、特に区別する必要がない場合は「伊那・飯田線」という1路線として扱う。

目次

[編集] 概説

中央高速バス(京王電鉄バス)
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中央高速バス(京王電鉄バス
中央高速バス(京王バス東)
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中央高速バス(京王バス東)
中央高速バス(フジエクスプレス)
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中央高速バス(フジエクスプレス
中央高速バス(富士急平和観光)
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中央高速バス(富士急平和観光
中央高速バス(山梨交通)
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中央高速バス(山梨交通
中央高速バス(濃飛乗合自動車)
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中央高速バス(濃飛乗合自動車
  • 「中央高速バス」は京王の登録商標である(登録商標番号第3130460号)。このため、京王が幹事となるか営業協力している路線では「中央高速バス」の名称を使用できるが、それ以外の路線では商標権侵害となるため使用できない。
    • 身延線は当初は山梨交通の単独運行であったが、当初から京王が営業協力している上、増便の際には京王が参入することが決まっていたため、運行当初から「中央高速バス」の名称を利用することが可能であった。
    • 新宿駅新南口~伊那市・高遠間の「南アルプス号」にも京王・伊那バスが参入しているが、こちらはJRバス関東の単独運行だったJRバス主導の路線であり、京王も営業協力は一切していない(しかも京王の公式サイトからは、この路線の情報を参照することが出来ない)ため、「中央高速バス」の名称は使われていない。また、「ハイウェイバスドットコム」での予約も出来ない(「高速バスネット」での予約は可能)。
  • 多くの路線に富士急行グループも参入している。これは、富士五湖線では山梨県側の事業者として参入しているが、甲府線では双方に拠点を持つ事業者として、甲府以遠の路線では東京側の事業者として参入しているためである。
  • 中央道上野原が、富士五湖線・甲府線で乗降可能停留所になっているのは、かつて京王の一般路線バスが神奈川中央交通と相互乗り入れで国道20号を上野原まで乗り入れており、京王・富士急両社のエリアとされているためである。
  • 伊那線への山梨交通の参入は、甲府線における共同運行事業者として参入を希望し、認められたものである。また、諏訪岡谷線への参入については、乗降エリアに山梨交通エリアが含まれることによる。
  • 飯田線が開業当時から諏訪バスが参入しているのは、乗降エリアの中の中央道辰野が諏訪バスエリアだったことによる。当時、岡谷~川岸~辰野間の諏訪バス路線が存在した(後に廃止)。後年、やはり諏訪バスエリアだった中央道川岸に一部便が停車するようになった。なお、同線に諏訪バスが参入していたことから、後に伊那・飯田線の免許を活用して運行開始した中央道茅野線の開通時には、同社は初めから諏訪側の事業者として参入することが可能であった。
  • 飯田方面、身延方面は中央高速バスの独壇場である(JRの身延線飯田線が弱体化しているため)が、甲府・諏訪・岡谷・松本方面は中央本線の特急列車(特急あずさ・スーパーあずさかいじ)との激しい競争にさらされているのも事実である。所要時間は特急あずさ・かいじに歩があるため、こちらは値段の値下げ・現状維持で勝負している。
  • 富士五湖方面は中央高速バスが優勢であるが、こちらは通常ならライバルと位置付けられる鉄道側の事業者も富士急行であり、運賃や便数では高速バスを、定時性においては鉄道をPRしているため、どちらかといえば相互補完の関係に近い。
  • 以前は、新宿高速バスターミナルでの案内放送では「○番乗り場に停車中の京王電鉄バスにご乗車下さい」「○番乗り場の山梨交通バスにご乗車下さい」などと、正式な社名の後に「バス」をつけて放送していたが、JRバス関東の参入や分社化などで社名の後ろに「バス」をつけるとかえって不自然になるケースが出たこともあり、最近では「山梨交通」「富士急行」「JRバス」と省略して放送するようになった(高山線運行当時にはもう変わっていた)。京王だけは「京王電鉄バス」と「京王バス東」があるので、「京王電鉄バス」「京王バス」と区別されている。もとより一般利用者にはこれで十分通用する。

[編集] 歴史

[編集] 沿革

[編集] 中央高速バス問題

中央高速バスの路線開設においては、一時期需給調整や採算性の問題から、いくつか問題が発生し、関係者の間では「中央高速バス問題」と呼ばれていた。特に国鉄JRバスとの対立が、いくつかの路線開設に影響を与えている。現在は、JRバス「南アルプス号」では京王新宿駅新南口バスターミナルに乗り入れるなど、さほど悪い関係ではなくなっている。

[編集] 伊那・飯田線

中央高速バス(伊那バス)
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中央高速バス(伊那バス
中央高速バス(信南交通)
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中央高速バス(信南交通
中央高速バス(諏訪バス)
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中央高速バス(諏訪バス

伊那・飯田地区は、経済圏がどちらかといえば名古屋に向いていた地区であり(東京とのつながりはあったがパイプは細かった)、またすでに運行していた中央道特急バス(現:中央道高速バス)の採算性も、悪くはないものの絶好調とは言えない(路線としての採算ラインはクリアしているが、会社の経営に寄与するには至っていない)状態であった。当時の運行便数は中央道特急バスが飯田線15往復・伊那線7往復であり、需給面から「さらに遠い東京までの高速バスが果たして利益を生み出せるのか」と採算性を危惧する意見もあった。大都市と地方を結ぶ高速バスの場合、地方側の事業者の方が熱心なケースが多いが、ここもその例に漏れなかった。

このような背景もあり、運行予定各社間の調整に限っても長期間を要している。伊那バス信南交通京王へ初めて高速バス路線開設の協力を要請したのが1980年7月であるが、各社間協議が初めて行なわれたのは1982年11月である。しかし、総運行本数・施設の共用などの条件がかみ合わず調整が難航、起終点3社(京王・伊那バス・信南交通)が1984年7月に先行申請する事態になった。その後、京王が取りまとめ役となって再度調整し、沿線3社(富士急行山梨交通諏訪バス)も合意するに至り、6社共同で同年8月31日に再申請となっている。

この間、信南交通は1980年末より、お盆・年末年始の帰省ラッシュ期に新宿~飯田間で会員制(ツアーバス形式)の「帰郷・上京バス」を運行した。おおむね各期1週間前後の運行であったが、最後の運行となった1984年盆期は約1ヶ月間運行、同区間を4時間半で結び、帰省・Uターンのピークには3~4台で運行する日もあった。この運行実績から、信南交通・伊那バスなど伊那地区の事業者では、採算性は十分見込めると考えていた。

1984年に入り、路線免許の申請・認可が確実になってくると、当時の国鉄は、安くて速い高速バスが運行されることによって飯田線中央東線が深刻な影響を受けることに危機感を強めた。当時、国鉄では新宿発着で飯田線に直通する急行「こまがね」を運行していたが、名古屋発着で豊橋経由で飯田線に直通していた急行「伊那」が中央道特急バスの影響を受け1983年に廃止に追い込まれたことや、国鉄バス中国ハイウェイバス運行によって姫新線が大きな影響を受けた経験もあり、地方線区にとっては高速バスは脅威であると認識していた。つまり、国鉄はこの区間における高速バスの採算性を認めていたのである。部内では高速バスへの参入により身内で影響を食い止める案も出ていた(国鉄バスは東京・伊那・中津川に営業所があったので、東京~伊那地区高速バス参入は不可能ではなかった)が、部内協議で高速バス反対という方針となり、申請と同時期に運輸省や地域自治体に対して認可についての再検討を求めた。

一バス路線の開設に対して国鉄が横槍を入れてくるのは過去に例がなく、関係者は戸惑いを隠せなかったという。運輸省は「バス会社同士のような利害関係はない」としながらも、同申請を運輸審議会に諮問したが、運輸審議会は「国鉄飯田線への影響が、伊那地区の住民の利便を妨げる理由にはならない」という結論を出し、1984年12月7日に認可した。当時の国鉄の地位低下を示している事象ともいえる。飯田線の線形はカーブが多く、速達列車の運行には全く向いていないことから、高速バスに対しては全く競争力を持たせることが出来ず、1986年11月に急行「こまがね」は廃止、1988年3月には急行自体が全廃され、飯田線は地域輸送主体の路線となった。国鉄の抱いていた危惧は現実のものになったのである。

一方、運行開始直前まで「2系統合わせて15往復の運行は供給過剰」と思われていた中央高速バス伊那・飯田線は、繁忙期には続行便も多数出るほどの盛況となり、1985年度だけで50万人を輸送、運賃収入は6社合計で15億7000万円を計上しており、1便平均の乗車人員も1986年の時点で名古屋方面の20人を大きく上回る28人となり、需給・採算についての懸念は全くの杞憂と化した。また、伊那地区の経済圏は完全に東京指向になった。さらに、それまで赤字続きだった伊那バスと信南交通(特に信南交通は「倒産寸前」とまで言われていた)が、中央高速バス運行開始の翌年度に単年度黒字を計上するなど、運行事業者の経営状態の改善にも大きく貢献した。

これらのことから、高速バスがバス事業者の経営において重要な位置付けになることを説明する際に、しばしば引き合いに出される路線となっている。また、「高速バスに救われたバス会社」として、信南交通・伊那バスの名前が挙がることも多い。この後も漸次増便され、2006年8月現在では伊那線16往復、飯田線17往復と、開業時と比較して倍以上にまで増便されている。

[編集] 諏訪岡谷線

中央高速バス(JR東日本バス参入当時の車両)
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中央高速バス(JR東日本バス参入当時の車両)

1986年2月25日に、京王・富士急・山梨交通・諏訪バスの4社で1日10往復の路線開設の申請を行なったが、その直後の3月14日、国鉄バスが東京駅・新宿駅~上諏訪・岡谷駅8往復の路線開設申請を出願し、類似内容で競願となった。国鉄では、伊那・飯田線の申請の際に再考を求めたものの受け入れられなかったため、今回は初めから身内で影響を食い止めるための高速バス参入という方針に転換したものである。

もともと民間各社間の調整にも手間取り、ようやく話がまとまって申請したところで競願となったため、民間側は「中央高速バスは民間で構築してきた路線で、今さら土足で踏み込まれては困る」と猛反発。対する国鉄も「分割民営化を控え、バス部門を強化するには収益性の高い高速バスへの参入は不可欠」と全く譲らず、主張は完全に対立、調整不能な状態のまま申請後1年が経過するという異常な事態に陥った。

この間、1986年11月1日には国鉄のダイヤ改正で特急「あずさ」が増発されることになった。このままでは利用者が「あずさ」に定着してしまい、高速バスの利用者にも影響が出ることが予想された。また、諏訪地区の住民からの高速バス開業への期待は大きく、1986年8月には沿線市町村が運輸省へ民間4社に対する認可を求めて陳情する事態にもなったことから、諏訪バスが当初から参入していた伊那・飯田線の免許を利用した運行系統新設扱いにより、11月1日より中央道茅野線として運行を開始した。茅野までなら諏訪バスのエリアであると共に国鉄バス下諏訪自動車営業所(現:JRバス関東中央道統括支店諏訪営業所)のエリアからは外れており、免許上も重複しなかったからである。中央道茅野線は、わずか1日3往復という暫定開業ながらも好調となったが、沿線からは増便や伊那・飯田線の停車を要望する声も多かった。

結局、国鉄~JRバスが折れる形で、JR東日本バスは諏訪側の事業者として1往復のみの参入という内容で再申請し、1987年7月1日に11往復で運行開始となった。申請から実に1年4ヶ月も経ってからの運行開始であった。その後増便され、現在は2往復をJRバス関東が担当している。

参入時に、JRバスは中央高速バスでは初めてのWC付車両を投入した。JRバスとしては既に運行していた東名ハイウェイバスと同仕様で導入したに過ぎないのだが、渋滞の多い中央道では乗客から好評だったため、他社・他路線にも波及した事から、JRバスの参入にも居住性の改善という意味では大きな意義があったと考えられる。

[編集] 松本線

中央高速バス(松本電気鉄道)
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中央高速バス(松本電気鉄道

申請直後に、JRバス関東がほぼ同一内容(東京駅起点となることが異なる程度)で、しかも共同運行会社が同じ松本電気鉄道での路線開設申請を行なった。この頃になると、運輸省の対応も変化しており、双方ともに認可が下りたため、ダブルトラック路線として運行を開始した。しかし、似たような路線で、しかもどちらの路線にも松本電気鉄道が参入しているにもかかわらず、全く無関係な路線として扱われたため、乗客側にとっては分かりづらい状態であった。

JR側は「松本号」として運行、マルス収録の上、みどりの窓口でも発売を扱うなど、販売ネットワークとしては悪くなかったが、営業力では既に中央高速バスを運行していた京王側には遠く及ばず、不振な状態が続いたため、当初4往復だったものを2往復に減便の上、1992年に撤退となった。ほぼ同時期に、当初8往復で運行開始した京王側では増便を行なっている。

これ以後、しばらくはJRバスの中央自動車道方面への路線展開は途絶えることになる。

[編集] 使用車両

[編集] 概要

中央高速バス(京王の旧カラーリング)
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中央高速バス(京王の旧カラーリング)
中央高速バス(JRバス関東が投入したスーパーハイデッカー)
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中央高速バス(JRバス関東が投入したスーパーハイデッカー)
  • 基本的には、各社ともWC付のハイデッカーが使用される。ただし、乗車時間の短い富士五湖線については、現在においてもWCなしの車両が主流である。
  • 信南交通の車両は、車両グレードが同じであっても、側窓にスモークガラスを使用するなど、他社の車両よりも高級感がある。
  • 富士五湖線の富士急行便では、富士急ハイランドのアトラクションに関連するラッピングバスを運行している。また、特別塗装車として「トーマスランドエクスプレス」が2台在籍しているが、車体の外部には「富士急ハイランド」という文字は一切書かれておらず、車体広告バスとは認識されていない。「富士急行」とは書かれており、現実には山梨県以外のエリアでは「富士急=富士急ハイランド」というイメージがかなり強いため、実質的に広告バスと見ることも出来るが、これは運行会社名とみなされたため、東京都の屋外広告物条例の改正前から都内への乗り入れが可能であった。
  • 山梨交通松本電気鉄道には新型ガーラ(いすゞ)、諏訪バスには新型セレガ(日野)が導入されている。
  • 多客時には、続行便として貸切車も投入されることがある。特に諏訪バス・信南交通は、予約段階で満席であれば、たとえ片道回送になっても続行便を設定する。また、富士急行富士急平和観光も週末を中心に続行便を設定することが多い。
  • 一時期の伊那バスと信南交通では、新車は中央高速バスに集中投入し、名古屋方面の中央道特急バスは経年車中心の運用としたことがあった(現実に、1986年頃の新車では、車体側面に「中央高速バス」と記されており、中央高速バス専用車としか思えなかった)。また、続行便設定時にも、貸切車の高級車種を優先的に投入しており、1987年頃の伊那バスに至っては、看板車として導入したスーパーハイデッカー貸切車のうち、在籍台数の半分近くを続行便の運用に投入していたこともあった。
  • 1990年代前半、京王では富士五湖線の続行便用として貸切車を導入したが、仕様は高速車と全く同様で、外観上も方向幕も装備し、車内には降車ボタンも設置されるなど、登録が貸切車というだけであった。定期便では中央高速バスを担当していない調布営業所(現:京王バス東・調布営業所)にも配置されていた。
  • 一時期、松本線、諏訪・岡谷線、伊那線、飯田線を中心にスーパーハイデッカー車が投入されたことがあったが、現在では車両更新により勢力を減らしつつあり、山梨交通・諏訪バスなどに多く見られる程度である。山梨交通担当便では、他路線との共通運用により、甲府線でもスーパーハイデッカーで運行されることが多い。
  • 一時期のJRバス関東担当便には、元「ドリーム号」用の36人乗り3軸スーパーハイデッカーが投入されたことがある。
  • 諏訪バスがアルピコグループ統一塗装に変更されたり、富士急行担当便に「Resort Express」が投入された頃には、新宿高速バスターミナルでの案内放送では「白い富士急行バス」などの言い回しで、極力誤乗を防ぐようにしていたが、「Highland Dream」「トーマスランドエクスプレス」やラッピングバスが登場するに至って、言葉では表現しづらくなってきたこともあり、単に「富士急バス」とだけ案内するようになった。乗車改札を行なっている上、ラッピングバスは富士五湖線のみの運用であることから、特にカラーバリエーションが豊富になったから誤乗が増えているということはないようである。

[編集] 高速・路線兼用車「ワンロマ」

京王富士急行では、富士五湖線に通称「ワンロマ」と呼ばれる高速・路線兼用車を導入していた。元来「ワンロマ」は京王の社内呼称であったが、後に富士急行も同様の車両を「ワンロマ」と称していた。

基本的にはどちらの会社の車両も、長尺車の路線車シャーシを採用した前中扉の車体で、過給器付エンジン・ハイバックシートかリクライニングシートを装備した車両である。休日には高速バスは続行便が運行される一方、一般路線の需要が減少するため、車両の有効活用策として考えられたものである。100kmを超える距離を走る高速バスと路線バスの兼用としてまとまった台数を導入した例は中央高速バス富士五湖線以外にはなく、高速バスと路線バスでは全く走行環境が異なることを考えれば、特殊な車両といえる。

他社において、趣味者に「ワンロマ」と俗称される車両については当該記事を参照されたい。

[編集] 京王帝都電鉄

京王のワンロマ車3代目 1990年冬に撮影
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京王のワンロマ車3代目 1990年冬に撮影
京王のワンロマ車3代目(格下げ後) 1994年夏に撮影
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京王のワンロマ車3代目(格下げ後) 1994年夏に撮影

京王の初代ワンロマ車は1980年に導入されたもので、外見上は二段上昇窓、前中引戸の路線車そのものだが、座席は一部を除いてリクライニングシートであった。しかしながらリーフサスで乗り心地は良くなかった。車種はいすゞCJM500・日野RC301・三菱MP118Mだった。

1982年に導入された2代目車両はやはりリーフサスの路線車ながらメトロ窓の長尺車となり、中扉は4枚折り戸、全席リクライニングシート装備となった。なお、2代目はメトロ窓になった関係で、当初は高速車と同様に側面方向幕を前扉後ろの窓下に設置することを考えた。しかし一般路線と高速路線(富士五湖線・甲府線)の全部を収容するためには長尺の幕にする必要があり、窓下に設置すると、車内への張出が大きくなってしまうため、やむなく前扉上の屋根部分に飛び出して設置された(後に格下げで側面の窓割を変更して窓部分へ移設)。車種はいすゞCPM550・日野RC321・三菱MP118N。 これら初代と2代目は前扉が一般路線用よりも狭い幅の折戸である他、京王の一般路線車には装備されない(一部例外を除く)フォグランプが装備されていたため、格下げ後でも容易に見分けがついた。また、車内も一般路線車が木張りの床であったのに対して、高速・貸切車と同等の床材で仕上げてあった。格下げ後は、全面に滑り止めシートが敷かれた。

また、1987年に導入された3代目の車両は観光路線タイプの車体を持つエアサス車で、中扉は4枚折り戸、方向幕はライト間に高速用・フロントガラス内側に路線用の方向幕を装備していた。側面窓は逆T字となり、側面方向幕は前扉直後の窓内側に収容する事ができた。また、各社とも270PSクラスのエンジンを搭載して出力が増強されたため、初代・二代目で常態化していた真夏の下り便談合坂登坂時の冷房カットも少なくなった。車種はいすゞP-LV218N・日野P-HU276B・三菱P-MP618P。

車体色は、初代は路線車塗色をベースに前面と側面を高速車風にしたもの、二代目はアイボリーと朱色の貸切・高速色(現行塗色の先々代塗色)。三代目は濃茶と白・赤の貸切・高速色(先代塗色)であった。なお、登録上は特殊貸切車となっていた。

しかし、路線車ベースのシャーシで標準床車ということで、高速用としては走行性能・設備とともに物足りないものであった上、路線車としては通路が狭く吊革がないなどラッシュには不向きであることから、高速の続行便は次第に貸切車を使用することになり、都市部の路線車としても使いづらいことから、末期は路線色に塗りかえられて予備車や契約輸送用(多摩営業所では東京薬科大学、永福町営業所では三省堂等)になっていた。1999年に全廃。

[編集] 富士急行

富士急行のワンロマ車 2000年夏に撮影
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富士急行のワンロマ車 2000年夏に撮影

富士急行のワンロマ車は1988年に導入された日野P-HU276Bである。もともと観光路線仕様の車両が多いこともありあまり目立たなかったが、やはりリクライニングシートを装備、中扉は折戸で、京王の三代目同様に、高速車として使用する際には中扉ステップを板で塞ぎ、荷物置き場として利用することが可能だった。また、後部の座席では補助席も装備されていた。こちらは路線車としての登録であった。富士急行では扉配置は前後扉が標準だったため、路線仕様なら白色になるバンパーが黒色だったこともあり、容易に判別可能だった。

しかし、高速車としての使い勝手は京王と同様物足りないものであり、もともと経年高速車を続行便として常用していたこともあって、こちらも末期には高速車としての運用はほとんどなかったが、路線車としての使い勝手は観光路線が多いこともあって悪くはなく、2002年頃までは富士山麓の観光路線で使用されていた。

なお、富士急行ではこのワンロマ車を導入する前は、一般路線用の前後扉・メトロ窓・ハイバックシート装備の日野RCを応援に駆り出すことも多かった。

[編集] 問題点

新宿高速バスターミナル
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新宿高速バスターミナル
  • 新宿高速バスターミナルが大変狭隘であり、既に一部の時間帯では限界に近い状態になっている。これは1980年代後半には既に問題になっていたが、路線がさらに増えた現在においても、根本的な解決策が見出せないままとなっている。ただし、現在行なわれている新宿駅南口の改良工事にはバスターミナルの整備も含まれており、完成後には何らかの動きがあることも考えられる。
  • 予約システムでは座席の指定が出来ない。このため、先に降車する乗客が窓側席をアサインされるケースもある。
  • 中央自動車道は現時点で唯一、大都市近郊に入っても片側2車線のままであることから、土休日や繁忙期の渋滞が激しくなる傾向がある。このため、他方面の高速バスと比較しても定時制が著しく損なわれている。
  • 伊那・飯田線や諏訪岡谷線では事業者数が多くなるため、運行分担比率についての調整が難しい。現在までは利用者不在となるような事態には至っていないが、山梨県内に乗降エリアがないにもかかわらず伊那線に参入している山梨交通東京都と山梨県に営業エリアを持つ富士急行グループの存在が、話を複雑にしているといわれている。このためか、松本線以降の路線では、東京側の事業者は京王のみとなっている。

[編集] 運行系統

[編集] 路線一覧

  • 富士五湖線 新宿高速バスターミナル~中央道上野原~富士急ハイランド・河口湖駅・富士吉田駅・山中湖・平野・本栖湖
    運行会社:京王バス(京王バス東)富士急行
    • 以前は山中湖のバスターミナルは京王と富士急行で分かれていたが、現在はどちらも富士急の旭日丘バスターミナルに発着する。
    • 1990年頃までは共同運行路線ではなく、2社の相互乗り入れという形態で、予約センターも別であった。山中湖のバスターミナルが別だったことも、その理由による。
    • 京王は2台が山中湖(旧山中湖京王バスターミナル)常駐となり、検査時に交換する。
    • 河口湖経由山中湖方面行は、富士急ハイランド~河口湖駅~富士吉田駅の順に停車する(上りは逆)。河口湖行、河口湖経由本栖湖方面行は、富士急ハイランド~富士吉田駅~河口湖駅の順に停車する(上りは逆)。「直通」山中湖方面行は、両駅に寄らず、富士急ハイランドからまっすぐ忍野入口へ向かう。ただし、続行便で2号車以降が途中折り返しとなる場合(山中湖行の2号車が河口湖駅止まりとなる場合など)は、基本的に1号車と同一の停車順となる。
  • 富士山五合目線 新宿高速バスターミナル~中央道上野原~富士山三合目・富士山五合目
    運行会社:京王バス(京王バス東)・富士急行
  • 甲府線 新宿高速バスターミナル~中央道上野原~甲府駅・湯村温泉
    運行会社:京王バス(京王バス東)・富士急行(富士急平和観光)・山梨交通
    • 石和経由と甲府南IC経由がある。以前は、担当便がそのまま運行会社の収入となっていたので、不公平感をなくすため毎年担当時間をスライドさせていたが、現在はプール制となり担当便が固定されている。週末は利用者が多く、増発運行されることが多い。稀に、3台運行で京王バス東・山梨交通・富士急平和観光の3社競演が見られることがある。
  • 身延線 新宿高速バスターミナル~南アルプス市役所・身延山・身延
    運行会社:京王バス(京王バス東)・山梨交通
  • 諏訪岡谷線 新宿高速バスターミナル~上諏訪駅・下諏訪・岡谷駅
    運行会社:京王バス(京王バス東)・富士急行(フジエクスプレス)・山梨交通・諏訪バスJRバス関東中央道統括支店
    • 上諏訪経由の岡谷系統と、岡谷経由の上諏訪系統が存在する。
    • 双葉SAで休憩する。
  • 伊那線 新宿高速バスターミナル~中央道辰野・中央道箕輪・伊那市・駒ヶ根市・駒ヶ根車庫
    運行会社:京王バス(京王電鉄バス)・富士急行(フジエクスプレス)・山梨交通・伊那バス信南交通
    • 朝夕のみ超特急便が存在する。
    • 双葉SAで休憩する。
    • 信南交通は飯田から駒ヶ根まで車両を回送する(一部便は駒ヶ根車庫待機+翌朝便につき 飯田へ営業便で戻る)。
    • 富士急行(フジエクスプレス)・山梨交通担当便の続行便(2号車以降)は、京王バス(京王電鉄バス)・伊那バス・信南交通が担当する。
  • 飯田線 新宿高速バスターミナル~中央道辰野・中央道箕輪・中央道伊那インター・中央道駒ヶ根インター・飯田駅前・昼神温泉郷
    運行会社:京王バス(京王電鉄バス)・諏訪バス・伊那バス・信南交通
    • 朝夕のみ超特急便が存在する。
    • 双葉SAで休憩する。
    • 諏訪岡谷線の開業前は、諏訪バスは信南交通の車庫に車両を常駐させ、検査時に交換していた。
    • 伊那バスは、松川営業所から飯田まで車両を回送する。一部は飯田(信南本社)に滞泊する。
    • 諏訪バス担当便の続行便(2号車以降)は、京王バス(京王電鉄バス)・伊那バス・信南交通が担当する。
  • 松本線 新宿高速バスターミナル~長野道みどり湖・松本バスターミナル
    運行会社:京王バス(京王電鉄バス)・松本電気鉄道
    • 昼行便では唯一の、中央道上の停留所で客扱いを行わない路線である。
    • 双葉SAで休憩する。
  • 白馬線 新宿高速バスターミナル~信濃大町駅前・白馬町・白馬八方
    運行会社:京王バス(京王バス東)・松本電気鉄道
    • 冬季のみ新宿発の夜行便が運行される。(乗務員は途中交代・諏訪バス乗務員⇔松本電鉄乗務員)
    • 双葉・梓川SAで休憩する。
  • 木曽福島線 新宿高速バスターミナル~漆の里平沢・木曽福島駅前
    運行会社:京王バス(京王バス東)・おんたけ交通
    • 木曽福島行は諏訪湖SA、新宿行は双葉SAで休憩する。
  • 下呂温泉線 新宿高速バスターミナル~(中央道)馬篭・中津川淀川・下呂温泉
    運行会社:京王バス(京王バス東)・濃飛乗合自動車
  • 飛騨高山線 新宿高速バスターミナル~平湯温泉・丹生川・高山濃飛バスセンター
    運行会社:京王バス(京王電鉄バス)・濃飛乗合自動車
    • 夏季のみ新宿発の夜行便が運行される。
    • 双葉SAで休憩する。
  • 名古屋線 新宿高速バスターミナル~栄・名鉄バスセンター
    運行会社:京王バス(京王バス東)・名鉄バス
    • 中央高速バスにおいて唯一、毎日運行の夜行便が存在する。
    • 名古屋側では「中央道高速バス新宿線」と案内されている。
    • 名古屋行は双葉SA・駒ヶ岳SA・恵那峡SA、新宿行は恵那峡SA・諏訪湖SA・談合坂SAで休憩する。

[編集] 停車停留所一覧

▲・△・▼・▽…頂点が向いている方向のみ乗降可能(白印は一部便停車)
◆・◇…双方向に乗降可能(白印は一部便停車)
停車停留所名 富士五湖線 富士山五合目線 甲府線石和経由 甲府線甲府南経由 身延線 諏訪岡谷線 上諏訪経由 諏訪岡谷線 岡谷経由 伊那線 伊那線超特急 飯田線 飯田線超特急 松本線 白馬線 木曽福島線 下呂温泉線 飛騨高山線 名古屋線 昼便 名古屋線 夜便 京王 名古屋線 夜便 名鉄 備考
新宿高速バスターミナル 新宿駅
中央道三鷹  
中央道深大寺  
中央道府中  
中央道日野  
中央道八王子  
中央道相模湖  
中央道上野原  
中央道野田尻  
中央道猿橋  
中央道小形山  
中央道都留  
中央道西桂  
中央道下吉田  
富士急ハイランド ハイランドリゾート前
河口湖駅 一部便は経由しない
富士吉田駅 一部便は経由しない
富士山三合目  
富士山五合目  
忍野入口   一部便は経由しない
忍野富士急ホテル前   一部便は経由しない
忍野八海   一部便は経由しない
忍野村役場前   一部便は経由しない
内野   一部便は経由しない
ホテルマウント富士入口    
山中局入口    
山中湖村役場    
山中湖ターミナル    
撫岳荘前    
平野    
勝山    
風穴    
精進湖入口    
本栖湖    
中央道真木      
中央道笹子      
中央道甲斐大和      
勝沼      
一宮      
石和     石和温泉駅入口
山梨学院大学      
善光寺     善光寺駅
中央三丁目      
中央道釈迦堂      
中央道甲斐一宮      
中央道御坂      
中央道八代      
中央道境川      
中央道甲府南     甲府方面のみ停車
中道      
南甲府警察署      
伊勢一丁目      
甲府駅     甲府駅南口
甲府湯村温泉     甲府富士屋ホテル前
上今諏訪          
白根IC西          
桃園          
南アルプス市役所          
古市場          
青柳          
鰍沢本町          
切石          
飯富          
梅平          
身延山          
身延         身延駅
中央道昭和            
中央道双葉東            
中央道韮崎            
中央道明野            
中央道須玉            
中央道長坂高根            
中央道八ヶ岳            
中央道小淵沢            
中央道富士見            
中央道原            
中央道茅野            
諏訪インター            
中央道有賀            
今井            
上諏訪駅           岡谷経由は逆方向
下諏訪           岡谷経由は逆方向
長地           岡谷経由は逆方向
岡谷市役所前           岡谷経由は逆方向
岡谷駅           岡谷経由は逆方向
中央道川岸               一部便のみ停車
中央道辰野                
中央道箕輪                
中央道伊那インター                
伊那インター前                
伊那市                
中央道西春近                
沢渡                
宮田                
中央道宮田                
駒ヶ根市               駒ヶ根バスターミナル
伊那バス駒ヶ根車庫                
中央道駒ヶ根インター                    
飯島                    
松川                    
高森                    
上飯田                    
伊賀良                    
飯田駅                    
飯田                   飯田バスセンター
阿智                      
昼神温泉郷                      
長野道みどり湖                        
長野道広丘野村                        
長野道神林                        
松本インター前                        
松本バスターミナル                       松本駅
安曇野豊科                         スイス村
安曇野松川                          
信濃大町駅                          
白馬五竜                         道の駅白馬
白馬町                         松本電鉄白馬営業所
白馬八方                         白馬アルピコターミナル
漆の里 平沢                           道の駅ならかわ
奈良井宿                           道の駅木曽の大橋
やぶはら                            
日義木曽駒高原                           道の駅日義木曽駒高原
福島関所                            
木曽福島駅                            
馬篭                              
中津川淀川                              
福岡総合事務所前                              
道の駅花街道付知                              
加子母福崎公園                              
下呂宮地                              
下呂温泉                             下呂駅
平湯温泉                                
丹生川                                
高山濃飛バスセンター                               高山駅
中津川                                  
恵那                                  
瑞浪天徳                                  
多治見                                  
桃花台                                  
勝川駅                                 一部便が停車
                                 
名鉄バスセンター                                  

[編集] 参考文献

  • バス・ジャパン」4号 特集・中央ハイウェイバス(バス・ジャパン刊行会 1987年4月発売)

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

ハイウェイバスドットコム

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