ヒンディー語
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ヒンディー語 हिन्दी [hɪndiː] |
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話される国 | インド |
地域 | 南アジア |
話者数 | 1億8000万-4億8000万人 |
順位 | 5 |
言語系統 | インド・ヨーロッパ語族 インド・イラン語派 |
公的地位 | |
公用語 | インド |
統制機関 | -- |
言語コード | |
ISO 639-1 | hi |
ISO 639-2 | hin |
ISO/DIS 639-3 | |
SIL | HND |
ヒンディー語 (Hindi हिन्दी) とは、インドの主に中部や北部で話される言語でインドの公用語。インドで最も多くの人に話されており、話者の数は約4億人に上る。日常会話の話者数では中国語の約13億人、アラビア語の約4億2000万人に続き世界で三番目に多くの人に話されている言語。筆記には主にデーヴァナーガリー文字が用いられる。ただしインドの公共表示では英語式アルファベットに準じた表記も併用されることが多く、これはウルドゥー語話者と文書で意思疎通する際などにも多く用いられる。
目次 |
[編集] 言語名
「ヒンディー」のみで言語を表わすため、「ヒンディー語」という表記は誤りだとする意見もある。一方で、宗教名を用いた「ヒンドゥー語」「ヒンズー語」は明らかに誤った表現。
ちなみにヒンドゥーもヒンディーも「ヒンド」の形容詞形である。ヒンドとは本来、ペルシア(現在のイラン)の側からインダス河対岸一帯を指した地域名だったのだが、現在ではその実体は失われ、「ヒンドゥスタン(ヒンドの土地)」などの派生語が残るのみである。
[編集] 系統と歴史
インド・ヨーロッパ語族インド・イラン語派に分類される。
隣国ネパールで話されるネパーリー(ネパール語)、およびインド国内とパキスタンで話されているウルドゥー語などとも近縁関係にあり、特に後者とは基本的な語彙や文法がほぼ共通しており、言語学的には同一の言語の変種である。そのため大抵の場合それぞれ互いに通じる。
歴史的にはサンスクリット、プラークリットといった古典言語にアラビア語、ペルシア語系の語彙が極めて大量に加わって成立したヒンドゥスターニー語がヒンディー語の前身であり、19世紀頃にウルドゥー語と不完全ながらも分化している(ウルドゥー語がさらに多くのアラビア語、ペルシア語系の高級語彙を取り入れたのに対し、ヒンディー語は一定程度のアラビア語、ペルシア語系の高級語彙をサンスクリット由来の高級語彙で置換させて成立した)。ヒンドゥスターニー語を構成する大きな要素であるアラビア語、ペルシア語、サンスクリットは全て古典語として洗練された言葉であり、高級語彙を提供しうる言語であったこともこのような分離が成功した要因である。但し政治的、宗教的な場を除く日常生活では、インドとパキスタンの庶民ともに実際は両言語の混交したものを使用しており、現代のそれらを総称してヒンドゥスターニー語と呼ぶこともある。
現代ヒンディー語はインド英語とも影響し合って変化を続けている。
[編集] 変種
- 東ヒンディー語:ヒンディー語の主要方言の一つ。正統なヒンディー語とされており、ウッタル・プラデーシュ州を中心に話者人口も多い。
- 西ヒンディー語:ヒンディー語の主要方言の一つ。東ヒンディー語よりも話者人口は少ないが、首都ニューデリーを含む地域で話されているため、その影響力は少なくない。