ダライアス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『ダライアス』(DARIUS)は、1986年にタイトーが発売したアーケードゲームで横スクロールのシューティングゲーム。19インチ(若しくは15インチ)モニターを横に3つ連結して表示する専用筐体を採用し、ベンチシートに内蔵されたボディソニックによる重低音、ボリューム調整可能なヘッドホン端子の装備と相まって、迫力あるゲームが楽しめる。
目次 |
[編集] 継ぎ目のない3画面
複数画面を用いたアーケードゲームは辰巳電子工業株式会社の『TX-1』(1983年10月)が初めてであり、翌年には幾つかのメーカーが挙って複数画面ゲームを発表している。
タイトー自身もダライアス発表の1年前(1985年)に『ワイバーンF-0』でハーフミラーを使った2画面合成表示筐体を開発しておりダライアスへの前哨となっている。 ダライアスの最大の特徴は筐体内部に設置されたモニター画像をハーフミラーに反射させると言う工作により実現された継ぎ目の無い3画面の実現と言う一点に集約される。
それまでの複数画面ゲームの多くはレースゲームであり、画面同士の間に切れ目があってもゲーム内容に致命的な支障が出る事は無い。シューティングゲームと言う画面表示情報にシビアさを要求するジャンルを複数画面で実現した点に於いてダライアスは評価されているとするのが適切と言える。
[編集] 概要
各ステージの最後には水棲生物をモチーフとしたボスが待ち構えており、ボスを倒すと1ステージクリア。やがて現れる上下への分岐路で次ステージを選択する。
全28ステージのうち7ゾーンをクリアするとエンディングとなる。
[編集] 自機
8方向レバー、2ボタンで自機シルバーホークを操作。 ボタンはショットとボム。ボムは上下方向への攻撃でありその他のシューティングゲームで多く採用された広範囲攻撃や緊急回避に用いる種類のボムではない。
内容はオーソドックスな横スクロールのシューティングゲームだが、何しろ3画面と言う広大なフィールドの為に遠隔攻撃による見越し射撃に比重がある。
[編集] パワーアップ
3種類に色分けされたパワーアップアイテムを集める事で各種装備がパワーアップする。
- ショット(赤)
- ミサイル(連射性に優れる)、レーザー(敵を貫通)、ウェーブ(壁も貫通)の順で強化される。
- ボム(緑)
- ボム(前方下)、ツイン(前方上下)、マルチ(前後上下)の順に強化される。
- シールド(青)
- アーム(敵弾防御)、スーパー(敵体当たりも防御)、ハイパー(壁も防御)の順で強化される。規定の回数を防御するとシールドは消滅する。
それぞれの段階は更に細分化されており、各段階でも徐々に連射数や弾速の増加(ショット)や、当たり判定が拡大(ボム)したりする。ただし、ミスにより自機がやられると細分化されている部分は失われ、それぞれの段階の初期値から再びパワーアップアイテムを集め直さなければならない。従って1度でもミスをするとクリアが著しく困難になる。
パワーアップアイテムは、ステージのイメージによって動きが異なる。海中ステージでは画面内を浮遊し続けるが、山岳地帯、バンアレンベルトでは画面上部に消失するため、自機から遠く離れた場所でアイテムを持つ敵を破壊すると回収が難しくなる。
[編集] アイテム
パワーアップの色違いの物が存在し、特殊効果がある。
- 得点アップ(銀)
- 得点が50~51200ポイントアップする。
- 画面内敵消滅(金)
- 画面内の敵がすべて消滅する。
- 1up(proco)
- 自機が1機増える。
[編集] ボス
ゾーン名 | ボス | ボスモチーフ |
---|---|---|
A | KING FOSSIL(化石の王) | シーラカンス |
BC | ELECTRIC FAN(扇風機) | イソギンチャク |
DEF | DUAL SHEARS(二対のハサミ) | ザリガニ |
GHIJ | FATTY GLUTTON(デブの大食い) | ピラニア |
KLMNO | KEEN BAYONET(鋭い剣) | カジキマグロ |
PQRSTU | IRON HAMMER(鉄の槌) | シュモクザメ |
ZVWXYZV | これ以降は全てラスボスである。 | |
V | STRONG SHELL(硬い甲羅) | ウミガメ |
W | GREEN CORONATUS(緑の冠) | タツノオトシゴ |
X | OCTOPUS(タコ) | タコ |
Y | CUTTLE FISH(イカ) | イカ |
Z | GREAT THING(偉大なモノ) | マッコウクジラ |
[編集] 美術、音楽
水棲生物を機械化したボスデザインが話題になったが、その他の一般キャラクターデザインまで統一されている訳ではない。 音楽は同社サウンドチームZUNTATAの"OGR"こと小倉久佳が担当している。筐体の優れた音響効果と3画面のインパクトにも支えられゲームミュージックに於いて極めて高い評価を得ている。ダライアスは彼の代名詞となりアーケードゲームに於ける続編の全作全曲を担当する事になる。
[編集] その他
- エキストラバージョン
- ボスの耐久力、敵キャラやアイテムの配置とショット強度、難易度を調整。又オールクリア時に残機1機に付き100万点ボーナスが加算される様になった。ゲーム情報誌ゲーメスト(新声社)の元編集長・石井ぜんじが制作に携わったが不評。
- (旧バージョンでは、ウェーブの画面右端まで地形すら貫通するため連射が効かないという性質に加え威力が低く、使い勝手が悪いために多くのプレーヤーがパワーアップをミサイルで止めていた)
- キャラクター名
- 主人公の名前はプレイヤー1が「プロコ(proco)」、プレイヤー2が「ティアット(tiat)」であり、繋げて逆から読むと社名となる(taito corp)。
- また、ザコ敵の名前はすべて人名を逆から読んだものである(「タジフ→藤田」「ワ・ガセハ→長谷川」など)。
- エンディングは、選択した最終面によって異なる。新天地での復興、シリアスな悲劇、夢落ち、冗談、未来のゲーム等によってゲームが締めくくられる。
- 2006年現在の稼働状況
- OLDゲーム愛好者に非常に人気のあるタイトルであり、都市部のOLDゲーム取り扱いゲームセンターでは客寄せとしてコンスタントに稼働している。
[編集] シリーズ作
ダライアスシリーズ
- 1987年 ダライアスエキストラバージョン(再調整版)
- 1989年 ダライアスII(2画面版と3画面版あり)
- 1994年 ダライアス外伝(以下1画面)
- 1997年 Gダライアス
- 1997年 GダライアスVer.2
3画面シリーズ
- 1987年 ニンジャウォーリアーズ
- 1989年 ダライアスII
[編集] 家庭用新作および移植作
※当然だが移植作品は全て1画面となっている。
- ダライアスの移植作品。迫力は健在でゲームの出来も良い。アーケード版の原案段階で存在した、26ステージすべてに別のボスが用意されている。
追加されたボスは以下の通りである。
ゾーン名 | ボス | ボスモチーフ |
---|---|---|
C | BURST OUT(噴き出すもの) | フグ |
D | BIG RAJARNN | エイ |
E | LITTLE STRIPE(小さな縞模様) | エンゼルフィッシュ |
G | MY HOME DADDY(我が家のお父さん) | ヤドカリ |
I | GUARD SAVAGE(獰猛な守衛) | アオザメ |
J | STEEL SPIN(鋼の回転) | ハリセンボン |
K | HARD MAULSK | カツオノエボシ |
L | ALLOY LANTERN | チョウチンアンコウ |
M | TOUGH SPRING(丈夫なバネ) | エビ |
N | HYPER STING | ミノカサゴ |
P | DRIO SARM | ウツボ |
Q | MYSTIC POWER(神秘の力) | アンモナイト |
R | FIRE STAR(炎の星) | ヒトデ |
T | BUDDY BLAZER | ウミテング |
U | RED CRAB(赤いカニ) | シオマネキ |
- 1990年 ダライアスプラス(PCエンジン Hu-CARD)
- 同じくダライアスの移植作品。PCエンジンスーパーグラフィックスやドルビーサラウンドに対応しているが、スーパーダライアスに比べるとボス数が減っている。
- 1990年 ダライアスアルファ(PCエンジン Hu-CARD)
- スーパーダライアスでは裏技でボス26体と連続で戦うモードがあり、そのモードを製品化したもの。ダライアスプラスの発売記念として抽選で配布された。
- 家庭用オリジナル作品。家庭用ではダライアスシリーズ初の二人同時プレイが可能。ダライアスIIをベースにしているが全くの別物と言ってよい。ゾーンが全12と少なくステージごとに合流するようになっている。
- 1991年 ダライアスフォース(スーパーファミコン)
- 家庭用オリジナル作品。シルバーホークの性能を3タイプから選択できる。ゾーン選択がE字型になっている。ボスに他のダライアスには無い特徴がある。
- 1991年 サーガイア(ゲームボーイ)
- ゾーン選択が無いが、ゲームとしての出来は良い。BGMがステレオになっている。
- 1993年 スーパーダライアスII(PCエンジン SUPER CD-ROM²)
- ダライアスIIの移植作品だがボスのほとんどが別のものになっている。スーパーダライアスに登場したボスは中ボスとして登場。
- 1995年 ダライアス外伝(セガサターン、プレイステーション)
- 1996年 ダライアスII(セガサターン)
- 1998年 Gダライアス(プレイステーション)
- 1999年 ダライアス外伝(Windows)
- 2001年 Gダライアス(Windows)
- 2002年 ダライアスR(ゲームボーイアドバンス)
- なぜかゲーム中にあるゲームのBGMが流れることで有名。
- 2002年 ダライアスゲート(Iモード、Yahoo!ケータイ)
- 2005年 タイトーメモリーズ 上巻にダライアス外伝収録(プレイステーション2)
- 2005年 タイトーメモリーズ 下巻にGダライアス(PS版のアーケードモードの移植)収録(プレイステーション2)
- 2007年(予定) タイトーメモリーズ2 上巻にダライアスII収録(プレイステーション2)
[編集] サーガイア
- 『サーガイア』(SAGAIA)はセガ・メガドライブで発売されたダライアスIIの海外での発売時に使用された海外向けのタイトル。上記の家庭用新作及び移植作にもある通りゲームボーイ版でこの呼称が採用されている(ちなみに、ゲームボーイ版発表当初および同ソフトのテレビCMでは「サガイア」と呼称していたが、実際の製品には「サーガイア」と記載されている)。
- 余談だがゲームボーイへの移植作品では『グラディウス』もNEMESISと言う海外版の呼称が採用されている。
[編集] 関連作
- 大爆笑!人生劇場シリーズ
- ミニゲームやTV中継に登場。
- スペースインベーダーDX
- あっかんべぇだぁ~
- ぽっぷんぽっぷ
- Gダライアスのプロモーションムービーが見られる。
[編集] その他
余談ではあるが、ダライアスのスペル(DARIUS)は、アケメネス朝ペルシアのダレイオスのラテン語形"Darius"と全く同じである(因みに英語での表記も"Darius")。当たり前の事だが、双方の関連性は全く無い。また同じく横スクロールシューティングゲームのグラディウス(GRADIUS)からGを抜きDとRの位置を変えても"DARIUS"になる。さらにGダライアスでは抜かれた文字のGがついている。
[編集] 外部リンク
タイトーゲームヒストリー
家庭用版