EL&SL奥利根号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

EL&SL奥利根号（イーエル　アンド　エスエル　おくとねごう）は、東北本線・高崎線・上越線で運転される臨時快速列車である。本項目では、SL奥利根号などについても記述する。

[編集] 運転概況

高崎線や上越線において、上越新幹線・長野新幹線の開業により昼間に運転される優等列車（特急「あさま」・「とき」など）がほとんど廃止されたため、その空いたダイヤを活用して運転を開始した。歴史的に貴重な動態保存の電気機関車や蒸気機関車が客車を牽引するのが特徴の列車である。

上野～水上間で運転されるときは、上野～高崎間が電気機関車、高崎～水上間がD51形蒸気機関車の牽引となるため、「EL&SL奥利根号」と称する（ELは電気機関車、SLは蒸気機関車をさす用語）が、高崎～水上間の運転のときは、蒸気機関車のみの牽引となるため、「SL奥利根号」と称する。また蒸気機関車の代わりにEF55形が充当される場合もあり、この場合は「EL&EF55奥利根号」となるなど、牽引機関車によって冠する名称が変更される。更には使用される客車が普段の12系から、他のジョイフルトレインに変更されることもあり、その際にも列車愛称が変更される場合がある（「EL＆SL浪漫号」など）。

[編集] 停車駅

上野駅 - 大宮駅 - 上尾駅 - 熊谷駅 - 深谷駅 - 本庄駅 - 高崎駅 - 新前橋駅 - 渋川駅 - 沼田駅 - 後閑駅 - 上牧駅 - 水上駅

[編集] 使用車両

おもに高崎車両センター高崎支所に所属する動態保存機が、牽引機関車として起用されることが多いが、それ以外の機関車が充当される場合がある。牽引される客車は、同支所所属の12系客車の6両編成であるが、イベントなどでは「SLばんえつ物語」用の12系客車やジョイフルトレインが起用される場合もある。運転開始当初は、同支社所属であった旧型客車が起用されたが、快適性などを考慮した上で1995年頃から、12系へと変更された。

また牽引機については、本来のD51498が故障･検査などで運行できない場合や特別なイベントの際には秩父鉄道のC58363（「パレオエクスプレス」用･秩父鉄道でSLが運行されない冬季のみ）や「SLばんえつ物語」用のC57180が牽引機として起用され、時にはD51形や電気機関車と重連運転を行なうことがある。C58は勾配のある上越線で12系6両編成を牽引するのは困難といわれており、概ね電気機関車が補機として連結されるため、重連運転となる事が多い。その例として1997年2月にD51が磐越西線で運行に致命的な故障を起こし長期離脱となった際には、既に指定席発売後であり、減車ができなかったため、EF58-89やEF64-1001がサポートしていた。

SLに代わって運行される｢EF55奥利根号｣も基本的には｢SL奥利根号｣に準じており、普段のSL列車と変化は無い。この列車が誕生したきっかけは上記の1997年春、D51の長期離脱と秩父鉄道のSL運行期間とが重なり、JR東日本が運行できるSLがなくなった(JR西日本からC56を借りることも検討されていたが断念した。)ため、春の臨時列車運行用に緊急設定されたのであるが、予想以上に好評であったことや、近年になってD51に痛みが進んで保守に時間を掛けるようになり頻繁に運行できなくなってきたため、穴埋めとしてその後も時折運行されている。

客車についても、一時期、高崎始発の列車に限り五能線の「ノスタルジック・ビュートレイン」から転用された展望車オハフ50 2501,2502を12系客車の前後に連結したことがあるが、同車の廃車によって、元に戻った。

[編集] 機関車

上野-高崎間

基本的に牽引機は当日になってからの｢お楽しみ｣であり予告はないが、1997年秋期には牽引機の事前予告があった。現在は、概ねEF60-19が牽引機として充てられている。その他、以下の機関車が稀に充当される場合がある。

- EF58-61
- EF64-37
- EF64-1001
- EF65-501
- EF65-1118

また、かつてはEF58-89やEF62、EF65-1019(何れも既に引退)が使用されたこともあった。その他、EF55も上野から牽引したこともあった。

高崎-水上間
- D51498号機
- EF551号機

[編集] 客車

12系客車6両編成（他車種が使用されることもある）

[編集] 特別臨時

「SLレトロ奥利根」…2004年8月28・29日運転（D51498＋旧型客車5両）
- 運転開始当初は旧型客車であったため、高崎駅開業120周年に合わせてリバイバルした列車である。
「SL重連奥利根」…1990～1996年正月運転（D51498＋C58363＋12系8両）・2005年正月運転（D51498＋C57180＋12系6両）
- この頃在籍していたC58363の、秩父運休期間に合わせて運行された鉄道ファンの魅力をそそった列車。1996年7月には、旧型客車8両を使った列車も運転されたが、それ以降の重連運転はなかった。2000年に試運転としてジョイフルトレイン「やすらぎ」を牽引した。その5年後の2005年正月には、新潟支社のC57180を貸し出して重連運転を実現させた。
「ELSLお座敷ゆとり」…2002年より毎年春運行（D51498＋14系ジョイフルトレイン「ゆとり」）
- 尾久車両センターに在籍する14系「ゆとり」を使った、お座敷列車。毎年春に運転が行われている。
「ELSL水上物語」…2001年～2004年1月運行（2001年のみC58363＋EF5861の重連運転、2002年からD51498牽引。客車は12系「SLばんえつ物語」6・7両）
- 新潟支社の「SLばんえつ物語」の12系を貸し出しての運行。大正ロマン溢れる雰囲気を作った。