超兄貴
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超兄貴(ちょうあにき)は、1992年12月25日にメサイヤの発売したPCエンジンSUPER CD-ROM²用横スクロール型シューティングゲーム。
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[編集] 概要
特異なバックストーリー(世界観)と、絵柄的に異様な自機オプションと敵キャラ、特徴的なBGMでカルトな人気を博し、他機種への移植を含む数本の続編が作られ、CDドラマ、漫画、小説(ライトノベル)などにもメディアミックス展開された。伝説のバカゲーと称される。
[編集] 背景設定
大銀河ボディービルコンテストにおいて10連覇の偉業を成し遂げたビルダー星帝王「ボ帝ビル」は、プロテイン資源の枯渇に悩み、ついに近隣星系を無差別侵攻しプロテイン採掘プラントを乱立させ始めた。危機を感じた天界はビルダー軍討伐を命じ、イダテンとベンテンを派遣した。イダテンらとビルダー軍の汗臭く暑苦しい戦いの火蓋は切って落とされた…。
[編集] 登場キャラ
[編集] 自機
- イダテン(偉丈夫系美青年)、ベンテン(妖艶系美女)
- スタート及びコンティニュー時に選択(一人プレイ専用)。IIボタン押し続けで男らしく連射(連射パッド不要)。タメてタメて溜まりきったところで離した瞬間、「ドピュっと(発売当時、児童向けの新作ゲーム紹介番組に出演したメサイヤ広報担当者による公式表現)」男の一撃「メンズビーム」を発射する。なお女性であるベンテンは同じ操作で「スプラッシュビーム」を出した。
[編集] オプション
- サムソン & アドン
- 手枷、足枷、貞操帯(愛・超兄貴では黒いハンドウエイト、アンクルウエイト、パンツ姿。究極無敵銀河最強男ではウエイトはシルバー、パンツは赤)をしたスキンヘッドのボディビルダー。
- 脳天の穴からメンズビームを放ち、プロテインでパワーアップ。防弾限界を超えると切なげな断末魔を発し退場。
- トレーニングをこよなく愛し、彼らにとって筋肉は正義。
- 天使
- 自機に弁天を選択した場合稀に出現するオプション。続編に於いてミカ & エルと命名される(作品世界内の時系列では「究極無敵銀河最強男」の方が過去)。
- 攻撃手段としては放物線上に落下する爆弾を持っていた。
- うみにん
- レアな隠しオプション。見るからにやる気なさげ。
- もともとは「改造町人シュビビンマン」に登場した隠しキャラであったが、後にキャラクターが独自の人気を得て一人歩きする。
- 小説版ではボ帝ビルの筋肉のほとんどを吸い取り、痩せ男として排出。再び一から健全にトレーニングさせる気にさせ、更生させた。
- もちろんゲームにはこんな機能はない。
- バラン
- サムソン&アドンの長兄。漫画版では「ボディビル仮面」として素顔を隠すが、ベンテンにあっさりばれる。
- 『究極無敵銀河最強男』ではバリアとして3人の身を守るが、当たり判定が大きすぎてすぐに退場してしまう。
[編集] 敵キャラ
- 究極無敵銀河最強男
- ボ帝ビルがボ帝と呼ばれる以前の豪快なマッチョ兄貴。時系列では最初のラストボス。ボ帝ビルに姿は似ているが別人。
- オープニングの暴走シーンで股間にダメージが当たるとあっけなく死ぬがゲームオーバー(タイムパラドックスだから)になる。
- ボ帝ビルとの違いはボ帝は巨大メカに搭乗するが、究極…男は彼自らが巨大化する。おなら攻撃をするなど。
- 逞(たくま)と純也
- 時系列最初のボスキャラ。大きい方が逞で股間でのびのびしているのが純也である。
- 画像は英語版で確認できる。(実写なのでグロテスクさが倍増している)
- アダム
- 星(月)の下半分に浸かりきって浮遊する謎の多いボスキャラ。
- 『爆裂乱闘編』では自キャラの座を得る。爆裂乱闘編のみ自キャラとして操作可能。
- サブ&マリン
- リーゼント姿の潜水艦。上半分のサブが後に『爆裂乱闘編』で自キャラの座を得る。爆裂乱闘編のみ自キャラとして操作可能。
- シェル・ジ・アニキ
- 海底の面(タイトルは「男の海」)で登場したボスキャラ。
- 最初はカーテン越しにシャワーを浴びている女性のシルエットが現れたが、しばらくするとシルエットごとカーテンがはがれ、スクワットをしているマッチョ兄貴が現れ、見る者を唖然とさせた。
- エル&トポ
- 般若の面を被った男のシンクロナイズドスイミングコンビ。このキャラは映画『ウォーターボーイズ』に先行する。
- 漫画版超兄貴には第一話で登場。イダテンは彼らによって命を落とすが、後に偽イダテン(イダテンそっくりのきこり・ジョーイ)に一撃で倒される(この頃から主役交代がほのめかされている)。
- 余談であるが、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』に登場するエヴァンゲリオン弐号機の頭部デザインは、彼らのゴーグルをした顔から発想されたという。
- ボ帝ビル
- ビルダーの王様。凄まじき腹筋による必殺技、「ボ帝カッター」を腹から放つ。さぶ & ローズを手下に従えていた。
- ある一定のダメージを受けたあと、巨大メカに搭乗するが、これもマッチョ兄貴であった。
- 巨大メカの片方の手がなくなっているが、それは先にボスキャラとして分離して襲撃した為。
- 後に『爆裂乱闘編』で再登場する。この場合のみ、自キャラとして操作可能。
- 獰猛スイマー1000
- 続編の『愛・超兄貴』で登場。ぶんぶく茶釜のマッチョ兄貴版で海底を自由気ままに泳ぐ。鍋のふたからおでんが飛び出すので要注意。究極無敵銀河最強男では背景として登場。名前の元ネタは林家三平の『どうもすいません』というネタである。
- ボ帝コンシャス
- 『愛・超兄貴』に登場。ボ帝ビル亡き後に復讐の為にネオビルダー軍を結成したが、本来敵であるはずのイダテンに惚れ込んで逃避行に走る。この時点で主役がイダテンからアドン&サムソンに交代する。
- 等身大の設定画と実際にゲームで登場した巨大メカとは容姿が異なる。
- MAMI19
- 『爆裂乱闘編』のみに登場した。南極観測船をモデルにした女性キャラで甲板の上にいる小さなマッチョ兄貴が操作する。
- キャラのネーミングで『南極○号』にしようとしたが、さすがにこれについては会社が許さず、MAMI19と言う名前になった。名前の由来は彼女の声を担当したMAMI嬢(当時19歳)から取ったもの。自キャラとして操作可能。
- 宇宙戦艦YAROU
- 『超兄貴~究極無敵銀河最強男』に登場した一画面に入り切れないありがちな戦艦ボス(R-TYPEのパロディ)。とてつもなく広い脳天メンズビームを放つ。弱点は股間の第三艦橋。破壊すると機能が停止する。
- ス帝ロイド
- 『超兄貴~聖なるプロテイン伝説』に登場した歴代最後のボス。容姿はボ帝ビルに酷似している。マントを羽織っている。
[編集] BGM
異様な世界観を完璧に表現しきった脳味噌がトロけそうな意表をつくやたら重厚なBGMは至って好評で、複数の関連CDが発売され、作曲者の葉山宏治は一躍ゲーム音楽界の寵児ならぬ兄貴となった。サウンドトラックCDでも「超兄貴-兄貴のすべて-」については、肝心のゲームソフト(「超兄貴」)の販売本数の数倍に値する枚数が販売されたといわれ、このサントラのヒットがゲームの続編製作への大きな原動力となった。
また、月曜ドラマで「お父さんは心配症」が実写化された際には本作のサウンドトラックが音楽として使われ、何とも言えない雰囲気を醸し出していた。
その他、筋肉番付(ラストバトル(ウッ…ハ!))、モグモグGOMBO(黒人カーニバル)、などで主要BGMに使用されている。
「超兄貴ショー」(全2巻)にはドラマが入っている。アドン役の菅原正志の演技がとてつもなく濃い。一方岩田光央演じるイダテンは非常に情けないキャラとして描かれている。
[編集] 関連CD
- 超兄貴-兄貴のすべて-
- NECアベニュー NACL-1088
- 仁義無き兄貴
- NECアベニュー NADL-1061
- 超兄貴ショー (出演:岩田光央、菅原正志、愛河里花子、金月真美他)
- 東芝EMI TYCY-5456
- 超兄貴ショーII
- 東芝EMI/ユーメックス TYCY-5490
- 兄貴新世界
- 超兄貴・男の魂
- 超兄貴 ~究極無敵銀河最強男~
- 東芝EMI/ユーメックス TYCY-5487
[編集] 担当声優
- 超兄貴(初代)
- イダテン 置鮎龍太郎
- ベンテン 住友優子
- アドン/サムソン (スタッフロールに掛川裕彦、田中宏幸の名がある)
- うみにん 声なし
- 天使 声なし
- ボ帝ビル 声なし
- 愛・超兄貴
- アドン/サムソン 郷里大輔
- ベンテン 新山志保(故人)
- ボ帝コンシャス 新山志保
- 超兄貴 爆裂乱闘編
- ほぼすべてのキャラクター 社内スタッフ?
- MAMI19 MAMI
- うみにん 声なし
- 超兄貴 究極無敵銀河最強男
- イダテン 置鮎龍太郎
- ベンテン 富沢美智恵
- アドン/バラン 玄田哲章
- サムソン 郷里大輔
- 天使
- うみにん ?
- 究極無敵銀河最強男
- 超兄貴 男の魂札
- 声入らず
- 超兄貴 聖なるプロテイン伝説
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[編集] ゲーム性
キャラの色物ぶりに比べ、ゲーム性は意外とまともである。というのも、このゲームは先に出されたメガドライブ版『ジノーグ』と母体が同じ形で、作者陣も同一である。グロテスクな敵キャラが群を抜いており、難易度は高かったが、初代超兄貴では男の(メンズ)ビームがほぼ連続で発射できる為に難易度が若干下がっている。(続編、他機種版は連続発射が出来ないので、発射タイミングを図る必要があった。)
実際、横スクロールシューティングとしてはごく普通のゲームであり、オプションのアドンとサムソンの使い方が慣れてくると、後は弾除けを極めればよくなる。またアドンとサムソンを盾にしない弾除けが極まると、フォーメーション固定で、アドンとサムソンを画面端で重ね合わせる事により、「アドンとサムソンがイダテンの兄貴に寄り添う」形になり、より笑いを誘えた。(この技はプレイステーション・セガサターン版でも使えた。)
ステージクリア時のデモ『ズンチャチャ ズンチャチャ ズンチャチャ う~ん じゃ~ん♪』はジノーグから引き継がれている。
プレイステーション2版の「聖なるプロテイン伝説」では、サムソン&アドンのどちらかをどうしても盾にしなければならないので、辛いところである。(いわゆる彩京弾幕よけの為)
[編集] 続編と移植作品
- 愛・超兄貴(PCエンジン)
- 超兄貴 爆烈乱闘篇(スーパーファミコン)
- 超兄貴~究極無敵銀河最強男~(プレイステーション)
- 超兄貴~究極・・・男の逆襲~(セガサターン)
- 超兄貴 男の魂札 (ワンダースワン)
- 超兄貴~聖なるプロテイン伝説~(プレイステーション2)
- PCエンジン レトロゲーム 超兄貴 Full版(Windows)
[編集] メディアミックス
漫画版、小説版、共にイダテン本人が主役ではなく、別人物がイダテンに成り代わる展開となっている。そしてどちらも常人の常識が一切通用しないアドン&サムソンにブンブン振り回されることとなる。
[編集] 解説
シューティングゲームは、SF宇宙戦闘機戦ストーリーを王道とするが、新機軸を求めてほのぼのファンタジー系(ツインビー、ファンタジーゾーン)、ハイファンタジー系(ガントレット、ドラゴンスピリットなど)、和テイスト(武者アレスタ、斑鳩など)、実在系(1942など)の様々なテーマ上の趣向が凝らされる。
本作はそのうちの一つ、パロディウスだ!に代表されるイロモノ系シューティングゲームの一つの到達点である。R-TYPEなど、敵キャラに生理的グロテスクを加味したものが先行しているが、自機オプション含め、ある種の悪趣味なグラフィックを笑いの方向に昇華させる事に成功した稀有な例ともいえる。少々の冗談には食傷気味のゲーム業界では明らかに計算された悪ふざけが狙い通りクリーンヒットすることはむしろ珍しい。家庭用ゲーム機用シューティングゲームの色物系怪作として並び称されるものにはファミコンの暴れん坊天狗があるが、こちらは狙ったものなのか、到達してしまったものなのかが判断が難しい。
なお、本作の「お題」はマニュアルやオープニングからはあくまでも表向き「筋肉美」という事になっているが、その実「ハードゲイ」であるのは製作発表時から暗黙の了解にして周知の事実である。自機オプションの名称「サムソン」「アドン」はどちらも当時の男性同性愛者向け専門誌の名称であり(『SAMSON』、『アドン』 - 廃刊)、前者は中年肥満体嗜好に特化した娯楽誌、後者はゲイリブ(ゲイ解放)運動や同性愛者の主張などを含むオピニオン誌の性格も持ちつつもやはりハード系の娯楽誌であり、やおい(「腐女子」という言葉はまだなかった)対象の耽美系架空同性愛(「ボーイズラブ」という語もなかった)小説誌『JUNE』(ジュネ)などとは読者も内容も一線を画していた。その他にもハード系専門誌に由来するキャラクターとしては、敵キャラに「さぶ」という側近が存在する。また田丸浩史による本作のコミカライズ作品でも「アドン&サムソンの兄、バラン(『薔薇族』に由来すると一瞬で理解される)」というやはり脳天ビーム砲な筋肉男を登場させ、疑問と期待に応えるファンサービスとしている。さらにそして、本作のタイトルの元である「兄貴」は、同性愛者同士において責め役に対して受け役の用いる呼称として一般的なもの、と認知されていたものである。
そのためもあり、最初にこのタイトルで雑誌に掲載された後、社内で横槍が入り、直後に「超裸漢マッスルシューター」という、幾分か当り障りの無い名称に改題させられかけた。しかし、社内クーデター(営業担当者・談)により「超兄貴」に戻されたというエピソードもある。