特殊部隊
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特殊部隊(とくしゅぶたい)とは、軍隊や警察およびそれに準ずる組織(情報機関や治安組織)において、特殊な任務を担当する部隊や部署の総称である。英語では一般にSpecial Operations Forcesといい、頭文字をとってSOFと略される。単にSpecial Forcesということもある。
特殊部隊は一般に比較的小人数のグループ複数で構成され、非正規戦闘、対テロリズム、偵察、直接武力行動、外敵からの国土防衛、などの特殊な任務を遂行する。隊員たちは高度に訓練され特殊な武器や装備を持ち、外部に頼らず隠密で迅速かつ緊密な連携のもとに作戦行動を行なう。
[編集] 概要
一般的に軍隊(とくに陸軍)では、歩兵とか砲兵など、ある程度の専門性ごとに部隊が編成されており、それなりの特殊性を備えている。軍隊は敵軍と(現代戦では相手が肉眼で見える事は少ないが)正面衝突に近い形で対峙・戦闘するのが基本であり、偵察・通信・補給・医療など第一線の部隊を支援する部隊と一体として運用するのが通常である。また、海軍では艦艇が、空軍では航空機が戦闘の基本単位であって、これらを効率的に操縦し戦闘に勝利することが人員編成の基本である。しかしながら、対テロ任務や、戦時における後方での撹乱など特殊な任務では、軍対軍の論理は通用せず、個人対個人の行動が必要になってくるため、総合的練度や戦闘力に優れたものを宛てる必要がある。この様な人員をもって編成された部隊を一般に特殊部隊と呼ぶ。また、警察や税関など、非軍事部門の機関に特殊活動(非軍事部門の主たる任務以外の活動)を行う班を置き、これを特殊部隊に含める場合もある。
特殊部隊について、当該国の法制上において独立の軍種又は兵科等としている場合は明確であるが、日本の自衛隊のように独立の軍種又は兵科等としていない場合は、その範囲が必ずしも明確ではなく、他の大多数の標準的な部隊とは異なる任務を与えられることが想定され、特殊な装備や編制を持ち、特に精鋭な隊員(レンジャー資格を有する隊員など)を集めた部隊を一般に特殊部隊とする。そのため、特殊部隊の定義は論者により又は議論の対象により異なるが、「特殊部隊の一覧」に示されている部隊等を特殊部隊とするのが一般的である。
特殊部隊の編成は、国やその目的によって様々だが、原則的には少数精鋭で、優れた人材を選抜したものが多い。旧西側国家で最も特殊部隊員が多いとされ。統合軍の一種として『SOCOM(United States Special Operations COMmand/アメリカ特殊作戦軍)』を抱えるアメリカ合衆国でも、総数は45000人前後と見られており、全軍の兵力のごく一部にすぎない。旧ソ連のスペツナズや旧東側国家の特殊部隊の場合はパルチザン部隊が起源であるので、旧西側に比して隊員の数が多く、選抜の基準が異なっていると考えられ、特に北朝鮮は10万人を超える規模の特殊部隊を保有していると推定されている。
また、特殊部隊の任務についても、ハイジャック機や占拠された施設からの人質救出・犯人の確保・無力化など、比較的認知されている活動を行い、犯罪者達にもその威力を知らしめるためにある程度の公開をする部隊がある一方で、ほとんど活動の実態が公開されていない部隊もある。
特殊部隊は、その部隊がどの組織(治安組織又は軍隊)の下部組織かによって、その性質が大きく異なり、人質や犯人(敵)の扱い方にも大きく影響する。治安組織(警察)の特殊部隊の場合、人質は無事救出、犯人は逮捕するのが原則である。射殺は最後の手段として存在し、発砲による抵抗抑止はその正当性・適法性が問われる事もある(査問の様子はドラマ「NY市警緊急出動部隊 トゥルー・ブルー」第5話「憂うつな警察官」の描写に詳しい)。これに対し軍の特殊部隊は任務の遂行がまず最重要事項であり、人質のある程度の損害、敵の無力化(殺害とほぼ同義)は止むを得ないとしている。
[編集] 日本における特殊部隊
日本には警察の特殊急襲部隊(SAT)、特殊捜査班、機動隊銃器対策部隊、海上保安庁の特殊警備隊(SST)があったのに対し、自衛隊には陸上自衛隊の第1空挺団、冬季戦技教育隊、対馬警備隊があったものの、本来の意味での特殊部隊はなかった。
自衛隊ではまず能登半島沖不審船事件を受けて海上自衛隊に特別警備隊(SBU)が創設された。ついで近年の特殊部隊への需要の増大を受けて、2002年に、陸上自衛隊に島嶼防衛を目的とする西部方面普通科連隊(WAiR)が結成され、2004年に対テロ・対ゲリラ作戦を目的とする、特殊作戦群(SOG)と呼ばれる本格的な特殊部隊が創設された。2007年3月に防衛庁長官直轄の中央即応集団が発足予定で、第1空挺団及び特殊作戦群は同集団内で一元運用されることとなる。また航空自衛隊にも、テロやゲリラから基地を守るための特殊部隊として2008年度に基地防衛教導隊(仮称)が創設される予定である。
警察においても2002年の日韓W杯を受けて機動隊銃器対策部隊による原子力関連施設警戒隊が常設編成された。また、総理大臣官邸に対するテロ攻撃に備え総理大臣官邸警備隊が警視庁に、NBCテロを警戒してNBCテロ対応専門部隊が各都道府県警察の公安担当部署に設置されている。