灼眼のシャナの登場人物
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灼眼のシャナの登場人物(しゃくがんのしゃなのとうじょうじんぶつ)は、高橋弥七郎のライトノベル作品「灼眼のシャナ」、及びそれとしたアニメ、ゲームに登場する人物の一覧である。
※「CD」は『電撃hp』で誌上通販されたドラマCDのキャスト。
目次 |
[編集] 主要人物
- 坂井 悠二(さかい ゆうじ) (CD 森田成一/アニメ 日野聡)
- 一応主人公。性格は大人しく、すぐに弱音を吐くなど普段は頼りないが、危機の時にはフレイムヘイズに一目置かれるほどの頭脳の切れを見せる。また、シュドナイ相手に時間稼ぎの為の一世一代の大芝居をかますなどの土壇場の度胸も持ち合わせている。但し恋愛に関してはかなり鈍感である。好物はチョコレートで、嫌いな物はマシュマロとセロリ(特にセロリは口にすると凄い顔になるらしい)。利き足は右。
- 人間の坂井悠二は物語開始より以前に紅世の徒に喰われ死亡。喰い滓の存在の力が加工されてトーチとなり、さらに宝具「零時迷子」を宿す「ミステス」となっていた。零時迷子の能力で封絶の中でも動くことができたため、フリアグネ配下の燐子の襲撃を目撃してしまう。その時に偶然通りかかったシャナに助けられ、世界の真実を知らされる。初めは自分がすでに死亡し消滅するしかない存在である事に落ち込み、悩んでいたが、フリアグネとの戦いの中で徐々に自分の気持ちを整理し、シャナに協力するようになった。フリアグネとの戦闘の後は彼が所持していた火避けの指輪「アズュール」を首飾りにして所持している。
- 「戒禁」によってシュドナイの腕を取り込み、さらに“銀”の腕によってフィレスの存在の力をも吸収し、ミステスでありながら紅世の王にも匹敵する量の存在の力を持つようになる。朝晩の日課となっているシャナとの鍛錬によって超初歩的な自在法や超基本中の基本の存在の力を練ることによるちょっとした身体の強化を身につけたが、サブラクによって零時迷子に打ち込まれた自在式「大命詩篇」の影響により、本来有り得ない銀の炎を顕現させている。
- 双子の兄がいたが、出産直後に亡くなった。悠「二」の名は、兄の分まで生きるようにと、父の貫太郎によって名付けられたもの。
- シャナ[Shana](CD 堀江由衣/アニメ 釘宮理恵)
- メインヒロインその1 、『炎髪灼眼の討ち手』という称号を持つフレイムヘイズ。容姿は12、3歳前後(フレイムヘイズとなった時点で未だ第二次性徴を迎えていなかった)。元は名前が無く、他のフレイムヘイズと区別の為「贄殿遮那のフレイムヘイズ」と名乗っていたが、悠二にシャナと名付けられてからはこの名前を使用している。「シャナ」の名の由来は、自らの武器であり、あらゆる自在法を無効化する大太刀「贄殿遮那(にえとののしゃな)」から。普段は悠二のクラスメイトでトーチとなっていた平井ゆかり(アニメ 浅野真澄)に存在を割り込ませて生活している。そのため他のクラスメイトからは「平井ゆかり」と認識されているが、8巻以降「シャナ」という呼び名が定着。最初は悠二をモノとしか見ていなかったが、次第に好意を抱いていく。
- 普段は黒髪に黒目だが、戦闘時は称号が示す通りの炎髪、灼眼となり、アラストールの翼の一部を顕現させた黒衣「夜笠」を纏う。また、「夜笠」内の「隙間」には様々な物を大量に収納する事が可能で、「贄殿遮那」なども普段はこの中に収まっている。アラストールの力をろくに使いこなせない事に密かなコンプレックスを抱いていたが、“弔詞の詠み手”マージョリー・ドーとの戦いを経て、翼をイメージした炎を顕現させ、「紅蓮の双翼」で飛翔することも可能になった。初期は足裏を爆発させるか、贄殿遮那を併用して炎を切っ先から出せる程度だったが、鍛錬によりアラストールの腕をイメージした炎や、炎の剣なども出せるようになる。
- 過去、日本で捨て子となっていた所を、新たな“炎髪灼眼の討ち手”となる人材を探して動いていた“万条の仕手”ヴィルヘルミナ・カルメルに拾われる。その後、アラストール、ヴィルヘルミナ、メリヒム(シロ)らにフレイムヘイズとしての英才教育を受けて育ったため、フレイムヘイズとして必要なこと以外の知識、特に人の感情に関する知識は極端に乏しかった。アラストールをも驚愕させるほどの巨大な器を持つ「在るべくして在るもの」であり、原作ではフリアグネの宝具「トリガー・ハッピー」による攻撃を受けた際、アニメ版ではアラストールを神威召喚した際に、本来は器である肉体がアラストールの力の大きさに耐え切れず消滅するはずが、消えることなく生き残っている。
- 家事全般についての知識は無きに等しく、特に料理が苦手で、何もかも黒焦げにしてしまう。また、フレイムヘイズは自在法「清めの炎」で身体の消毒・洗浄を行なう為、洗濯などの概念も無く、坂井家に来て初めて覚えた入浴という行為は、実用の為というよりも趣味の一つとなっている。
- かなりの甘党で、中でもメロンパンが大好物。そのこだわりは強く、「香料臭さがあってはならない」「メロン果汁入りは邪道」「網目模様は必須」という持論(実はヴィルヘルミナの受け売り)がある。食べ方にもこだわりがあり、硬いビスケット生地の「カリカリの部分」と、柔らかいパン生地の「モフモフの部分」を交互に食べるのが好み。
- 口癖は「うるさいうるさいうるさい」(主に悠二に対する照れ隠し)。
- なお、彼女は過去に「お喋り男に爆弾女、乱暴絵描きに弾き語り、偏執狂に肝っ玉母さん(ムッタークラージェ)」と形容するフレイムヘイズと出会った事があるという。「肝っ玉母さん」はゾフィー・サバリッシュであろうが、他は不明。
- “天壌の劫火(てんじょうのごうか)”アラストール[Alastor](CD 大塚明夫/アニメ 江原正士)
- シャナと契約している紅世の王。毅然とした性格をしているが、内心シャナの事が可愛くて仕方ない。「コキュートス」と呼ばれるペンダント型の神器に意思を顕現させている。通常の徒とは違い、紅世における神に値する存在である「紅世真正の魔神」であり、神でありながらフレイムヘイズに手を貸すことから「天罰狂い」とも呼ばれる。普段は力を抑えているが、神威召喚「天破壌砕」にて顕現した際にはその真正の姿を見せ、自身の絶大な力であらゆる敵を滅する。ただし、代償として契約者は、そのあまりの力の大きさに肉体が耐え切れず死亡してしまう(シャナのみ例外(アニメ版参照))。常にシャナに的確なアドバイスを与える千草に一目置いており、シャナと親密になってきている悠二に難色を示しているが、その成長ぶりを認めてもいる。かつてはマティルダ・サントメールと愛し合う仲だった。炎の色は紅蓮。
- 通称の由来はユダヤ教、キリスト教の神話における地獄の刑執行長官に由来し、神器「コキュートス」はダンテの『神曲』に登場する地獄の最下層、氷結地獄の名である。「裏切り者の地獄」であるのは、「同胞殺し」であるフレイムヘイズの隠喩か。
- 吉田 一美(よしだ かずみ) (CD 佐藤朱/アニメ 川澄綾子)
- メインヒロインその2、悠二のクラスメイト。学校で教師がシャナ(平井ゆかり)を懲らしめようと、体育の授業で走り込みを行った際、体力の低い一美が倒れ教師が叱責しようとしたところを悠二に助けられ、悠二に好意を抱く(実はそれ以前にも悠二に優しくしてもらい、そのときにわずかに好意を抱いていた)が、内気な性格が災いして告白できずにいた。その後、カムシンから紅世の話を聞き、悠二がトーチである事を知りショックを受けるが、それでも悠二を好きだと言い切って告白した。シャナとは悠二をめぐって度々張り合っている。
- シャナとは対照的に料理上手で、野菜を使った料理が得意。悠二に昼食のお弁当を作って渡している。名前の由来は吉田茂元首相。シャナからはフルネームで呼ばれていたが、原作12巻で「一美」と名前で呼ばれるようになる。また、中1の吉田健という弟がいる(吉田茂の息子の健一から取られたものか?)。
- 13巻でフィレスから宝具『ヒラルダ』を受け取るものの、使えば命を失うと聞かされたのと、その事を話したフィレスの真意を計りかねて思い悩む。
- なおアニメ版のみの設定として、エカテリーナという名の小型犬を飼っている。寝床は一美の寝室で、河川敷の散歩は彼女の日課(小説3巻に相当する早朝の河川敷で連れ歩く悠二とシャナを目撃するエピソードに関連)。
[編集] 主人公の周辺の人物
[編集] 御崎高校クラスメート
御崎高校の生徒たちの名前は、名前のみが登場する端役まで含めて、悠二とシャナを除く全員が実在の政治家の名をもじってつけられており、1組は日本社会党右派、主要キャラの所属する2組は自由民主党、3組は日本社会党左派の政治家の名がそれぞれあてられている。
- 佐藤 啓作(さとう けいさく)(アニメ 野島健児)
- とりあえず美をつけてもよい容姿の華奢な少年。親がかなりの資産家らしいが、確執があり、現在は豪邸で居候のマージョリーと二人暮らしをしている(昼間はハウスキーパー達が出入りしているが)。中学時代はかなり荒れた生活をしており敵は多数。栄太の母親からは「狂犬」と呼ばれている。
- マージョリーから紅世の事を聞き、栄太と共に子分としてサポートに当たる。彼女を「マージョリーさん」と呼び尊敬し、何とか彼女の役に立ちたいと日々努力を重ねている。
- 『外界宿』の存在を知ってからは、『外界宿』に参入してマージョリーのサポートを行う事を考えるようになるが、目下の所、疎遠になっている家族との間にある溝を埋めるべく奮闘中。
- 名前の由来は佐藤栄作元首相。
- 田中 栄太(たなか えいた)(アニメ 近藤孝行)
- 愛嬌のある面付きをした大柄な少年。シャナ曰く、学園で一番身体能力が高いらしい。啓作とは中学からの同級生で、一緒に喧嘩をして回るのは日常茶飯事だった様子。その為、二人とも喧嘩の場所や逃走経路としていた裏道には詳しい。マージョリーから紅世の事を聞き、啓作と共に子分としてサポートに当たる。彼女を「姐さん」と呼び尊敬している。
- 緒方に告白されて戸惑っていたが、マージョリーの放った流れ弾で(封絶の中ではあったが)緒方が砕け散る様を目撃し、彼女への想いに気づいた様子。
- 次第に激しさを増していく徒との戦いに恐怖心を感じるようになっている。
- 名前の由来は田中角栄元首相。
- 池 速人(いけ はやと)(アニメ 野島裕史)
- 悠二の中学からの同級生。学業優秀で、ごく自然に皆のトップに立ち場をまとめる(教師よりも、クラスをまとめるのが巧い)、天性のリーダー気質を持った頼れる少年。通称はメガネマン。吉田一美に好意を抱いているが、彼女の悠二に対する思いは知っているため、己の感情との板ばさみに苦悩する。悠二やシャナらの近くにいながらも、紅世についての事情を知らない一般人である。バスがとても苦手で、すぐに激しいバス酔いになってしまう、それでも、だいぶましになったようで、昔は、バスを見ただけで顔が青くなっていたらしい。
- 名前の由来は池田勇人元首相。
- 緒方 真竹(おがた またけ)(アニメ 小林由美子)
- 佐藤・田中とは中学からの同級生。「かわいいよりかっこいい」と評される性格。バレー部に所属。池と同様、紅世についての事情を知らない一般人。田中に好意を抱いており、第7巻において告白。徒の起こした事件の最中だった事もあって、返事はまだきちんともらっていないが、周囲からはほぼ公認カップルの扱いを受けている。
- 名前の由来は昭和の名政治家・緒方竹虎。
- 中村 公子(なかむら きみこ)
- 悠二のクラスメイトの一人で、紅世とは無関係の一般人。いかにも最近の女子高生らしく、化粧が趣味の活発な性格で、イベントなどの際にはクラスの中心として活躍する。
- 名前の由来は第57代衆議院議長・中村梅吉か。
- 藤田 晴美(ふじた はるみ)
- 悠二のクラスメイトで、1年2組の副クラス委員。メガネがトレードマーク。女性らしい即決即断の性格で、深く考えて行動するタイプの池とはクラス委員として名コンビを組んでいる。内気な吉田が下の名前で呼ぶ数少ないクラスメート。
- 名前の由来は「カミソリ後藤田」の異名を取った名政治家・後藤田正晴。
[編集] 坂井家
- 坂井 千草(さかい ちぐさ) (CD 皆口裕子/アニメ 櫻井智)
- 悠二の母。実年齢よりかなり若く見える(ただし正確な年齢は不明。おそらく三十代前半)。家事一般に精通しており、料理上手で特に炒め物が得意。常に笑顔を絶やさず、人の心の機微にも鋭い。感情表現に拙いシャナに対しては豊富な人生経験からしばしば的確なアドバイスを与え、アラストールやヴィルヘルミナとも教育論において対等に渡り合い、彼らから一目置かれている。
- 夫である貫太郎とは学生結婚で、今なおラブラブな良き夫婦。現在妊娠中。アラストールのことを「アラストオルさん」(アクセントは「ア」におく)と呼ぶ。
- 貫太郎の発言から、養護施設の類で育ったらしい事が窺える。
- 坂井 貫太郎(さかい かんたろう)
- 悠二の父。初登場は第9巻。普段は海外に単身赴任しているが、たまに突然帰宅して悠二や千草を驚かせる。細身の体型に似合わず運動神経がよく、シャナの飛び蹴りを(偶然に助けられてだが)かわしたほどである。職業は本人曰く、「他人の困りごとを解決すること」。尾行や調査の手腕は一流で、シャナですら彼を撒けなかったほどである。大戸ファンシーパークでヴィルヘルミナを追跡した際には彼女に全く気取られず、しかも僅かな時間で変装(着ぐるみ)を次々と取り換えてみせる手腕を示した。かなりの大食らいでしかも無茶な食べ方をする。
[編集] フレイムへイズ
世界のバランスの崩壊を危惧する異世界人“紅世の王”と契約し、得た異能を持って世界をバランスを護る(≒世界のバランスを崩す“紅世の徒”を討滅する)ことを使命とする(元)人間。
ここでは、異能者であるフレイムヘイズと共に、フレイムヘイズと契約し異能を与える“紅世の王”も併せて紹介する。
フレイムヘイズ | 契約者 | 神器 | |
---|---|---|---|
炎髪灼眼の討ち手 | シャナ(贄殿遮那のフレイムヘイズ) | “天壌の劫火”アラストール | コキュートス(ペンダント型) |
マティルダ・サントメール | コキュートス(指輪型) | ||
弔詞の詠み手 | マージョリー・ドー | “蹂躙の爪牙”マルコシアス | グリモア(巨大な本型) |
万条の仕手 | ヴィルヘルミナ・カルメル | “夢幻の冠帯”ティアマトー | ペルソナ(ヘッドドレス型) |
儀装の駆り手 | カムシン・ネブハーウ | “不抜の尖嶺”ベヘモット | サービア(飾り紐型) |
愁夢の吹き手 | ドレル・クーベリック | “虚の色森”ハルファス | ブンシェルルーテ(ステッキ型) |
極光の射手 | カール・ベルワルド | “破暁の先駆”ウートレンニャヤ | ゾリャー(鏃型) |
“夕暮の後塵”ヴェチェールニャヤ | |||
震威の結い手 | ゾフィー・サバリッシュ | “払の雷剣”タケミカヅチ | ドンナー(ベール型) |
魑勢の牽き手 | ユーリイ・フヴォイカ | “虺蜴の帥”ウァラク | ゴベルラ(短剣型) |
星河の喚び手 | イーストエッジ | “啓導の籟”ケツアルコアトル | テオトル(浮き彫りを施した石のメダル型) |
- マージョリー・ドー[Margery Daw](アニメ 生天目仁美)
- 『弔詞の詠み手(ちょうしのよみて)』という称号を持つフレイムヘイズ。イギリス出身(推定)。トップモデル顔負けのプロポーションの持ち主。眼鏡をかけているが度は入っていない。「屠殺の即興詩」という詩を口ずさみ戦闘向けの自在法を使う、熟練の自在師でもある。ただし、過程を省略して即興で結果を導き出せる天才であるがゆえに、逆に細々した自在法の構成の把握や分析は苦手。邪魔者は敵味方無く攻撃する事でその凶暴性を広く知られているフレイムヘイズ屈指の「殺し屋」。“千変”シュドナイとは因縁があり(その一端がS巻に収録の短編『マイルストーン』にて語られている)、「殺戮の美姫」と呼ばれている。戦闘時には「トーガ」という、手長短足のずんぐりむっくりの獣型の炎の衣を纏う。佐藤啓作と田中栄太に尊敬されている。日常的にはグータラした酒好きで、酒癖は悪いが強くはなく、よく二日酔いに陥る。
- 自分から全てを奪った正体不明の“銀”の徒を憎み、執拗に追い続ける。かつては徒への憎しみのみで戦ってきたが、子分となった佐藤啓作と田中栄太をいつしか「守りたい」と大切に思うようになり、初めて憎しみ以外で戦う理由を見い出した。現在は啓作の家の室内バーに居候中。人生経験豊富なフレイムヘイズらしく、知り合って以降は緒方真竹の恋の相談によく乗っている。
- 「屠殺の即興詞」は全て英語圏の童謡集『NURSERY RHYMES』(いわゆるマザー・グース)からの引用であり、「マージョリー・ドー」の名前もその一篇に登場する人物から取られている。
- “蹂躙の爪牙(じゅうりんのそうが)”マルコシアス[Marchosias](アニメ 岩田光央)
- マージョリーと契約している紅世の王。他の紅世の徒から「戦闘狂」と評される。「グリモア」と呼ばれる巨大な本型の神器に意思を表出させている。シャナの「夜笠」と同様、ページの間に様々な物を「挟んで」収納する事ができる。戦闘時では毎回アドリブである「屠殺の即興詩」に合った自在法を彼が「グリモア」に刻まれた自在式の文面から選び出し、放つ。下品な性格とは反対に、憎悪の感情だけで戦ってきたマージョリーに別の感情(啓作と栄太を守ること)を持たせるなど、仲間思いの面もある。よく他人のセリフにツッこんではマージョリーに本(グリモア)を叩かれて無理矢理黙らされる。同じ紅世の王アラストールとは性格上折りが合わない。本性は巨大な狼の姿。炎の色は群青。
- 通称の由来はソロモン72柱の一柱、悪魔マルコシアス。グリモアは魔術に関わるさまざま書物をさすグリモア(Grimoire)と思われる。
- ヴィルヘルミナ・カルメル[Wilhelmina Carmel](アニメ 伊藤静)
- 『万条の仕手(ばんじょうのして)』という称号を持つフレイムヘイズ。幼少期のシャナの育成に携わった、いわば養育係。シャナのメロンパン好きは、彼女が馬鹿の一つ覚えのように買い与えていた事による。偶然拾った赤ん坊の少女(後のシャナ)を養育するに当たって以来メイド服を着ているが、その実用性の高さを気に入って日常的に着用しており、外出の際にはその背に登山用のザックを背負うという異様な出で立ちになる。普段は鉄仮面のように無表情であるが、実は誰よりも感情に揺れている。語尾に「~であります」と付ける軍人風の若干変わった話し方をする。家事能力は高いが、唯一料理が苦手で、湯豆腐とサラダ以外はまともに作れない。マージョリーとは飲み仲間で、その際よく彼女に愚痴をこぼす。先代炎髪灼眼の討ち手マティルダとは無二の親友だった。人間だった頃は一国の姫だったらしい(9巻でティアマトーから「姫」と呼ばれている)。彼女のメイド服はもともと侍女の服装を真似たものに由来する(完全に当時の服装を見習っているので、スカートの下はドロワーズとなっている)。
- 8巻でシャナ達と合流し、坂井悠二を消す事で「零時迷子」の無作為転移を試みるが失敗。この決断は一時期行動を共にした「約束の二人(エンゲージ・リンク)」との友情から来たもの。シャナの事を常に気にかけており、彼女と悠二の仲を良く思っていない。「友」である“彩飄”フィレスへの思い入れは非常に強く、シャナが嫉妬するほど。フィレスの出現に自失し、ティアマトーの叱咤でようやく正気に戻る、などの失態も演じている。
- 直接的な破壊能力は低いが、代わりに戦技が卓越しており、無数のリボンを操り、合気のように相手の力を利用し、巨竜さえも投げ飛ばす投げ技や、リボンに爆破や反射などの自在法を刻み込み、それを駆使し闘う、フレイムへイズ屈指の強者。先の「大戦」でマティルダと共に戦った(当時はまだメイド服ではなく貴婦人風の衣装だった)。あだ名は「戦技無双の舞踏姫」。
- この世のバランスを乱す、強大な紅世の王“虹の翼”メリヒムに恋していたが、彼はヴィルヘルミナの想いを無視し、どこまでも真っ直ぐにマティルダだけを愛し続けた。先代炎髪灼眼の討ち手マティルダと知り合ったきっかけも、ヴィルヘルミナがメリヒムの心を惹きつけて止まないマティルダを探るためであった。彼がシャナによって倒された時から何年経過しても、その痛みは心に残っている。また、シャナと悠二の関係を快く思わない一因も、親友との約束や愛する男を犠牲にしてまで育てた純粋なフレイムヘイズが変わってしまうという所から来ていた。
- 13巻ではシャナにとんでもない事を質問され、アラストールや悠二共々慌てふためいた。
- “夢幻の冠帯(むげんのかんたい)”ティアマトー(アニメ 渡辺明乃)
- ヴィルヘルミナと契約している紅世の王。ヴィルヘルミナのヘッドドレス型神器「ペルソナ」に意思を表出させている(戦闘時には狐のような仮面になり、縁から鬣のようにリボンを出す)女性の王。「大戦」当時はヴィルヘルミナの衣装に合わせてティアラ型だった。常に寡黙で、口を開いても端的な単語や四字熟語しか話さない。結構薄情な性格で、ヴィルヘルミナからヘッドドレスを叩かれることで抗議されることも多いが、ヴィルヘルミナ同様シャナを愛しているようだ。あだ名は「寡言の大河」。炎の色は桜色。
- 通称の由来はギリシア神話の海の怪物、またはバビロニア神話の女神。
- カムシン・ネブハーウ[Khamsin Nbh`w](アニメ 皆川純子)
- 『儀装の駆り手(ぎそうのかりて)』という称号を持つフレイムヘイズ。見た目は十に満たないほどの少年であるが、実際は最古のフレイムへイズの一人であり、紅世の徒によってできた世界の歪みを修復できる世界でも数少ない「調律師」の一人。布でグルグル巻きにした、身の丈の倍はある長く太い鉄棒「メケスト」を担ぎ、これまでの戦いで負った傷が全身に残されている(本来は消せるが、カムシンはわざと残している)。戦闘の際には自在法「カデシュの心室」を核として、配置した支点となる「カデシュの血印」をエネルギー流である「カデシュの血脈」で結び瓦礫を寄せ集めた巨大な「儀装」(瓦礫の巨人)を纏い、メケストを握りとしたこれまた瓦礫を炎で束ねた鞭を右手に持ち、左手は「アテンの拳」と呼ばれるロケットパンチになる。鞭の先端から放たれる炎を纏った瓦礫の推進弾「ラーの礫」を破壊力は極めて大きいが動作はおおざっぱで命中率は低く、“探耽求究”ダンタリオンとの戦闘ではマージョリー・ドーを危うく巻き添えにしかけた(カンターテ・ドミノはカムシンを「壊し屋」と呼んでいた)。
- フレイムヘイズになる前は中東(彼の話より推定)のとある王国の王子だった。誰にでも敬語で喋り、「爺い」呼ばわりされても気にしない。「ああ」と最初に言うのが口癖。
- “不抜の尖嶺(ふばつのせんれい)”ベヘモット(アニメ 宝亀克寿)
- カムシンと契約している紅世の王。カムシンの左手に巻かれた飾り紐型の神器「サービア」に意思を表出させている。枯れた老人のような穏やかな口調で話すが、それは上辺だけのもので実際はカムシンに劣らず非情。「ふむ」と最初に言うのが口癖。炎の色は褐色。
- 通称の由来は悪魔ベヘモス(ベヒモス)。
- ドレル・クーベリック
- 『愁夢の吹き手(しゅうむのふきて)』という称号を持つフレイムヘイズ。集団で徒を討滅するという若い考えを持つが、外見は年老いた男性。巨大な外界宿(アウトロー)、「ドレル・パーティ」を運営し影で他のフレイムへイズの活動を支えており、フレイムへイズでは戦闘以外で初めて名を馳せていた。“千変”シュドナイの手によって「ドレル・パーティ」ごと討たれる。シュドナイからは「若きご老体」と呼ばれている。
- ドイツ系らしく、マージョリーは「フォン・クーベリック」と呼んだ。
- 彼は組織の運営にフレイムヘイズだけでなく一般の人間も参加させており、その中から新たなフレイムヘイズが誕生するケースもあるという、思わぬ副次的効果も生まれている。
- “虚の色森(きょのしきしん)”ハルファス[Malthus]
- ドレルと契約している紅世の王。ステッキの形をした神器「ブンシェルルーテ」からその意思を現す。女性の王で、ややヒステリー気味な性格。契約者のドレルをシュドナイに砕かれるが、ドレルが死亡前に言い聞かせたため、顕現はしなかった。炎の色は薄いオレンジ色。能力は「幻覚」。
- 通称の由来はソロモン72柱の一柱、悪魔ハルファス。
- マティルダ・サントメール[Mathilde Saint-Omer](アニメ 岡村明美)
- シャナの前にアラストールと契約していたフレイムヘイズで、先代の『炎髪灼眼の討ち手』。「大戦」にて故人となっている。戦いに喜びを見出す凛々しい女性であり、シャナ同様炎を主体にした戦い方で、「騎士団(ナイツ)」という能力を使う。メリヒムに執拗に愛を語れていたが、、彼女が想い愛していたのはアラストールであった。彼女のアラストールを露出させる神器は、左手中指にはめる大振りな指輪の形をしている。シャナの首飾りの神器はこれを参考にしており、名前も同じコキュートスである。
- あだ名は「女丈夫」。数多くの人の心に大きな物を遺した。
- カール・ベルワルド
- 『極光の射手(きょっこうのいて)』という称号を持つフレイムヘイズ。巨大な鏃型の神器「ゾリャー」に乗り、その両脇から展開する極光の翼を流星に変えて放つ「グリペンの咆」と「ドラケンの哮」が最大の攻撃。
- フレイムヘイズによくみられる傲慢な性格で、人に従うことを嫌う。しかしそれそうおうに単独戦では強大な強さを誇り「大戦」の際、先手大将ソカルを討滅する功を挙げた。しかし集団戦の経験は浅く、オルゴンのレギオンにより巧みに敵陣深くに誘い込まれた。そこに現れた徒に対して『強力な敵かもしれないから油断無く通常の必勝パターン』を行おうとするという、『致命的な油断』を「神鉄如意」を駆る“千変”シュドナイに突かれ、ほとんど何もできずに討たれた。
- なお、後述の新米フレイムヘイズであるユーリイ少年は尊敬するフレイムヘイズの一人として『極光の射手』の名を挙げている。カールと同じ大戦で亡くなったフレイムヘイズ、マティルダの事は『故人の中では』尊敬していると区別しているので、どうもこれはカールの事ではないらしい。20世紀初頭には代替わりした新たな『極光の射手』が存在していた可能性がある。
- “破暁の先駆(はぎょうのせんく)”ウートレンニャヤ/“夕暮の後塵(せきぼのこうじん)”ヴェチェールニャヤ
- 双子の紅世の王だが、2人として存在している訳ではなく、一つの体に二つの意思が存在している一心同体の姉妹という他に類を見ない形の王。“極光の射手”カール・ベルワルドと契約していて、神器「ゾリャー」にその意思を現す。ウートレンニャヤは艶っぽい女性の声、ヴェチェールニャヤは軽くはしゃいだ少女の声をしている。
- 契約者であるカールともども浅慮な性格で、彼の失策を咎めるどころか一緒に楽しんでいた。それが仇となり、カールと共にシュドナイの「神鉄如意」に潰される。契約者の死後の顕現については触れられていないので、紅世にその後帰ったものと思われる。炎の色は極光色。
- それぞれの通称の由来はロシア神話の神で、前者は夜明けのオーロラ、後者は夕暮れのオーロラをそれぞれ司り、神器「ゾリャー」の由来は2人の神に共通する名で、オーロラを意味する。
- ゾフィー・サバリッシュ
- 『震威の結い手(しんいのゆいて)』という称号を持つフレイムへイズ。雷を操る。修道女の姿をしているが、十字架は身に着けていない。仲間からは「肝っ玉母さん(ムッタークラージェ)」と呼ばれている。瞬発的な戦闘力は群を抜いており、現代まで生き延びる屈強なフレイムヘイズ。過去、フレイムヘイズとなった後のシャナとの接触もある。
- 20世紀初頭の『革正団(レボルシオン)』との戦いの中で、補佐役にして生涯の友たる2人のフレイムヘイズ(ドゥニとアレックス)を失い、隠居同然の暮らしをしていたが、ドレル・クーベリックと、彼同様に重要な外界宿「モンテヴェルディのコーロ」を主宰していたピエトロ・モンテヴェルディを相次いで失い、大打撃を受けた欧州のフレイムヘイズたちは彼女を中核として担ぎ出し、体制立て直しを図っている。しかし、現在のところほとんど効を奏しておらず、混乱は続いている。
- “払の雷剣(ふつのらいけん)”タケミカヅチ
- ゾフィーと契約している古き紅世の王。通称が和風なのは、かつて日本で(現在の契約者、ゾフィー・サバリッシュとは別のフレイムヘイズと)契約した際の物を使っているため。ベール型の神器「ドンナー」の額に刺繍された蒼い星から意思を示す。炎の色は青白い雷。
- 通称の由来は日本神話の雷神タケミカヅチ。
- ユーリイ・フヴォイカ
- 『魑勢の牽き手(ちせいのひきて)』という称号を持つフレイムヘイズ。小動物や虫などの生物を使い魔として支配し、伝声や監視、計測に使役し、またそれらの力の奔流を竜巻の様に立ち上がらせ、攻撃と防御を行う自在法「隷軍」を使う。
- 気弱さと生真面目さを半々に含んだ、サイズの合わない大きな眼鏡を掛けた少年。契約してまだ1年余りという日の浅さから、性格も普通の少年そのものである。典型的な「復讐者」とは対極の、「誰かを守りたい」という思いで動く「善意のフレイムヘイズ」で、その危険性故にイーストエッジから戦いを禁じられていた。元はウクライナ移民で、15歳のときアメリカへ向かう移民船の航海上で海魔(クラーケン)に襲われ、海中へ沈んでいく所を渡り歩いてきたウァラクと契約する。アメリカでイーストエッジと出会い、外界宿「イーストエッジ外信」で働いていた。
- マンハッタンでマージョリーと出会い、フレイムヘイズには向かないと突き放されるも、マージョリーとシュドナイ・アナベルグの戦いに参戦。マージョリーを救い、アナベルグを討滅したが、シュドナイに討たれた。
- “虺蜴の帥(きえきのすい)”ウァラク
- ユーリイと契約している紅世の王。性別は女性。古風短剣「ゴベルラ」に意識を表出させており、ときおり鯉口を鳴らしながら話す。
- 常に気だるそうな口調だが、何だかんだ言いつつ己の契約者たるユーリイを気遣い見守る優しい性格。ユーリイの前にも契約者がいたが、全員復讐鬼で討ち死にした模様。
- 名前の由来はソロモンの72柱の悪魔“大総裁”ウァラク。
- イーストエッジ
- 『星河の喚び手(せいがのよびて)』という称号を持つフレイムヘイズ。
- 中肉中背でいかつい面相のアメリカ・インディアン。ニューヨークに「イーストエッジ外信」なる外界宿を経営している、アメリカ・インディアンの強力な討ち手だが、とある理由でめったに戦う意欲は湧かないらしい。外界宿の管理者「大地の四神」の1人。アメリカ大陸を西洋人が発見したという意味の「新大陸」という呼び方で呼ばれるのを嫌う。称号で呼ばれると怒る。他のフレイムヘイズたちを称号とは違う独自の名で呼ぶ。S巻の時点ではマージョーリーとは酒飲み友達だが、かつて戦ったこともあるらしい。
- “啓導の籟(けいどうのふえ)”ケツアルコアトル
- イーストエッジと契約している紅世の王。浮き彫りを施した石のメダル「テオトル」に意思を表出させている。短く深く、貫禄のある声で話す。炎の色は青磁色。
- 通称の由来はアステカ神話の農耕神。
[編集] 名称のみ登場のフレイムヘイズ
- サーレ・ハビヒツブルグ
- 『鬼功の繰り手(きこうのくりて)』の称号を持つフレイムヘイズ。称号とヴィルヘルミナの言動から人形のようなものを操作して戦うと思われる。教授はシイタケより嫌いだという。
- ピエトロ・モンテヴェルディ
- 『无窮の聞き手(むきゅうのききて)』の称号を持つフレイムヘイズ。ドレル・パーティーの中枢である世界の交通支援を担当していた「モンテヴェルディのコーロ」の運営管理者の筆頭であった。ドレル同様何者かに(おそらくバル・マスケ)に殲滅された模様。
[編集] 紅世の徒
漢字で書かれた『真名』が紅世での本名であり、それ以外はこの世で自分で名づけた愛称の様なもの。
- “狩人(かりうど)”フリアグネ[Friagne](CD 松風雅也/アニメ 諏訪部順一)
- 人間を喰い物にする紅世の王。悠二をトーチにした元凶。御崎市で起こる一連の事件の契機となる。近代では五指に入るであろう強力な王(原作者からも、本来なら第一巻に登場させるには強力過ぎる敵、と評されたほど)。マルコシアスから「人形フェチ」といわれるほどの人形好きで、愛する燐子のマリアンヌを一個の存在とするため、「都喰らい」を引き起こそうとした。
- 能力は『物事の本質を見抜く』事で、入手した宝具の能力や使用法を即座に看破できるという。そのためか宝具のコレクターでもあり、状況に応じて様々な宝具を使用する。フリアグネが御崎市のデパート高層階に残した宝具「玻璃壇(はりだん)」は、彼の死後もマージョリー・ドーを手伝う田中栄太や佐藤啓作が町内の存在の力を見るために使用している。炎の色は薄い白。
- なお、彼は挿絵を担当するいとうのいぢのお気に入りのキャラであるらしく、その後番外編などの狂言回しとしてしばしば登場している。彼らの「なんでも質問箱」はDVDにも収録。
- “屍拾い(しかばねひろい)”ラミー[Lamies](アニメ 清川元夢)
- 人間に対し中立の立場を取る紅世の徒。トーチの姿を借り、老紳士の姿をしている。恋人であったドナートが描いてくれた自分の絵を復活させるために、存在の力を消えかけのトーチから集める無害な徒。世界の力のバランスに極力気を使っているために討滅の必要が無く、“弔詞の詠み手”マージョリー・ドーと“蹂躙の爪牙”マルコシアスのような戦闘狂でもいない限り、狙われはしない。むしろ、ラミーによって集められ、特殊な自在式によって制御されている膨大な量の存在の力が主を失い、暴走を始めるのを懸念する者もいる。シャナとの関係に悩む悠二に、様々な助言を与えた。性格は非常に冷静沈着で、討滅するために現れたマージョリーに対しても大して動揺せず、シャナにマージョリーを討つ機会を与えるために自ら囮になったりした。
- 本来は少女の姿をしており、本当の名前は“螺旋の風琴(らせんのふうきん)”リャナンシー。存在そのものはとても小さい徒だが、「封絶」等、高効率な自在式を数多く編み出した天才的な自在師である。炎の色は深緑色。
- 通称のリャナンシーは、欧州の伝承に登場する、芸術家に才を与える代償に夭折させるという妖精。
- “纏玩(てんがん)”ウコバク[Ukobach]
- 人間を喰い物にする紅世の徒。シャナが悠二に出会う前に討滅した(灼眼のシャナ オーバーチュア参照)。己の醜さを極端に嫌い、「いつかこうなる自分」を作る為に人攫いを行っていた。他の徒と比較しても格段に弱い力しか持たない。炎の色は爛れた赤銅色。
- 通称の由来はユダヤ、キリスト教の神話に登場する下級の魔神。
- “壊刃(かいじん)”サブラク
- 紅世の王。依頼を受け対象を抹殺する、文字通りの「殺し屋」。かなりの不平屋であるものの、怒るという場面はそうそう無いらしい。一時期、“探耽求究”ダンタリオンに雇われていたが、秘蔵の宝具である剣「ヒュストリクス」を「イカレたからくり」(正式名称は「浪漫の結晶ドォ――リル付き西洋風の両手剣」)に改造され激怒、袂を分かった。
- 現在は「仮装舞踏会」と組んでおり、宝具「零時迷子」を狙って東洋を動き回っている。炎の色は茜。通称の由来はソロモン72柱の序列43番目の悪魔サブナックから。
- “彩飄(さいひょう)”フィレス
- 人間に対し中立の立場を取る紅世の王で、「約束の二人(エンゲージ・リンク)」の片割れ。ヨーハンとともに「零時迷子」を作った存在。決して人間を喰らわないという誓いを立て、ヨーハンから供給される「存在の力」のみで顕現を維持し続けていた為、これまではフレイムヘイズ・徒のいずれとも敵対することがなかった。外見は黄緑色の長髪の華奢な美女で、ツナギのような服を着ている。両肩の人または鳥の貌を象ったプロテクターと両手の無骨な手甲はいずれも強力な武器らしい。一時期、自分達を付け狙う“壊刃”サブラクの必殺の罠にかかってしまったヴィルヘルミナ・カルメルを助け、行動を共にしていた。再度サブラクに襲われた際、瀕死の重傷を負った「永遠の恋人」ヨーハンを助けるため、彼を「零時迷子」に封じ込め、自らはサブラクとともに自在法「ミストラル」で転移し、ヴィルヘルミナの逃走の時間を稼いだが、その為「零時迷子」に生じた異変を知る事ができなかった。
- 風を操る技を得意とし、目標物を探索し、発見した後はそこへの移動手段ともなる独自の自在法「風の転輪」や、周囲に発生させた風を自身の一部とし、相手を包み込んで攻撃する自在法「インベルナ」を使用。「零時迷子」を探しており、悠二を分解してヨーハンを取り戻そうとするが、突然、悠二の中から現れた“暴君”の為に失敗に終わる。その後、一時的に悠二から変化したヨーハンに説得されて悠二の分解を断念した。去り際、一美に宝具『ヒラルダ』を授けるが、その真意は不明。炎の色は琥珀色。
- “髄の楼閣(ずいのろうかく)”ガヴィダ
- 人間に対し好意的な、世話好きで人情に厚い紅世の王。造営の魅力に取り憑かれ、人間と協力してさまざまな宝具を作り出した老成の徒。人間を理解し共感する事により彼らを喰らうのを止め、存在の力を消耗せずにこの世に顕現する宝具「カイナ」によって「天道宮」に身を留めていた。その姿は6本腕の板金鎧で、柄の長い大金槌「キングブリトン」を武器とする。
- 大戦の折、「天道宮」を取り引きによってフレイムへイズに貸し、その後チェルノボーグによって討滅される。仮装舞踏会の本拠地「星黎殿」も彼が作った。炎の色は乳白色。
- 通称の由来はケルト神話の鍛冶神ゴヴニュの別名。
- “愛染自(あいぜんじ)”ソラト[Sorath](アニメ 白石涼子)
- 人間を喰い物にする紅世の徒。剣の腕に似合わぬ幼い言動が特徴。大剣「吸血鬼(ブルートザオガー)」の使い手。戦闘時は鎧を一瞬にして装着する。「贄殿遮那」を狙ってシャナを襲撃する。欲するものを、見なくとも在処を知ることができる能力を持つため「欲望の嗅覚」とも呼ばれている。妹よりも目先の欲を優先した冷酷な性格。炎の色は山吹色。
- ちなみに吸血鬼は、その後マージョリーが持ち帰り、最終的にはシャナの手に渡った。
- “愛染他(あいぜんた)”ティリエル[Tiriel](アニメ 田村ゆかり)
- 人間を喰い物にする紅世の徒。最愛の兄・ソラトに見せる甘い顔と、それ以外のときに見せる残忍な顔を持つ。戦闘では「揺りかごの園(クレイドル・ガーデン)」という封絶に似た自在法を使い、ソラトのサポートに回る。ソラトへの愛の執着の様子から「溺愛の抱擁」とも呼ばれる。
- この2人の互いにすがるような愛情表現にシャナは反感を覚えるものの、同時に愛するもののためならば自らの命を賭すことも辞さないその姿に大きな感銘を受ける。炎の色は兄のソラトと同じ山吹色。
- “穿徹の洞(せんてつのほら)”アナベルグ
- 紅世の徒。スーツに火掻き棒のような手と丸型メーターの顔を持つ。
- 人間が作り出したものを破壊し、人間がさらに優れたものを作ろうとする「文明の加速」を見ることを目的とする。袖口から噴出する蒸気で気配や存在の力をぼやかす事が出来るが、敵味方問わずの気配の混淆の為にフレイムヘイズの奇襲に徒が気付きにくくもなる。炎の色は鉛色。
- 通称の由来はドイツで鉱山を守るとされる悪魔、アナベルグから。
- 祭礼の蛇”(さいれいのへび)
- かつて存在した強力な王”。「支配」というものに興味を覚え、「大縛鎖」という自在式を用い都を作るが、作った途端にフレイムヘイズに袋叩きにされ討滅された。「波璃壇」は彼(?)の作品。
[編集] 仮装舞踏会(バル・マスケ)
盟主と「三柱臣(トリニティ)」を中心とした紅世の徒の集団。大命の成就を主眼とした活動をしているらしいが詳細は不明。大命詩篇と呼ばれる自在式(を纏めたものか?)にその詳細が記載されていると思われる。盟主の正体は銀色の炎から“銀”ではないかと思われているが、詳細は不明。
- “暴君”
- 仮装舞踏会の盟主に関係するものと思われるが詳細は不明。歪んだ西洋風の板金鎧の姿をしているらしい。その本体は仮装舞踏会の本拠地、星黎殿の奥に磔にされている。フィレスが「零時迷子」を取り出そうとした際、その右腕が零時迷子の元へ転移した。「大命詩篇」と呼ばれる謎の自在式によって「零時迷子」の中に封じられているヨーハンがこの“暴君”となりつつある。
- 炎の色は銀。マージョリー・ドーの仇敵である“銀”と深い関わりがある、もしくはそのものだと思われるが詳細は不明。教授が飽きるほどいじったとの事なので、宝具に属するものかもしれない。
- “逆理の裁者(ぎゃくりのさいしゃ)”ベルペオル[Bel-Peol](アニメ 大原さやか)
- 紅世の王。仮装舞踏会「参謀」。かつての役職名は「軍師」で、仮装舞踏会改組の際に改名させた。右目に眼帯をした、三つ目の女性。狡猾で智略に長けており、さらに部下を簡単に切り捨てることができる冷酷な王。常から不在がちな「盟主」と託宣に明け暮れる「巫女」と不真面目な「将軍」に代わり、実質的に組織を運営している。「組織であるがゆえの強さ」を重んじ、数千年という単位で唱えている。大命遂行時にのみ行使を許される宝具、鎖「タルタロス」を所持している。大戦で大命詩篇が砕け、その影響で苦しむヘカテーを救助するために外部との共振、特定現象から切り離すなどの場面が見られるものの、その力の詳細は不明。能力・実力がはっきりしない故に、対峙するフレイムヘイズは事あるごとに「彼女の陰謀の一環では無いか?」と疑心暗鬼に駆られて、その勢いを押し留める結果となっている。本人も自分の評判をせいぜい有効に活用しているようである。
- 悠二の内にある「零時迷子」の存在に気付いてからは、『実験』を一段落させたダンタリオンを再び呼び戻し、殺し屋“壊刃”サブラクに声を掛け、シュドナイ始め戦闘部隊に外界宿(アウトロー)を攻撃させている。炎の色は金。
- 通称の由来は、ルシファーの副官とされる悪魔 ベルフェゴール(Belphegor)の別名とされる、バアル=ペオル(Bel-Peol)と思われる。
- “頂の座(いただきのくら)”ヘカテー[Hecate](アニメ 能登麻美子)
- 紅世の王。仮装舞踏会の「巫女」を務める。表情に乏しい幼い美少女の容姿をしている。杓子定規な物言いが特徴。大命遂行に際し、主に盟主の意思を受ける役割があると思われる。大命遂行の際にのみその行使を許される宝具、錫杖「トライゴン」を所持する。自身の炎と同じ色の光弾を流星の如く飛ばす自在法「星(アステル)」を使う。一度に数十発飛ばす事も可能。華奢な外観とは裏腹に体術にも長けており、シャナと互角に渡り合える程である。
- 自らに言い寄るシュドナイを相手にしないなど、基本的に他人とはあまり関わらない性格だが、何故か誰もが扱いに困る変人ダンタリオンのことは「おじさま」と呼んで慕っており、彼を馬鹿にされると静かにながらも機嫌が悪くなる。また、高い山の山頂で過ごす事を趣味にしており、山を汚す登山家を嫌っている。天然の気もあり、とにかく素性が知れない少女。「零時迷子」に刻印(おそらく探知系の自在式)を刻み付けて、「零時迷子」の位置を常時探知出来るようにした。炎の色は明るすぎる水色。通称の由来はギリシャ神話で呪術を司る女神ヘカテ。
- “千変(せんぺん)”シュドナイ[Sydonay](アニメ 三宅健太)
- 紅世の王。仮装舞踏会「将軍」。他者からの護衛の依頼を受け、それを果たすことに喜びを見出す王。愛染兄妹の護衛をしている際に悠二と遭遇し、宝具を奪い取ろうとしたが、「零時迷子」と知らなかったために逆にそれに組み込まれた戒禁(防御用の自在法)に右腕をもぎ取られた(その後、再構成した)。戦闘時に見せる姿は面妖で、腕や口を複数作ったり、蝙蝠、亀、大蛇、虎などのさまざまな動物に全身を変えたり部分的に変えたりする(比較的虎へと変化する事が多い)、異形の合成獣のようであり、さらに真名の通りのシュドナイの本質から生まれた力「変化」により姿をコロコロよく変えるので違和感が激しい。シュドナイ本人にとってはこの姿こそが自分の本質であり、人間の文化に憧れるあまり本質を人間型に固定してしまい、本質そのままの姿を陳腐だなどとないがしろにする最近の徒の風潮をことは内心で寂しく思っている。一方で人間の姿をとる際には当代の流行文化をいち早く取り入れる洒落者の面も持つことから、人間の暮らし自体を否定している訳では無い。特に煙草が大好きで、いつも吸っている。
- 大命遂行の際のみその行使を許される宝具、豪槍「神鉄如意」を所持し、事あればあらゆる物を一撃で粉砕する。同格のヘカテーに好意を持っているが、全く相手にされていない。飄々とした性格だが、ヘカテーが傷つけられると怒り狂い、傷つけた相手に全力で報復する。さらにその怒りはヘカテーを守れなかった周囲にも向くようで、そのため味方は敵の襲撃以上にヘカテーが傷つくことを恐れている。一方でベルペオルのことは公然と「ババア」呼ばわりしてこき下ろすが、ベルペオルもいちいち皮肉たっぷりに接しているのでどっちもどっち、お互いに「いけ好かないがその実力を利用する」関係といえる。
- 長らく「将軍」という本来の職務には怠慢だったが、悠二の内にある「零時迷子」の存在を知ってから急に本腰を入れるようになる。炎の色は濁った紫。通称の由来は悪魔アスモデウスの別名から。
- “探耽求究(たんたんきゅうきゅう)”ダンタリオン[Dantalion](アニメ 飛田展男)
- 紅世の王。通称「教授」。実験に生き甲斐を感じており、そのためなら自分の命すらも捨てるマッドサイエンティスト。独自の理論体系によって創造された自在法『我学』を用いて様々な実験を行う。彼の作った有形無形の実験物には『我学の結晶エクセレント(通し番号)』というシリーズ名が付けられ、その数は既に数万に及ぶ。大部分はガラクタだが、中には現在に至るまで使われる物や、他の自在師によって効果的に作り直され、広く普及したものもある。
- 行動が荒唐無稽で凡人には理解不能(たまに自分でもわからないときがあるらしい)であるために、超が付くほどの変人と呼ばれるが、力は強大な王である為、最も始末に終えない。御崎市で「調律」に対する「逆転印章(アンチシール)」を起動させ、どんな結果になるか実験を試みるが、失敗に終わった。「仮装舞踏会」の客分待遇として組織と深い繋がりを持ち、トラブルを起こして逃げ出しては、必要な時にベルペオルに連れ戻されている。
- やけにハイテンションな口調や仕草が特徴的。相手が誰だろうと気にしない無神経ぶりだが、ベルペオルの事は「シイタケと同じくらい嫌い」らしい。過去にはヘカテーを傷つけた不始末の罰として、シュドナイに殺されかけたこともある。
- 昔、興味の対象として何人かのフレイムヘイズを誕生させる等の事実も見られ、紅世の徒の中にも彼を恨んでいるものは多い(というより他者からの人格面での信用は完全なるゼロ)。炎の色は馬鹿のように白けた緑。
- 通称の由来は悪魔ダンタリオン。
-
- ドミノ(アニメ 加藤奈々絵)
- ダンタリオンの燐子。ロボットの姿をしている。正式名称は「我学の結晶エクセレント28-カンターテ・ドミノ」。語尾に「~でありますです。」と妙な敬語を話す。一言多いタイプで、ダンタリオンに余計なツッコミを入れてはその都度(というか何もなくても)抓られる。温厚で常に敬意を払う性格だが、主人であるダンタリオンの研究を否定する者には不機嫌な印象を持つ。しかし、宝具を使用できることから見ても、(実は)かなり高性能な燐子である。首だけになっても活動可能。
- ナンバーが28なのは恐らく鉄人28号のパロディ。アニメ版では機械仕掛けの燐子と位置付けられ『フレイムヘイズはその気配を認識できない(御崎市駅潜伏時)』という特性があった。通し番号の若さを考えれば、ダンタリオンはその天才ぶりにふさわしく、遥か大昔に自律思考型ロボットを製造できた事になる。
- “道司(どうし)”ガープ[Gaap]
- 紅世の王。武装修道士の姿をしている。大仰で騒がしい、嫌味な性格。駆ける速さで並ぶものはないと言われ、連絡役として動く事が多い。ただし精度や機動性には欠ける。
- 戦闘では「四方鬼」という人形(おそらく燐子)で固定した敵を体当たりで突き破る「大突破」という技などを使用する。史上最悪のミステス「天目一個」に討滅、吸収される。炎の色は浅葱色。通称の由来はソロモン72柱の序列33番の悪魔ガープ。
- “獰暴の鞍(どうぼうのくら)”オロバス[Orobas]
- 紅世の徒。大戦時は黒馬の姿をしており、シュドナイが騎乗していた。現在もシュドナイに仕えている。炎の色は橙。通称の由来はソロモン72柱の序列55番の悪魔オロバス。
- “千征令(せんせいれい)”オルゴン[Orgon](アニメ 斧アツシ)
- 紅世の王で、ベルペオルの古くからの直属の部下。「大戦」にも参加している。かなり傲慢で尊大な性格で、馬鹿にされるのを嫌う。円卓の騎士の名を冠す「レギオン」という、自らの存在の力を込めた薄く鋭い紙の軍勢を用いて戦う。また、この「レギオン」に自らの本質の顕現に使う力のほとんどを注ぎ込んでいる為、その姿は帽子、マント、手袋が浮いているだけのものとなっている。一見マティルダの「騎士団(ナイツ)」と似た能力だが、「レギオン」は自在法ではなくあくまで“千征令”の本質の顕現であるため「騎士団」とは原理も由来も関係なく、またオルゴンだけを討滅しても「レギオン」は消えない。一部を倒したり翻弄するのは容易でも、全てを滅ぼすには骨が折れ、敵を疲弊させてその数を持って敵を蹂躙する厄介な王。フレイムヘイズ達の外界宿(アウトロー)を単独で全滅させるほどに強大な力を持ち、「戦争屋」として恐れられている。
- 外界宿を潰す任務の帰り、[仮装舞踏会]からの連絡を受けてウィネと合流。ウィネに天道宮突入の為の囮として利用され、(彼の視点では)天目一個に虚仮にされ、ヴィルヘルミナにレギオンを翻弄され、と散々な目に遭った挙句、メリヒムによって全てのレギオンごと一撃の下に滅された。炎の色は錆びた青銅のように不気味な緑青色。
- “琉眼(りゅうがん)”ウィネ[Vine](アニメ 鈴木達央)
- 比較的若年の紅世の徒。フレイムヘイズの捜索・追討に当たる「捜索猟兵(イェーガー)」の一人。知覚を他人に伝染させて広範囲を探索する能力を持つ。また、他者の視界を任意の方向にねじ曲げるという、使い方次第では強力な武器になる能力もあり、過去に幾人ものフレイムヘイズを自身の手で討ち果たしている。ベルペオルを女神と崇め心酔しており、組織の大方針の一つである「“炎髪灼眼の討ち手”の再契約阻止」を果たそうとするため、自身の能力で天道宮の場所を突き止めて奇襲したが、天目一個などの妨害に遭って失敗し、彼が女神と崇めるベルペオルによって命の残り火を利用され天道宮を崩壊させられた。
- バイクをこよなく愛し、外見はライダースタイル。年季の入った中型バイクに跨り、フルフェイスのヘルメットのシールドには大きな両目が描かれている。この目は気分に応じて表情を作り、力を使うときなどは大きな一つ目となる。なお、ソラトとティリエルの兄妹を仮装舞踏会に紹介したのは彼であるらしい。炎の色は藤色。由来はソロモン72柱、序列45番ウィネ
- “嵐蹄(らんてい)”フェコルー
- 紅世の王。星黎殿の防衛を一手に任せられている。ベルペオルの副官的存在。
- 外見に悪魔のような特徴を持つ、うだつの挙がらない中年男のような風采だが、相当に強大な「王」。粒子の嵐を操る防御の自在法「マグネシア」を使う。炎の色は臙脂。
[編集] とむらいの鐘(トーテン・グロッケ)
古く強大な紅世の王“棺の織手”アシズを中心に組織され、16世紀初頭(先代『炎髪灼眼の討ち手』の時代)に「大戦」の結果消失した当時最大規模の紅世の徒の集団。ヨーロッパのブロッケン山に要塞を築き、拠点としていた。とむらいの鐘(トーテン・グロッケ)の名は、世に新しい理を作る際に、古い理に対してとむらいの鐘を送るという意味を持つ。
16世紀初頭に、盟主が「壮挙」と呼ぶ「両界の嗣子」の形成を実行するための「大戦」を、大戦の5日前には「壮挙」を為すために必要不可欠な宝具である「小夜啼鳥(ナハティガル)」の争奪戦を、その18年前には都市オストローデで戦いを、フレイムヘイズや敵対する紅世の徒との間で起こしている。なお、争奪戦では小夜啼鳥を奪取し、都市オストローデでは秘法「都喰らい」を発動させ、勝利を収めている。
彼らの「壮挙」は、これに対抗すべく多数のフレイムヘイズを生み出す結果となった。この時期に「乱造」されたフレイムヘイズは、「ゾフィーの子供たち」と俗称される。
余談ながらブロッケン山、オストローデともに同名の土地が現ドイツ中部に実在する。「ゾフィーの子供たち」にゲルマン系の姓名が多いのは、同地方の出身者が多いからと思われる(物語のオストローデ市は都市ごと『存在の力』を喰われたので、人間同様「最初から存在しなかった事」となる筈であり、現在のオストローデ市と同一ではない可能性がある)。
- “棺の織手(ひつぎのおりて)”アシズ
- 紅世の王。かつて「鍵の糸」という仕掛けを使い「都喰らい」を行い、都市丸ごとの存在の力を得て自身を強大な存在にした。宝具「小夜啼鳥(ナハティガル)」の力を用い、自身と愛するティスの存在を融合させた「両界の嗣子」を生み出そうとした。
- 元々は最古のフレイムヘイズの一人として活動していた王で、世界のバランスを守るという使命に燃える優れた自在師だったが、契約者であった少女ティスの死に際に彼女への愛情に気づき、彼女の喪失を恐れて周りの人間を喰らい顕現する。その際の代償として、紅世との関わりを完全に断ち切った。“棺の織手”とは本来、彼と契約していたフレイムヘイズの称号であり、彼自身の本当の真名は“冥奥の環(めいおうのかん)”である。
- ティスを蘇らせるためのすべを探してフレイムヘイズと敵対しながら世界を旅するうち、九垓天秤と呼ばれる強大な力を持つ九人の王を従え、中世最大規模の紅世の徒の集団、とむらいの鐘(トーテングロッケ)を組織するまでに至る。
- とむらいの鐘が強大な組織となったのは彼が出会った徒を誰も見捨てなかったからであり、癖の強い九垓天秤全員から慕われているところからもその人格面での優しさを伺える。マティルダとアラストールが愛し合っていた事を知っていたため、瀕死でもはや勝利は無いのに道具の様に世界のバランスを守るために死のうとする二人に同情し、二人の間にも子を作らせ仲間にしようと説得するが、最終的にアラストールの神威召喚「天破壌砕」で彼に討滅される。仮面をつけた蒼い天使の姿をしている。「清なる棺」と言うある意味封絶に似た強力な閉鎖空間を作り出す能力を使える。炎の色は青。
- ティス
- まだ“冥奥の環”と名乗っていたころの「アシズ」のフレイムヘイズ。『棺の織手』の称号を持つ。蒼い髪をした信心深い少女で、おそらく最古のフレイムヘイズの一人。遥か昔、数多の紅世の徒の組織を壊滅させた強力な討ち手だったが、徒と戦い、力を使い果たしたところに人間の裏切りと凶刃を受け、非業の死を遂げる。身に納める王の意思を表す神器は「無名の金環」。閉鎖空間「清なる棺」を使い戦う。
- アシズを深く強く恋い慕っており、彼女が死に際に遺した夢がアシズを「壮挙」への道へと歩ませた。
- “虹の翼(にじのつばさ)”メリヒム[Merihim](アニメ 小西克幸)
- 紅世の王で九垓天秤の一人。役柄はとむらいの鐘が誇る力の象徴「両翼」の右。九垓天秤中でただ一人、人間の姿をしている。一体一体が並のフレイムヘイズに匹敵する力を持つ「騎士団」を問題にせずに一瞬にして切り伏せる剣の腕を持ち、距離による威力減退が無いも同然の破壊の虹を剣閃と共に放つ無双の射程と威力の当代最高の破壊力を誇る自在法、「虹天剣」を使い、その反射・変質を行う宙に浮く透明な「攻撃のための盾」、燐子「空軍(アエリア)」を所持していた。また切り札として七人に分身し相手を囲み、それぞれが放つ七色の光で虹の輪を作り破壊の力を集中させ撃砕する技を持つ。宿敵であり、当代最強を誇ったフレイムヘイズ、マティルダ・サントメールを愛していた。恋敵であるアラストールを嫌っていた。
- 先の大戦の折、先代炎髪灼眼の討ち手、マティルダ・サントメールに敗れたのち、マティルダとの「誓い」を彼女への愛の証明として守る為、自らの顕現の規模を最低限の動くのみに抑えた「白骨」として数多くの炎髪灼眼の討ち手候補や幼少期のシャナ(まだ名はなかったが)を鍛えた。シャナからは「シロ」と呼ばれていた。シャナの契約の後、マティルダとの「誓い」から、イルヤンカと共にマティルダとヴィルヘルミナと死闘を繰り広げた後、数百年間全く回復していない身体の最後の力で紅世の王としてシャナと戦い、身をもって彼女にフレイムヘイズの戦い方を教え、倒される。ヴィルヘルミナは彼に好意を抱いていたが、彼は最後まで真っ直ぐにマティルダを愛し続けたのであった。自己中心的で傲慢な性格で癇癪持ちだが、聡明な所や冷静な所や一途な所もある。あだ名は「虹の剣士」。炎の色は虹色。
- “甲鉄竜(こうてつりゅう)”イルヤンカ
- 紅世の王で九垓天秤の一人。役柄はとむらいの鐘が誇る力の象徴「両翼」の左。体中が鈍色の鱗で覆われた、四足・有翼の巨竜の姿をしている。自らを老人と称する、非常に古株の王。戦闘時は獰猛な面を見せるが普段は温厚で、ともすれば激発しがちなメリヒムらの抑えにまわる、九垓天秤の長老格。チェルノボーグのモレクに対する想いや、ヴィルヘルミナのメリヒムへの好意にも気付いていた。全身から噴出し留まらせる事で強大な防御力を発揮する、当代最硬を誇る自在法、「幕瘴壁」を使う。また、幕瘴壁は先端のみを硬化させることで強大な打撃力をもつ推進弾としても応用できる。
- 先の大戦の折、メリヒムと共に宿敵マティルダとヴィルヘルミナと戦い、ヴィルヘルミナの手によって討滅される。あだ名は「鎧の竜」。炎の色は鈍色。
- “大擁炉(だいようろ)”モレク[Molech]
- 紅世の王で九垓天秤の一人。役柄は宰相で、九垓天秤の実質的なリーダーだが、普段は控えめというより小心で、地位に伴う威厳は皆無である。豪奢な礼服を纏った、直立した牛骨の姿をしている。その力の大きさは異常な程であり、自らを空間ごと山をも覆う巨大な牛型の迷宮へと変質させる自在法「ラビリントス」を使う。
- 同志に対しては穏やかで優しいが、人間はほかの徒同様、「麦の穂」程度にしか思っていない。また、他人の自分への思いを察知するのにも疎く、最後まで周りからの密かな尊敬やチェルノボーグの好意にも気付けなかった。最後は主や仲間のために、自身の確実な死を理解しながらもラビリントスを維持し続け、マティルダの全力爆破により討滅された。あだ名は「牛骨の賢者」。炎の色は黄色。
- 通称の由来は中東の神、ソロモン72柱序列21番のモレク。
- “闇の雫(やみのしずく)”チェルノボーグ
- 紅世の王で九垓天秤の一人。役柄は隠密頭。獣の耳を持つ、黒髪で痩身の女性。右の巨腕を駆使して戦い、相手の影に潜り込む「影浸」という自在法を使う。モレクに好意を寄せ、彼から与えられた仕事をこなすこと、彼を守る事にこの上なく大きな充足感を覚えていたが、表面上は彼を「痩せ牛」と呼んで蔑むそぶりを見せ、いつもきつい態度で当たっていた。
- モレクを失った事から自暴自棄気味な特攻の果てに、先代“炎髪灼眼の討ち手”マティルダ・サントメールの胸を貫き致命傷を負わせるも、ヴィルヘルミナ・カルメルの手で討滅される。あだ名は「黒衣白面の女」。炎の色は枯草色。
- 通称の由来はロシア神話に登場する黒の神。
- “凶界卵(きょうかいらん)”ジャリ
- 紅世の王で九垓天秤の一人。魔物・老人・女の面が張り付いた人間大の卵の姿をしていて、その3つの面から付き合いの長い仲間でさえもなんとなくしか意図が知れない意味不明な声を繋げて喚く。チェルノボーグのモレクに対する想いにも気付いている様で、全く関係ない様な微妙な発言もした。役柄は大斥候。
- 無数の蠅の大群にて広範囲の相手を攻撃・索敵する自在法「五月蝿える風」を駆使する。ある一定以上の防御力を持つ相手には効果がないらしいが、十分に強力で大戦の舞台となった平原の空中で討ち手の大部分の飛行を封じていた。あだ名は「奇妙な卵」。最強の敵マティルダを前に最後まで主に付き従ったが、マティルダにより天破壌砕を行う際の生贄とされた。炎の色は亜麻色。
- “巌凱(がんがい)”ウルリクムミ
- 紅世の紅世の王で九垓天秤の一人。役柄は先手大将。分厚い鉄板もしくは鉄塊を巨大な人型に組んだような姿で頭部は無く、胴体部分に双頭の白い鳥の絵が描かれている。徒の軍勢を率い、フレイムへイズ兵団と戦った。周囲の鉄を集め、自身の濃紺の炎の竜巻に巻き込み、膨大な質量と速度で敵を砕く自在法「ネサの鉄槌」を使う。あだ名は「鉄の巨人」。
- 卓抜した戦術眼と統率力の持ち主であり、公明正大な人格者で、仲間からの信頼も厚い。炎の色は濃紺。先手大将として軍勢を率いて、雷を使う相性の悪いゾフィー率いるフレイムヘイズ軍団と戦い続け、アラストールの顕現により大勢が決した後はより多くの同胞を生かすため、フレイムヘイズを足止めするために残り、ゾフィーに討滅される。
- 通称の由来はヒッタイト神話に登場する巨人。
- “架綻の片(かたんのひら)”アルラウネ
- 紅世の徒。その姿は、美女の顔を中心に抱いた妖花。援護や補助の法を得意とする自在師で、“巌凱”ウルリクムミの副官を務めていた。常に疑問形で話す癖がある。炎の色は薄桃。最後まで先手大将としての使命を果たそうとするウルリクムミに付き添い続け、彼と共に散る。
- 通称の由来は人の形をした植物、アルラウネ。
- “焚塵の関(ふんじんのせき)”ソカル[Sokar]
- 紅世の王で九垓天秤の一人。役柄は“巌凱”ウルリクムミと同じ、先手大将。名うての戦上手と言われたが、「大戦」では、開戦早々に不意を突かれてカール・ベルワルドによって討滅されてしまった。木の葉一つ無い石の大木の姿をしており、洞から喋る。見栄っ張りな性格で、ブロッケン要塞落成の式典の際には、入城の序列を巡って騒ぎを起こしたりもした。話が回りくどい。陰険悪辣の嫌な奴(ウルリクムミの評)である為か、他の面々、特にニヌルタとは反りが合わない。炎の色は黄土。
- 通称の由来はメンフィスの墓地の神。
- “天凍の倶(てんとうのぐ)”ニヌルタ[Ninurta]
- 紅世の王で九垓天秤の一人。役柄は中軍首将。その姿は槍や剣や棍棒など様々な武器が刺さったガラスの壷で戦闘時はこれらの武器に霜が降り始める。「氷の剣」と形容されている。謹厳実直な性格で、公正ならば文句は言わないが、ソカルとはよく激突していた。「大戦」直前の「小夜啼鳥」奪取の際にフレイムヘイズらによって討滅された。炎の色は黝(おおぐろ)。
- “戎君(じゅうくん)”フワワ
- 紅世の王で九垓天秤の一人。役柄は遊軍首将。腹まで口が裂けた巨大な狼の姿をしており、「牙剥く野獣」と形容される。戦いにしか興味のない性格。「大戦」以前の「都喰らい」発動後の戦いでマティルダによって討滅された。炎の色は焦茶。
[編集] その他の登場人物
- 天目一個(てんもくいっこ)(アニメ 菅生隆之)
- 隻眼鬼面の鎧武者。「史上最悪のミステス」と呼ばれる。別名「化け物トーチ」。あらゆる自在法を無効化する大太刀「贄殿遮那」を持つミステスで、強者へとその大太刀を託すことが目的。自ら望んでミステスとなり、その際一人の紅世の王が立ち会っている。シャナがアラストールと契約した直後交戦して敗れ、その目的を達成し、消滅する。自身に最低限の封絶を施しており人間には気づかれず、実際に遭遇しなければフレイムヘイズや徒でも感知できない。強者を求めるが故に人間は一切斬らず、フレイムヘイズと紅世の徒を斬り捨て、その存在の力を喰らって生きていた。
- 名の由来は山神・鍛冶の祖神である、天目一箇神(あめのまひとつのかみ)。
- ヨーハン
- 「約束の二人(エンゲージリンク)」の片割れのミステスで、通称「永遠の恋人」。“彩飄”フィレス同様、大きな力を持つ。フィレスを愛し、永遠に共にありたいと望んで、二人で「零時迷子」を創り、自らミステスとなった。
- “壊刃”に襲われた際、瀕死の重傷を負い、緊急避難の為フィレスによって「零時迷子」に封じ込められる。しかし、サブラクが「零時迷子」に打ち込んだ自在式「大命詩篇」の影響で「零時迷子」から抜け出す事は事実上、不可能となってしまう。
- マージョリーが悠二に打ち込んだ自在式を組み替え、一時的に悠二から変化した事から、現在は同じミステスである悠二と融合した状態だと思われる。
- ドナート
- 中部イタリア、ウルビーノ出身の芸術家。“螺旋の風琴”リャナンシーとは恋仲であったが、彼女の力の源を知り、その様を見て思わず怒りと悲しみをぶつける。
- その後、この事を悔やみ続け、親友たる“髄の楼閣”ガヴィダにリャナンシーに向けての一つの言伝を依頼し、この世を去る。
- ゲオルギウス
- 大法螺吹きの修士の男で、「永遠の恋人」ヨーハンの父に当たる人物。夢と現実に境を持たず、代わりに他人にその境を飛び越えさせる弁舌と狂熱を持つ。
- ある時(時期的には「大戦」の少し後)一人の紅世の徒(“彩飄”フィレス)と出会い、さまざまな法螺と欲望を叶えていた。が、やがて老いる事を恐れた彼がとった行動は、徒が叶えた欲望の内の一つとして連れてきた女との間の子供を生贄に捧げ、使えもしない自在法で自らに活力を取り戻そうとするという狂気が生み出した夢だった。それに激しい怒りを覚えた徒は、その実行の前にゲオルギウスを殺し、赤子ヨーハンを連れて去っていった。