平均律クラヴィーア曲集
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平均律クラヴィーア曲集(へいきんりつ - きょくしゅう、古ドイツ語原題Das wohltemperierte Clavier 、現代ドイツ語 Das Wohltemperierte Klavier)(全2巻、第1巻 BWV846‐BWV869、第2巻 BWV870‐BWV893)は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの鍵盤作品を代表する曲集。
平均律による鍵盤楽器(=クラヴィーア)のための長短24調による48の前奏曲とフーガ。
この「Clavier」(クラヴィーア)とはドイツ語で「鍵盤楽器」という意味で、(現在のドイツ語表記は「Klavier」)一般にはピアノのこと。ただしバッハの時代にはまだピアノは普及しておらず、チェンバロ、クラヴィコード、ときとしてオルガンも含めた「鍵盤楽器全般」のことであるという。
ピアノ演奏を学ぶものにとって最も重要な曲集の一つで、フォン・ビューローは、この曲集とベートーヴェンのピアノソナタを、それぞれ、音楽の旧約聖書と新約聖書と呼び、賛賞した。
ここで一般に「平均律」と訳されている語(独:Wohltemperiert、英:Well-Tempered)は、正確には「程よく調律された」を意味し、半音の周波数比がとなっている現代の平均律(独:gleich schwebende Temperatur)とはやや異なる、ヴェルクマイスター(ハ長調、ト長調など白鍵盤を多用する調ではミーントーンに、嬰ハ長調など、黒鍵盤を多用する調では純五度でピタゴラス音律に近くなる)と呼ばれる調律法であったと推測されている。
バッハ以前にも何人かの作曲家が多くの長短調を駆使した作曲を試みている。中でもヨハン・カスパール・フェルディナント・フィッシャーの「アリアドネ・ムジカ」は、20の調による前奏曲とフーガを含んでおり、バッハがこれを参考にしたとの説もある。
ショパンの「24の前奏曲」や、ショスタコーヴィチの「24の前奏曲とフーガ」は、このバッハの曲集に触発されたものである。
目次 |
[編集] 各曲
[編集] 第1巻(BWV846‐BWV869)
長短24調による前奏曲とフーガからなる曲集。1720年頃成立。単独に作曲された曲集ではなく、その多くは既存の前奏曲やフーガを編曲して集成されたものである。特に前奏曲の約半数は、息子の教育用として作られた「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」に含まれていたもの。様々な様式のフーガが見られ、中でも3重フーガ(嬰ハ短調 BWV849)や拡大・縮小フーガ(変ホ短調 BWV853)は高度な対位法を駆使した傑作とされる。
なお、第1番ハ長調BWV846の前奏曲はグノーのアヴェ・マリアの伴奏に用いられたことで知られている。
平均律クラヴィーア曲集第1巻よりフーガ第2番ハ短調BWV847
- BWV846 前奏曲 - 4声のフーガ ハ長調
- BWV847 前奏曲 - 3声のフーガ ハ短調
- BWV848 前奏曲 - 3声のフーガ 嬰ハ長調
- BWV849 前奏曲 - 5声のフーガ 嬰ハ短調
- BWV850 前奏曲 - 4声のフーガ ニ長調
- BWV851 前奏曲 - 3声のフーガ ニ短調
- BWV852 前奏曲 - 3声のフーガ 変ホ長調
- BWV853 前奏曲 - 3声のフーガ 変ホ短調(嬰ニ短調)
- BWV854 前奏曲 - 3声のフーガ ホ長調
- BWV855 前奏曲 - 2声のフーガ ホ短調
- BWV856 前奏曲 - 3声のフーガ ヘ長調
- BWV857 前奏曲 - 4声のフーガ ヘ短調
- BWV858 前奏曲 - 3声のフーガ 嬰ヘ長調
- BWV859 前奏曲 - 4声のフーガ 嬰ヘ短調
- BWV860 前奏曲 - 3声のフーガ ト長調
- BWV861 前奏曲 - 4声のフーガ ト短調
- BWV862 前奏曲 - 4声のフーガ 変イ長調
- BWV863 前奏曲 - 4声のフーガ 嬰ト短調
- BWV864 前奏曲 - 3声のフーガ イ長調
- BWV865 前奏曲 - 4声のフーガ イ短調
- BWV866 前奏曲 - 3声のフーガ 変ロ長調
- BWV867 前奏曲 - 5声のフーガ 変ロ短調
- BWV868 前奏曲 - 4声のフーガ ロ長調
- BWV869 前奏曲 - 4声のフーガ ロ短調 独特な主題をもったフーガ
[編集] 第2巻(BWV870‐BWV893)
長短24調による前奏曲とフーガからなる曲集の第2巻。1730年代に成立したとされる。第1巻同様に単独に作曲された曲集ではなく、その多くは既存の前奏曲やフーガを編曲して集成された。練習曲としての性格が強かった第1巻に比べ、より音楽性に富んだ作品が多くなっており、前奏曲にはソナタに類似した形式のものも見られる。フーガにおいても対位法の冴えを見せ、二重対位法を駆使した反行フーガ(変ロ短調 BWV891)などは「フーガの技法」に勝るとも劣らない高密度な作品である。
- BWV870 前奏曲 - 3声のフーガ ハ長調
- BWV871 前奏曲 - 4声のフーガ ハ短調
- BWV872 前奏曲 - 3声のフーガ 嬰ハ長調
- BWV873 前奏曲 - 3声のフーガ 嬰ハ短調
- BWV874 前奏曲 - 4声のフーガ ニ長調
- BWV875 前奏曲 - 3声のフーガ ニ短調
- BWV876 前奏曲 - 4声のフーガ 変ホ長調
- BWV877 前奏曲 - 4声のフーガ 嬰ニ短調
- BWV878 前奏曲 - 4声のフーガ ホ長調
- BWV879 前奏曲 - 3声のフーガ ホ短調
- BWV880 前奏曲 - 3声のフーガ ヘ長調
- BWV881 前奏曲 - 3声のフーガ ヘ短調
- BWV882 前奏曲 - 3声のフーガ 嬰ヘ長調
- BWV883 前奏曲 - 3声のフーガ 嬰ヘ短調
- BWV884 前奏曲 - 3声のフーガ ト長調
- BWV885 前奏曲 - 4声のフーガ ト短調
- BWV886 前奏曲 - 4声のフーガ 変イ長調
- BWV887 前奏曲 - 3声のフーガ 嬰ト短調 ショパンのような前奏曲。
- BWV888 前奏曲 - 3声のフーガ イ長調
- BWV889 前奏曲 - 3声のフーガ イ短調
- BWV890 前奏曲 - 3声のフーガ 変ロ長調
- BWV891 前奏曲 - 4声のフーガ 変ロ短調
- BWV892 前奏曲 - 4声のフーガ ロ長調
- BWV893 前奏曲 - 3声のフーガ ロ短調
[編集] 外部リンク
[編集] 関連書
平島達司 『ゼロ・ビートの再発見』「平均律」への疑問と「古典音律」をめぐって ショパン ISBN 4883641783
カテゴリ: J.S.バッハの楽曲 | 器楽曲