差別
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差別(さべつ)
- 仏教世界において、全ての物が一如平等であることに対する、高下、善悪などを持つ特殊相のこと(しゃべつ)。
- ある物と別の物の間の差異のこと。または取り扱いにおいて他と差をつけること。倫理的には善でも悪でも無いか、あるいは明確に良い意味を持つ。漢語由来の言葉であり、現代の北京語では「差異」の意味で用いられる。
- 正当な理由によらず、偏見や先入観に基づいて、あるいは無関係な理由によって、特定の人物や集団に対して不利益・不平等な扱いをすることを指す。
日本でもかつて「差別」は主に上記2の「区別」「差異」と同義で使われていたが、戦後民主主義の普及と共に3の意味でより頻繁に使用されるようになった。3の意味での差別は人間の扱いに不当な差をつけることが良くないとする平等思想が含意されているため、「差別」と言えばイコール悪、不当という認識が一般的になっている。以下、3の意味での用法を詳述する。
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差別の種類
現在、日本国内に存在する差別として以下のようなものが知られている(五十音順)。
- 家柄差別
- 階級差別(家柄差別の一とも 旧華族などの貴族とそれ以外の庶民との間にある)
- 学歴差別
- 思想差別
- 障害者差別
- 関連項目:欠格事由
- 地域的差別
- 全羅道差別、済州島差別など、韓国において顕著。
- 収入による差別
- 勝ち組・負け組(本項スタブ)
- 職業差別
- 人種差別
- 性差別
- 性的指向による差別
- 部落差別
- 容姿差別
- 年齢差別
- アメリカでは年齢差別が厳しく規制されているが、日本では年齢差別にもとづく就職差別が合理的なものと見なされている。
- 民族差別
また日本では比較的稀だが、海外における信仰による差別、身分差別、カーストによる差別などもよく見られる。
逆差別
従来差別を受けていたグループに対して優遇政策がとられることがあるが、これに対して「過剰な優遇となっている」などの批判がなされることがある。
逆差別を参照
差別用語と差別表現
言論や創作活動において、差別を受けているグループを取り上げる際に、その用語や言葉遣いが問題化されることがある。
差別用語を参照
法律による差別の対応
現代においては、多くの国で憲法などにより人権の保障と平等が謳われている。より直接的に、差別をした者を処罰する法令がドイツやアメリカ合衆国などでは整備されつつある。日本でも障害者差別禁止法などの制定を求める声があるが、「かえって差別を固定する結果を招き適切でない」との反対意見もある。これらの規定にもかかわらず、依然として差別は存在しており、いまだ対応が十分とはいえないのが現状である。
日本国憲法では、憲法14条1項において「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と規定している。この規定を受けて、戦前には認められていなかった女性参政権が認められ、また男女雇用機会均等法などの法令が制定されている。2002年3月には人権擁護法案が国会に提出された。男女平等の観点から夫婦別姓や強姦罪や売春防止法の位置づけなどについても現在議論がなされている。
「すべて国民」との記述は日本国民が対象とされるため、日本国民と同様に納税している日本在住外国人いわゆる在日外国人が含まれないのは民族差別だという見方もある。永住権と市民権の格差は他国にもみられるが日本ではそれが顕著に大きい。(憲法の規定(原案は英文)が人民ではなく国民と訳されたのは、この差別を正当化するためだ、との論が一部にある)