姜維
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姜維（きょうい、202年－264年）は、中国の三国時代の人物で、蜀漢の武将。字は伯約。父は姜冏。
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[編集] 出生
天水郡冀県の人。幼少時に父の姜冏が異民族の反乱鎮圧に従軍して戦死したため、母の手で育てられることとなった。郡に出仕して上計掾となった後、州に召されて雍州刺史の従事となった。その後、かつての父の功績が取り上げられたため、姜維は中郎の官を贈られ、天水郡の軍事に参与する事になった。
[編集] 魏将から蜀へ降伏
蜀の諸葛亮が北伐を開始して接近した際、各県の降伏を耳にした天水太守の馬遵は配下の姜維達も諸葛亮と内通しているのではないかと疑った。行き場を失った姜維はやむなく蜀に降伏した。諸葛亮からその才を賞賛され、倉曹掾・奉義将軍・当陽亭侯に封じられている。
一方、姜維の母親は魏に残っていたために捕らえられることとなった。このとき母は、姜維に魏に戻るように手紙を書いたが、姜維は「将来が諸葛孔明のもとで花開こうとしている」というのを理由に、遂に戻らなかったと言われている。
[編集] 蜀軍の中枢へ
その後、諸葛亮の北伐に従軍して功績を挙げ、中監軍、征西将軍と昇進を続ける。234年の諸葛亮の死後は右監軍、輔漢将軍、平襄侯と昇進を続け、諸軍を統率するに到る。更に鎮西将軍、涼州刺史、衛将軍、録尚書事と昇進を続け、徐々に蜀の軍事の中枢を担うようになっていった。
やがて姜維は、諸葛亮の遺志に従って再び北伐の軍を起こそうとする。247年には異民族の反乱を制圧すると隴西に進出して郭淮、夏侯覇らと戦うなど何度か出兵している。姜維は自らの武勇と西方の異民族、羌族との協力体制を恃みにしていたが、当時大将軍だった費禕(禕は示へんに韋)に「我々の力は丞相(蜀における丞相は諸葛亮のみ)に遥かに及ばない。その丞相でさえ中原を定めることが出来なかったのだ。まして我々に至っては問題にならない。今は内政に力を注ぎ外征は人材の育成を待ってからにすべきだ」と兵力を抑えられていた。しかしその費禕も253年魏の降将・郭循に刺殺された為に姜維を抑えるものがいなくなってしまった。
[編集] 北伐の失敗と蜀の衰退
費禕の後を受け大将軍となって北伐を敢行した。254年には魏の狄道県長李簡の寝返りに乗じて三県を制圧し、翌年には王経を洮水で破るが、256年に段谷で魏の名将・鄧艾に敗れると（段谷の戦い）、蜀の国力を大いに疲弊させた。姜維は、諸葛亮の先例に倣って、自らを後将軍・行大将軍事へと降格することで敗戦の責任を取っている。さらにその後も鄧艾の前に敗北を続ける。
しかし姜維は軍事面にばかり力を注いで政治面をおろそかにしたうえ、皇帝の劉禅は宦官の黄皓を重用して酒と女に溺れたため、国政は混乱した。
姜維自身が蜀の高官の中では少数派の涼州出身であったために政府内では孤立しがちであった。黄皓が閻宇と結託し姜維の追放を画策した際には、黄皓とは犬猿の仲である諸葛瞻や樊建までが黄皓の意見に同調したほどであった。姜維もまた黄皓を除くよう劉禅に嘆願したが聞き入られず、身の危険を感じた姜維は以降成都に帰還する事が出来なくなった。
[編集] 蜀の滅亡と姜維の死
263年、魏の司馬昭の命を受けた鄧艾と鍾会が蜀に攻め入ってくると、これに懸命に抵抗した。しかし、鄧艾の成都攻略により劉禅が降伏したため、やむなく鍾会に降伏した。
姜維は策をめぐらせて、自分より功績を立てた鄧艾を妬む鍾会をそそのかして鄧艾を捕らえさせて、鍾会を魏から独立させる。機会を見て鍾会と魏の将兵を殺害し、劉禅を迎え入れて蜀を復興させようという計画であった。しかし鄧艾が冤罪に落とされたことを恨み、また生命の危機を感じた鄧艾の部下が反乱を起こしたために計画は失敗し、鍾会と姜維は共に殺されてしまったのである。享年六十三。その後、姜維の妻子も皆殺しとなった。
姜維を恨んでいた鄧艾の部下が、彼の遺体を切り刻んで胆を取り出したとき、その胆は1升枡ほどもある巨大なものであったと言われている（『蜀書』「姜維伝」の注に引く『世語』より）。
[編集] 評価
三国志を読む人の間でもその評価が揺れていることで有名な人物である。諸葛亮亡き後の蜀の軍事面を支えたという功績を持つ一方、多年に渡り無謀な北伐を敢行し国力の衰退を招いたという見解もある。
いずれにせよ、このような評価の揺れは正史『蜀書』成立当時からで、注をつけた裴松之は姜維に批判的な孫盛の評を引用しながらも、その非難を否定したりと、姜維への評価は定見を得ていない。
ただし、日本においては判官贔屓の精神からか、三国志の登場人物の中でも非常に人気の高い人物の一人となっている。
カテゴリ: 三国志の登場人物 | 魏晋南北朝時代の人物 | 202年生 | 264年没
