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シンプレクティック幾何学 - Wikipedia

シンプレクティック幾何学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

シンプレクティック幾何学( - きかがく)とは、シンプレクティック多様体上で展開される幾何学をいう。 シンプレクティック幾何学は解析力学を起源とするが、現在では大域解析学の一分野でもあり、可積分系・非可換幾何学代数幾何学などとも深いつながりを持つ。また、弦理論超対称性との関わりも盛んに研究がなされている。


目次

[編集] 解析力学とシンプレクティック幾何

シンプレクティック幾何学の歴史は、ハミルトンに始まる。ニュートンから始まる力学は、 オイラーラグランジュによって変分法をもとにした解析力学へと洗練されていった。 すなわち、ニュートンの運動方程式

m\ddot{x_{i}} = F_{i}

からオイラー・ラグランジュ方程式

\frac{d}{dt}\left( \frac{\partial L}{\partial \dot{q_{i}}} \right) - \frac{\partial L}{\partial q_{i}} = 0

への移行である。

オイラー・ラグランジュ方程式は、数学的には位置座標を変数とする配位空間の接バンドル上の方程式である。 それに対して、ハミルトンによる力学の定式化、すなわち、ハミルトン形式は、運動方程式を配位空間の余接バンドル上の方程式

\dot{q_{i}} = \frac{\partial H}{\partial p_{i}}, \,\,\,\,\, \dot{p_{i}} = -\frac{\partial H}{\partial q_{i}}

と見ることであった。この余接バンドルは位置座標と運動量を変数とする空間である。 余接バンドルを物理学では、相空間と呼ぶこともある。 速度は位置座標を微分して得られるものであるから、位置座標と速度を用いるラグランジュ方程式は 二階の常微分方程式となっている。 それに対して、ハミルトン形式では運動量自体を変数として用いるため、 方程式は一階の常微分方程式となっている。 ここで、速度と運動量は区別されなくてはならないことに注意する。 なぜなら、一般化座標を取り替えたときに、一般化速度と一般化運動量の変換則は それぞれ異なるからである。 一般化速度の変換則は接ベクトルの変換則と同じであり、 一般化運動量の変換則は余接ベクトルの変換則と同じである。

さて、ハミルトンの変分原理によれば、運動は作用積分の停留点、すなわち

\delta \int \left(\sum_{i}p_idq_i - Hdt \right) = 0

を満たす相空間上の曲線として与えられ、それは上のハミルトンの正準方程式を満たすというものであった。 しかし、シンプレクティック形式を用いれば変分原理を通ることなく、方程式を書き下すことが出来る。

\omega_{0} = \sum_{i}dp_i\wedge dq_i

をシンプレクティック形式 (正準2形式) とするとハミルトンの正準方程式は

\frac{d \gamma}{dt} = X_{H},\,\,\, \gamma(t)=(q_1(t),\cdots q_n(t),p_1(t),\cdots,p_n(t))

と表される。ここで XH はハミルトニアンHから定まるハミルトンベクトル場である。

解析力学の相空間上のシンプレクティック形式 ω0 による定式化は、 さらに一般のシンプレクティック多様体上へと拡張される。 (ω) をシンプレクティック多様体とし、HM 上の滑らかな関数とする。 このとき、ハミルトンの正準方程式がやはり上と同じ形式で、

\frac{d\gamma}{dt} = X_H

と定義される。 ただし、シンプレクティック多様体まで拡張してしまうと、 ハミルトン形式に対応するラグランジュ形式は一般には見つけられない。

[編集] 対称性と可積分系

運動方程式は、ラグランジュ形式においては一般化座標と一般化速度とを用いて、 2階の常微分方程式系(オイラー・ラグランジュ方程式)として記述された。 それに対して、ハミルトン形式においては、一般化座標と一般化運動量とを用い、 1階の常微分方程式系(ハミルトンの正準方程式)により運動が記述された。 しかし、ハミルトン形式においてもっとも特徴的なことは、方程式が対称的であり、かつ、 一般化座標と一般化運動量の二つが独立に扱われることである。 この事実は、系の対称性や可積分性を調べるにはハミルトン系のほうが都合がよいことを意味する。 なぜなら、ラグランジュ形式は配位空間上の対称性しか扱わないのに対して、 ハミルトン形式は相空間(=配位空間の余接バンドル)上の対称性をも扱うからである。 つまり、ハミルトン形式の方がより多くの変換が許容される。

運動方程式を求積するには第一積分(保存量)が必要である。 (ハミルトニアンとは独立な)第一積分の数だけ方程式の自由度を落とすことができるからである。 第一積分を使って、方程式の自由度を削減する方法を一般に簡約化という。

第一積分を見つけることは系における対称性を見つけることに等しい。 系が対称性をもてば、その対称性に対応する保存量を見つけられるからである。 例えば、並進対称性があれば運動量が保存し、回転対称性をもてば角運動量が保存する。 このように、系の対称性と第一積分の存在との関係を一般的な状況下で研究したのは、 ネーターが最初であるとされる。 彼女は現在ネーターの定理と呼ばれる次の定理を示した

定理(ラグランジュ形式)

t} を配位空間 N 上の1パラメータ変換群とし、L を系のラグランジアンであるとする。 もし {φt} の状態空間 TN への持ち上げに対してラグランジアン L が不変ならば、系は

G(q, \dot{q}) = \sum_{i} \xi_{i}(q,\dot{q})\frac{\partial L}{\partial \dot{q}_{i}}

という第一積分をもつ。ここで

\xi = \sum_{i} \xi_{i} {\partial \over \partial q_{i}}

は 1パラメータ変換群 {φt} のの無限小変換である。

ネーターの定理はハミルトン形式に対しても同様に成り立つ

定理(ハミルトン形式)

T*N を正準2形式を持つシンプレクティック多様体とし、{φt} を T*N 上の 完全シンプレクティック変換の 1パラメータ族とする。 もし、ハミルトニアン H が {φt} の作用で不変ならば、{φt} の無限小変換は T*N 上のある関数 Gハミルトンベクトル場であり、関数 G はハミルトン系の第一積分である。

関数 G がハミルトン系の第一積分であることと、G がハミルトニアン Hポアソン可換、つまり {H,G} = 0 あることとは同値である。

逆に、ハミルトニアン H とポアソン可換な関数 G が存在して、GH と関数的に独立であるとすると、G が定めるハミルトンベクトル場のフローは、ハミルトニアン H を不変にする。つまり、第一積分(保存量)からハミルトン系の対称性が得られたことになる。この意味で、系の対称性と第一積分の存在は等価である。しかし、ある保存量に対する対称性が目に見える形で現れるとは限らない。自明ではない対称性を隠れた対称性という。

さて、ハミルトン系が十分多くの第一積分を持てば、それらにより方程式は求積できる。 n を系の自由度とする。ハミルトン系が完全可積分であるとは、H = G1 とポアソン可換な関数 G2Gn が存在して、それら n 個の関数が関数的に独立であることをいう。 完全可積分であることを、単に可積分であるともいう。

代表的な可積分系には次のようなものが挙げられる。

また、可積分系における重要な結果として、アーノルド・ヨストの定理(リュービル・アーノルドの定理)やKAM理論が挙げられる。 ここで、KAM理論のKAMとは、Kolomogorov-Arnold-Moser (コロモゴロフ・アーノルド・モーザー)の頭文字である。

[編集] 量子力学との関わり

20世紀初頭になると、シンプレクティック幾何学は更なる転機を迎える。量子力学の誕生である。 ハイゼンベルクシュレディンガーらによって、 量子力学は始まるが、そこにおいてもシンプレクティック幾何は重要であった。 ハイゼンベルクの行列力学はポアソン括弧から出発し、 シュレディンガーの波動力学はハミルトン・ヤコビ方程式から出発するからである。 その後、量子化の方法はいくつも提案されている。 いくつか挙げるとすれば、

である。

n次元ユークリッド空間\mathbb{R}^nにおいては、 十分に正当性の高い量子化の方法が得られている。 それは、上に挙げた正準量子化である。 \mathbb{R}^n上の絶対二乗可積分な関数全体のなすヒルベルト空間

L^2(\mathbb{R}^n) =  \left\{ f : \mathbb{R}^n \to \mathbb{C}    \,\left|\,      \int_{\mathbb{R}^n} |f(x)|^2 d^n x < \infty    \right. \right\}

を考え、位置\, x_j, j=1,\cdots,n \,と運動量\, p_j, j=1,\cdots,n \,に対応する 物理量をそのヒルベルト空間L^2(\mathbb{R}^n)上の自己共役作用素

(\hat{x}_j f)(x) = x_j f(x), \,\,\,\, j=1,\cdots,n,

(\hat{p}_j f)(x) = -i\hbar\frac{\partial f}{\partial x_j}(x), \,\,\,\, j=1,\cdots,n,

と置き換える。 ここで、\, \hbar \,プランク定数である。 これらの作用素に対して、正準交換関係(ハイゼンベルクの交換関係、 ボルン・ハイゼンベルク・ヨルダンの交換関係ともいう)

[\hat{x}_j, \hat{x}_k] = [\hat{p}_j, \hat{p}_k] = 0, \,\,  [\hat{x}_j,\hat{p}_k] = i\hbar\delta_{jk}

が成り立つ。 一般にヒルベルト空間\mathcal{H}とその上の正準交換関係を満たす 自己共役作用素の組( \mathcal{H}, \hat{x}_1, \cdots, \hat{x}_n, \hat{p}_1, \cdots, \hat{p}_n )自由度nの正準交換関係表現という。 正準量子化とは、ヒルベルト空間L^2(\mathbb{R}^n)上の正準交換関係表現を 定義することに他ならない。 このような正準量子化の定義をはっきりと打ち出したのは、フォン・ノイマンである。 フォン・ノイマンはさらに、ヴァイルの関係式を満たす正準交換関係表現がユニタリー同値なものを除いて 一意に定まることを示した。 これはハイゼンベルクによる行列力学とシュレディンガーによる波動力学の同値性を説明する。

しかし、正準量子化はユークリッド空間ではうまくいくが、一般の多様体上では簡単にそれを行うことはできない。 なぜなら、多様体において座標は局所的なものであり、それを大域的に用いることはできないからである。 また、正準量子化の方法をシンプレクティック多様体の上に一般化することも困難である。 なぜなら、ユークリッド空間上での正準量子化は T^{*}\mathbb{R}^n \cong \mathbb{R}^{n}\times\mathbb{R}^{n}上の量子化であると考えられ、 位置と運動量の区別が自然と付く。 しかし、一般のシンプレクティック多様体の場合(例えばコンパクト多様体を考えよ) 、位置と運動量の区別は付かない。 そのため、運動量を微分演算子で置き換えるという、正準量子化の方法が幾何学的にどのような意味を持つかは この時点でははっきりしないのである。 この疑問に対して、ディラックは幾何学的量子化の問題を提起した。

(M,ω)をシンプレクティック多様体とし、{・, ・}をシンプレクティック形式から定まる ポアソン構造とする。 ディラックの提起した幾何学的量子化の問題とは次のように述べられる。

幾何学的量子化: シンプレクティック多様体(M, ω)からあるヒルベルト空間\mathfrak{H}を作り、 M上の滑らかな関数のなす関数C^{\infty}(M)から \mathfrak{H}上の線型作用素への対応Qで次の性質を満たすものを構成せよ:

[ Q(f), Q(g) ] = i\hbar Q(\{f,g\}), \,\,\,\, f, g \in C^{\infty}(M),

ここで、[X, Y] = XY - YX である。

幾何学的量子化がT^* \mathbb{R}^nの場合にうまくいくことはすでに見た。 問題は一般のシンプレクティック多様体に対して、上のような量子化ができるかである。

[編集] 幾何学的量子化と非可換幾何学

幾何学的量子化の問題は多様体上の量子力学の構成という問題から始まったのであるが、 空間の量子化を考える非可換幾何学とも深い関わりを持つ。 非可換幾何の原点は次の事実であった:

定理: M,Nを滑らかな多様体であるとする。 MとNが微分同相であるための必要十分条件は、それらの上の可換な関数環C^\infty(M)C^\infty(N)が同型であることである。

この定理は、「多様体とはその上の可換な関数環のみで決まる。」と言い換えることができるであろう。 だとするならば、多様体Mの上に非可換な関数環(C^\infty(M), * )を構成でれば、 それは非可換な多様体を構成したことと同じになるのではないか。 これが非可換幾何学の精神である。 非可換な関数環の構成の一つが、変形量子化である。 (M,ω)をシンプレクティック多様体とし、{・, ・}でそのポアソン構造を表わす。 ポアソン構造{・, ・}によって、C^\infty(M)はポアソン環になる。 そのポアソン環C^\infty(M)の形式的べき級数環を

\mathcal{A}[[\nu]] =  \left\{ \left. \sum_{n=0}^{\infty} f_n \nu^n \,\right|\, f_n \in C^\infty(M) \right\}

と書くことにする。 νは形式的なパラメータである。 変形量子化とは、形式的べき級数環\mathcal{A}[[\nu]]に以下の性質を 満たす積*を導入することである。

  • \nu * f = f * \nu, \,\,\,\, f \in \mathcal{A}[[\nu]].
  • f * g = fg + \nu \{ f,g \} + O(\nu^2), \,\,\,\, f, g \in \mathcal{A}[[\nu]].

このような非可換な関数環を構成できれば、それに対応する「非可換な多様体」が構成できたことになるであろう。

幾何学的量子化は非可換幾何学を関係があるといったが、それは次のような意味においてである。 (M,ω)をシンプレクティック多様体とし、\, (\mathfrak{H},Q) \,をその幾何学的量子化とする。 いま、C^{\infty}(M)上に積*を

Q(f*g) := Q(f) \circ Q(g), \,\,\,\,\, f,g \in C^{\infty}(M)

で定める。 (この段階では f*g の存在は保証されていないが、ここでは気にせず議論を進めることにする。) するとこの積*はC^{\infty}(M)に非可換な積を定めているはずであり、 これにより多様体Mの「非可換化」がなされるであろう。 つまり、幾何学的量子化は空間の量子化を行っている、とも思える。

[編集] シンプレクティックトポロジーへ

シンプレクティック幾何の歴史は物理とともに始まり進展していったが、 そしてシンプレクティック幾何は大域的幾何としての発展を期待されていた。 例えば、ダルブーの定理によれば、 局所的にはシンプレクティック空間 (\mathbb{R}^{2n}, \omega_{0}=\sum_{i}dp_{i}\wedge dq_{i})で話がすべて尽きてしまう。 したがって、シンプレクティック幾何が扱いべきは大域的な対象であると長く言われてきた。 しかし、物理と密着な関わりを持ちすぎたが故に、 シンプレクティック幾何学は20世紀前半から始まる大域的解析学とは一線を画している面がある。 しかし、特にグロモフ以降のシンプレクティック幾何学は、 大域解析学の大きな柱へと成長を遂げることになる。 グロモフは論文[1]のなかで概正則曲線の概念を定義し、その論文がエポックメイキングとなり それ以降シンプレクティック幾何学は大域的トポロジーの一分野(シンプレクティックトポロジー)に躍り出ることとなる。 これを深谷賢治氏は、『普通の大域シンプレクティック幾何学』[2]になった、と述べている。

グロモフは次の定理を示した。

定理 (non-squeezing) : r, R >0とする。 また、B^{2n}(r) = \{ (q,p) \in \mathbb{R}^{2n} \,|\, \sum_{i}(q_i^2+p_i^2) \leq r \}Z^{2n}(R) = \{ (q,p) \in \mathbb{R}^{2n} \,|\, p_1^2+p_1^2 \leq R \}とし、それぞれに \, \mathbb{R}^{2n} \,の標準的なシンプレクティック構造 \omega_0 = \sum_{i=1}^{n} dp_i \wedge dq_i  から誘導されるシンプレクティック構造をいれる。 もし、\, (B^{2n}(r),\omega_0) \,から\, (Z^{2n}(R),\omega_0) \,への シンプレクティック埋め込みが存在するならば、r ≦ Rである。

この定理はn=1のときは自明である。 n=1のとき、\, Z^{2}(R) \,は2次元円盤\, B^{2}(R) \,であり、 シンプレクティック埋め込みは面積を保つから、 \, B^{2}(r) \,\, Z^{2}(R) = B^{2}(R) \,に埋め込めるためには、 \, B^{2}(r) \,の面積が\, Z^{2}(R)=B^{2}(R) \,の面積よりも小さくないといけない。 つまり、r ≦ Rでなくてはならない。 この説明を見れば分かるように、n=1のとき (空間の次元は2次元) は シンプレクティック埋め込みが面積を保つということがポイントであり、 シンプレクティック構造を保つということは直接は使われない。 しかし、nが2以上のときは状況が違う。 このとき、\, B^{2}(r) \,から\, Z^{2}(R) \,への体積を保つ埋め込みは、 r、Rの大小関係に関わらずいくらでも存在する。 それにもかかわらず、シンプレクティック構造を保つという条件を加えるだけで、その埋め込みが 存在するかはr、Rの大小関係に依る。 この意味で、グロモフが示したこの非圧縮定理 (non-squeezing theorem) は非自明である。 グロモフによるこの定理の証明には、概正則曲線が用いられている。 ここで、概正則曲線の定義を述べる。 ∑をリーマン面、(M,ω)をシンプレクティック多様体とし、 それぞれの概複素構造を i および J としよう。 このとき、滑らか写像\, u : \Sigma \to M \,が 概正則曲線(概正則写像、J-正則曲線)であるとは、 \, J \circ du = du \circ i \,を満足することをいう。

エケランド(Ekeland)とホファー(Hofer)はシンプレクティック容量 (symplectic capacity) の概念を提唱した。 2n次元シンプレクティック多様体に対するシンプレクティック容量とは、 2n次元シンプレクティック多様体(M,ω)に対して正数を割り当てる関数cで次の性質を満たすものである。 (M,ω)、(M’,ω’)をシンプレクティック多様体とする。

  • もしシンプレクティック埋め込み\, \phi : (M,\omega) \to (M',\omega') \,が存在するれば、\, c(M,\omega) \leq c(M',\omega') \,
  • \, c(M,\lambda\omega) = |\lambda| c(M,\omega), \,\,\, \lambda\in\mathbb{R}\setminus\{0\} \,
  • \, 0 < c(B^{2n}(1),\omega_0) = c(Z(1),\omega_0) < \infty \,

特にn=1のとき、

\, c(M,\omega) = \left| \int_{M} \omega \right| \,

とすれば、これは2次元シンプレクティック多様体に対するシンプレクティック容量であることが確かめられる。 しかし、nが2以上のとき、c(M,\omega) = \left| \int_{M} \frac{(-1)^n}{n!}\omega^n \right|^{1/n}としても、 これはシンプレクティック容量にはならない。

[編集] アーノルド予想とフレアーホモロジー

1970年代、アーノルドは次の予想を提出した[3]。

Conjecture (Arnold) : (M,ω)を閉シンプレクティック多様体であるとし、 M上の任意の関数Hのハミルトンベクトル場XHと表わす。このとき、

\# \{ x : S^1 \to M \,|\, \dot{x} = X_H \} \geq \min \{ \#Cr(F) \,|\, F \in C^{\infty}(M) \}

である。ここで、Cr(F)はFの臨界点集合を表わす。もし、すべての周期解が非退化であるのならば、

\,  \# \{ x : S^1 \to M \,|\, \dot{x}=X_H \} \geq \sum_{k} b_{k}(M)  \,

である。ここで、bk(M)はk次のベッチ数である。


この予想はハミルトン系の周期解に関する予想であるが、シンプレクティック多様体上の 不動点定理としても捉えることができる。 すなわち、\{ \phi_t \}_{t \in\mathbb{R}}をハミルトン系\dot{x}=X_Hのフローとし、\gamma : S^1 \to Mをハミルトン系の周期解としよう。 簡単のため、γの周期は1であるとする。 すると、γ(0)∈Mはφ1(γ(0)) = γ(0)をみたす。 つまり、γ(0)はシンプレクティック同相写像 (正確には完全シンプレクティック写像もしくはハミルトンシンプレクティック写像)の不動点であるということができる。 この観点からみれば、アーノルド予想とは


Conjecture(Arnold) (M,ω)を閉シンプレクティック多様体とし、\, \phi \,を完全シンプレクティック写像とする。このとき、

\,  \# \{ p\in M \,|\, \phi(p)=p \} \geq \min \{ \#Cr(F) \,|\, F \in C^{\infty}(M) \} \,

である。 


フレアーは、シンプレクティック多様体が 単調 (monotone) であるときにアーノルド予想を解決した[4]。 ここで、シンプレクティック多様体(M,ω)が単調であるとは、 正数τ > 0が存在して、 \, c_{1}(M)|_{\pi_{2}(M)} = \tau[\omega]|_{\pi_{2}(M)} \,が成り立つことをいう。 ここで、\, c_{1}(M) \,は第一チャーン類、[ω]はシンプレクティック形式が定める 2次のコホモロジー類である。 フレアーは現在フレアーホモロジーと呼ばれるホモロジーを構成した。 しかし、フレアーホモロジーの概念はハミルトン系の周期解に対するものだけでなく、 低次元多様体上のSU(2)ゲージ理論や シンプレクティック多様体のラグランジュ部分多様体の交叉理論にも応用される。 しかし、これらに共通しているのは、無限次元多様体上でのモース理論の適用である。


シンプレクティック多様体Mの上の閉曲線全体を\mathcal{L}Mと書き、 M上のループ空間(道の空間)という。 さらにそのうちで、1点に連続変形可能(可縮という)なものの全体をX = \mathcal{L}_{0}Mとする。 M上の滑らかな関数Hに対して、X上の汎関数が次のように定まる:

\,  \mathcal{A}_H(\gamma) =   \int_{D^2} u^{*}\omega - \int_{\gamma}Hdt,  \,\,\,\, \gamma \in X. \,

ここで、D2は2次元円盤であり、 u : D^2 \to M\gamma : S^1 \to Mの拡張である。 uは唯一つには定まらず、 \mathcal{A}_{H}X=\mathcal{L}_{0}M上の多価な汎関数となる。


汎関数\mathcal{A}_Hに対する変分原理から、

\gamma \in X\dot{x}=X_Hの周期解 \, \Longleftrightarrow \, (d\mathcal{A}_H)_{\gamma} = 0

となる。 ここで、d\mathcal{A}_{H}は形式的な汎関数\mathcal{A}_{H}の 外微分を表わす。 このような観察から、アーノルド予想は

\# Cr(\mathcal{A}_H) \geq \sum_{k=0}^{\dim M}b_k(M)        …………(*)

と読みかえられる。 Xは無限次元の「多様体」であるが、それをいったん忘れて有限次元の場合を考える。 Nを有限次元閉多様体とし、f:N \to\mathbb{R}をその上のモース関数とすると、 モースの不等式より次が成り立つ:

\# Cr(f) \geq \sum_{k=0}^{\dim N}b_k(N).

この不等式を、N=X,\, f=\mathcal{A}_Hのときに適用しようというのが フレアーホモロジーを用いた証明である。 しかし、(*)で注意すべき点がある。 それは、(*)の右辺はX=\mathcal{L}_0Mのトポロジーによるのではなく、 Mのトポロジーに依存するということである。

[編集] シンプレクティック幾何学に関わる数学者

[編集] 参考文献

  • [1] M. Gromov, "Pseudo holomorphic curves in symplectic manifolds", Invent. Math., 82 (1985), 307-347.
  • [2] 深谷賢治, 「シンプレクティック幾何学」, 岩波書店 , 1999.
  • [3] V. I. Arnold, C. R. Acad. Sci. Paris, 261 (1965), 3719-3722.
  • [4] A. Floer, Comm. Math. Phys., 120 (1989), 576-611.
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