日野・セレガ
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セレガ(S'elega)とは、日野自動車が販売している大型観光バス。
1990年にブルーリボンRU19/60/63観光を全面的に改良して発売を開始、2000年にセレガRとしてマイナーチェンジを行った。
さらに、2005年8月22日にはいすゞ自動車との統合モデルとして車名も新たに“セレガ”にフルモデルチェンジした。これに伴い、いすゞ・ガーラもセレガと基本的に同一のモデルとなった。
なお、ここでは現在のセレガシリーズの前身であるブルーリボンRU6系観光バス、日本初のスケルトンボディ観光バス・RS系、日野初の本格的な観光バスシリーズRV系、高速バス専用モデルRA100系・RA900系についても紹介する。
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[編集] 1963年~1990年までの日野の純観光バス
[編集] RA系
[編集] RA100-P
1963年、高速輸送時代の到来に合わせて発売。名神高速道路の開通に伴って、国鉄バスは名神ハイウェイバスを運行することになり、日野は1960年に試作されたRX10Pを発展させたRA100Pを開発した。エンジンは路線車RB10の水平型6気筒DS80を2台抱き合わせた水平対向12気筒16リッターのDS120型・320psで当時の国内最高出力を誇った。全長12mのRA100-Pと11m級のRA120-Pが生産された。ボディは帝国自動車工業が国鉄向けを製造したほか、近畿日本鉄道(現近鉄バス)や日本高速自動車(現名阪近鉄バス)には金沢産業製が納入された。他に富士重工業製もある。
[編集] RA900-P
1969年、東名ハイウェイバスの運行開始に際して国鉄はバスストップから本線への合流時に3速・80km/hの加速性能を求め、RA900-Pにモデルチェンジした。エンジンはRBの後継である路線車RE用をベースにした、水平対向12気筒17リッターのDS140型・350psに出力アップした。ボディは帝国車体工業が担当し、車体デザインを一新した。ラジエーターが前面に取り付けられたスタイルが特徴である。当時、V12型エンジンを採用した三菱ふそう車(B906R型)に比べ、客室のデッドスペースが小さく、夜行便のドリーム号用にも採用された。しかし、高価で燃費も悪いことなどから、RA900-Pは国鉄専用形式として1976年まで製造された。
当時の高出力観光車としては、路線系と共通シャーシのRCで事足りた。RCはターボ付も用意され、RAを採用した事業者でも一般の観光用にはこちらが主力であった。結果、RAは時期尚早であったことは否めないが、V8エンジン搭載の量産型観光バスRV100-Pにこうした経験が反映されたことも事実である。
引退後、RA900-Pのうち1台がつくば市の交通公園に保存されている。また、DS140型エンジンは東京・神田の交通博物館と日野自動車本社で保存している。
[編集] RV
[編集] RV100-P
1967年、日野初の直噴式V8エンジン・EA100型(280ps)を搭載したRV100-Pが発売された。三菱ふそうのB900系に対抗したもので、リヤアンダーエンジンのRC300系には高出力のターボ仕様(RC300PT系)もあったが、無過給のほうが扱いやすく、なおかつ高出力車を求めるニーズに対応したものである。ホイールベースはRC320と同じ5.67m(11.2m級)1種類のみ。純然たる高速車で12m級ボディのRA系に比べるとエンジン出力は中庸で、車体もRC300系と同じだったため、日野としては準高速車の位置付けであった。
水平シリンダーエンジンのRCやRAが室内を広く使えるメリットがあったのに対し、V型縦置きエンジンのRV100は最後部にひときわ高いヒナ壇があり、居住性の面でも有利とは言いがたかった。後面には大型のラジエーターグリルが設けられ、2本の排気管が特徴的でもあった。
[編集] RV500P/700P
1972年、パワーアップしたEF300型(290ps)搭載のRV700系と、EG100型(305ps)搭載のRV500系にモデルチェンジした。また、1973年にはターボ搭載で350psにパワーアップしたRV700PT系もラインナップに加えられている。ホイールベースは5.67m(RV730/530P)に加えて6.5m(RV750/550P)が登場し、12mフルサイズにも対応するようになった。
車体についてもより観光車らしくマイナーチェンジされ、セミデッカーやフルデッカー(=ハイデッカー)といったボディバリエーションも増やされてゆく。前頭部を低くし、2列目もしくは3列目から屋根を高くしたタイプは当時の主流となり、段上げの先頭部にはテレビを設けたものもある(段安上げ前頭部の屋根が少し盛り上がった「ジャンボタイプ」も一部の会社に導入された)。また、エンジンルームのコンパクト化により、最高部のヒナ壇も小さくなり、室内有効長も長くなった。これによって、日野の観光バスシリーズは、RCからRVへの移行が決定的となってゆく。
1977年に後述するスケルトン車RSが登場するが、価格の高いRSが高級観光バスとして導入されたのに対し、一般観光型としては引き続きRVが継続生産される。事業者の中には保守的なところもあり、RSよりもRVを好む傾向も見られた。
1978年には、RS同様出力アップを図った新シリーズに移行した。搭載エンジンは、RV700系にEF350型(295ps)、EF500系にEF500型(315ps)を設定し、ホイールベースは5.7m(11m級、RV731/531P)、6.13m(11.5m級、RV741/541P)、6.6m(12m級、RV761/561P)の3種類に拡大された。トランスミッションはワイドレシオのOD付5速と、高速走行の多いユーザー向けにOD付6速が選べた。ただし6速の方はRC320P-Tと共通であったため、シフトパターンが他メーカーと逆になっており、シフトミスが多かった模様。ボディは日野車体工業製のほか、事業者によっては西日本車体工業(西工)や富士重工業(富士)を採用した例もあった。このモデルではボディは日野・富士・西工のいずれも観光用タイプばかりでなく、路線用タイプを架装することも可能であった。路線・貸切兼用及び中距離都市間路線用として、この路線車用ボディを架装した車両が製造された。
1979年の昭和54年排出ガス規制以降は、型式の前にK-が付き、RV700系は型式末尾の数字が1から2(RV732/742/762P)に変更された。リヤのエンジンルーバーがなくなるなど外観に小変化を施し、6速ミッションが他メーカーと共通化された他、メータークラスタもRV731/531系の途中で変更。タコメーターもオプションで選べるようになった。
しかし、1982年にRSシリーズとの統合が決定し、RVシリーズは15年の歴史に幕を下ろした。
[編集] RS
1977年、国内初のスケルトンボディを採用したRSを発売した。従来のモノコック構造では窓の大型化や軽量化などに限界といったデメリットを克服し、またバリエーションの増大が進んでいたデザイン面でも差別化がなされ、当時のバス業界に大きな影響を与えた。なお、発売された1977年には大阪の観光バス会社・中央交通がドイツのネオプランを輸入し、輸入バス共々スケルトンバスの時代が到来することになる。
車体構造には角型チューブによる骨格構造が取り入れられ、窓の大型化やリベットの廃止による滑らかな外板、両スイング式の乗降扉など従来の国内観光バスのイメージを大きく変えた。日野はこのために、欧州では既に一般的であったスケルトンバス(メルセデス・ベンツ製O303)を1970年に輸入し、研究・開発を行った。
最初に登場したのは、11m級・ホイールベース5.6mのRS120P型で、エンジンはRV700シリーズのエンジンを改良したV8無過給のEF300型(290ps)を搭載、ワイドサスペンションの採用など、従来のバスよりも乗り心地や性能面での向上も図られた。第1号車は高知県交通に納入され、メーカー塗装のまま活躍した。
1978年には、RS120P型を改良した新シリーズが発売、RSシリーズも本格化する。12m・ホイールベース6.6mのフルデッカーで、高出力エンジンを搭載したRS360P型が登場した。エンジンはRV500シリーズと共通のV8無過給のEF500型(315ps)を搭載した。第1号車は奈良交通にサロンバスとして納入され、日野のデザイナーが提案したカラーデザインが導入の際に同社の貸切車のカラーとして採用され、現在に至るまで採用されている。
1979年には、RS100シリーズとRS300シリーズをそれぞれホイールベース2種に拡充した。低出力のRS100シリーズは、RS120P型をRS121P型に変更、12m級のRS161P型が新規に追加された。一方、RS300シリーズはRS360P型の11m級タイプとしてRS320P型が追加された。昭和54年排出ガス規制適合により、規制記号K-が追加される(例:K-RS360P)。1981年には中間サイズのK-RS141P型も追加されている。車体もより角張ったデザインになっている。なお、前頭部の窓をモノコック車にあったような、上部で斜めカットにしたフルデッカーII型もラインナップされたが、導入例は少ない。
多くの観光バス事業者に注目されたが、車格の高さもありRSは各社ともサロンカーや固定窓を採用した高級観光バス用として導入されることが多かった。このため、一般観光タイプとしては引き続きモノコックのRVが生産された。また、子会社に西日本車体工業(西工)を持つ西日本鉄道は、西工の車体をスケルトン化するための参考に導入した。また、当時は日野車を入れていなかった阪急バスでも導入実績がある。それほどRSシリーズが与えた印象が強かったのである。
他のメーカーもRSの登場に刺激され、モノコック構造ながらリベットレス化を図るなど、改良を進めた。そして、1982年には三菱ふそうがエアロバスを発売し、リベットレス、スケルトンへの流れが決定的になっていった。日野も同年、RVをRSと統合し、ブルーリボンRUに移行する。
RSはスタイルの良さも手伝って全国的に導入されていったが、一部のバス事業者にはRSに興味を示さず、併売されたRVを増備するケースもあった。南九州では鹿児島交通と林田産業交通(現林田バス)が共同出資で設立した鹿児島空港リムジンを中心にK-RS340Pを積極的に導入していたが、隣県の宮崎交通は引き続きRV731P/K-RV732Pを導入していたし、青森県の弘南バスなどでもフルデッカーのRVが継続して導入されていた。ブルーリボンRUではRSで課題とされたパワー不足や、軽量化のために採用されたスケルトンボディなのに逆に重量増を招いたことの反省から、大幅に商品力を高めた。RSは2000年代に入って経年による廃車が相次ぎ、現存する車両はかなり少ないと見られる。
- スケルトンボディは従来のモノコックボディと異なり、強度を外板ではなく骨格で保つ方式で、トランクや窓などの開口部を大きくする事が可能。しかし、ボディ剛性は多少劣る欠点があり、経年劣化で軋みが目立つ車両もある。特に汎用貸切車や中長距離都市間路線および空港リムジンに使用されたものはその傾向が顕著なようである。
[編集] ブルーリボンRU60・RU63・RY63系観光
[編集] 前期型(K-およびP-RU60/63A系)
1982年、それまでのRV系とRS系を統合し、スケルトンボディのRU6系観光バスが登場する。このRU6系観光バスと同時にスケルトンボディとなった路線バスの名称にブルーリボンが与えられ、日野のバスにブルーリボンの名称が復活する。このRU6系観光バスはHT/HU系路線バスと区別するため、ブルーリボンRU6系と呼ばれることもある。
当初フルデッカ(FD)とミドルデッカ(FM)、スタンダード(標準床)の3種類が用意された。フルデッカーは他社のハイデッカーに相当する車種である。ボディスタイルはRS系に似ており、窓の大きさが若干大きくなった程度で見た目の変更点は少ない。また、RSでは重量に対してパワー不足が指摘されたので、エンジンは新たに16,260ccのEF550(300PS)と16,745ccのEF750(330PS)が、それぞれ搭載された。また運転席のインストルメントパネルも一新された。1984年に排気ガス規制(P-)対応でエンジンを規制に適合させているが、外観の変化はごくわずかである。
型式はエンジンとホイルベースによって決まり、以下のようになる。
WB5.6m | WB6.2m | WB6.6m | |
---|---|---|---|
EF550エンジン | K-RU606AA | K-RU607AA | K-RU608AA |
EF750エンジン | K-RU636AA | K-RU637AA | K-RU638AA |
昭和58年排ガス規制適合車は上記の先頭の型式がP-となる。
[編集] 後期型(P-RU60/63B系)
1985年、昭和60年騒音規制対応と多様化するニーズに応えるべくフルモデルチェンジ並みの大幅な改良を受ける。ボディスタイルは初期型がRSの流れを汲む直線基調だったのに対し、フロントウィンドーがやや寝かされ、全体に丸みを帯びた三菱ふそう・エアロバスの影響を受けたスタイルになった。また、前輪独立懸架(ダブルウィッシュボーン)サスペンション車が追加され、ブレーキが従来のフルエア式から空気油圧複合式に変更された。車種は標準床が廃止され、従来からのミドルデッカー、フルデッカー以外に、新たにスーパーミドルデッカー、グランデッカ、グランジェット、グランシアターの4種類が設定された。エンジンはEF550(300PS)とEF750(330PS)がそのまま搭載されている。
型式は前期形と同じだが、P-RU638BBと末尾が変化している。なお前輪車軸懸架式はP-RU638BAとなる。製造実績が極めて少ないフルエアーブレーキ車はP-RU638CBとなる(ホイルベース6.6m、EF750エンジンの場合。他のエンジン・ホイルベースの場合は数字がそれにあわせて変化する)。
ミドルデッカー(高床III)はもっとも車高の低い車種で、車内にホイルハウス張り出しが残るなど、実質的には標準床に近い。サスペンションは前輪車軸懸架式で、エンジンはEF550搭載車が多く、EF750搭載車は少ない。ただし若干前輪独立懸架式も見られる。
スーパーミドルデッカー(高床II)は日野独特の車種で、前輪独立懸架式となる。エンジンはミドルデッカーとは異なり、EF750搭載車が多く、EF550搭載車は少ない。このモデルにおいて主に上高地に乗り入れに用いられる11m車(P-RU636BB形)が多数見られる。
フルデッカー(高床I)は他社のハイデッカーに相当する車種である。エンジンは基本的にEF750搭載車のみと思われる。また車体長はほぼ全てが12m車(ホイルベース6.6m)である。 グランデッカ(超高床)、グランジェット(超高床)は国産初の型式承認を得た2軸スーパーハイデッカーである。グランデッカーは前面1枚窓、グランジェットは前面上下2分割窓の低運転席構造である。
グランシアターは前部から後部へ傾斜床を採用するシアターシート構造が特徴である。全高は、ほぼグランデッカー、グランジェットと同じである。なお同車種は非常に生産実績が少ない。
グランデッカ、グランジェット、グランシアターは全てエンジンがEF750搭載車で、全長12m車である。
ブルーリボンRU6系の観光バスシリーズは、1990年にセレガへモデルチェンジする形で生産終了し、ブルーリボンは以後路線バス専用の名称となる。
セレガシリーズに準じ、ミドルデッカーをFM、スーパーミドルデッカーをFS、フルデッカーをFD、グランデッカをGD、グランジェットをGJ、グランシアターをGTと呼ぶ場合が多い。
なお日野車体のほか、富士・西工ボディでも製造された。
[編集] P-RU192AA
[編集] グランビュー(P-RY638AA)
1983年の東京モーターショーで試作車を発表、1985年1月に発売された。
日野自動車としては、初の本格的2階建て観光バスである(過去の実績はいずれも近畿日本鉄道に納入された、「ビスタコーチ」(車体は近畿車輛で架装)とRE161改があるが、ともに路線バス向けの設計。ただしRE161改は乗合での登録が得られず貸切車として運行した)。
車体デザインは従来のRS系から脱し、大型の角型ライト2個にフォグランプを配したデザインで、これは追ってRU60/63B系のモデルチェンジ時に同じデザインが採用されている。
また、構造はシャーシ部分から完全にスケルトン化し(RU系は他メーカーでの架装の都合上、モノコック構造にも対応する必要があった)、エンジンはEF750T型V8ツインターボ付(360ps)で、フィンガーコントロールの「FFシフト」を初めて採用。前輪に独立懸架、全輪ディスクブレーキを採用するなど、意欲的なつくりであった。
第1号車はこれ迄の実績から近畿日本鉄道に納入され、近鉄特急の看板車両と同じ「ビスタカー」の愛称を得た。塗装デザインもメーカーが用意したものをそのまま採用し、のちスーパーハイデッカー車にも波及している。他に道南バスが3台、奈良交通が2台、北海道中央バス、阿寒バス、岩手県北自動車、大阪市交通局などが1台ずつ導入した。
しかし、2階建てバスは1980年代前半のブーム時に輸入車でほとんど一巡したことに加え、1985~6年には2階建てバスによる事故が発生したことなどでイメージが悪化。さらに全高3.8mに制限される日本国内では居住性も犠牲になるため、以後は「2階だけバス」とも呼ばれたスーパーハイデッカーに主力が移り、1990年に生産を中止した。この5年間の累計販売台数はわずか12台で、とても開発コストに見合うものではなかった。現在はほとんどが売却され、他の事業者などに渡っている。
なお、1階部分のないタイプもカタログ上には設定されていたが、販売実績はない。また、グランビューは日野の大型バスとしては唯一の3軸車でもあった。
2階建てバスは、1990年代以降は収容力の高さを生かし高速バスにて使用されたが、日野が再度参入することはなかった。2005年には最後まで残った三菱ふそうも生産中止し、国産の2階建てバスは2006年現在、製造されていない。
日野自動車のサイトでは、グランビューのPC用壁紙がダウンロードできる。
[編集] セレガ(初代、1990~2005年)
[編集] シリーズの概要
初代セレガは1990年7月、ブルーリボンRU6B系の後継モデルとして登場した。「セレガ」とは新しい車種のデザイン方針である「Sexy & Elegant(セクシーで、なおかつ優雅に)」
をそのまま車種名とし、従来モデルに比べてフラッシュサーフェス化と柔らかな前面造形を与えられた車体が架装されている。車体の外観は一新されたが、構造面ではブルーリボンRU6B系と共通の部分が多い。
車種構成はほぼブルーリボンRU6B系を踏襲し、高床III・FM(ミドルデッカー)、高床II・FS(スーパーミドルデッカー)、高床I・FD(フルデッカー・ハイデッカー)、超高床・GD(前面1枚窓スーパーハイデッカー)、超高床・GJ(前面2枚窓低運転席スーパーハイデッカー)、GT(傾斜床シアターシート)、FC(9m車)が設定されている。エンジンは、平成元年排出ガス規制に適合(適合記号:U-)した、F17D型(310ps)、F17E(340ps)、F20C型(370ps)の3種類が設定されている。各車種におけるエンジン設定は、FMは低出力のF17D型のみ、FSは低出力のF17D型と標準出力のF17E型、FDは標準出力のF17E型と高出力のF20C型、GD・GJ・GTは標準出力のF17E型と高出力のF20C型の設定である。なお1992年にはF20C型エンジンの出力が380psに引き上げられている。サスペンションは、FMを除き前輪独立懸架(FMは車軸懸架)・後輪車軸懸架方式のエアサスペンションで、電子制御フレキシブルショックアブソーバーがオプション設定されている。トランスミッションは、6速マニュアルでロッド式パワーシフトと、FFシフトが用意されている。
前モデルのブルーリボングランデッカーのエンジンがスーパーハイデッカーとしては330psと出力不足だった事もあり、当時路線開設が相次いだ夜行高速バスでのシェアが355psのエンジンを搭載したエアロクイーンMに対して劣勢だった。そのためセレガにおいては当時の2軸観光バスとしては最高出力である370psのエンジンを搭載した。これが後に、他のメーカとの間で観光バスのパワーウォーズを引き起こし、数年後には400psを超えるエンジンを搭載するバスを各社が発売することになる。
特に、1990年の発売直後に、GDには夜行高速専用として「インターシティ」が追加された。これは3列独立座席、床下トイレ・仮眠室などの装備を一通り揃えたもので、従来ではシートピッチなどで座席により当たり外れが大きかった夜行バスの居住性を改善し、事業者にとっても購入しやすい仕様として提案された。同年秋から近鉄バス・西東京バスなどを皮切りに採用された。
1994年1月にはマイナーチェンジが実施された。ホイールベースの短縮(GD、GJ、FD)、フルトラスフレームの採用、など車体構造が大幅に変更された。従来の車体がブルーリボンRU6B系の外観を変えただけに近かったのに対して、大幅に手が入れらた。外観はホイルベースの変更以外に大きな変化は無い。エンジンはF20C型の出力が400psまでにアップされ、前年にモデルチェンジしたニューエアロバス・エアロクイーンと肩を並べた。なおFM・FSにおいてはホイールベースの短縮は行われず、外観の変化は少ない。また、GD・GJの標準出力のF17E型エンジン搭載車が廃止となっており、エンジンは高出力のF20C型に統一されている。シアターシートのGTはこのマイナーチェンジで廃止された。
1995年からは平成6年排気ガス規制(短期規制、規制記号:KC-)に適合し、マイナーチェンジが行われた。標準出力エンジンは従来高出力エンジンだったF20C型の燃料噴射量を絞り出力を400psから355psに落とし排ガス規制に適合させ、高出力エンジンは新型のF21C型を搭載した。F21C型エンジンの出力は当時の国産バス最強の430psとなった。新たに補助エンジンブレーキ「日野エンジンリターダ」のオプション設定が行われた(Gシリーズは標準)。車体の変化は後部エンジンリッドの形状変更など目立ったものは少なく、運転席のインパネが新しくラウンド型となった。また前回のマイナーチェンジでホイルベースに変化がなかったFSがホイールベースを短縮され、他のモデルと同じホイールベースとなった。またもっとも背の低く、前輪車軸懸架のFMが廃止された。
1998年12月に、FDに装備を簡略化し低価格としたスタンダード観光が追加されたほか、運転席に3点式シートベルトを標準装備し、運転席および客席についても改良している。
[編集] セレガR
セレガRは、2000年(平成12年)夏からおよそ5年間にわたり発売された、初代セレガシリーズのマイナーチェンジ車種である。愛称は「セレガール」。平成11年排出ガス規制(規制記号:KL-)と中期安全ブレーキ規制に適合、ボディ強度の向上やホイールパーク式駐車ブレーキ、集中故障診断システムの採用など、一段と信頼性の高いシリーズへと進化を遂げている。
基本的なスタイリングはマイナーチェンジ前と大きく変わらないが、ヘッドライト周りがメンテナンス性を向上させた設計になり、前面の印象がより精悍なものへと変化している。国産2軸バス最高レベルの出力を持つ、331kW(=450ps)のF17D<F-IV>型ターボインタークーラー付エンジンを搭載したモデルがGD・GJに標準、FDにオプション設定された(その他のFDとFSには265kW=360psのF21C型を搭載)。排ガス規制が厳しくなることから、エンジンはコモンレール式燃料噴射システムの搭載や小排気量ターボ付に改め、その上で性能を確保し、黒煙の発生も抑えた。また、ターボエンジン車は日野エンジンリターダに代えて、永久磁石式リターダを搭載(ターボなしでも装備可能)、坂道発進補助装置「ESスタート」、ディスチャージヘッドライト、電動格納式ミラー、客席第1列への3点式シートベルトの装備などの安全装備も充実させた。
メーカー標準で従業員送迎、観光、空港連絡路線、高速路線仕様を用意し、またリフト付観光仕様も2002年に追加され、幅広いニーズに応えている。
[編集] セレガ(2代目)
[編集] シリーズの概要
2005年8月22日、日野といすゞの統合モデルとして、平成17年(新長期)排出ガス規制適合に合わせたフルモデルチェンジを実施、名称もセレガに戻り、新たな一歩を踏み出した。
製造拠点は、日野といすゞ自動車との合弁会社であるジェイ・バスのうち、旧日野車体工業を引き継いだ小松事業所にて行なわれている。小松事業所では、フルディップ式カチオン電着塗装を行った上で、シャーシ部分と結合する「ポン載せ」方式で組み立てられており、防錆性能と品質の向上を図っている。
このモデルは、いすゞ自動車向けも含め、日野が一括して開発を担当したもので、スタイルは全体的にヨーロッパの観光バスのイメージに近くなった。車体のデザインは日野といすゞでは細部を変えてある。特にアクセントピラーと呼ばれる第2~3柱間に設けられた曲線を描くピラーを設けたことが目立つ。このピラーはデザイン上のものであり、構造面では関係しない。
いすゞ・ガーラとのデザイン面での相違点は、デザイン上の大きな特徴でもあるアクセントピラーが、ガーラは装備しないこと(セレガでも一部で設定がないほか、装備しない選択もできる)、前面デザインでは、セレガは社名表示または行先表示用行燈の下部にあるくぼみが2本のラインになっている(スーパーハイデッカーではシルバーのガーニシュ)のに対し、ガーラは6分割のくぼみを入れている。これはいすゞの小型トラック・エルフのイメージに近づけたものである。また、セレガでは先代のイメージを引き継ぐべく、LEDのオーナメントランプが取り付けられるが、ガーラには装備されない。(但し、ハイデッカの廉価仕様であるリミテッドエディションには装備されない。)後面では、ガーラ観光仕様は先代の特徴であった2分割の小窓を採用している。ただ、ガーラ高速路線仕様は行先表示機搭載の関係でセレガと同じ左右一体窓のため、見分けが付きにくくなっている。
ラインナップは、先代ではGDに相当する「スーパーハイデッカ(SHD)」とFDに相当する「ハイデッカ(HD)」の2タイプとなり、先代ではFSに相当する高床II系、GJに相当する低運転台タイプは廃止された。また、西日本車体工業へのボディー架装も取り止めとなっている。遅れて、先代のFCに相当する9mタイプ「ハイデッカショート(HD-S)」が2006年2月20日に発売された。同時に、夜間都市間用3列独立シート仕様(インターシティ)がハイデッカ12mおよびスーパーハイデッカに追加された。
バリエーションは、スーパーハイデッカが観光用(うちリフト付2タイプ)とインターシティがある。ハイデッカ12mは、観光系はスーパーハイデッカに順じ、都市間路線用はトイレ付・なしとインターシティが用意されている。直結式エアコンの標準採用(後述)のため、空港リムジン仕様は都市間路線用に集約された。9mハイデッカは観光用のみである。観光用では、定員を確保できる12列仕様でなおかつサロンとしても使える「スライドサロン」を用意するなど時代に即した展開を行っている。また、低価格のリミテッドエディションが12mハイデッカに用意されている。
客室は、新たに天井照明がLEDファイバー式となり、モジュール化した曲面を描く独特の照明デザインとなっている。また、客席と通路の間には段差を設けないでフラットにするなど車内移動時の安全性にも配慮している。客席は観光用に3グレードが用意され、顧客はこれら標準仕様から選ぶ方式である。また、1列目にセレガR同様、3点式シートベルトを装備している。夜行都市間仕様の「インターシティ」には3列独立シートが用意され、床下トイレおよび仮眠室が設けられる。床下トイレは真空式汚物処理装置が採用され、仮眠室の窓は開閉可能なタイプが用意される。新たにハイデッカも用意され、コストを抑えるもしくは車高の高い車両が通行できない路線をもつ場合には有効である。
エンジンはプロフィアにも搭載されるE13C型(直6TI、338kW=460psもしくは279kW=380ps)に、またエアコンはメインエンジン直結型のみの設定となった。新型ボディーや直結式エアコンへの変更・新開発インタークーラーターボエンジン搭載などの結果、燃費性能や静粛性も大幅に向上した。ハイデッカショートは、エンジンはJ08E<J8-VI>型(直6TI、199kW=270ps)を採用する。トランスミッションは電気-エア駆動のFF<Feathertouch Finger contoroll>シフトを全面的に採用し、ロッド式のパワーシフトは廃止された。
性能面ではセレガとガーラは基本的に共通であるが、電子制御サスペンションはセレガはオプション設定なのに対し、ガーラは低価格モデルを除き標準装備される点、エアバッグがセレガではオプション、ガーラは標準装備となっている点が異なっている。
2006年6月21日、9mタイプを除きPKG-RU1E系となった。 前モデルと同形式のE13C型(直6TI、338kw=460psもしくは279kW=380ps)をベースに平成27年重量車燃費基準とPMのみ10%低減を両立したものに改良した。その他、変速機や外観などに於いても差異は殆どなく、燃費基準達成車という緑色のステッカーが貼り付けてあれば、このモデルであると識別可能である。
新型セレガはインパクトも大きく、従来は三菱ふそう製が基本だった国際自動車(ケイエム観光)や帝産観光バスなど、日野車になじみがない、新規ユーザーの獲得にも成功している。
[編集] ラインナップ
[編集] セレガ(現行モデル)
2006年発売開始
- スーパーハイデッカ(SHD):PKG-RU1ESAA(ET-X<460PS>のみ)
- ハイデッカ(HD):PKG-RU1ESAA(ET-X<460PS>とET-XI<380PS>の2機種)
- ハイデッカショート(HD-S)(2006年2月20日発売開始):ADG-RU8JHAA
2005年~2006年製造
- スーパーハイデッカ(SHD):ADG-RU1ESAA(ET-X<460PS>のみ)
- ハイデッカ(HD):ADG-RU1ESAA(ET-X<460PS>とET-XI<380PS>の2機種)
[編集] セレガR
2000年~2005年製造
- セレガR GD:12m
- セレガR GJ:12m
- セレガR FD:12m
- セレガR FS:12m
- セレガR FS:11m
- セレガR FC:9m
[編集] 初代セレガ
1990年~2000年製造
- セレガ GD:12m
- セレガ GJ:12m
- セレガ GT:12m(シアタータイプ、1990年~1994年まで製造)
- セレガ FD:12m
- セレガ FD:11.5m(1994年まで製造)
- セレガ FS:12m
- セレガ FS:11.5m
- セレガ FM:12m(1995年まで製造)
- セレガ FM:11.5m、11m(同上)
- セレガ FC:9m
[編集] 主なユーザー
- 北海道中央バスグループ
- 道北バス
- 沿岸バス
- 十勝バス
- 阿寒バス
- 道南バス
- 時計台バス
- ブルーバスグループ
- 弘南バス
- 岩手県北自動車
- 秋田中央交通
- 山交バス
- 会津乗合自動車
- 新常磐交通
- 関東自動車
- 茨城交通
- 日本中央バス
- 上信観光バス
- 多野観光
- 東武グループ
- 京王グループ
- 京急グループ
- 東京空港交通
- 国際観光
- 読売観光
- 日本交通(東京)
- 富士急行グループ
- 長電バス
- アルピコグループ
- 伊那バス
- 名鉄グループ
- 名古屋観光日急
- 名阪近鉄バス
- 三重交通グループ
- 奈良交通グループ
- 近鉄グループ
- 京阪グループ
- 南海グループ
- 阪急グループ
- 大阪空港交通
- 関西空港交通
- 北港観光バス
- 神姫バス
- 阪神電気鉄道
- 神戸山陽バス
- 和歌山バス
- 明光バス
- 日ノ丸自動車
- 日本交通グループ(大阪・鳥取)
- 一畑バス
- シモデングループ
- 中鉄バス
- 井笠鉄道
- 中国バス
- 本四バス
- 広島電鉄
- 芸陽バス
- 備北交通
- 呉市交通局
- 防長交通
- サンデン交通
- 徳島バス
- 徳島市交通局
- 四国高速バス
- 琴平参宮電鉄
- 琴平バス
- 伊予鉄道
- 土佐電気鉄道
- 高知県交通
- 西鉄グループ(ボディは西日本車体工業製)
- 昭和自動車
- 祐徳自動車
- 長崎自動車
- 西肥自動車
- 島鉄グループ
- 九州産業交通グループ
- 熊本電気鉄道
- 大分バス
- 亀の井バス
- 宮崎交通
- 南国交通グループ
- 南九州バスネットワーク
- 琉球バス
- 那覇バス
- 東陽バス
- 北部観光バス
- JRバスグループ
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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