公営競技
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公営競技(こうえいきょうぎ)とは、公の機関がギャンブルとして開催するスポーツ競技の総称である。
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[編集] 日本における公営競技
現在日本で開催されている公営競技は以下の4つであり、2006年9月12日現在、全国38都道府県に107場存在する。
これらは全てパリミュチュエル方式により投票券が発売されており、勝利する競走対象を予想した投票券を購入して、予想が的中すれば配当金を受け取ることができる。
なお、狭義には、日本政府(農林水産省)直轄下の特殊法人である日本中央競馬会 (JRA) が開催する中央競馬を除外した、地方公共団体が開催するもの(地方競馬、競輪、競艇、オートレース)を「公営競技」という場合が多い。
[編集] 歴史
日本の(狭義の)公営競技は、第二次世界大戦による戦災からの復興支援を主目的とした公営ギャンブルの1つとして開催され、長年にわたり地方財政の健全化に大きく貢献してきた。しかし、1990年代以降、いわゆるバブル経済崩壊による不景気、パチンコ・パチスロの隆盛およびレジャーの多様化の影響などにより収益が年々悪化し、収益事業であるにも関わらず赤字となるケースが増加するようになった。このため、電話投票システムの導入、場外投票券売り場の拡充、高い配当金の期待できる新式投票券の導入などの方策が採られているが、収益悪化を理由に公営競技事業(特に地方競馬)からの撤退や、撤退を検討中の自治体が増加している。
1992年の公営競技の売上高は過去最高額の8兆9320億円を記録したが、2005年には5兆2440億円まで減少している。このうち、中央競馬を除く地方競馬、競輪、競艇、オートレースは全て50%以下まで売上が減少している[1]。
現時点において、以下の県には公営競技場が全く存在しない。
また上記9県のうち、長野県と沖縄県には場外投票券発売場も存在しない。宮城県においては仙台市郊外に場外投票券発売場が存在するが、仙台市内には1軒もない。これは、仙台市が長年官民共に治安悪化の防止の観点から公営競技の設置を断っているからである。
逆に、現時点において以下の県には全ての公営競技場が揃っている。
かつては群馬県も全ての公営競技場が揃った県であったが、2004年12月に高崎競馬場が廃止されて群馬県から競馬場が無くなった。
- ↑ 出典:財団法人社会経済生産性本部『レジャー白書2006』
[編集] 代表的な競走
どの競技も大きな競走(レース)になればなるほど、売上が多くなるだけではなくスタンドからの観客の声援も大きくなる。ここでは各競技の代表的な競走を列挙する。
[編集] 中央競馬
中央競馬において最高格付の競走である、GI競走を1年における開催順に記す。
- フェブラリーステークス
- 高松宮記念
- 桜花賞
- 中山グランドジャンプ
- 皐月賞
- 天皇賞(春)
- NHKマイルカップ
- ヴィクトリアマイル
- 優駿牝馬(オークス)
- 東京優駿(日本ダービー)
- 安田記念
- 宝塚記念
- スプリンターズステークス
- 秋華賞
- 菊花賞
- 天皇賞(秋)
- エリザベス女王杯
- マイルチャンピオンシップ
- ジャパンカップダート
- ジャパンカップ
- 阪神ジュベナイルフィリーズ
- 朝日杯フューチュリティステークス
- 中山大障害
- 有馬記念(グランプリ)
[編集] 地方競馬
地方競馬において最高格付の競走である、GI指定競走を1年における開催順に記す。
- 川崎記念
- かしわ記念
- 帝王賞
- ジャパンダートダービー
- ダービーグランプリ
- マイルチャンピオンシップ南部杯
- ジャパンブリーディングファームズカップ(JBC)
- JBCスプリント
- JBCクラシック
- 全日本2歳優駿
- 東京大賞典
[編集] 競輪
競輪において最高格付の競走であるGP競走およびその下位にあるGI競走を、1年における開催順に記す。
- 競輪祭朝日新聞社杯争奪競輪王決定戦
- オールスター競輪
- 高松宮記念杯競輪
- 日本選手権競輪(ダービー)
- 読売新聞社杯全日本選抜競輪
- KEIRINグランプリ(グランプリ)
[編集] 競艇
競艇において最高格付の競走であるスペシャルグレード (SG) 競走を、1年における開催順に記す。
[編集] オートレース
オートレースにおいて最高格付の競走であるスーパーグレード (SG) 競走を、1年における開催順に記す。
[編集] 日本以外の国における公営競技
世界各国で競馬は広く開催されており、何らかの形で競馬を行っている国は100ヶ国にも及ぶ。アメリカ合衆国やイギリス、オーストラリアでは馬券発行額が1兆円を超えている。ただし、世界各地で開催されている競馬の内、「公営競技」と言えるのは日本や韓国などの国だけであり、アメリカ合衆国など多くの国ではジョッキークラブ、競馬公社、競馬協会等によって開催されるため公営競技とはいえないものとなっている。また、競馬施行団体とは関係のない業者によって馬券が販売される場合(イギリスのブックメーカー=公認賭け屋など)や、そもそも競馬施行体による馬券発行がない例もある(ドバイワールドカップや草競馬の一部、神事の一環の競馬など)。
韓国では競輪競艇法に基づき競輪および競艇も開催され、2兆ウォンを超える売り上げがある。韓国競馬(韓国馬事会)の売り上げは8兆ウォン程度であり、同国最大の公営競技となっている。