M3中戦車
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M3中戦車(M3ちゅうせんしゃ)とは、第二次世界大戦中にアメリカで製造された戦車である。イギリス軍ではグラント及びリーという2つの名で呼ばれた。イギリス向けに改造が加えられていたものを南北戦争時の北軍将軍ユリシーズ・S・グラントの名をとってグラント、アメリカ陸軍向けの仕様のままで使用されたものを南軍の将軍ロバート・E・リーの名をとってリーという。
M3 中戦車には2門の砲があり、旋回式砲塔には 37㎜ 砲が、車体右側砲郭には 75mm 砲が備え付けられている。イギリス軍仕様であるグラントは、戦車長が操作する無線機を装備するためにリーと比較して砲塔が大型化されている。リーのイギリス仕様として、機銃塔を外し代わりにグラントのハッチを装備した通称「リー・グラント」も存在し、インパール作戦などに姿を見せている。
自国で生産している戦車には大口径砲を搭載していなかったイギリス軍にとっては貴重な戦力として北アフリカの砂漠で同軍の主力戦車として活躍した。しかし、シャーマン戦車が英国軍に配備されるようになると、グラント・リーはオーストラリア軍に回され、太平洋の戦場で使用された。また、イギリス軍に残った車輛はビルマ戦線での反攻に投入され、まともな対戦車火器を持たない日本軍相手に活躍した。
アメリカ軍の M3 中戦車は、チュニジアで大きな損害を受けて以降はほとんどが訓練用として使われたが、太平洋では日本軍との戦いに一部が参加しているほか、レンドリース法によりソビエトに送られている。(もっとも、ソ連では『7人兄弟の棺桶』などと呼ばれ、後のシャーマン戦車に比べ評判は良くない。)アメリカ軍がヨーロッパ戦線にて、中戦車として本車を実戦投入されたのは、シシリー島上陸作戦やイタリア戦初期の頃までであったが、その後はM31戦車回収車やM33装軌式牽引車等に改造され戦争終結まで使用された。
M31やM33は概ね好評で、M4やM5をベースとした戦車回収車や牽引車が開発・配備された後も、それらの車両より使い勝手が良かった上、支援車両としては十分過ぎる装甲を有していた為、砲兵の中にはM33牽引車に固執する部隊もあったという。
1941年4月の生産開始から1942年12月の生産終了までに全型合計6,258輛が生産された。
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[編集] バリエーション
- M3(Lee Mk.I/Grant Mk.I)
- M3A1(Lee Mk.II)
- M3A2(Lee Mk.III)
- M3A3(Lee Mk.IV/Lee Mk.V)
- M3A4(Lee Mk.VI)
- M3A5(Grant Mk.II)
[編集] 派生型
- M31戦車回収車(Grant ARV Mk.I)
- M33装軌式牽引車
- M7自走砲(プリースト)
- M12自走砲
- ラム巡航戦車
[編集] 運用国
[編集] 関連項目
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