J-10 (戦闘機)
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J-10(Jianji-10、殲撃十型、せんげきじゅうがた)は、空戦と爆撃の両面において効力を発揮するよう設計された、中国人民解放軍の全天候型多目的戦闘機である。
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[編集] 開発
J-10には謎が多く、細部は明らかになっていないが、F-16をもとに開発されていたイスラエルの戦闘機ラビを元に開発された疑いが強い。
J-10の開発は1980年代初期に始まったと考えられる。当初は要撃戦闘に特化した設計であったが、後に戦闘機と爆撃機、両方の性格を併せ持つ多用途戦闘機へと設計変更された。試験機の初飛行は1996年であるが、開発は1997年に判明したフライバイワイヤ系統のトラブルにより、遅れを余儀なくされた。その後再設計された試作機は1998年に初飛行し、各種試験を再開した。結局、中国人民解放軍空軍に配備されたのは2005年後半であった。
2006年1月9日付けのジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー(Jane's Defence Weekly)によれば、J-10を改良したSuper-10が計画されており、これはより強力なエンジン、フレームや推力偏向装置、パッシヴ式フェーズドアレイレーダーを搭載したものだという。
今のところ、J-10の輸出取引は中国軍需産業の最大顧客であるパキスタンにのみ持ちかけられている。2006年2月下旬に中国のJ-10製造工場を視察し、J-10の詳細について説明を受けたパキスタンのムシャラフ大統領は、報道陣に対して「パキスタンは中国のJ-10を購入することを検討する」と延べた。4月12日には、FC-10として少なくとも36機のJ-10を購入することで合意した。
[編集] アビオニクス
J-10では、4重のデジタルフライバイワイヤが飛行をサポートし、様々な情報はコックピット内の3面の液晶多機能ディスプレイ(MFD)に表示される。また、操縦桿まわりには西側諸国でいうHOTAS(Hands On Throttle And Stick)コントロールを模した設計が取り入れられている。
J-10に搭載されているレーダーは今のところわかっていないが、ECMは装備されている可能性が高い。
但し、ARHであるR-77 ADDER オフボアサイトのR-73を装備すると言われ、ヘルメットマウンテッドデイスプレーは装備していると思われる。
[編集] 派生型
[編集] 推定諸元
[編集] 仕様
- 乗員:1名
- 全長:12.57 m
- 全幅:8.78 m
- 全高:4.80 m
- 翼面積:33.00 m
- 空虚重量:9,750 kg(6,940kg説あり)
- ペイロード:4,500 kg
- 最大離陸重量:18,400 kg
- エンジン:リューリカ・サトゥールン製AL-31FN ターボファンエンジン×1
- 推力:79.43 kN / 122.58 kN (ドライ / アフターバーナー)
[編集] 性能
- 最大速度:マッハ 2
- 許容G:+9g / -3g
- 戦闘行動半径:550 km
- 最大航続距離:1,850 km
- 実用上昇限度:18,000 m