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BeOS

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

BeOS(ビーオーエス)は、米Be社が開発したオペレーティングシステムである。

目次

[編集] 特徴

同社のワークステーションであるBeBox、またはPower MacPC/AT互換機で動作し、メディアOSとしてマルチメディアを扱うのに長けた。BeOSのコードはUNIXなどの既存のコードをベースとするのではなく、すべて新しく書き起こされた。

洗練された設計で非常に高性能なOSである。発表当時同じPowerPCで動くMac OSよりも遥かに高速に動作し、「PowerPCの真価を発揮した」とユーザーを驚かせた。

技術的な特徴として次のようなものがある。

[編集] 歴史

[編集] PowerPCプラットフォームでの展開

Appleでヨーロッパ部門で好成績を収め、後にApple本社で開発責任者を務めたジャン=ルイ・ガセー(Jean-Louis Gassée)らが1990年にスピンアウトしてBe社を設立、ハードウェアBeBoxとオペレーティングシステム BeOSの開発を開始する。初期のBeBoxのプロトタイプはAT&TのHobbitというプロセッサを使用していたが、後にPowerPCベースに変更され、その上で動くBeOSとともに1995年に一般に公開された。

翌年にはBeOSはPowerMacに移植され、Mac OSの次世代OS候補として注目を集めることになった(BeBox事業は終了したが、サポートはその後数年間継続した)。旧弊なMac OSに代わる次世代OSを求めている事を知り得たガセーは、Appleに働きかけてBeOSの良さをアピールすべく、当時のApple社CEOのギル・アメリオらに簡単なデモを行った。ガセーはアメリオに買収に関する条件に付いて提示をしたが、ガセーは2億ドルと言う金額を提示した。当時、BeOSは6年かかっても完全な商用製品と呼べるシステムには至っておらず、更にMacに搭載した場合のコストとBeOS自体の開発費用等を含めるととてつもない金額となり、その上に急を要する次世代Mac用のOS探しにとてつもない時間がかかる事が分かる。

しかし妥協は許せないとして数々の候補を挙げて行く中に、BeOS以外ではマイクロソフトWindows NTサン・マイクロシステムズSolarisNeXTソフトウェアのOPENSTEPの3つが選ばれた。アメリオは、カーネギーメロン大学でも使われているBSDUNIXMachに元々注目しており、Machを用いているOSを調べると、それはOPENSTEPしか無い事が判明する。結果的にOPENSTEPとBeOSの2つから選ぶ事となり、アメリオはガセーと、その対抗馬であったNeXTソフトウェアのCEO(Appleの創業者でもあった)スティーブ・ジョブスとを社に招き、それぞれ時間差を設けてプレゼンテーションを行った。ジョブスは事前準備を周到に行い、同行させた開発者と共にほぼ完璧なプレゼンテーションを行った。

しかし、ガセーは一人でAppleにやって来、「以前に見せた通りです」としてプレゼンテーションを行う事もなかった。ガセーは「アメリオはBeを採用するだろう」とし、タカをくくった様子であった。しかし、開発段階で2億ドルと言う金額を提示していた時点でほぼBeに勝ち目は無かったのだが、このプレゼンテーションを行わなかった事が最終的に尾を引く形となり、AppleはNeXTを選択。金額的にはBeよりも高くはなったが、信頼度の高いMachカーネルを用いた上に完成度が高く、何よりも上手くプレゼンテーションをこなした好印象が大きかったとアメリオは語っている。自身が呼び戻したジョブスによって、結果的にはAppleを追い出された形となったアメリオだが、OPENSTEP(NEXTSTEP)をベースとして次世代OSを開発する流れを構築した功績は非常に大きく、現在のMac OS XはこのMachカーネルを用いたUNIXベースの信頼性の高いOSへと変身している。

しかしその一方でジョブス率いるNeXTに破れたBe(ガセー)は徐々に業績が下降していく。 さらに、AppleがPower MacG3(初代)以降のマシンの技術資料の公開を拒んだため、技術的にもMacプラットフォーム上でのBeOSの発展は困難となった。(これについては、PowerPC用LinuxがPowerMacG3等でも動作していることから、単にMacに見切りをつけるための口実であるという見方もある一方で、商業製品であるBeOSはリバースエンジニアリングによるリスクを抱えるわけにはいかず、やむをえない決断であったという意見もあり、しばしばユーザー間の論争の種になった)

そこでIntel等の協力を得、IBM互換機で作動するBeOSの開発に専念する事になった。

[編集] Intelプラットフォームでの展開

このような状況で、BeOSはIntel (x86) プラットフォームへ進出し、1998年にはBeOS Release 3 (R3) としてx86・PowerMac・BeBox対応でリリースされた。これによりBeOSはPCユーザーからも注目を集めることとなる。しかし、R3時点ではx86プラットフォームのハードウェアサポート(チップセット・ビデオ・オーディオ・ネットワークなど)はきわめて限定されており、BeOS専用にハードウェアを選択しなければ満足に動かすのは難しいほどであった。また、付属のWebブラウザNetPositiveは日本語のエンコーディングに対応していたものの、日本語のフォントインプットメソッドは付属しなかったため、日本のユーザーにとってはハードルが高かった。

1998年暮れにはRelease 4 (R4) がリリースされた。このリリースからは日本語のフォントやインプットメソッドも付属した。一方で、x86の標準のコンパイラがCodeWarriorからGCCに変更されたためバイナリフォーマットがPEからELFに変わり、R3 x86のバイナリは動かなくなった。このころはMicrosoft Windowsに代わる代替OSを求める動きが盛んになってきたころで、BeOSもその波に乗って一定のユーザーを獲得した。日本では日立製作所からプレインストールPC(Windows 98とのデュアルブート)も発売された。

翌年にはRelease 4.5(R4.5、コードネームGenki)がリリースされ、PCカードサポートなどが追加された。

[編集] フォーカスシフトとBeOSの終焉

2000年にBeOSの第三の転機が訪れる。BeOS Release 5(R5、コードネームMaui)は、従来の個人ユーザー中心のパッケージ販売から、以下のような提供形態に切り替えることが発表された。

  • BeIA(コードネームStinger) - インターネットアプライアンス (IA) 向けのOEM供給。ビジネス的にはこれを主力とする。
  • BeOS Personal Edition (PE) - 個人非商用向け無料バージョン。ダウンロード配布され、Windows上でFATパーティション内にインストールすることができる(実際の動作は通常通り独立したOSとして動作する)。
  • BeOS Pro Edition - 従来のパッケージ販売の後継。PCで本格的に利用するユーザー向け。

これは、業績が芳しくない個人向け市場から、当時注目を集めていたIA市場へとシフトしたもので、米ソニーのIA「eVilla」などに採用された。また、無料でインストールも簡単なPEの存在も目を引いた。

しかし、IA市場そのものがそれほど発展しなかったこともあり、ビジネス的には苦しい状況が続いた。開発中のR5.1(コードネームDano)は日の目を見ることなく、2001年にBe社の知的資産はPalm社(旧PalmSource、現ACCESS Systems)に売却され、Be社は解散した。これにより、Be社によるBeOSの歴史は終わりを告げた。

このように、BeOSの歴史はハードウェアを転々としてきた歴史でもある。これについても、BeOSの移植性の高さの賜物として肯定的にとらえる意見と、ユーザーを切り捨ててきた歴史として批判する意見とがある。

[編集] BeOSと日本語

Be社には親日派のエンジニアが多く、日本語のサポートが比較的充実していた。 また、日本語関係のお遊びも盛り込まれていた。

  • NetPositiveでは日本語のエンコーディングがサポートされていた(非西洋圏の言語では唯一)。
  • R4以降、日本語のフォントとインプットメソッドが付属した(同上)。
  • BeBoxのカスタムI/OプロセッサはKasumiと呼ばれていた。これは『らんま1/2』の女性キャラクター・天道かすみにちなんだものといわれている。
  • NetPositiveのエラーメッセージは、英語による俳句形式になっていた(BeOS後継プロジェクトの一つHaiku OSのネーミングは、これにちなんだものと思われる)。ただし、これはわかりづらかったため、後のバージョンでは通常の形式も選べるようになった。
  • R4.5のコードネームはGenki(元気)であった。

[編集] 最近の動向

多くの人々に愛されたBeOSであるが、2002年以降、いくつかのオープンソースプロジェクトがBeOSを再構築するために動いている。BeOS 5をベースにプロプライエタリなコードを排除すべく書き直され、機能が増強されている。BeOSのマイクロカーネルの仕組みがこの作業を簡単にした。

[編集] ZETA

YellowTAB社がPalm社からライセンスを得て開発していた商用のBeOS後継OS。yellowTAB社が破産したため、現在は元CEOだったBernd Korz氏が中心となったチームでZETAが開発され、製品の販売は独magnussoft社が引き継いでいる。

  • 2003年 - yellowTAB社がPalm社からライセンスを得てBeOSの後継OS ZETAを開発中。
  • 2004年 - yellowTAB社がZETAのRC版を発売。一家の中では複数のPCにインストール可能なファミリーライセンス形式を採用。このZeta NeoはBeOSの後継として徐々に認知されつつある。
  • 2005年6月9日 - yellowTAB社がZETA 1.0を発表。
  • 2005年7月1日 - Berry Japan社がyellowTAB社と総代理店契約締結。ZETA の日本公式サイトを開設。
  • 2005年7月7日 - Berry Japan社が、ZETA 1.0 Multilingual Deluxe Version(15,800円)を販売開始。セブンイレブン経営の7dream.comでも販売。
  • 2005年 8月5日 -「ZETA 1.0 Deluxe Edition」が秋葉原のショップに初登場。ぷらっとホームが、ZETA 1.0 Multilingual Deluxe Versionを販売開始。
  • 2005年 10月15日 - yellowTAB社が「ZETA 1.1」をリリース、既存ユーザ向けアップデータを無料ダウンロードとして配布開始。
  • 2006年 1月21日 - 長期間にわたるBerry Japan社の契約違反のため、yellowTAB社がBerry Japan社との日本総代理店契約を破棄。
  • 2006年 4月4日 - ZETA 開発元 yellowTAB社が破産保護下に置かれる。yellowTAB 社発表MYCOM PC WEB 関連記事
  • 2006年 10月14日 - 元CEOだったBernd Korz氏が中心となったチームでZETAが開発され、製品の販売は独magnussoft社が引き継いでいる。

[編集] HAIKU プロジェクト

HAIKU プロジェクトは、オープンソース版 BeOS を目指して、Be 社解散後に発足した。当初のプロジェクト名は OpenBeOS と称しており、2004 年にコミュニティの投票によって選ばれた新しいプロジェクト名として HAIKU と改名された。HAIKU プロジェクトの第一目標は、BeOS と互換性(ソース/バイナリ共)を持つバージョン 1.0 をリリースすることであり、1.0 以降は、HAIKU に新しい技術やアイディアを採り入れた最適なデスクトップ OS プラットフォームに発展させていくことを長期的な目標として掲げている。HAIKU は x86 と PowerPC コンピュータを対象に開発が進められている。HAIKU のスクリーンショット集

  • 2001年 8月 OpenBeOS プロジェクト発足。
  • 2004年 6月 第1回「WalterCon 2004」開催、新プロジェクト名「HAIKU」が発表される。
  • 2004年 10月 CannaIM for BeOS が Haiku に寄付される。
  • 2005年 7月 日本語フォント「小夏」を標準フォントとして適用。
  • 2005年 8月 「WalterCon 2005」開催。

[編集] 外部リンク

[編集] 後継OS

  • beunited.org - Be互換OSへのリンクと関連ニュース
  • B.E.O.S - Linuxカーネルベース
  • COSMOE - Linuxカーネルベース (2005年10月現在beta段階、ダウンロード可能)

[編集] HAIKU関連

[編集] HAIKU関連日本語資料

[編集] ZETA関連

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