3DO
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3DO(スリーディーオーまたはスリーディオ)は、かつて存在したアメリカのコンピュータゲーム開発企業。又は、同社の提唱したマルチメディア端末規格。「3DO」の「3D」は3次元 (3 Dimension)、そして、オーディオ (Audio) やビデオ (Video) のように一般的なものになるように願って、両者に共通する最後の一文字「O」をつけた、という。
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[編集] 会社概要
The 3DO Companyは、1990年にエレクトロニック・アーツの創始者の一人トリップ・ホーキンスがゲーム機プラットホーム開発を目的に設立した。32bitマルチメディア端末の統一規格「3DO」を各社にライセンス提供し、さらに64bit規格「M2」を開発。1995年にM2の権利を松下電器に委譲した。その後はセガサターンやプレイステーション、PC用のソフトを開発、発売していたが、2003年5月に連邦倒産法第11章を申請し倒産した。
[編集] 3DO社のゲームソフト
- 突撃! アーミーマン -史上最小の作戦-
- マイト・アンド・マジックシリーズ
- Meridian 59
- Cubix Robots for Everyone
[編集] 3DO規格
日本では、1994年3月に松下電器から3DO REALがスプライトグラフィックス機能や動画再生能力を持つ32bitゲーム機の先駆けとして登場、三洋電機からも3DO TRYが発売された。海外ではGoldstar(LG電子)も3DO端末をリリースしている。他にもPCのISA拡張ボードとCD-ROMドライブでPCを3DOとして使う3DO BlasterというシステムもCreative Lab社から発売された。
3D機能や動画機能などを備えた次世代機の先駆けとして注目されるも、あくまで情報家電という位置づけ(インタラクティブ・マルチプレイヤーと称していた)のためか価格設定が高めであった。欧州へ輸出した時にはEUから、ゲーム機ではなく、関税が高い「ビデオデッキ」として認定されたので、価格がかなり高くなったという。
ゲームのローディング時間が非常に長く(初期に発売されたゲームソフトでは、読み込み時間が3~5分程度)ストレスのたまるゲーム機でもあった。また,本格的なポリゴンエンジンによる3D機能を充実したセガサターンやプレイステーションを始めとする他社競合製品の登場により、あまり普及しなかった。
CPUにPowerPCを使用した後継機3DO M2も開発されていたが、業務用に一部採用されただけで家庭用機器として発売されることはなかった。
[編集] 3DO端末
- 3DO REAL(FZ-1) 松下電器 1994年3月20日発売 54,800円(発表時は79,800円だったが値下げされた)
- 3DO TRY(IMP-21J) 三洋電機 1994年10月1日発売 54,800円(95年夏頃からオープン価格)
- 3DO REAL Ⅱ(FZ-10) 松下電器 1994年11月11日発売 44,800円(95年夏頃からオープン価格)(CDドライブをフロントローディングからトップローディングへ変更し、値下げしたモデル)
[編集] スペック
- CPU : 32ビットRISCプロセッサ ARM60(12.5MHz)
- メモリ : メイン2MB,VRAM 1MB,SRAM 32KB(バッテリーバックアップ)
- バス速度 : 50MB/秒
- 描画速度 : 6400万ピクセル/秒
- 解像度 : 640ドット×480ライン
- カラー機能 : 最大1,670色、32,000色同時発色
- ポリゴン機能 : テクスチャマッピング、グローシェーディング
- CD-ROMドライブ : 倍速
- 対応CD-ROM規格 : 3DO用CD・音楽用CD・CD-G・フォトCD・ビデオCD
- 毎秒30フレームのフルスクリーン・フルカラー動画再生機能(シネパック)
- ビデオCDアダプタでビデオCDが再生可能(高精細静止画不可)
- サウンド : DSP
[編集] 経過
94年3月、国内では発の3DO規格マシン「3DOREAL」が松下電器から発売され、初の32Bitマシンとして話題を集める。しかし、ゲーム機としては高額で、また相次いで発売された初期のゲームソフトも輸入ものが多く、日本人に馴染みにくい内容により、序盤から一般的な普及は加速しなかった。 その結果、本来本機が持っていた筈の「ゲームに留まらない情報家電」というマシンへの開発や展開がなされず、『単に高いゲーム機』『ソフトが洋物(洋ゲー)主流で取りつきにくいマシン』で一般層に普及しない、という悪循環へ陥ってしまった。また、「ゲームに留まらない~」という方向性のため、多くのゲーム雑誌でも扱いは他のゲーム機と同格ではなく、別枠で便宜的に紹介されるだけだったのも、一般への認知度の広がりを阻害した。
約半年後の11月には「セガサターン」、12月には「プレイステーション」という、国産32ビットマシンが一気に展開し、洋モノゲームがまだまだ主流だった3DOはたちまちに勢いで抜かれてしまう。その後大手国内メーカーカプコンから、それまで国内のコンシューマソフトとしては発売がなかった同社の業務用ヒットタイトル「スーパーストリートファイターII X」の発売を機に一気に国内消費者を意識したラインナップへと転換を図り、同時に高額だった本体も設計見直しによる改良機「3DO REALII」を廉価で販売するなど、盛んに戦略を仕掛ける。
95年にはオリジナルタイトル「Dの食卓」のヒットでハードもいったんは上向きに普及するも、著名度の高いキラーソフトを継続的に送り出すことが出来ず徐々に失速、国産機の世界展開開始に比例して3DO社の業績は悪化する。95年末に3DO社から松下電器が事業を受け継いで展開するが、規格提唱者の失速という負のイメージはサードメーカーをひるませてしまい、「魅力のあるソフトの減少→ハードの普及不振」の負の連鎖に陥ってしまった。
この状態により既に確固たるユーザー層を積み上げてしのぎを削り合う状態になったセガサターンとプレイステーションの勢いに追いつくことが出来ず、さらには96年6月には任天堂の「NINTENDO64」が発売されたことでユーザーの興味はほぼ完全にサターン・PS・64の3機種に絞られてしまい、ユーザーを再び3DOに振り返らせる術を失ってしまった。そして同年末ころまでには淘汰されて店頭から消えていった。
[編集] 関連項目
家庭用ゲーム機(その他) | |
据え置き型 : | マイクロソフト: Xbox(ソフト) - Xbox 360(ソフト) エポック社: カセットビジョン - スーパーカセットビジョン バンダイ: プレイディア(ソフト) SNK: ネオジオ(ソフト) - ネオジオCD 3DO社: 3DO(ソフト) アタリ: Atari Jaguar |
携帯型 : | エポック社: ゲームポケコン バンダイ: ワンダースワン(ソフト) - ワンダースワンカラー - スワンクリスタル SNK: ネオジオポケット(ソフト) アタリ: Atari Lynx |
[編集] 外部リンク
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