郷土料理
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郷土料理(きょうどりょうり)とは、地方ごとにある独特な料理のこと。地方料理(ちほうりょうり)とも言われる。 この項目では、日本国内のものに限定して紹介しているが、地方料理が日本の食文化を色濃く特徴付けているという状況は、外国料理でも同様に見られる状況である。フランス料理からして、地方料理の集積だという人もある。
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[編集] 概要
郷土料理には、地方の特産品を用いていたり、地方独特の地理的・歴史的条件により生まれたものなど様々なものがある。各地域には気候風土に適した食材、調味料や調理法がある。時代の流れにより、淘汰され変化した料理もある。地域ごとに生活習慣が異なる中、各地で独特の食文化が発展してきた。ある意味で、全ての料理は初めて成立した時点では、郷土料理であるともいえる。その中で、江戸前寿司、お好み焼き、辛子明太子のように他の地域にも広く伝搬することで、実質的に郷土料理として認識されなくなるものもある。しかし、全国に広がっている料理で、同じまたは似た呼び方であっても、食材、製法、味付けが地方毎に異なる場合もあり、「食の方言」と呼ばれることがある。例えば、雑煮、赤飯などは地域差が大きい。伝搬の過程で地方毎に独自のアレンジが行われた結果であろう。
[編集] 発祥時期による分類
郷土料理の発祥時期を分類すると、大きく4つに分かれる。
- 江戸時代以前
- 冷蔵庫の無い時代であり、漬物や干物、燻製など、長期保存に適した調理方法による郷土料理が多い(例、山梨の鮑の煮貝)。また、長崎カステラのように、ヨーロッパから伝わった製法が独自に発展した例や、卓袱料理の様に中国から伝わった例もある。
- 明治維新と共に、海外から新しい食材や調理法が入ってくる。これらの影響を受けて考案、改良された郷土料理が多い。
- 太平洋戦争直後
- 地域おこしブーム期
- 高度成長期以降、日本の社会が工業化するにつれ、農業や漁業を基盤とする地域は、過疎化などに苦しむようになった。これに対して、地域を活性化しようとする見地から「地域おこしの目玉」として考案された「郷土料理」が多く見られる。その一部には、本来地域とのゆかりが薄い料理であるにも関わらず、地元商工会や行政がマスコミ等とのタイアップで、強引に「郷土料理」「名物料理」に仕立て上げたケースもある。また、一料理人の独創的な調理法を起源とする、いわゆるB級グルメと呼ばれるようなものがその地域一帯に広まり、「郷土料理」として定着した例もある。
[編集] 地域による分類
例えば、柚餅子は日本各地で郷土料理として点在している。文化交流の広がり方を知る手がかりにもなっている。
また、いなごの佃煮やスズメバチの幼虫食などの昆虫食は、山形県、群馬県、長野県、大分県から熊本県を経て宮崎県・鹿児島県にかけての九州山地脊梁部などの山岳地方の郷土料理となっていることが多い。これは、海沿いと異なり魚からのタンパク質摂取が難しいことから、昆虫を食用とした古い文化が残存したという考え方がある。昆虫は栄養価は高いものの、個々の個体が小さく、採集労力当たり得られる栄養価が相対的に低くなってしまうため、そこまで大量採集の労力をかけることが見合う地域性、また少ない労力で大量に採集できる食材昆虫の種類の選択が関係していると考えられる。そのため、多くは前述のような山岳地帯で、一度の採集で大量の幼虫が確保できるスズメバチ類、水田で労せずして大量に採集できるイナゴ、かつては魚のあらなどを溜池に漬けておくだけで大量に集めることができたゲンゴロウ、絹糸生産の副産物として大量に得られるカイコの蛹や成虫などが食材として選択されている。
この他、ウツボ料理、カツオ料理、サンマ料理など、県を越えて海岸地域に浸透した郷土料理も数多い。これらは、海上交通網を通じた漁村間のネットワークによって食文化の伝播、浸透が生じたと考えられる。和歌山県の那智勝浦と、千葉県の勝浦において、地名のみならず食文化においても多くの共通性がみられるのはその一例である。
[編集] 郷土料理に関する批判
実際には地域住民には食べられておらず、観光客に供されるだけの「郷土料理」が多いという批判がある。土地の名物と称し、土産物として売られる菓子や漬け物には、実際には他の地域や外国で生産、加工されているものや、ラベルだけを地方のものに換えたものも少なくない。
一方で、目に付きやすい郷土料理ではなく、地域の人たちが普段から口にしている食事を常食(じょうしょく)と称して、調査・研究している料理人や民俗学者、郷土研究家たちがいる。彼らは、地域独自の食文化が消えつつあると警告している。原因として、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなど小売業の発展や情報化の発展による日本国内の食生活の均一化、家庭内での調理機会の減少などがあげられている。その一方で、地方のコンビニエンスストアやスーパーマーケットの食品売り場には、少なからずその地域特有の食品が並んでいるのも事実である。そうした場合、しばしば地元の住人はその食品が自らの地域特有の「郷土料理」であることを認識しておらず、全国区的な食品と思い込んでいることも珍しくない。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
【生粋市場】全国の郷土料理を紹介全国の郷土料理を写真入り・作り方も紹介
- おもいっきりテレビ、知れば知るほどそれよさそう! - 様々な郷土料理を紹介している
- NIKKEI NET:食べ物新日本寄行-食の方言性、独自性、分布の偏りを特集している(連載中)
- 臼杵の郷土料理 石仏観光センター大分県臼杵市の郷土料理を紹介