米華相互防衛条約
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米華相互防衛条約(べいかそうごぼうえいじょうやく)は、アメリカ合衆国と台湾に移った中華民国の間で結ばれた軍事同盟に関する条約。1954年12月調印。
かつてアメリカとの蜜月関係によって豊富な資金物資を援助され、長く日本と戦ってきた蒋介石の国民政府は、国共内戦の中で国民の支持を失って次々に敗北、アメリカにも援助を打ち切られて中国大陸を追われた。沖合いの台湾へ逃亡して大陸反抗の機会を待っていたが、福建省などの根拠地は次々に失われ、大陸には金門島などいくつかの小島を確保できたに過ぎず、共産主義の中華人民共和国との対立は膠着した。一方アメリカは、かつて蒋介石を見捨てながら、中国に共産国家が成立すると、台湾を自国の防衛圏に組み込んで、共産主義の拡大に対抗しようとした。東アジアではベトナム(第一次インドシナ戦争)に続いて朝鮮半島で共産主義勢力が拡大を目指して戦争(朝鮮戦争)を起こし、ドミノ理論の現実化にアメリカは怯えた。朝鮮は1953年に、ベトナムは1954年にようやく停戦するが、周辺事態が沈静化した中国が、戦力を台湾に送り込む恐れが出てきた。台湾が共産化した場合には、中国と同盟関係のソ連が太平洋へ進出でき、アリューシャン列島・日本・韓国・沖縄・フィリピン・東南アジアと続くソ連封じ込めが無力化されてしまう可能性があるため、アメリカは改めて台湾の中華民国と同盟することとした。
1971年の中国の国際連合加盟、台湾脱退から風向きが変わる。1972年にはニクソン米大統領が中国を電撃訪問、日本も中国と国交正常化して台湾と断交、アメリカとも1979年の米中国交正常化によって断交、条約は無効化した。
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