白頭山
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
|
||||
---|---|---|---|---|
白頭山頂上に広がるカルデラ湖、天池 |
||||
標高 | 2,744 m | |||
位置 | 北緯41度60分東経128度05分 | |||
所在地 | 中華人民共和国吉林省 朝鮮民主主義人民共和国両江道 |
|||
山系 | -- | |||
種類 | -- | |||
初登頂 | -- |
古くは「太白山」とよばれた。満州語でゴルミン・サンギヤン・アリン(Golmin Šanggiyan Alin、「どこまでも白い山」。漢字で「長白山」と書くのはこれを意訳したものである)。中国名で長白山(ちょうはくさん。中国語:长白山/長白山 チャンパイシャン(Changbaishan))。朝鮮名で白頭山(はくとうさん、ペクトゥサン。朝鮮語:백두산・簡体字:白头山)。
中華人民共和国 吉林省と朝鮮民主主義人民共和国 両江道の国境地帯にある標高2744mの火山。 頂上には「天池(チョンジ 朝鮮語:천지)」と呼ばれるカルデラ湖がある。満州を潤す松花江、および中国と北朝鮮の国境である鴨緑江・豆満江はこの山を源と発している。山麓は、朝鮮側は朝鮮半島の摩天嶺山脈などの高原地帯、中国側はなだらかな傾斜が東北平原まで続く。
なお、北朝鮮でも「金日成将軍の歌」等、金日成が関連する場合、長白山(チャンベクサン)の名称を用いることがある。
目次 |
[編集] 概要
中国側の山麓では、朝鮮人参の中国版とも言える長白山人参(又は中国産朝鮮人参)が栽培され、日本などに輸出されている。この他、中国側では様々な薬草が栽培されている。大瀑布や温泉なども有る事から、中国政府は外貨獲得のため観光地化している。日本や韓国からツアー客が訪れる際は、交通等の便が良い中国側から主に入山する。また夏季を中心として(7 - 9月頃)北朝鮮側(平壌からチャーター航空便を利用して三池淵へ飛行)からのツアーも行われている。最近、韓国の現代峨山が韓国から白頭山に向かう観光ツアーの実現について北朝鮮側と交渉を続けているが、今もって条件面で折り合いがついていない。
山の中央部は、地下のマグマの上昇圧力により、毎年3mmずつ上昇を続けている。天池の周りは2,500mを超す16つの峰が取り囲んでいる。その最高峰は将軍峰であり一年の8ヶ月は雪に覆われている。天池は周囲12kmから14kmで水深の平均は213m、一番深い部分は384mとなっている。10月中旬から6月中旬までは天池は氷に覆われる。天池から北に出る川があり、出てすぐのところで落差70mの滝を形成している。
山頂の天池には怪獣が棲んでいるとの噂もあり「テッシー」と呼ばれている。度々テッシーと思われる大型動物の目撃が報告されている[要出典]。中国では、天池に落ちたら二度と這い上がって来られないと、言い伝えられている。[要出典]
[編集] 気候
白頭山の気候は非常に移り気である。山頂の年平均気温は摂氏マイナス8.3度である。夏の間は18度に届くときもあるが、厳冬期はマイナス48度にまで下がるときがある。1月の平均気温はマイナス24度、7月の平均気温は10度であり、一年のうち8ヶ月は気温はマイナスに下がる。山頂の平均風速は秒速11.7m、12月には平均で秒速17.6mの強風となる。平均湿度は74%。
[編集] 歴史・信仰
白頭山は周囲に住む民族から崇拝を受けてきた。文化・信仰としては、中国では満州族(旧女真族)の聖地、朝鮮半島では朝鮮民族の聖地とされる。大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国双方の国歌や朝鮮民族の代表民謡であるアリランでも歌われている。かつての扶余や高句麗のほか、渤海(698年 - 926年)でも信仰の対象としていたが、10世紀に白頭山は過去2000年間で世界最大級[要出典]とも言われる巨大噴火を起こし、その火山灰は偏西風に乗って日本の東北地方にも降り注いだ。また最近9世紀にもかなりの規模の噴火があったことが明らかになりつつあり、この噴火と渤海滅亡との因果関係が指摘されている。
高麗(935年 - 1392年)の頃、鴨緑江を渡ってきた女真族を「白頭山」の外側に追いやったという記録があり、「白頭山」という呼び名が初めて現れた記録となっている。李氏朝鮮の頃には1597年、1668年、1702年と噴火が記録されている。世宗は鴨緑江・豆満江沿いの要塞化を進め、白頭山は北方民族との境界となった。
女真族の金も白頭山を崇拝し、1172年には山に住む神に「興國靈應王」の称号を贈り、1193年には「開天宏聖帝」と改めている。清も金と同様、白頭山に対する毎年の典礼を行った。康熙帝の時代、皇族である愛新覚羅氏(アイシンギョロ家)に関する調査が行われ、白頭山がその始祖の誕生の地とされた(この調査は現在信憑性がないものとされている)。康熙帝は白頭山周辺を立入禁止の地と定めたが、依然として清と朝鮮の間ではこの山の帰属をめぐる論争が続いていた。
朝鮮人が満州の豆満江以北地域である間島へと移住する動きが絶えず、1712年、清と朝鮮の役人達は白頭山の分水界に国境を示す定界碑を建てた。ここに書かれた、国境を「西方を鴨緑とし、東方を土門とする」という表記の解釈をめぐり、土門を豆満江とする清側の主張と、土門江(松花江支流)とする朝鮮側の主張が19世紀末から20世紀はじめにかけてぶつかり合い、21世紀の現在になっても論争は続いている。現在の中朝国境は1909年の日清間の間島協約によって定められたものである。
[編集] 抗日ゲリラ
第二次世界大戦前は、満州国との境界であったことから、白頭山山麓の針葉樹の密林は反満抗日ゲリラの拠点ともなり、しばしば日本軍によるゲリラ掃討戦が繰り広げられた。
なお金日成は、自分がここを根拠とするゲリラの指導者であり、小白水の谷にある白頭山密営で金正日が生まれた、と自称しており、現地では「生家」とともにそのような案内が行われているが、証言などから「金正日ロシア極東生まれ説」が有力となっている。
[編集] その他
- 外国メディアとしては初の白頭山(北朝鮮側)長期取材が行われ、2001年にNHKスペシャルとして放送された。
- 06'10/20現在ロシア非常事態省は、白頭山に噴火の兆候があると発表している(中国、韓国は確認していない)。白頭山は1300年周期で噴火を起こす活火山であり、1100年前に大規模な噴火を起こしている。
[編集] 関連項目
- 朝鮮五大名山
[編集] 外部リンク
カテゴリ: 出典を必要とする記事 | アジアの山 | 火山 | 朝鮮民主主義人民共和国の地形