沙羅曼蛇
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沙羅曼蛇 | |
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ジャンル | シューティングゲーム |
対応機種 | アーケード[AC] ファミリーコンピュータ[FC] MSX X68000 PCエンジン[PCE] セガサターン[SS] プレイステーション[PS] 携帯電話 プレイステーション・ポータブル |
開発元 | [SS][PS]コナミコンピュータエンタテインメント東京 |
発売元 | コナミ |
人数 | 1~2人(同時プレイ可) |
メディア | [FC]1Mbit+64KRAMカセット [MSX] [PCE]2MbitHuCARD [SS][PS]CD-ROM1枚 [PSP]UMD |
発売日 | [AC]1986年 [FC]1987年9月25日 [MSX]1987年12月 [PCE]1991年12月6日 [SS]1997年6月19日 [PS]1997年7月6日 [PSP]2007年1月25日 |
対象年齢 | CERO:全年齢対象(PSP) |
『沙羅曼蛇』(さらまんだ、SALAMANDER)は、1986年にコナミが発売したアーケード用シューティングゲーム。『グラディウス』の続編に当たる作品。
本作品の続編として『沙羅曼蛇2』がある。
目次 |
[編集] 概要
アーケード版では全6面で、奇数面が横スクロール、偶数面が縦スクロールである。2人同時プレイもできるようになっている。コンティニューはできないが、クレジットを追加することで、上限はあるが残機が増える仕様。ループゲームで、周回数を重ねるごとに地形が変わるほか、3周目以降は倒した敵機が弾を撃ち返すようになるなど10周目まで難易度が上がり続ける。
ステレオ対応のFM音源サウンドや場面に合わせたボイス(合成音声)、リアルで迫力あるプロミネンスに代表される美しいグラフィックなど、印象的な演出が話題を呼んだ名作。当時はステレオ対応筐体が皆無だったこともあり、2Dシューティングゲームとしては異例である専用筐体販売が行われた。そのため人気の割に流通数が少なく、当初はプレイ待ちの行列がいたるところで見られた。
『グラディウス』ではパワーアップはカプセルストック制であったが、本作品ではアイテム制になっている(ファミコン版などはカプセルストック制)。また、『グラディウス』では自機が破壊されると再開場所がある程度戻されるが、本作品では画面が切り替わることもなくその場で自機が復帰し、ゲームは続行される。これらの要素により『グラディウス』とは似ているものの、かなり違った印象を受ける。 このようなシステムの違いからグラディウスシリーズの中でも異質な作品で、『グラディウス』とはまた違った独自のシステムを築き上げる事に成功している。
パワーアップが『グラディウス』と同じカプセルストック制になった『ライフフォース』(元は沙羅曼蛇の海外バージョン名で、国内版と海外版では内容が異なる)も発売されている。
なお、アーケード版はデバッグの詰めが甘いのか、(ゲームの進行に支障を来たすほどのものはないものの)バグが目立つが、ゲームの完成度は高い部類にある。
[編集] パワーアップ
本作品ではパワーアップの構成はグラディウスと同じようなものであるが、パワーアップの方法はカプセルとゲージによるカプセルストック方式ではなく、それぞれの装備に該当するアイテムを取得する事によって行う。アイテムの出現位置は全て固定。
なお、これらはアーケード版およびアーケードに忠実な移植作品の場合のものであり、国内版ライフフォースやファミコン版、MSX版ではパワーアップ方式が異なり、また一部は同じ名称の装備でも性質が異なる装備があるため、当てはまらないものもある。
[編集] アイテムとその効果
- スピードアップ
- 自機の移動速度が上がる。最大5速。
- ミサイル
- 横スクロール時は上下、縦スクロール時は左右に地表を滑走するミサイルを発射。壁を登る性能もある。
- リップルレーザー
- 前方に徐々に拡大するリング状レーザーを発射。貫通力なし。レーザーとは併用できない。
- レーザー
- 前方に威力が高く、雑魚敵を貫通する螺旋模様のレーザーを発射。リップルとは併用できない。
- マルチプル
- 自機の分身を装備。自機の攻撃と同じ攻撃をする。最大4つ。グラディウスシリーズで言うところの「オプション」。
- フォースフィールド
- 一定の方向に敵の攻撃を防ぐバリアを装備。最大4つ(実質3つ)。
[編集] パワーアップの制約・固有性能
- ミサイルは特定の障害物に打ち込む事で、その障害物の当り判定を消す事が可能。
- 縦スクロールの4・6面でミサイルを装備していると、ミサイルが一定の距離を置いた前方画面奥に投下され、特定の施設(地上物)を破壊する事ができる。
- レーザーとリップルレーザーは同時に装備できない。
- メインウェポンで一番弾速が速いのはリップルレーザー。
- 自機が破壊されると、装備していたマルチプルはアイテムとなり、スクロールと共に流れていく。復帰した自機が回収すれば再度装備される。
- マルチプルは2人同時プレイ時では、2人合わせて4つまで。
- マルチプルには「マルチプルの間隔がマルチプルを展開する画面の位置で変わる」「自機から近い順に、追従がワンテンポずつ遅れる」など、他シリーズのオプションにはない癖がある。
- フォースフィールドはアイテムが1周回中で3つしか出現しないため、最大装備数は実質3つ。
- フォースフィールド装着順序は、前方→上(縦スクロール時:左)→下(縦スクロール時:右)→後方。1つでもダメージを受けて解除された場合は前述の装着順序が優先順位となって消えた所から装着し直される。
- フォースフィールドは地形に対して削られる事がない。
- 1周回中最初に装着したフォースフィールドは、アイテムと重ねるとダメージを受け、削られる。それ以降に装着するフォースフィールドはその特性を持たないが、敵弾を防ぐ事もしない。
[編集] 2人同時プレイ
発売された当時としては画期的な2人同時プレイを実現している。1P側がグラディウスと同じビックバイパーで色は青、2P側がロードブリティッシュで色は赤(これはアーケード版での設定であり、MSX版ではそれぞれサーベルタイガー・スラッシャー)。なお、それぞれ性能に違いはない。
また、双方の機体は互いに重なる事ができず、ぶつかると相手の機体を押す事ができる。これはアーケード版『沙羅曼蛇』やこれを忠実に移植した作品のみの現象で、国内版ライフフォースやファミコン版などではこの現象は起きない。
[編集] 縦横スクロール
本作品最大の特徴であり、グラディウスと比べて最大の違いが、スクロール方向が横だけではなく縦にもなる事である。これにより本作品の戦略性が高まっている。しかしスクロール方向により装備の性能が変わったり、自機の当り判定が変わるなど、理不尽な要素も含まれている。
装備面ではミサイルがその影響を多大に受けており、グラディウスに比べて大きく変更されている。横スクロールでは上下、縦スクロールでは左右と同時に2発も発射可能となっている。また2面を除く縦スクロール面では前方画面奥側にも発射するが、これは空間のリアルさを表現する手法でもあった。
なお、グラディウスに比べスクロール速度がかなり速いのも本作品の特徴である。
[編集] ステージ構成
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
Stage | 内容 | 解説 | 使用曲 | ボス |
---|---|---|---|---|
1(横) | 細胞 | 巨大な生命の内部のようなステージ。 | Power of Anger | ゴーレム |
2(縦) | アステロイド | 大量の小惑星が浮遊している地帯。 | Fly High | 巡洋艦テトラン |
3(横) | プロミネンス | 生命エネルギーが炎となって噴き出している。 | Planet RATIS | イントルーダ |
4(縦) | 火山 | 左右や下に配置された火山から火山弾が降り注ぐ。 | Starfield | 要塞ヴァリス |
5(横) | 小惑星地帯 | 小隕石帯で戦闘機の編隊と戦う。 | Burn the Wind | デス |
6(縦) | 機械都市 | 前半は都市上空。後半は要塞内部。 | Destroy Them All Aircraft Carrier |
ビッグコア ゼロスフォース |
[編集] 難易度
本作品は比較的難易度の高いゲームとされている。昔のゲーム故に理不尽な場面も多く、展開も早い事からゲームスピードに追いつけずにあっという間に自機が破壊される事もある。また、周回数によって地形が変わったり、周回を重ねる毎に打ち返し弾が増えていくなど、最終的には尋常でないほどの攻撃をしてくるようになり、高次周の攻略は非常に困難である。
しかし内容は完全なパターンゲームで、安全地帯も多く、アイテムの出現場所も決まっている事から覚えてしまえば1周するのは簡単である。逆に言えば、敵の出現位置から攻撃方法、安全地帯、アイテムの場所などを覚えなければまともにゲームを進行させることは困難であり、不条理な難易度とも言える。
なお、本作品独自のシステムとしてグラディウスのように再開時に一定の場所まで戻される事もなくその場で復活し、装備していたマルチプルも回収可能な事が影響し、グラディウスよりは先に進む事が比較的楽ではある。
ちなみに4面最後の砲台など、一旦破壊されるとその後のプレイでは攻撃をしてこないなどの不具合があるため、プレイ条件は常に一定ではない。
[編集] 演出
発売当時はそのグラフィックの美しさや、それによる迫力ある演出、そしてそれを彩るFM音源を用いたステレオサウンドの音楽が話題になった。このような演出は細かい所にも生かされており、当時見る者の脳裏に焼き付いて離れなかった。これらは今でも見劣りせずに色あせる事なく、古さをあまり感じさせない。
さらにシリーズを通じて初めて「声(英語)」による演出を行っている。主に、武器をゲームプレイの最初に装備した時、ステージの切り替わり、ボス戦の直前に発せられる。ミサイルを装備していないときにミサイルショットボタンを押すと声で注意されるという、細かい演出もある。ただし、これら「声」の演出は、あまりに聞きづらい環境、音質だったため、聞き流されることがほとんどであった。
ボス直前の「声」の内容は「An intruder has penetrated our force field」。訳すると「フォースフィールドに敵機侵入」といったところか。
この「声」の演出は後のグラディウスシリーズを通して標準的に搭載される。
[編集] 移植版
- ファミリーコンピュータ
- カセットが半透明で内部の基板が見えるスケルトンカセットとして有名。パワーアップシステムはグラディウス同様のパワーカプセル方式に変更されている。面構成もアレンジされており、オリジナルのステージやボスも登場する。一部ライフフォースの音楽も使われている。ボイスはなし。ミサイルとレーザーは2段階のパワーアップが可能で、2段階目は弾速が上がる。オプションは1Pと2P合わせて3つまでつけられる。フォースフィールドはFC版グラディウス同様に全方位バリア。コンティニューが可能になっており、回数によってエンディングが変化する。
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Stage 内容 解説 使用曲 ボス 1(横) 細胞 惑星生命体と化したラティスの内部。 Power of Anger ゴーレム 2(縦) 火山 AC版の4面に相当。
左右に配置された火山から火山弾が降り注ぐ。Starfield メタルボール
巡洋艦テトラン3(横) プロミネンス 生命エネルギーが炎となって噴き出す。 Planet RATIS イントルーダ 4(縦) 細胞II FCオリジナルステージ。中盤の血管内部は高速スクロール。 Burn the Wind ギーガ 5(横) 神殿 FCオリジナルステージ。
前半はグラディウスの火山ステージ風、後半は神殿内部へ。Thunderbolt
Aircraft Carrierクラッシュバム
ツタンカーム6(縦) 機械都市 前半は都市上空。後半は要塞内部。 Destroy Them All 沙羅曼蛇
ビッグアイ
- MSX
- 名称が同じである事以外は完全な別物と言える作品。ストーリーがつき難易度がとても高い上、もう一つのスロットに前作であるMSX版グラディウス2を挿さなければ真のエンディングが見られない(これについては当時のファンから批判の声があった)。自機は「サーベルタイガー」「スラッシャー」となっており、敵機の名前もオリジナルと違う。パワーアップはグラディウスと同じカプセルストック方式で、さらにアイテムを一定個数集めるとオプションパーツが増える。横スクロール面で強制縦スクロールになる箇所がある。中盤の面は選択制になっている。SCC音源内蔵で、BGMにはオリジナル曲、および一部ライフフォースの曲も流用されて独自色が高い。発売記念にオリジナルのテレホンカードが付属していた。オリジナルと共通する要素は、タイトル・グラフィックの一部・BGMくらいだが、MSX版グラディウスシリーズ4作で唯一、オプションが4つつけられる。
- PSで発売された「コナミアンティークスMSXコレクション」のVol.3および、そのSS版ウルトラパックにはMSX版「沙羅曼蛇」が収録されている。
- PCエンジン
- 自機が破壊されると最初に戻される、横スクロール面で画面が上下にスクロールする、アイテムの出現位置が違うなどの変更がある。
- 携帯電話
- グラフィックこそオリジナルに近いが、マルチプルの動きが素直で間隔が広い、縦スクロール面で下にミサイルを撃てない、壊せる壁がすべて再生する、ノーミスで進むと3面の炎がたくさん出現する、さらにノーミスで4面に進むと1周目で打ち返し弾が発生するといった違いがある(S!アプリ版で確認)。また、iアプリ版は自機の当たり判定が異様に大きい。
- Windows
- i-revoにて、ファミコン版、MSX版、PCエンジン版「沙羅曼蛇」が配信されている。
- X68000
- ハードによるグラフィックの拡大・縮小がサポートされていないため、拡大縮小が擬似的に行われていたり、3面のプロミネンスの表示がもたつく以外は、ほぼ忠実な移植。その代わりに、MPUのクロック周波数が10MHzのマシンでは処理がやや重い。開発はSPS。
- セガサターン
- 「沙羅曼蛇 DELUXE PACK PLUS」として沙羅曼蛇2、ライフフォースも同時収録され、いずれもほぼ忠実に移植されている。CD-ROM内に開発者の書いたテキストファイルおよび壁紙が入っている。画面の左右が黒く表示されるARCADE、画面を左右に拡大したARCADE ZOOMの2種類の画面モードを選択可能。ただし、ARCADE ZOOMにしてもスコアの表示はARCADEのままになるので、バランスの悪い画面構成となる。ライフフォースも同様。
- プレイステーション
- 「沙羅曼蛇 DELUXE PACK PLUS」として沙羅曼蛇2、ライフフォースも同時収録。いずれもほぼ忠実な移植。こちらはARCADE ZOOMの画面モードしかないが、SS版と違ってスコアも拡大された状態で表示される。
- プレイステーション・ポータブル
- 詳しくは「沙羅曼蛇 ポータブル」を参照。
[編集] 関連作品
これらは全て本作から発生した「沙羅曼蛇」シリーズと見た場合のものであり、実際には本作を含めたこれらはグラディウスシリーズの1つである。
[編集] その他
- ゲームとは離れたストーリーが展開するOVAも発売された。本作をモチーフにした「沙羅曼蛇」、グラディウスをモチーフにした続編「沙羅曼蛇 瞑想のパオラ」、グラディウスIIをモチーフにした完結編「沙羅曼蛇 GOFERの野望」の3作が存在する。
- 1996年には完全新作である沙羅曼蛇2も製作された。プレイステーション・セガサターンではライフフォースも含めたシリーズ3作をまとめて、「沙羅曼蛇 DELUXE PACK PLUS」としてオリジナルにほぼ忠実に移植された。PSPでは、さらにXEXEXとシークレットタイトルの5作が「沙羅曼蛇 ポータブル」として移植される予定。
- 本作は漢字表記のタイトルで知られているが、「沙羅曼陀」や「沙羅慢蛇」などと誤記される事が多い。
- 本作の海外版の名称は『LIFE FORCE(ライフフォース)』となっているが、この名称の作品には2種類存在する。1つは背景の一部を差し替えて海外向けに販売したもの(「Stereo Sound」と付く)、もう1つは海外版を元に多数のアレンジを施し日本国内向けに販売したものである(詳細はライフフォースを参照のこと)。なお、海外版ではボイスの追加、ストーリー説明の追加などの改変が見られる。
- 雑誌ゲーメストで行われたアイディアコンテストの賞品として沙羅曼蛇の基板がプレゼントされた。タイトルに入賞者の名前が表示され、さらに沙羅曼蛇のグラフィックのまま『ライフフォース』のパワーアップシステムでプレイできる特別仕様。入賞者2名のみに手渡された。
- 音楽はFM音源チップYM2151である。沙羅曼蛇発売当時、雑誌にて沙羅曼蛇の音楽を8bitパソコン上にて再現して聴くことのできるプログラムが掲載された。これは2台のパソコンを用意し、1台ずつ片チャンネルのMMLを入力して同時実行する、という内容の力作であった。しかしながら移植先の音源がYM2203であり(もっとも、音源の違いは技量でカバーできるものではあるが)、MMLの機能に制限が多かったために完全再現とまでは行かなかったようだ。
[編集] 外部リンク
グラディウス シリーズ | |
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本編: | グラディウス - グラディウスII - グラディウスIII - グラディウス外伝 - グラディウスIV - グラディウスV |
沙羅曼蛇: | 沙羅曼蛇 - ライフフォース - 沙羅曼蛇2 - 沙羅曼蛇 ポータブル |
MSX、X68000: | グラディウス2 - ゴーファーの野望 エピソードII - ネメシス'90改 |
携帯: | ネメシス - ネメシスII - ジェネレーション - NEO - NEO IMPERIAL - グラディウス ポータブル |
パロディウス: | パロディウス - パロだ! - 極上 - 実況 - セクシー - 究極 - パロウォーズ - パロディウス ポータブル |
その他: | コズミックウォーズ - ソーラーアサルト - ソーラーアサルト リバイズド |
関連: | ビックバイパー(ビックバイパー開発史) - ロードブリティッシュ |
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