東京都庁舎
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東京都庁舎(とうきょうとちょうしゃ)とは、東京都の新宿副都心にある、東京都庁の本庁舎をいう。東京都新都庁舎、東京都本庁舎ともいう。
※ 自治体組織としての東京都庁については、「東京都庁」のページを参照のこと。
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[編集] 概要
1990年12月に建物が落成し、1991年に都庁としての業務をスタートした。バブル経済の最中に計画された当時日本一の超高層ビルであり、「バベルの塔」をもじって「バブルの塔」と揶揄されることもある。
高さ243mで、完工時にサンシャイン60を抜き、日本一の高さを誇った。しかし、その後は日本一の座を横浜ランドマークタワー(1993年年完工、296m)に明け渡した。但し、東京都内では、今も最高の高さである(2004年5月現在)。
年間40億円もの維持管理費用を要する点や、豪華な知事室など、「税金のムダ使いではないか」との批判も多い。一方で、東京の観光名所の一つとして展望室に訪れる人が絶えず、夜間はライトアップされる。
展望室は、第一本庁舎45階南北にそれぞれ位置し、1階から直通エレベータで55秒で到着。年末年始以外は、休日も年中無休でオープンしていて、朝は9時半から、夜は23時まで、夜景も楽しむ事ができる。バーや喫茶店や土産店も併設されている。
第一本庁舎32階には職員食堂や売店などがあり、来庁者は誰でも利用できる。ただし施設の性質上、営業は平日のみである。眺めがよく、値段も手ごろなので人気度は高い。たとえ1階にいなくても自分のいる階からエレベータで16・25階に上がれば32階へのエレベータに乗り継げるのでこの点は便利と言える(地下駐車場は専用エレベータを使う必要がある。また45階展望台へは1階へ戻り、展望台専用エレベータに乗り換えなければならない)
竣工当時、第一本庁舎に、指定金融機関である旧富士銀行が本店東京都庁出張所(5F)、第二本庁舎には、富士銀行本店東京都庁第二本庁舎出張所、旧第一勧業銀行本店第二本庁舎出張所、旧三菱銀行本店東京都庁第二本庁舎出張所(いずれも5F)が設置されていたが、現在は、
に集約されている。
その他、第一本庁舎内に東京都庁郵便局、新銀行東京(第一本庁舎1F)をはじめとした他の金融機関のATMなどが設置されている。
[編集] デザイン
デザインとしては、モダニズム建築を旨とする丹下健三としては珍しく、ポストモダンの作品で、一般にパリのノートルダム大聖堂の形態を引用しているといわれる。デザインについてもいろいろな批判があるが、特徴のある形態のため、ランドマークとしての機能を果たしている。意匠的には、丹下のフジテレビジョン本社と共通点がみられる。
[編集] 丸の内庁舎
東京府庁舎は当初、東京市幸橋門内(現在の東京都千代田区内幸町一丁目)に置かれ、1889年に丸の内(現在の千代田区、有楽町駅近く)に移った。1894年に、妻木頼黄設計による赤煉瓦二階建て、ドイツ風の庁舎が完工した。
又、東京市庁舎は、1898年に、府庁舎内に開設された(それまでは東京府知事が東京市長を兼ねており、特に市庁舎は無かった)。その後、業務の拡大と共に、敷地内に分庁舎が数棟建てられている。
第二次大戦中の1943年7月1日に、東京市と東京府が廃止され、東京都が設置された。前記の赤煉瓦の建物が、初代の東京都庁舎ということになる。この建物は戦災で焼失した。
終戦後に建てられた庁舎(旧庁舎、丸の内庁舎)は、指名設計競技によって(現庁舎と同じく)丹下健三の案が選ばれ、1957年に完工した。モダニズムの典型的な作例で、開放的なピロティなど、ル・コルビュジエ的な建築言語を使いつつも、その作品とは異なり、鉄骨・ガラスといった近代的素材を多用して、一般に「軽さ」を表現しているといわれる。地上八階建て、横長の建物であり、新都庁舎が持つ強烈な象徴性(モニュメンタリティ)とは比較できないが、立面の美しさや構造の独創性(コア・システム)などの点から、紛れもなく丹下健三の代表作の一つとされている。
又、1950年代末の当時においては、オフィス・ビル(又は地方公共団体の庁舎)の一つの重要な例(応用されるべき例)としての意味も持っていた。新宿への移転により、その用途がほぼ完全に失われる事、地理的に新しい建築を建てて土地を有効活用する必要があった事、また、モダニズム建築の価値が評価される時期ではなかった事(建設後30年強に過ぎず、歴史が浅かった)などから、当初から「保存」は無理ではあったが、解体された事を惜しむ声もある。
旧庁舎の跡地は、東京国際フォーラム(ラファエル・ヴィニヨリ設計、1996年完工)となっている。
[編集] 建物概要
- 階数:地上48階、地下3階(第一本庁舎)、地上34階、地下3階(第二本庁舎)、地上7階、地下1階(都議会議事堂)
- 高さ:243.4m(軒高:241.9m)(第一本庁舎)、163m(第二本庁舎)
- 建築面積:11,042m²(敷地面積:14,350m²)(第一本庁舎)
- 延床面積:195,567m²(第一本庁舎)
- 着工:1988年4月/竣工:1990年12月
- 建設費:1569億円
- 年間維持管理費:40億円
- 第一・第二本庁舎と都議会議事堂の三棟で構成されている。
[編集] 交通機関
[編集] その他
2006年2月、建設から約16年にして、雨漏りがひどく、その補修に1000億円近くかかることが記事にされる。特別にデザインして作られており、既存の補修方法では対応が難しいのが、補修費用の高騰に拍車を乗けているとのこと。
建設費に約1600億円かかっており、今後どう対応するかが注目される。都庁舎における雨漏りは、エキスパンションジョイントの劣化や施工不良によるコールドジョイントが主な原因であり、前述の通り特殊な意匠を施した都庁舎では、従来の工法とは異なる全く新しい工法による補修が必要となるため、全面的な建て替えをすべきという声も上がっている。東京都の財政規模を勘案すれば、都庁舎の建て替えは決して不可能ではないが、昨今の緊縮財政の下、非常に難しい決断を迫られているといえよう。
又、オフィスは新築以来殆どリフォームされていない為、内装設備の老朽化や陳腐化が激しい。築年数過去10年以内のオフィスビルと比較して、相当見劣りするのが実情である。新築以来から、職員の身分証明や出勤怠記録、若しくは電子キーとして使用され続けて来た東京都カードシステムも、長年の酷使により、カードゲートのテンキー装置の不調続出や、磁気カードのセキュリティ問題から、2006年4月を以って廃止され、改めて新型の非接触型ICカードシステムに転換された。
ちなみに、有事の際には変形してロボットになるという都市伝説が存在する。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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