村野藤吾
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村野 藤吾(むらのとうご、1891年5月15日 - 1984年11月26日)は日本を代表する建築家の一人。佐賀県唐津市で生まれ、北九州市で育った。福岡県小倉工業学校(現小倉工業高校)機械科を卒業後、八幡製鐵所に入社。その後の従軍中、学問に興味を持ち、早稲田大学理工学部電気工学科に入るが、自分には向かないと思い建築学科へ転学。27歳で卒業した。
1918年渡辺節建築事務所に入所。渡辺からは、建築に費用を惜しまないことが客を呼び、ひいては施主の利益になることを叩き込まれる。1929年村野建築事務所開設、1949年村野・森建築事務所に改称。1955年日本芸術院会員。1967年文化勲章受賞。日本芸術院賞、日本建築学会賞など受賞多数。
代表作・日生劇場は花崗岩で仕上げた古典主義的な外観やアコヤ貝を使った幻想的な内部空間などが、当時の主流であったモダニズム建築の立場から「反動的」といった批判も受けた。有楽町のそごうも当時話題になった建築である。
1968年からは迎賓館本館(旧赤坂離宮)の改修も手がけた。 また、村野は和風建築の設計にも手腕を発揮し、戦後の数寄屋建築の傑作として知られる佳水園なども設計した。
大阪を拠点に創作活動を行い、建築批評界では丹下健三とよく比較された。 90歳を超えても創作意欲は落ちず、死の前日まで仕事をしていたことは伝説となっている。
2006年、世界平和記念聖堂(1953年、広島市中区幟町)が、丹下健三の広島平和記念資料館(1955年 広島市中区中島町)とともに、戦後建築としては初めて重要文化財(建造物)に指定されることになった。
[編集] 作品
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世界平和記念聖堂(国指定重要文化財)
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- 日本基督教団南大阪教会塔屋(1928年)
- 森五商店東京支店(現・近三ビルヂング、1931年)
- 加能合同銀行本店(現・北國銀行武蔵ヶ辻支店、1932年)
- そごう百貨店大阪本店(1933年)(2003年取り壊し)
- 宇部市民館(現・宇部市渡辺翁記念会館、1937年)(国指定重要文化財)
- 叡山ホテル(1937年、現存しない)(鈴鹿海軍将校集会所に一部を移築、後に志摩観光ホテル東館に再移築)
- 大庄村役場(現・尼崎市大庄公民館、1937年)(国指定有形文化財)
- 橿原神宮駅舎(現・橿原神宮前駅、1940年)
- 百貨店ヤマトヤシキ(1951年―1975年)
- 志摩観光ホテル(東館1951年、西館1960年、本館1969年、宴会棟1983年)(東館は鈴鹿海軍将校集会所を移築)
- 丸栄百貨店(1953年)(日本建築学会賞)
- 世界平和記念聖堂(1953年)(日本建築学会賞)(2006年重要文化財に指定、戦後建築として初)
- 関西大学 第一学舎・蘭文館(1955年)
- 読売会館(よみうりホール、旧・そごう東京店(有楽町そごう)、現・ビックカメラ有楽本館、1957年)
- 新歌舞伎座(1958年)
- 八幡市民会館(1958年)(BCS賞)
- 横浜市庁舎(1959年)
- 佳水園(都ホテル和風別館、現・ウェスティン都ホテル京都、1959年)
- 小倉市民会館(1959年)(2004年取り壊し)
- 早稲田大学文学部校舎(1960年)
- 都ホテル本館(現・ウェスティン都ホテル京都、1961年)
- 早稲田大学文学部校舎(1962年)
- 尼崎市庁舎(1962年)(BCS賞)
- 日本生命日比谷ビル(日生劇場、1963年)(日本建築学会賞)
- 熊本市水道局 (1963年、KAP'92選定既存建造物)
- 梅田換気塔(1963年)
- 名古屋都ホテル(1963年)(2000年取り壊し)
- 関西大学 円神館(1964年)
- 甲南女子大学校舎(1964年)
- 千代田生命保険本社ビル(現・目黒区総合庁舎、1966年)(BCS賞)
- 宝塚カトリック教会(1966年)
- シトー会西宮の聖母修道院(西宮トラピスチヌ修道院)1969年)
- ルーテル学院大学本館(1969年)
- 兵庫県立近代美術館(原田の森ギャラリー)(1970年)
- 東光庵(帝国ホテル茶室、1970年)
- 箱根樹木園休息所(1971年)(BCS賞)
- 高輪プリンスホテル貴賓館(旧竹田宮邸)改修(1972年)
- 迎賓館本館(旧赤坂離宮)改修(1974年)
- 日本興業銀行本店(現・みずほコーポレート銀行本店、1974年)(BCS賞)
- 西山記念会館(1975年)(BCS賞)
- 小山敬三美術館(1975年)
- 箱根プリンスホテル(1978年)(BCS賞)
- 千里南センタービル(1978年)
- 都ホテル東京(内装のみ)(1979年)(全体構成・外観はミノル・ヤマサキの設計)
- 松寿荘(出光興産ゲストハウス、1979年)(2003年取り壊し)
- 宝塚市庁舎(1980年)
- 新高輪プリンスホテル(1982年)(BCS賞)
- 谷村美術館(1983年)
- 宇部興産ビル(宇部全日空ホテル、1983年)(BCS賞)
など
以下は村野の設計により、死後に完成したもの。
など