日産・フーガ
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フーガ (FUGA) は日産自動車が生産・販売している高級乗用車である。
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[編集] モデル概要
フーガは日産伝統の高級セダン、セドリックおよびグロリアの実質的な後継車種である。ただしその性格は“SHIFT_ performance”というコンセプトにある通り、開発主管が「ライバルは、BMW・5シリーズ」と大口(実際は大したことがなかった)を叩くほどの世界に通じるスポーツセダンに転換された。また国内では、“セド・グロ”よりひとまわり大きなエンジンも積む(後述の450GT)ことで、マジェスタをもつライバルのクラウンとも対等に渡り合う商品力を身につけ、輸入車が大半を占める日本の高級車市場でのユーザ-流出にも歯止めをかける。高級仕様のXVとスポーティ仕様のGTがある。
モデル名のフーガは、東京モーターショー(2003年)出展時には、日本語の「風雅」を意味する”フウガ”という名称が用いられていたが、市販に伴って音楽様式のひとつであるイタリア語のフーガに変更された。どちらもローマ字表記は「FUGA」である。
光岡自動車は旧セドリック・グロリアをベースにガリューを生産していたが、2005年7月にフーガベースへとチェンジアップした。
また、旧セドリックはブルーステージのみの取り扱い、グロリアがレッドステージだったが、両販売系列の全モデル並売化に先駆け、フーガでは全日産販売店ですべてのモデルが買える様になっている。
余談ではあるが、XV系の2WDはオプションでフェンダーミラーが装着可能。その場合はドアミラーに連動する装備はされず、カタログやHP上にはシーマやプレジデントに比べるとかなり控えめに表記されている。
[編集] メカニズム
骨格・シャシーには、スカイライン、フェアレディZなどにも用いられているFR-Lプラットフォームが流用された。
ボディサイズは、全長4840mm、全幅1795mm、全高1510mm(4WDモデルは1525mm)、ホイールベース2900mm。同社のフラッグシップセダンであるシーマやトヨタのセルシオより小さいが、全高を高くするという手法によって、スタイルは犠牲になったものの、室内空間はクラウンや全長5015mmのセルシオ、BMW・7シリーズ、メルセデス・ベンツ・Sクラスを上回る。
エアロダイナミクスでは、Cd値:0.28 フロントゼロリフト、オプションのエアロパーツ装着でCd値0.27、フロント&リヤゼロリフトを達成している。
ボディにはボンネット、トランクフード、ドア内外板にアルミ合金が採用されボディの軽量化に努めている。
サスペンションはフロントに新開発したダブルウィッシュボーン式で、リヤはマルチリンク式を奢る。 サスペンションアームやサブフレームは、すべてアルミ合金を採用している。 フロントサスペンションの一部にのみアルミを採用するクラウンと比べると、大幅にバネ下重量が軽く高い運動性や優れた乗り心地に寄与する。
また、ショックアブソーバーは“リップルコントロール”と呼ばれるシステムによって微小な振動を軽減するほか、ヨーロッパの車には多数採用されているが国産では採用例が少なくコストの高いリバウンドスプリングを内蔵し、レーンチェンジやコーナーを曲がる時の安定性を高めている。さらにダンパーの構造に“デュアルフローパス”と呼ばれる構造を採用し、微少入力ではスムーズに減衰力が立ち上がり、コーナリング時のピストンスピードでは減衰力を高く、平坦な路面での細かな凹凸や高速道路のつなぎ目のような大入力のピストンスピードでは減衰力を下げるという、相反するダンピング特性を持ち、操縦安定性と乗り心地を両立している。 これらの機能は4輪すべてに採用されているが、車体価格500万のレジェンドでもリバウンドスプリングはフロントのみ、クラウンには採用されていない。 また、GTスポーツパッケージには、日産独自の4WSであるHICASの後継システム”リア・アクティブステア”によって、優れたハンドリングとスタビリティの両立を実現している。
トランスミッションは全グレードに関してエクストロイドCVT搭載が見送られ、これもスカイラインやフェアレディZから流用されたマニュアルモード付きフルレンジ電子制御5速AT(5M-ATx)を装備する。Dレンジではアダプティブ・シフト・コントロールが作動。路面状況等に応じて最適なギアを自動選択する。また、シンクロレブコントロールは、マニュアル・モード選択時にシフトダウンを行った場合、ブリッピング(空ぶかし)を行いエンジン回転数を上げ、瞬時にギアと同期化する。
エンジンはV6・2.5L(VQ25DE型・210ps/6000rpm、27.0kgm/4400rpm)と、V6・3.5L(VQ35DE型・280ps/6200rpm、37.0kgm/4800rpm)の二種がまず用意され、2005年8月には待望のV8・4.5L(VK45DE型フーガ特別仕様、333ps/6400rpm、46.0kgm/4000pm)も導入された。
V6モデルにはそれぞれにラクジュアリー系の“XV”と、スポーツ系の“GT”の2グレードが用意され、V6・3.5Lモデルには、4WDモデル(アテーサE-TS)だけでなく、最上級グレードとして“350XV VIP”および、日本車として初めて19インチタイヤを標準装備する“350GT スポーツパッケージ”が用意される。追加されたV8エンジンのモデルは“GT”系のみで、“450GT”及び“450GT スポーツパッケージ”となる。
[編集] 歴史
[編集] Y50型 (2004年-)
2003年10月 第37回東京モーターショーにて「フウガ(風雅)」を参考出品。
2004年4月 ニューヨーク国際オートショーに「インフィニティM45コンセプト」を出展。
2004年10月14日 Y50型フーガを発売。発売開始前の2004年9月2日にはムラーノの発表会で先行公開がなされて話題を呼んだ。
2004年11月 2005年次RJCカー・オブ・ザ・イヤーを受賞。
2005年1月 北米国際自動車ショーに北米向け2006年型「インフィニティM45」および「M35」の市販モデルを出展。
2005年3月 北米にてにて販売開始。
2005年4月 上海にて中国向け「フーガ」(中国名:風雅)を披露。同月開催された「オート上海 2005」に出展。
2005年6月 中国にて販売開始。
2005年7月 韓国にて「インフィニティM45」および「M35」を発売。
2005年8月 V8 4.5リットルエンジンVK45DE型搭載車、“450GT”及び“450GTスポーツパッケージ” を追加。専用内装色として、スポーツ・エレガンスが追加。また、一部仕様変更で、これまで木目調のみだった木目フィニッシャーに、本木目が選択できるようになった。
2005年11月30日 これまで“450GT”専用だった『スポーツ・エレガンス』が、2006年3月までの限定で特別仕様車『スタイリッシュブラックリミテッド』として、250GT、350GTシリーズにも登場。他にも助手席パワーシートやプライバシーガラスなど450GTと同等の豪華装備が付随。
[編集] ボディカラー・インテリア
ボディカラーは近年人気の高い銀、白色系を中心に8色。特別塗装色のホワイトパールのみ31,500円高になる。
- グレイッシュブロンズ
- ウォームシルバー
- ブルイリアントシルバー
- スパークリングシルバー
- ホワイトパール
- スーパーブラック
- ダークブルー
フーガのイメージカラーとも言うべきグレイッシュブロンズは、2004年11月18日、「オートカラーアウォード2005」(日本流行色協会主宰、第九回)の特別賞、『ファッションカラー賞』を受賞している。また同時に、参加メーカーの代表者が自社以外のノミネート車を投票して決定するカラー企画部門とインテリアカラー部門も受賞した。受賞者は日産自動車の厚木・日産デザインセンターの伊藤朝乃氏。
インテリア・バリエーションはシート色とフィニッシャー色の組み合わせにより6種、グレードにより選択できるカラーが異なる。
- オーセンティック・モダン(フォーブ+木目)
- ジャパニーズ・モダン(シルキーエクリュ+ピアノ)
- ウォーム・テック(ブラック+木目)
- モダン・コンフォート(シルキーエクリュ+木目)
- クール・メカニクル(ブラック+メタル)
- スポーツ・エレガンス(ブラック+ピアノ)
[編集] 海外における展開
北米を中心に展開する日産の高級ブランド、インフィニティ(INFINITI.)では、すでにグロリアをベースとし、シーマに搭載されるV8・4.5Lエンジンを搭載した“M45”が販売されていた。
フーガの登場に伴ってこちらも2005年には新型にモデルチェンジ。ただしエンジンラインナップは日本とは異なり、V6・3.5Lを搭載する“M35”と、V8・4.5Lを搭載する“M45”となる。M45は最高出力335馬力を誇る。(日本仕様は333PS)このV8エンジンモデルも、2005年8月に日本でデビューした。ただしXV系のグレードには搭載されず、GT系のみである。また、“M45”にはスポーティ・パッケージの“M45スポーツ”も用意されており、こちらはBMW・M5のようにフロント・ライトにブラックアウト処理が施されている。
中国では""風雅 (FUGA)""という名称で輸出され、日産ブランドで販売される予定。
[編集] 車名の由来
音楽の種類「フーガ」(イタリア語でFuga)。
[編集] キャッチコピーとCM曲
キャッチコピー: 『躍動するラグジュアリー』 『フーガには、あなたを熱狂させるオーラがある』
シフト_ワード: 『SHIFT_performance 高級車のパフォーマンスをシフトする。』 『シフト・パフォーマンス、日産です』
CMコピー: 『高級車の全ての体験が生まれ変わった。』(V8投入前) 『Performance by design 』(V8投入後、TVCMでは『Glaceful by design』,『Powerful by design』,『Performance by design』の順に紹介される。)
『AURA of FUGA(オーラ・オブ・フーガ)』
イメージ曲: CMでは使用されていないが、新車発表のイベントなどで使われた“フーガ”調のイメージ曲は『Vortex』という。作曲は『踊る大捜査線』シリーズなどで有名な松本晃彦氏の書き下ろしである。この曲は3つの楽章に分かれていて、50人のフルオーケストラで演奏された全7分42秒にわたる録音は『フーガ プレミアム サウンドトラック』としてCD化され、フーガのプロモーションDVDとセットで全国の販売店や日産ギャラリーなどで配られた。(非売品)
CM曲:オリジナル
ちなみに2005年10月から、一年契約で松本晃彦氏の曲「I know your dreams」が、ライバルのトヨタ・クラウンのCMに使われるようになった。