HICAS
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HICAS(High Capacity Actively Controlled Suspension の略、通常「ハイキャス」と呼称される)は、日産自動車が世に送り出した、電子制御4輪操舵システム(4WS)。
[編集] 概要
7代目スカイライン(R31系)の後発1986年発売の2ドアスポーツクーペGTSに最初に搭載された、世界初の後輪アクティブステア機構である。 後輪のみを動作させるのではなく、クロスメンバーをラバーマウントの弾性範囲内で、油圧アクチュエーターにより変位させる構造であった。
高速時の安定に特化したため、同位相にのみ動作し、後輪に最大0.5°の舵角を与え、低速(30km/h以下)では動作しなかった。
- 1988年5月発売のシルビア(S13)からHICAS-IIに進化する。操舵角を1°まで許容し、前輪より一瞬遅れて後輪が操舵される方式を採り入れた。これは初代セフィーロ(A31)・ローレル(C32)・180SXにも採用した。また、油圧アクチュエーターのシリンダーが一本(HICASでは左右に一本ずつ二本存在していた)になり、タイロッド式の操舵機構が採用された。
- 1989年5月発表のスカイライン(R32)、同7月発表のフェアレディZ(Z32)では、さらにSuperHICASとなって後輪をコンピュータ制御によって一瞬逆位相にすることで、より理想的なコントロールを目指した。
- 後に電動SuperHICASとなりR33型スカイライン等に採用され、後輪操舵部分から一切の油圧機構を排除して電動アクチュエーターに換装され、さらなるレスポンスの向上を目指した。
しかし、スポーツドライビングを楽しむ輩にはおおむね不評なようで、このシステムをキャンセルするパーツも市販されていた。
- ちなみに、スカイラインには形式コードネームがRで始まる最後のシリーズとなったR34までGT-Rおよびターボ車に電動SUPER HICASを装備していたが、V35ではコンセプトがまったく違うため採用が見送られてしまい(FMパッケージの優秀性を示すためでもあったが)、FR-Lファミリーではステージアのターボモデルのみであった。しかし、フーガでは新たにリアアクティブステアリングと名前を変え採用した。これはFRでありながらAWDを凌ぐダイナミック性能を得るためである。
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