市民ラジオ
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市民ラジオ(CB:Citizens' Band)は、 26.9MHzから27.2MHzまでの周波数の電波を使用し、かつ、空中線電力が0.5W以下である無線局のうち、郵政省令(現・総務省令)で定めるものであって、技術基準適合証明を受けた無線設備を使用する無線局で、市民ラジオの無線局(電波法施行規則第6条第3項)という。市民バンドとも呼ばれる。
元々はアメリカ合衆国で1960年代に登場したもので、こちらは5~10Wの出力が許されている。1970年代に大型トラックの運転手を中心にブームとなる。現在でもアメリカでは、大型トラックの運転手が広く使用しており、地域によってはドライバー達からの緊急通報に備えて、警察や保安官が傍受態勢をとり、直接通報する為のチャンネルが指定されている地域もある。地方のハイウェイになると、沿道には公衆電話さえ無いアメリカならではの用法である。
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[編集] 日本の市民ラジオ
1970年代にソニーや松下電器産業、新日本電気、信和通信機などから発売され、携帯タイプ(トランシーバー型)で容積が1リットル程度の当時としては比較的小型の無線機であった。道路等の工事現場、イベントやロケ現場、ゴルフ場などでの業務連絡用に利用される他、趣味として購入し使用する人がいた(10代の少年が中心)。1970年代は趣味利用者も多く、愛好者同士の交信も行われ、移動運用やQSLカード(アマチュア無線の項参照)の交換も行われていた。
運用に際し、無線従事者免許は不要である。無線機を入手後、電波監理局(当時)に無線局の開局申請をし、無線局免許状の交付(呼出符号(コールサイン)の発給)を受けた後に運用が可能となる。しかし、1983年に市民ラジオの無線局免許の制度は廃止され、それ以降は無線従事者資格も無線局免許も不要な無線となっている。
使用する周波数は26.968MHz、26.976MHz、27.040MHz、27.080MHz、27.088MHz、27.112MHz、27.120MHz、27.144MHzの8つ。電波形式はAM(当時の表記でA3)のみ。概ね8kHz間隔であるが、等間隔でないのは途中の周波数が漁業無線など他の業務に割り当てられていたためである。
無線設備規則の一部改正により、旧技術基準適合証明を受けた市民ラジオの無線局は、平成34年(2022年)11月30日が使用できる期限となった。新しい技術基準適合証明を受けた無線機があればこれ以後も市民ラジオを使用できるが、すでにCB用無線機を製造しているメーカーは無い。個人で技術基準適合証明を受けることも可能であるが、平成17年4月1日現在の手数料は、1台のみの場合36,000円である。
[編集] ハイパワー市民ラジオ(違法CB)
[編集] 日本における違法CB無線の沿革
1974年頃にアメリカのCB無線の規格が23チャンネルから40チャンネルに拡張され、旧規格の無線機は輸出、販売が出来なくなった。そのため、当時、日本の中小企業が多くを生産していた旧規格の無線機が、捨て値に近い値段で日本国内に流れる事となった。それら無線機は日本の法律では合法的に使用することはできない(現在では電波を出せる状態で所持しているだけで違法)。これを上記の8ch合法CBの様に改造して、趣味として使う人がいた。下記の不法トラック無線が流行する以前は、正規免許の業務局に配慮しながら運用していたと言われている。また、アマチュア無線家の中には、周波数帯の近い28MHz帯に改造して合法的に使用する人もいた。
しかしながら、上記のようにそのまま使用すると違法となる無線機が安価で流出したことから、主にトラック・ダンプカーなどの職業運転手が、免許が必要で制約のあるアマチュア無線や業務無線の代わりに購入した。さらに混信に打ち勝ち通信距離を伸ばすため、送信出力を数十ワットから数百ワットまで増幅させるアンプを接続する者も現れ(1kWを超える送信電力の摘発例もあり)、いわゆる不法トラック無線の始まりともなった。
[編集] 違法CB無線機器
現在、下火となり不要になった違法CB無線機器の一部がインターネットオークションに出品されており、当時の技術を知ることが出来る。製造された時期により構成が異なるが、比較的古い物は12.5V仕様のトランジスタを使った物や、テレビ用の真空管を1~8本程度使用した物で、出力は50~1000W程度である。テレビのトランジスタ化以後はアメリカ製の傍熱管(通称セラミック)を使った物もあった。28Vで動作するトランジスタが開発されてからは、これを2~20個程度使用した物で、出力は400~2000W。公称5kWの物もある。電源は28Vで100A以上にもなるため、これに対応するために車の電装も強化する必要があった。
[編集] 違法CB無線の性質と最盛期
27MHzの伝搬特性上、スポラディックE層などが発生していない通常のコンディションでは高出力でもさほど長距離の交信は出来ない(スポラディックE層が発生したとしてもCB無線の使用電波形式(AM)では特有の混信が発生する)。また、自動車に搭載するために、使用できるアンテナの大きさには自ずと限界があり、短縮コイルを使用した、能率が低く、打ち上げ角が高い(水平方向への輻射効率が低い、即ち遠くへ飛ばない)ものしか使えない。まして、局数が多かった時期は多くの局が過変調により非常に帯域の広がった電波を出していたため、当該周波数帯では独特なノイズが高いレベルで受信され、さらに通信距離を縮めていた。それでさらに出力を上げるという悪循環に陥っていたようである。それでも大半の違法CB無線運用者は「CBはアマチュア無線よりよく飛ぶ、27MHzはもっとも長距離に飛ぶ周波数」と信じていた。
一部の運転手はアマチュア無線の資格(無線従事者免許)を取得して、正規にアマチュア無線局を開設したが(CB上がりとも呼ばれた)、大多数は無免許のまま無線機を大型トラック(ほとんどが産廃や砂利・土砂処分のダンプトラック 過積載や不法投棄取締りの情報交換や単に仲間との会話を楽しむため)に搭載し、1980年代に不法トラック無線はピークに達したといわれる。正規の呼出符号を持たない彼らは、自らニックネームをつくり交信中に名乗っていた。中には自宅にアンテナを設置し固定局として運用する者や、団体(クラブと呼ぶ)を結成し定期的に会合を開き構成員の親睦を図る者もいた。クラブは特定の周波数(チャンネル)を占有することも多く、チャンネル争いで他のクラブと抗争事件を起こしたり、チャンネル使用料と称し金銭等を請求したりする者(暴力団などの反社会勢力の資金源ともなっていた)もいた。
また、こうしたバンド内のノイズによる伝搬特性の悪化やチャンネル争いといったトラブルを逃れる目的で、一部のクラブが山梨県のメーカーと「NASAパーソナル無線」と称した37MHz帯のAM無線機を開発し使用していた。NASAパーソナル無線は違法CB無線と同様に電波法に違反するもので、法に適合した900MHzのFMを使用するパーソナル無線とは関係ない。
[編集] 違法CB無線の社会問題化と取り締まり
1990年代以降は自動車電話や携帯電話の普及や、取り締まり活動の強化などにより減少した。高出力の不法無線の影響は、幹線道路沿線のテレビやラジオなどに受信障害を与え、オーディオなどのスピーカーへ会話の音声や雑音を混入させることが多い。保管中の石油ストーブが誤動作して着火、火災に至ったり、ラジコン模型が誤動作して発熱するなどのケースも報告されている。このような問題は違法CB無線機器が国内に出回り始めた1970年代からすでに発生していたが、証拠がつかみにくく、行政の取り締まり姿勢も極めて消極的であったため、1990年代まで事実上放置されるに等しい状態だった。
kWクラスの大出力での送信を続ける(身体を強電磁界に暴露する)ことが原因で、違法局運用者の脳腫瘍発症が多くなると言われる。また腫瘍以外でも脳障害を起こす事例が少なからず発生し、これを隠語で「脳ミソが沸く」と表現された。
ピーク時よりも減少したとはいえ、近年でも、不法トラック無線が出没している。
[編集] 関連項目
- アマチュア無線
- パーソナル無線
- 特定小電力無線
- 不法無線局
- NASAパーソナル無線
- 緊急指令10-4・10-10:CB無線を重要アイテムのひとつにした円谷プロ製作の特撮番組
- Citizens' band radio:外国の市民ラジオ(CB)