対潜哨戒機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

対潜哨戒機（たいせんしょうかいき）とは、潜水艦を探知することに特化した航空機である。

[編集] 歴史

第一次世界大戦にドイツのUボートを発見するため、連合国軍が航空機を用いたことを最初とし、このときは人間の目で捜索していた。

第二次世界大戦中の1940年頃から、イギリスで潜水艦探知用（浮上中の潜水艦や潜望鏡に対するもの）にレーダーが使用され、これによってUボート1隻を1941年11月に撃沈している。1942年からはSバンドのレーダーが配備され、多くのUボートに対して戦果をあげている。

1943年からは現在でも使用されているMADといわれる磁気探知装置で地磁気の歪みから探知するものと、ソノブイといわれる海面投下型のソナーが開発された。これらは潜航中の潜水艦を探知するシステムで、1944年2月、アメリカ海軍のPBYカタリナ飛行艇がUボートに対して実施している。

潜水艦に対抗するためは、広い海域を探査の対象とし、発見した潜水艦の追尾を行い、味方艦隊や攻撃機への目標指示を行うため哨戒機には、長時間の活動と低速での活動が求められる反面、多くは自国制空権内での任務となるため対空装備は重要視されない。そのため航続距離の長い爆撃機、飛行艇、偵察機などを転用し任務を遂行してきたが、専用に開発された機体も第二次世界大戦中に登場する。また駆逐艦などの艦船と共同で任務を遂行するために艦載機や回転翼機の哨戒機も登場している。

現在、各国で用いられている対潜哨戒機はより大型・長距離化が進み、四発の中・大型機が主流となっている。