国鉄マニ30形客車
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国鉄マニ30形客車（こくてつまに30がたきゃくしゃ）は、日本国有鉄道（国鉄）が製作した荷物車の一形式である。
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[編集] 概要
太平洋戦争後のインフレーションの影響で発行量・流通量が著しく増大した紙幣（日本銀行券）を日本銀行各支店に円滑かつ確実に輸送する目的で製造された。国鉄に車籍を置くが所有者は日本銀行で、権利関係は私有貨車と同様である。
意味合いとしては、自動車の現金輸送車（警備会社が所有）の鉄道版といえる。
新製当初より荷物列車や客車列車などに連結され、「銀河」「ニセコ」などの急行列車に併結する運用もあった。1986（昭和61）年11月1日国鉄ダイヤ改正での荷物列車全廃以降はコンテナ車等の高速貨物列車に併結され、翌1987（昭和62）年4月の国鉄分割民営化では6輛全車の車籍を日本貨物鉄道（JR貨物）が継承した。JR移行後も引き続き高速貨物列車に併結されて使用されたが、2003（平成15）年の日銀券鉄道輸送終了に伴い用途がなくなり、2004（平成16）年までに在籍6輛全てが除籍された。
輸送品目の性質上、本車の運用や存在は公開されることはなく、国鉄在籍車輛の一覧である「輛数表」にも掲載されなかった。荷役時には荷物扉周囲を天幕で覆い、警備要員を配置するなど万全の対策がとられていた。マニ30形という現金輸送車両の存在は、一部の鉄道ファンの間で膾炙されることはあったものの、鉄道雑誌で取扱われることも原則的になく、運用終了まで、その存在は公然の秘密ともいうべきものであった。
[編集] 構造
1948年にマニ34形として製造された6両（マニ34 1～6 → マニ34 2001～2006 → マニ30 2001～2006）と、これの老朽代替用に1978年から1979年にかけて製造された6両（マニ30 2007～2012）の2種が存在する。両者は車内の構成や設備等は概ね共通であるものの、外観的には全く異なる。
[編集] 車体
いずれの車輛とも、前位から順に荷物室、警備員添乗室、荷物室、車掌室が配置される。 中央に警備員添乗室を設け、その両側に荷物室を配置する。この配置は一般の荷物車より護送便郵便車の室内配置に類似する。 出入台・妻面貫通路は車掌室のある後位のみに設けられる。前後の荷物室部分には窓がなく、このため前位の妻面は標識灯以外なにも設置されない特異な形態である。
[編集] 車内設備
車輛中央の警備員添乗室には各種監視設備・寝台設備・洗面所・給湯器を設け、長時間の添乗に備える。 両側の荷物室は一般の荷物車と異なり、保安上の理由から荷物扉を含め窓を一切設けていない。同様の理由から、車掌室と荷物室の間仕切りには通路がなく、相互の行き来はできない。床面は積載品目の関係上、平板とされた。
 荷物室 前後の車輛との行き来はできない（マニ30 2012） |
 警備員添乗室 通路が後方の荷物室に通じる（マニ30 2012） |
[編集] 形式別概説
- マニ34（1～6 → 2001～2006）
- 1948（昭和23）年に日本車輌、帝国車輌で6輛製造された。オハ35形後期形に類似の半切妻（折妻）形の車体形状で、荷物扉は1,000mm幅の電車用プレスドアを、窓を鋼板で塞いだうえで流用した。警備員添乗室には3段式寝台を設置。荷重は14t、外部塗色はぶどう色1号、台車はTR23Aである。
- 1954（昭和29）年、大船工場で警備員添乗室の3段寝台をリクライニングシートに改造。
- 1962（昭和37）年、荷物扉を2,000mm幅の両開き式に改造。外観が大きく変化する。
- 1964（昭和39）年、大船工場で冷房化改造と近代化改造を施工。冷房装置AU21とディーゼル発電機を床下に設置、自重増加のため荷重は11tに変更。
- その後全車に電気暖房を設置、2001～2006に改番されたが、1970（昭和45）年にマニ30 2001～2006に改番され形式消滅した。
- マニ30（2001～2006）
- 1970（昭和45年）にマニ34形を改番した車輛で、積載荷重は13tに変更されている。老朽化のため後継の2007～2012に置き換えられ、1981（昭和56）年までに廃車された。
- マニ30（2007～2012）
- マニ30 2001～2006の置換用として、1978～1979（昭和53～54）年に日本車輌で6輛製造された。車輛番号は在来車の続番ではあるが、車体形状は50系客車に準じた構造に一新され、外観は全く異なる。
- 室内配置はマニ30 2001～2006と同様、前位から順に荷物室、警備員添乗室、荷物室、車掌室が配置される。
- 車掌室側妻面はオハフ50形類似の折妻形。窓のない2000mm幅両開きの荷物扉、貫通路も窓もない前位側妻面などは共通の特徴である。
- 警備員添乗室はオロネ10形に準じるプルマン式2段寝台が設置される。
- 添乗員室部分の屋根上には分散形冷房装置AU13ANを2台設置し、床下のディーゼル発電機で駆動する。荷重は14t、外部塗色は青15号、台車は50系客車と同様のTR230Bを使用する。
- 荷物列車の全廃後も引き続き使用され、JR貨物への継承後も高速貨物列車に併結されていたが、2003（平成15）年の鉄道輸送終了により用途がなくなり、2004（平成16）年に全車廃車され形式消滅した。
[編集] 保存車
小樽交通記念館（閉館中）にマニ30 2012が保存されている。
[編集] 参考文献
- クリエイティブ･モア 『荷物車・郵便車の世界』 p80~81
- ネコ・パブリッシング 『Rail Magazine』 1988年3月号 No.51 p88~89
- プレス・アイゼンバーン 『とれいん』 2004年8月号 No.356 p44~51、p118~119
[編集] 関連商品
Nゲージ鉄道模型として、2007以降のタイプがマイクロエースからコンテナ貨車とのセットで2種発売されている。
マニ34・マニ30 2001～2006は金属キット形式の製品がある。
[編集] 外部リンク
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