人民
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人民(じんみん)は、法学・政治学の用語で、一定領域において特別な政治的権限を持たないただの人のことをいう。あるいは、君主国の国民たる「臣民」に対して共和国の国民を「人民」と呼ぶ用語法もある。一般的傾向として、厳密な区別を要するような場合には「人民」と「国民」は区別されて用いられるのに対し、それ以外の場合においては通常は「人民」という言い方は避けられ、「国民」という言葉のみが用いられる。共産主義の国では、国家主義と対抗する立場から、「国民」(nation)よりも「人民」(people)を好んで用い、そのため本来の語義を離れて「人民」という言葉に、共産主義のイメージが感じ取られる場合も多い。「人民共和国」やこれに類する表現(「民主」が前後に付けられることも多い)は、共産主義国に独特の国号となっている。
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[編集] 日本語における「人民」という用語法の歴史
人民は、明治時代に作られた法律・政治用語で、官吏と軍人を除く一般人をいった。明治初期にはそれ以上の含意はなかったが、自由民権運動が、人民の権利と議会開設を求めたことから、「人民」は政治議論の中心概念になった。民権運動の思想は、天皇の権威を拠り所にする政府に容れられなかった。政府側が起草してできた大日本帝国憲法は、かわりに「臣民」という語をもちこみ、ただの人ではなく、臣下の人に対して権利を与える形式をとった。こうして法文上の用語から外された「人民」は、権力者に支配される状態は不当だという語感をまとうようになった。
そのような歴史的経緯、及び第二次世界大戦後の東西冷戦の激化から、日本の政党・政治団体で、少なくとも国会に議席を有するものでは、人民を党名にかぶせたり、政策に人民という語を使うことはほとんど無い(日本人民党が議席を獲得した希少な例だが、右翼政党である)。また、国民新党の英語名称はThe People's New Partyであり、直訳すれば「人民新党」となる。しかし、日本語名称で「人民」は使っていない。
[編集] 西欧語との対応
上記のような歴史的経緯を持たない西欧語では、人々、人民、民衆をあまり区別しない。日本語の「人々」、「人民」、「民衆」は、単語一つ (英語 people) か、相互に交換可能な単語複数に対応する。「国民」については,西欧語においてpeopleとnationの区別がなされることに注意を要する。
[編集] 名称に人民と付く国家・組織・集団
日本語訳が「人民」
- モンゴル人民革命党
- ラオス人民革命党
- カンボジア人民党
- 南西アフリカ人民機構
- エチオピア人民革命民主戦線
- インド人民党
- パキスタン人民党
- 人民行動党 (シンガポール)
- ウズベキスタン人民民主党
- タジキスタン人民民主党
- 民主正義人民戦線 (エリトリア)
- アンゴラ解放人民運動