ワールドコンバット
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ワールドコンバット(WORLD COMBAT)」は2002年にコナミより発売されたアーケード用ガンシューティングゲーム。
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[編集] 概略
従来、ガンシューティングゲームといえば拳銃型のコントローラーが主流であったが、このゲームはライフル型のコントローラー(以下、銃と称する)を使用。また、同一画面による四人同時プレイが可能となっている。斬新な機種である反面、一枚の画面で四人がプレイするという性格上、途中参加がしにくい、実際に四人が同時にやると狭い、複数人数でプレイすると、自分以外のプレーヤーのコンティニュー画面や回避時に表示される盾が邪魔など、問題点も少なからずあることも否めない。
これまで、戦争を題材として扱ったアーケード用ガンシューティングゲームはあまり存在しなかったが このゲームは『戦争を扱うことによって、改めて戦争の愚かさ、馬鹿馬鹿しさを伝えたい』との開発サイドの考えからあえて戦争を用いたゲームとした。
そのコンセプトのもと開発された経緯から、映像はリアルそのもので、詳細な部分まで丁寧に描写されているといえる。ダメージを受けた際(ゲームでは『負傷』と表現される)に画面に表示される映像も、リアルな兵士の顔が苦痛に歪むという今までに類を見ないものであり、「戦争の愚かさを伝える」という目標を十分に達しているといえるだろう。
ただし敵軍兵士に関してはガイコツ(公式サイトでは『どくろ兵士』と呼称)が使われている。開発側はもともと自軍・敵軍どちらの兵士にも人間を使い、流血表現も用いるつもりであったが、リアルな戦場でリアルな人間を撃つというのはあまりにも過激で、年少者のプレイも想定されるアーケードゲームにふさわしくないと判断されたため、プレイヤーが操作する兵士を含め自軍兵士のみ生身の人間とし、敵軍兵士は正体不明のガイコツ軍団とすることとした。この点はリアリティを重視する一部ファンに悪い評価を受けているものの、ファン全体としては「パブリックゲームである以上やむをえない」とする見方が一般的である。
昨今、続編となるウォートラン トルーパーズや、セイギノヒーローもデビューした。
[編集] ストーリー
突如あらわれた謎のドクロ軍団。彼ら(?)は強力な兵器を持ち、あっというまにある地方を占領した。プレイヤーは陸軍兵士となり、愛すべきもの、守るべきもののために、小銃を片手に戦場へ身を投じていく。
[編集] 筐体概要
以下の二種類の筐体が存在する。どちらも一長一短であり、コンベンショナルなタイプとしてどちらが優れているかは一概に評価できない。
- DX型(でらっくすがた)
大型のスクリーン画面と独立した銃を置く台によって構成されたタイプ。大型で視界が広く取れ、複数人でのゲームも比較的やりやすい。反面、スペースが取れないゲームセンターでは設置できなかったり、調達費用がかさんだりとコンパクトではないゆえの短所も見受けられる。また、最大の欠点として、スクリーンが画面ヤケを起こしてしまうことが挙げられる。
- SD型(すたんだーどがた)
小型のブラウン管画面と一体化した銃置き台によって構成されたタイプ。現在比較的多く出回っているのはこちらである。省スペースと経費削減には一役買っているが、プレイヤーからは「画面が暗く見づらい」「狭くてとても4人ではプレイできない」との批判もある。
[編集] 遊び方説明
- 攻撃
銃口を画面の方向に向けるとセンサーが反応し、攻撃行動となる。攻撃行動中は敵や敵が撃ってきたミサイル・RPG弾等を射撃することができる。但し、この状態では敵の命中攻撃のダメージも受ける。 尚、ゲーム機に示されている正しい射撃姿勢をとると『射撃姿勢検知機能』が作動し画面にスコープが出現する。スコープを用いると遠くの敵や得点の高い敵兵士の頭部、敵装甲車両の弱点などを狙撃する際に便利であるが、反面、こちらの視界が狭くなったり、近距離の敵兵の発見が遅れる等短所もある。
ちなみに、当然ながら一発撃つごとに弾倉から弾薬が1つ減り、全弾撃ち尽くすと『リロード』と表示が出て攻撃できなくなる。この場合は以下に示す回避行動を取って弾薬を補充しなければならない。
- 防御・リロード(弾丸の補充)
敵が自分に命中する攻撃をしてきた時や前述の弾切れが起こった際には、銃を画面外に向けると盾が出現し、回避行動となる。この状態では全ての攻撃を防御することができ、弾丸も自動で補充される。但し攻撃はできない。不意の攻撃や肝心な時の弾切れを防止するため、射撃の必要が無い場合は常に回避行動を取っておく方が無難である。
[編集] このゲーム特有のシステム・用語の解説
[編集] 階級システム
このゲームにはプレイヤーの成績に応じて階級が上下する『階級システム』が搭載されている。プレイヤーがスコアが一定に達するごとに、それに応じて階級が上昇(昇級)していくというもの。但し、敵の攻撃を受けて負傷した場合(ダメージを受けた場合)は一階級降格となる。スコアが定められたレベルに達すれば作戦行動中であろうとなかろうと昇進するため、ステージクリアごとに昇進するセイギノヒーローやウォートラン トルーパーズ、THE・警察官とは若干、階級システムが異なる。
以下に階級の一覧を示した。下に行くほど低い階級である。ほぼアメリカ陸軍と同様の方式を採用しており、『元帥』が最高位。『二等兵』が最下位。 それぞれゲーム内での階級章が定められている。
- 元帥―大将の中から選ばれる場合が多く、正式な階級でなく敬称の一種であることも。
- 大将―とくに『将軍』と呼ばれる。
- 中将
- 少将
- 准将―通常、ここから大将までをとくに『将官』または『将軍』という。
- 大佐
- 中佐
- 少佐―通常、ここから大佐までをとくに『佐官』という。
- 大尉
- 中尉
- 少尉―通常、ここから上の全階級を『将校』といい、大尉までをとくに『尉官』という。
- 准尉
- 曹長
- 軍曹
- 伍長―通常、ここから准尉までを『下士官』という。
- 兵長
- 上等兵
- 一等兵
- 二等兵
個々に挙げた解説はあくまで一般的なものであり、個々の軍隊により詳細が異なる。(例:兵長からが下士官である、准尉も尉官に含める、准尉や准将という階級が存在しない、上級大将という階級が存在する、等。詳しくは階級を参照。
[編集] チーム(小隊)
このゲームを同時に複数人数でプレイした場合、自動的にリーダー制が発動する。拒否はできない。これにより、リーダーが任命されることになる。リーダー制に関する解説は別項参照。
[編集] リーダー制
2人以上でゲームをプレイした場合、ステージクリア時にチーム内でもっとも上位の階級であるプレイヤー(そういったプレイヤーが複数人いる場合は、その中で一番得点が高いプレイヤー)は自動的に『リーダー(小隊長)』に任命される。
リーダーには以下のような特権が与えられる
- ステージクリア時に、リーダーボーナスとしてライフが1つ支給される。通常、ライフはいくらでも貯められるが、機械の設定によって保有数が制限されているゲームセンターもある。気になる場合は店員に確認されたい。
リーダーには以下のようなリスクを負う
- 命中弾が多い―
- リーダーはライフボーナスの恩恵を受けるためか、その他の友軍兵士と比較して圧倒的に命中弾(回避しないとダメージを受ける弾)の飛来率が高い。
尚、機械のシステムとは関係ないが、熟練したプレイヤー同士でこのゲームをプレイする場合は、リーダーが指揮権を持つ『指揮官』となり、他のプレイヤーにおおまかな指示を下すことが多い。この場合、他のプレイヤーはリーダーに敬意をこめて『隊長』と呼ぶと、臨場感が出てよいだろう。
[編集] 独特の用語
- 作戦
- ステージのこと。このゲームでは『作戦』と表現される。
- 作戦成功
- ステージクリアのこと。リーダーにはライフボーナスが支給される。
- 退却(作戦失敗)
- 制限時間(作戦行動時間)内にステージをクリアできなかった場合は『退却』させられる。すなわちそのステージは『作戦失敗』である。作戦失敗時は『体力減少』と称して参加者全員のライフが1つ削られ、次の作戦に進むことになる。
- 作戦行動時間
- 制限時間。この時間を過ぎてもボスが撃破できない場合(撃破数対応方式のステージでは目標が達成できなかった場合)は退却させられ、作戦失敗のまま次のステージに進む。
- ちなみに、残余作戦行動時間が一分を切ると"Harry up! Just no time!"という英語が聞こえてくる。
- 撃破数対応方式
- このゲームは通常、ボスを全て撃破した時点でステージクリアとされる『首領撃破方式』がとられているが、GLASS LANDSステージとAIRPORTステージに限り『撃破数対応方式』という特異な制度が採られている。なおこれらは正式な名称ではなく、説明を円滑にするため便宜的に示した。
- これは撃破対象(GLASS LANDSでは対空車両、AIRPORTでは戦闘機・輸送機)の撃破数に応じて作戦の成功、失敗を判定するというもので、時間内に指定された目標数(GLASS LANDSでは対空車両13両全車、AIRPORTでは戦闘機・輸送機合わせて15機以上)を破壊した場合に限り、作戦成功とされる。
- ダメージを受けること。敵の命中攻撃に対し回避行動を取らなかった場合や回避が遅れた場合にダメージを受ける。ダメージを受けるとライフがひとつ削られ、1階級降格となる。
- 尚、拳銃弾・ライフル弾などによる攻撃から、RPG弾、戦車の主砲や戦闘機のミサイルなど、果てはラスボスの毒ガスや巨大な張り手など、並の人間が喰らえば確実に絶命する攻撃まで全て扱いは1ダメージ、つまり1つライフが減らされるだけである。
[編集] ステージ解説
このゲームには以下のステージ(ゲーム中では『作戦』と表現)が存在する。ステージ名は左が日本語の正式タイトル、右が英語のサブタイトルである。それぞれ個別に解説する。
[編集] 海岸線上陸作戦(SEASIDE)
味方戦車とともに海岸線から上陸する作戦。映像は映画『プライベート・ライアン』のオープニングシーンにそっくりである。飛来してくる敵の弾の速度も遅く、そもそも命中する弾自体が非常に少ない。最初の方では命中弾が飛んでくると回避するよう画面に指示が出て、回避行動を取るまでゲームの進行が停止する。ベテランプレイヤーからは邪魔であるとの批判もあるが、初心者には非常にわかりやすくよい機能であろう。
意外と知られていないが、このステージは画面の奥の方に小さく見える敵兵も倒すことができる。ちなみに絶対に倒さなければならない敵のみをノーミスで倒すと、准尉まで昇進できる。
海岸を進んでいくと登場する装甲車はなかなかの強敵であるが、画面左側の敵兵を倒すと特殊武器・ランチャーが登場する。これを一発、装甲車のどこでもいいので当ててしまえば簡単に撃破できる。尚ランチャーの弾は3発なので残りの2発はボス戦に取っておく方がよい。
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- BOSS 攻撃ヘリ―1機 輸送ヘリ―1機 計 2機
ステージ終盤、塹壕を進んだところで出現する2機のヘリコプターがこのステージのボス。強力な武装(機銃・ロケット弾?対地ミサイル)を搭載した攻撃ヘリコプターと、武装した兵士を乗せた輸送ヘリコプターが交互に攻撃を仕掛けてくる。
2機とも弱点はコクピットなので、コクピットに向かって精密射撃を加えるとよい。ランチャーが残っている場合はこれを用いるべき。
[編集] 重要情報拠点制圧作戦(HOTEL)
このステージと、JUNGLEステージ、TOWNステージはそれぞれ機械の設定によって進む順序が異なる。
敵の情報拠点を制圧する作戦。ホテル、ジャングル、タウンの3者の中では、最も難易度の低いステージである。
[編集] 野営地奇襲作戦(JUNGLE)
[編集] 市街地制圧作戦(TOWN)
[編集] 観測基地奪回作戦(SNOW MOUNTAIN)
[編集] 榴弾砲破壊作戦(MOUNTAIN)
[編集] 対空車両破壊作戦(GLASS LANDS)
[編集] 市街地防衛作戦(BRIDGE)
[編集] 航空基地破壊作戦(AIRPORT)
[編集] パラシュート部隊迎撃作戦(WOOD)
[編集] 敵司令官捕獲作戦(DESERT)
[編集] ボーナスステージ―緊急事態発生(EMERAGENCY)
複数人でプレイした場合に限り発動する特殊ミッション。
[編集] ミサイルを全て破壊せよ
飛来してくるミサイルを全て爆破できるとクリアできる。
[編集] 爆弾を全て破壊せよ
[編集] 防衛ラインを死守せよ
[編集] 敵
ドクロ兵士のこと。最も遭遇率が高い。兵士により、戦闘服を着用している者、上半身裸な者、戦闘服に吊りバンド(サスペンダー)まで装着した完全武装の者がいる。危険度や使用武器に関しては、特に区別が無い。
歩兵には以下の種類が存在する。
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- ライフル兵
AK-47自動小銃を使用して攻撃してくる兵士。最も登場頻度が高い兵士。
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- 拳銃兵
拳銃を用いる兵士。あまり登場しない。
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- 軽機関銃兵
軽機関銃を使用する兵士。ライフル兵とともに突撃してくることが多い。ベルト給弾式の銃を使っているため、なかなか弾切れせず、リロードの隙が生まれないため、注意が必要。
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- 重機関銃兵
土嚢の陰に固定された重機関銃で攻撃してくる兵士。射撃数のわりに命中弾を撃ってくる確率は低い。
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- RPG兵
RPGを撃ってくる兵士。携行弾数が異常に多く、撃破されるまで何度でも射撃してくる。威力も高く注意が必要。尚RPG弾は撃ち落すことができる。
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- 手榴弾兵
手榴弾を投擲してくる敵兵。ひとつ投げるだけでどこかに逃げてしまうことが多い。尚この手榴弾も撃って爆破することが可能である。
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- ナイフ兵
プレイヤーに接近し、銃剣とおぼしき軍用ナイフで切りつけてくる兵士。遠くの敵に気をとられるような場所に潜んでいることが多い。1回だけ切りつけてくるとすぐに逃げてしまう。
以下はボスとして登場する歩兵である。
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- 特殊部隊兵
JUNGLEステージの解説を参照。
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- 火炎放射兵
SNOW MOUNTAINステージかWOODステージのボス戦解説を参照。